「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - Tさん、エピローグに至るまで-コーク・ロア-16

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エピローグ5 青年と白馬
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へと続いて……


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 日景のでっかいお屋敷からの帰り、≪はないちもんめ≫の嬢ちゃん達と一緒になってチャラい兄ちゃんをからかってたら黒服さんとTさんに邪魔されて隔離されちまった。
 もうチャラい兄ちゃん達は随分先の方を歩いている。
 まったく、俺がせっかく今回いろいろと気疲れしただろうチャラい兄ちゃんを構ってやることで疲れを癒してやろうと思ってたのに……。
 ――まあそれはいいとして、
「Tさん、黒服さんとなんか難しい話でもしてた?」
 訊ねるとTさんは「わかるか?」と言いたげな顔をして俺を見た。
 そりゃわかる。こっちが楽しくしてんのにこう、暗い顔で黙々と相談してんだもんな。
 言うとTさんが苦笑する。
「事後処理等、色々あるらしいからな。黒服さんはまた働き詰めになるだろうし、今回は≪日焼けマシーンで人間ステーキ≫の青年や日景の家が深く関わっている。気苦労が顔に出たんだろう」
「ああ、そいつはまた……」
 ≪組織≫には≪小瓶の魔人≫とか伏せて説明しなきゃならねぇだろうし、秀雄のおっちゃんの弁護とかも大変だろうな。
 納得しているとTさんがしかし、と少し晴れやかな声で言った。
「これで今回の件は片がついたと見ていいだろうな」
「だな、事後処理なんつー言葉が出てくるくらいだしな」
 そう俺は答えて、ついでに気になってた事もTさんに訊いてみた。
「そういや今回の件に絡んで悪さしてた奴らってさ、どうなったかTさん分かるか?」
 俺は直接挨拶に来た≪ユニコーン≫とヘンリーの兄ちゃんの事しかわからない。
 Tさんはふむと少し考えるそぶりを見せて、やがて頷いた。
「今度かいつまんで話そう、――とは言っても俺も全員を把握しているわけではないがな……俺達が話に聞いたり姿を実際に見た中では……あのゲームから生まれたという都市伝説、あれについて情報は皆無だ」
「……それなら俺が知っています」
「え?」
 声に振り返る。≪花子さん≫の契約者、どうも日景の家とも関係があるお家柄らしい龍一兄ちゃんが振り返った俺に会釈をして答える。
「マジ?」
「はい」
 兄ちゃんは目が見えないくらいに長い前髪を揺らしながら頷いた。
 兄ちゃんは竜、≪カイザー≫とかいう都市伝説と契約者は両方とも止められたと俺たちに話して、
「海造――契約者も、都市伝説の方も無事だ。やってしまったことは反省しているし、けじめもつけさせます」
「随分と親しげだな」
 知り合いか? とTさんが問うと少し俺たちを窺うような間があって、
「一応、身内のようなものだから……」
「そうか」
 兄ちゃんの答えにそうとだけ言ってTさんはそれ以上を聞かなかった。
 兄ちゃんならしっかりやると思ったのか、何か男同士で分かり合うものがあったのかはよくわからないけど、去年中央高校で見た兄ちゃんの様子ならまあたぶん大丈夫だろうと俺も思う。
「――ああいう突っ込み役は割と面倒見が良いもんだ」
「え?」
「いや、なんでもねえよ?」
 ついつい漏れ出た心の声に見事に反応した兄ちゃんに俺はその思いをより強くする。しばらく腑に落ちない顔をしていた兄ちゃんはふとTさんに言葉をかける。
「日景の家の事情を知る者として、マドカさんを連れて来てくれたこと、今一度礼を言います。――当主は大きい手術とかした後で気が弱ってたから、話が出来るうちに見つけ出そうと探偵に頼んだりもしたんですがなかなか身柄を保護することができなくて……」
 俺は兄ちゃんに「そりゃしょうがねぇ」と笑い返した。
「マドカ姐ちゃん根無し草だし、俺達も偶然マドカ姐ちゃんに会っただけだしな……ってか気が弱って……た?」
 仲直りした瞬間に即行喧嘩をおっぱじめてたあのおっちゃん達が?
「みー?」
「二人ともとっても元気だったの」
 兄ちゃんのそばをついて歩いていた≪花子さん≫の頭上でリカちゃんが首を傾げる。≪花子さん≫も首を傾げて――あ、リカちゃん落ちた。
「病は気からというものかな……マドカさんと再開して気力が戻ったみたいだ」
 口の端を歪めて兄ちゃんが言う。長い髪の奥の目は困ったようにも、呆れているようにも見える。
 俺はそれに苦笑で応える。
「んー、今度は刃傷沙汰にならなきゃいいけどな」
 でも、
「チャラい兄ちゃんもマドカ姐ちゃんも仲直りしたみたいでよかったな」
「それぞれの親子仲も収まる所に収まったようでなによりだ」
 俺とTさんの言葉に兄ちゃんはああ、と頷く。
「ほんとうに良かった」
「……それにしても」
 俺はおもむろにカメラを取り出した。
「流石はチャラい兄ちゃんの大元の家……!」
 重々しく言ってカメラを操作する。液晶には≪花子さん≫と一緒に武というらしい名前の男の娘が映っている。
 ――そう、男の娘だ。
 一見しただけでは男と分からないその女装もなかなか素晴らしいものがあるなと非常に感心せずにはいられない。しかもチャラい兄ちゃんのように撮影を嫌がらない辺り優秀な被写体と言わざるを得ない……っ!
「……いつの間に」
 呆れたように言ったのは龍一兄ちゃんかTさんか。しかし俺はそんなことは気にしない。
 遠い目で暮れなずむ空を見つめて呟く。
「チャラい兄ちゃんと言い、やっぱりそういう趣味の家系なの……かな?」
「あれは護法の類だろう」
「あれは魔除けの一種だと思う」
 格式と知識に則ったツッコミが俺を射抜いた。
「リカちゃーん、花子さーん、二人がいじめるー」
 傷心したので俺は癒しを求めて花子さんとその頭上によじ登ったリカちゃんを抱きしめる。
 きゃっきゃと喜ぶちっこいの二人の声に混じってTさんのしょうがないとでも言いたげな吐息が聞こえた。
「あまり≪花子さん≫に迷惑をかけないように」
「分かってるって」
 言いながら名残惜しく≪花子さん≫から離れてリカちゃんを自分の頭上にセットする。
 そろそろ帰り道が分岐する。ついでだしこのまま晩の買い物も済ませてしまおうと思いながら花子さん達に別れの言葉をかける。
「じゃあまたなんか縁があったら会おうな、兄ちゃん、≪花子さん≫」
「荒事でなければ歓迎します」
「まったくだな」
 野郎二人の苦笑をもって道を別れる。
 ちっこいの二人のいつまでも続くばいばーいをBGMに俺はTさんに片手を伸ばし、
「とりあえずTさん、お疲れさん!」
「お疲れ様、舞」
 笑みをと共に柔らかく手が握り返された。
 大きく、優しく包み込んでくれる手の感触に自然に顔がほころぶ。
 手を繋ぐだけでこんなに幸せな気持ちにしてくれる寺生まれはやっぱりすげえと思いながら笑みのまま言う。
「帰ろうぜ! 腹が減った!」
 陽が落ちて行く、最近明るい時間が長くなったとはいえ日が落ち切ってしまうと流石に少し肌寒い。
 俺はそんな事を自分への言い訳にしながらTさんに身を寄せた。




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