【神・霊・心】

たましいについて、天地に存在するものを神(しん)、万物が持っているものを霊(れい)、人間が持つものを心(しん)と呼ぶという。

この「神・霊・心」は卜部兼家が述べている考え方で、『荀子』にある心(しん)についての説を引いたものである*1。これに順えば、天空や大地そのものが「神」だということになるが、それ人間のまわりにある明界を捉えているだけに過ぎず、宇宙や太虚そのものを造り出す存在についてを述べたものではない。「神・霊・心」は、あくまで「たましい」を分けて考える際の区分であって、神を理解するための考え方ではない。

含生を含む万物は、これを備えている。

心は盆血以外、人間のたましいにあたる。言魂は人間のみが持つ。「心」は「言魂を持つたましい」だと考えれば、「霊」との差異がわかりやすい。

最終更新:2025年01月31日 16:41

*1 『近世神道論 前期国学』岩波書店、1972年