【産霊(むすび・うぶすな)】
太一から生じた
宗源(そうげん・たかつみなもと)から「むすび」「うぶすな」の働きかけが生じ、天地万物が生じる。
含生たち有生(うしょう)は、太一から生まれた無生(むしょう)である天地の働きかけによって明界に生じることが出来る。
無生(天地)からの働きかけは、万物が蕃息生育するために不可欠のものである。妖怪たちにはこの大きな働きかけと「関わりのあるもの」と、この働きかけから「弾き出されたもの」とに大きく分かれる。
高御産巣日・神産巣日および伊邪那岐・伊邪那美が「むすび」の力を象徴している。
むすび
「むすび」は「産す・霊」、「結び」の意味である。「産霊」や「産巣日」などの漢字があてられている。不生不滅の神気である宗源からそれぞれの含生たちに振り分けられてゆくものであり、個々のそれらを「宗気」とも呼ぶ。
「産」という文字は「文・厂・生」で構成されており、「生」は土から草木が出て来るように人間が生まれること、「文」と「厂」は生まれる赤ちゃんのひたい(厂)に魔除けのもよう(文)がつけられる様子を示しているとされる。
うぶすな
「うぶすな」は「産ぶ・根」の意味である。
「すな」を「地」の意味であるとして、「産土」の漢字があてられる事もあるが、音からの連想に過ぎないと六人部是香は説いている。社稷(しゃしょく)の概念に照らし合わせれば、各地の社(土地の神)が「うぶすな」であり、その土地土地の稷(作物)が育つように働きかけをしている。「本居」の字をあてている例もある。「本拠地」の意味か。
【伊勢】
最も「宗源」に近い「むすび」の力の最大のもので、「伊」は陰・女性・水、「勢」は陽・男性・火を示す。
【十幹十二枝】
十二支の「支」は「枝」の意味を持っており、
十幹(十干)と十二支は、それぞれ植物たちの生成と成長を示しており、それらはうぶすな(産霊)の力をあらわしていると言える。
【みたまふゆ】
恩頼・全能とも字はあてられる。産霊・伊勢の力によって生命力がこの世に現われることを示す。
【産須那(うぶすな)】
全国各地にはそれぞれの地の「うぶすな」が存在する
磐境(いわさか)がある。この磐境は明界と幽界とを結ぶ、規模の大きな端境(はさか)である。
平常に生ける体を失った
たましいは、そのまま産須那の磐境へと導かれてゆく。そして多くは子孫らを見まもる霊となる。
【転生】
子孫らを見まもる霊となる他、「むすび」の働きかけによって異なる存在に
転生させられる霊も存在する。
最終更新:2025年02月04日 16:34