【たましい】

あらゆる存在に宿っていると考えられているもので、人間をはじめ鳥獣草木や海山川石、魑魅魍魎など万物も持っている。
たましいは持つものによって異なるという考え方もあり、それぞれ神(しん)・霊(れい)・心(しん)と呼び分けられる。


【魂(こん)魄(はく)】

二つをあわせて魂魄(こんぱく)とも呼ばれる。魂は陽のたましい、魄は陰のたましいである。身体などの外的器官は魄、精神などの内的器官は魂に属し、魂は魄に包まれているとも語られる。林羅山は『神道伝授』の「魂魄弁の事」で、魄は車馬であり魂はそれに乗った人間のようなものであると述べている。*1

たましい  魂(こん)  魄(はく) 
陰陽  陽  陰 
出入  口や鼻からの息  目や耳からの聞 
動静  動  静 
睡眠  さめる  ねむる 

左右の手の拇指は魂魄が宿る場所とも言われており、指の爪を切る際に気を付けるべき時間帯が定められてもいた。

古代中国では人間が死後に残すタマシイには魂と魄とがあり、そのうちの魄(はく)が鬼になるとされ「鬼気」とも称される。魄は単独では地上で三年間しか活動出来ないが、鬼と変じると四代間(約八十年間)にわたり存在することが出来るともいう。*2

【朧(おぼろ)】

人間の身体と魂魄は、誕生時に明界の風に触れた瞬間から結びつきが起こり一体の人間となるが、誕生から七歳までの間はその結びつきが完全なものにはならない。誕生から七歳までのまだ不安定な身体と魂魄の様子を「朧」*3と呼ぶ。「七歳までは神のうち」と言われるのも、これと同義である。

最終更新:2025年01月31日 16:03

*1 『近世神道論 前期国学』岩波書店、1972年

*2 *2 村山智順『朝鮮の鬼神』朝鮮總督府、1929年

*3 『角行藤仏クウ記』には「仁(ひと)生れてより七歳の間は朧也」とある。