秋祭り3日目~昼頃
少年は同居人二人とともに、秋祭りが行われている街中を歩いていた。
昨日の《夢の国》との戦いの爪痕はちょくちょく見かけるが、それでも祭りは中止されず、大勢の人が楽しそうに笑っている。
本来ならばどこにでもある“当たり前の風景”であるはずのそれ。
でも今それを見ていると、なんだか顔が綻んできて―――。
昨日の《夢の国》との戦いの爪痕はちょくちょく見かけるが、それでも祭りは中止されず、大勢の人が楽しそうに笑っている。
本来ならばどこにでもある“当たり前の風景”であるはずのそれ。
でも今それを見ていると、なんだか顔が綻んできて―――。
「―――いやぁ、本当に、よかったなあ」
小さく呟く。
昨日のあの戦いで、こっちの体はボロボロだ。
地面を踏みしめる度に身体中がギシギシと悲鳴をあげるし、都市伝説の能力にしても使いすぎで、当分は全力の半分ほどの力しか出せないだろう。
それだけの代償を払っても、結局自分がなにかの役に立てたのかはわからない。
昨日のあの戦いで、こっちの体はボロボロだ。
地面を踏みしめる度に身体中がギシギシと悲鳴をあげるし、都市伝説の能力にしても使いすぎで、当分は全力の半分ほどの力しか出せないだろう。
それだけの代償を払っても、結局自分がなにかの役に立てたのかはわからない。
―――脳裏に浮かぶのは昨夜、満月に照らされたあの光景。
月の光が降り注ぐなかで、再生能力を失ったマスコットたちは、自らが倒されることを望んでいるようにも見えた。
月の光が降り注ぐなかで、再生能力を失ったマスコットたちは、自らが倒されることを望んでいるようにも見えた。
―――きっと、顔も知らないこの戦いを終わらせた功労者さんたちは、《夢の国》を倒すだけでなく、救ってもみせたのだろう。
それに比べれば無にも等しいだろうけれど、自分の行動にも意味があったのだと信じたい。
もし、自分が戦ったことが、ほんの少しでも他の人の助けになれたのなら。
もし、自分が起こした行動の結果で、誰かがほんの少しでも救われたとしたら。
たとえ体がボロボロになっていても、それは悪くない、と思えた。
もし、自分が戦ったことが、ほんの少しでも他の人の助けになれたのなら。
もし、自分が起こした行動の結果で、誰かがほんの少しでも救われたとしたら。
たとえ体がボロボロになっていても、それは悪くない、と思えた。
「・・・本当に、よかったですね?」
不意に聞こえた呟きに、今歩いているその隣に目を向ける。
無表情ながらも嬉しそうにわたあめを頬張る同居人二号・クイちゃんの頭越しに、同居人一号・トバさんの、暖かな笑顔が見えた。
しばし見つめ合ったあと、お互いからどちらからともなく、うふふ、アハハと笑い声が漏れだす。
なぜか突然笑いだした二人の間に挟まれる形となったクイちゃんは、きょとん、と不思議そうに首をかしげていた。
その様子がまた可愛らしくて、こっちとトバさんは笑みを浮かべながら顔を見合わせる。
無表情ながらも嬉しそうにわたあめを頬張る同居人二号・クイちゃんの頭越しに、同居人一号・トバさんの、暖かな笑顔が見えた。
しばし見つめ合ったあと、お互いからどちらからともなく、うふふ、アハハと笑い声が漏れだす。
なぜか突然笑いだした二人の間に挟まれる形となったクイちゃんは、きょとん、と不思議そうに首をかしげていた。
その様子がまた可愛らしくて、こっちとトバさんは笑みを浮かべながら顔を見合わせる。
全部終わったそのあとで、みんなで笑いあえるのならば。
―――きっとどんなことが起こったとしても、それはハッピーエンドだろう。
―――きっとどんなことが起こったとしても、それはハッピーエンドだろう。
きゅ、と握った手に感じるのは、小さな手のその温かさ。
あはは、と笑いかけたそのさきにあるのは、抱擁されるかのような笑顔。
あはは、と笑いかけたそのさきにあるのは、抱擁されるかのような笑顔。
《夢の国》の中の人たちも、彼らを助けるために必死になっていた人たちも。
(―――みんなが笑顔でありますように)
ハッピーエンドを願いつつ、大切な人たちと祭りを楽しむ。
全くもって、幸せだ。
全くもって、幸せだ。
