「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ハーメルンの笛吹き-10

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上田明也の協奏曲Ⅹ~一杯酒中の月~


学校町全体を巻き込んだ壮絶な戦いは終わった。
私とマスターはその疲れを癒す為に家に帰ってから風呂に入っている。
新しく住むことになったこの家にはわりと大きなお風呂が付いていたのだ。

カポーン
「マスター」
「なんだ?」
「終わりましたねえ……。」
「終わったなあ……。」
「そういえばこの前買ったポケモンリメイクってまだやってないですよね?」
「ああ、俺はもうレッド倒したぜ。アンズがハァ☆ハァだな。お父様にお弁当毎日届けているとか良い子すぎる。」
「本当に救いようないですね。」
「だろ?何故ならすでに救われているから。」
「神も仏も無いマスターに救いというのが無理だったのかもしれません。」
諦めて湯船に浸かる。
な~んでこんな人を契約者に選んじゃったんだろう?
湯船に映る彼の影を捕まえてみてもその答えは見つからない。

「アンズ!アンズ!アンズ!アンズぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
 あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!アンズアンズアンズぅううぁわぁああああ!!!
 あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!乳臭い匂いだなぁ…くんくん
 んはぁっ!アンズたんの鴉の濡れ羽色の髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
 間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
 セキチクジムのアンズたんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
 ジムリーダー就任決まって良かったねアンズたん!あぁあああああ!かわいい!アンズたん!かわいい!あっああぁああ!
 第三世代ポケで強化されて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
 ぐあああああああああああ!!!ジムのアンズなんて本物じゃない!!!!あ…あれもこれもよく考えたら…
 ア ン ズ ち ゃ ん は 本物 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
 そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!セキチクジムゥぁああああ!!
 この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?待って…る?格闘道場でアンズちゃんが僕を待ってる?
 ヤマブキシティのアンズちゃんが僕を見てるぞ!アンズちゃんが僕を見てるぞ!手持ちポケモン残り一匹のところでアンズちゃんが僕を見てるぞ!!
 アニメのアンズちゃんが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
 いやっほぉおおおおおおお!!!僕にはアンズちゃんがいる!!やったよケティ!!ひとりでできるもん!!!
 あ、コミックのアンズちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!
 あっあんああっああんあアカネ様ぁあ!!コ、コトネ!!エリカぁああああああ!!!ミカンぁあああ!!
 ううっうぅうう!!俺の想いよアンズへ届け!!セキチクシティのアンズへ届け!」

「マスター、vipに乗せた改変コピペをここで叫ばないで下さい。」
「ごめん……。」
シュンとしてしまった。
ちょっと可愛い。

「ほら、メルよ。こっち来い、身体洗ってやるよ。」
「アニメ化したらアグネスがすっ飛んできそうなシーンですね。」
「アグネスでも幼女・少女時代はあった。それに萌えれば良い。
 彼女がどう動こうと人の営みが続く限り俺たちの幼女は其処に居る。」
「何いってるんだこいつ……。」
「ていうか二次にも反応するのかな?あの人。」

ワッシャワッシャワッシャとタオルで肌を擦られる。
石鹸の香りが辺りに広がる。
誰かが自分の後ろに居るという事って割と幸せだとうことに気づいた。
都市伝説として生まれてから、私の背中についてくるのは虚ろな目をした被害者だけ。
あんな瞳はもう背負いきれない……、そう思っていた。

「風呂から上がったらビールが冷えている。
 今日はのんびり飲んでくって休もうか。」
センチになっていたら後ろから声をかけられた。
ついでに尻も触られた。変態。
「ヒャア!!お酒はまぁ……、二十歳以上の幼女なんでセーフかしら。」
「誰に言っている?」
「画面の前の皆様かな?それじゃあ先に上がってますね。」
今の私には一緒に重荷を背負ってくれる人が居る。
孤独ではない。孤独ではない。私はもう孤独ではない。

風呂から上がると用意していた浴衣に着替える。
大分寒くなってきたが家の中だとこれが良い。
マスターが冷蔵庫からビールを持ってくる。
カポッ、シュウゥゥゥ………。
飲む度に思うのだが日本のビールは薄い。
なんというのだろうか?強烈な麦の味がしないんだよなあ………。
「良いか、メル。」
コォン、マスターがビール缶をテーブルに置いて話始める。
「なんですかマスター。」
「ビールとは古来より労働者の為の飲み物だった。」
「はぁ……。」
「故に目の前の一日一日を懸命に生きた人間しか飲んではいけない。
 ビールはそういう飲み物なんだよ。 
 だから其処に貴賤はない。ビールを味で差別してはいけないんだ。
 それよりも自分がそのビールを飲むに値する人間か考えるべきさね。」
「まるで私がこのビールを不味いと言ったみたいですね。」
「違うのか?」
「なんで解るんですか?」
「お前の思考を固定したのさ。
 覚えておけ、メル、人の脳とはあまりにも脆弱で貧弱で惰弱な思考装置だ。
 パターンの解析なんて容易い。」
「はぁ……。」
「それじゃあ飲もうか。」
カーテンの隙間から月明かりだけが静かに漏れてくる。
とても静かな夜だった。

朝日が眩しい。
いつの間にか寝室で眠っていたようだ。
マスターが眠った私を運んでくれたのだろうか?
久しぶりにぐっすり眠ってしまっていた。
寝室から出るとマスターが村正の手入れをしていた。
「マスター、祭りはあと一日ありますよ?」
「今日くらいのんびりしようぜ?俺だって休みたい日はある。」
「そうですね、今日くらいは……良いか。」
「その通り、じゃあ二度寝するか。」

いつも通り流れる日常
そんな時間の中を都市伝説たる私も生きている
人並みの幸せなど願ったことも無いが私は今ちょっぴり幸せに生きている
一日中マスターと家で自堕落に過ごしている間
私はそのことが少しだけ愉快だった
しかし翌日に首だけ男の夢を見て、割とトラウマになることを私はまだ知らないのである。

【上田明也の協奏曲Ⅹ~一杯酒中の月~fin】



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