【底津磐根(そこついわね)】
地の底にある地。最も深い
無底海のさらに下に位置する。天における
太一のような、地における動かざる物の象徴だとされる。
【土たち】
地表には植物を育む力を持つ土がおり、またその底には正土(まさつち)があり、正土の下には泉(地下の水脈)がある。正土までの距離が深いほどに植物が広く育つ。それらは深さと色によって大きく五つに分けられる。
息壌(息土) |
三十五尺 |
― |
五穀が育つ、大きな木々にも適している。 |
泉青 |
赤壚 |
二十八尺 |
赤黒 |
五穀が育つ、白茅や赤棠に適している。 |
泉白 |
黄唐 |
二十一尺 |
黄 |
黍・秫が育つ、茅や桑に適している。 |
泉黄 |
赤埴(斥埴) |
十四尺 |
赤 |
大菽・麦が育つ。萯に適している。 |
泉赤 |
黒埴 |
七尺 |
黒 |
稲・麦が育つ、萍や白棠に適している。 |
泉黒 |
地表の土には善悪があると共に、地域ごとに土地の持つ霊気の違いがあり、育つ穀物・果実・蔬菜の種類や量や力にも差が出来る。いくら種や苗を植えてもまったく育たない植物がそれぞれの土地にあるのは、これらの違いに順っている。「粟土」は「息土」(息壌)、「殖土」は「埴土」(赤埴・黒埴)と意味するところは似ている。
人間を含めた
含生たちは土からの実りを受けるため、豊かな霊気を持つ息壌の地では壮健で、赤壚の地では長生きだと言われる。
この世の各地の土は上中下の十八種類に分けられ、それぞれに上記のような五つの深さや色の違い(五土)が存在する。
上土
- 粟土 五穀をはじめ大多数の植物に向いている。牧畜にも好い。
- 沃土 五穀をはじめ大多数の植物に向いている。牧畜にも好い。虫たちも住みやすい。
- 位土 五穀をはじめ大多数の植物に向いている。野獣や薬草も多い。
- 蘟土 (蘟土以下は果樹などの実りは粟土などの八割に落ちる)
- 壌土 水害旱害に強い。
- 浮土 穀物が大きく育つ。
中土
- 怷土 水害旱害に強い。(怷土以下は果樹などの実りは粟土などの七割に落ちる)
- 纑土 剛健な土。
- 壏土 糠のような土。
- 剽土 白い粉状の土。(剽土以下は果樹などの実りは粟土などの六割に落ちる)
- 沙土 くだいた穀物の粉のような土。
- 塥土 僕累(かたつむり)のような土。水害旱害には耐えられない。
下土
- 猶土 くさい土。(猶土以下は果樹などの実りは粟土などの五割に落ちる)
- 弘土 鼠肝のような赤い色の土。
- 殖土 潤沢だがもろく、瘠せやすい。(殖土以下は果樹などの実りは粟土などの四割に落ちる)
- 觳土 まずしく瘠せている土。水害旱害にも弱い。
- 鳧土 枯骨のような瘠せた淡い土。(鳧土以下は果樹などの実りは粟土などの三割に落ちる)
- 桀土 鹹(しおからく)にがい土。
植物を焼いた灰を混ぜてつくる土は焼土(やきつち)と呼ばれ、これを加えることで下土・中土に霊気を一時与え、悪い土から改めて上土に似てることは出来る。人間による開墾はこれを行うことで進められて行く。
河童や
天狗も若干の蔬圃の技術を持っており、農耕を行っている。
穀物を育まない、正土を持たない土たちは逆に深くまでその土の層が存在している。これらはほとんど平地ではなく上に丘や山を持つ土地でもある。
庚泥 |
百十二尺 |
もろい泥。青竜が地下にいる土地。 |
赤壌 |
百十九尺 |
清商が地下にいる土地。 |
白壌 |
百二十六尺 |
駢石のようでかたい。 |
灰壌 |
百三十三尺 |
灰のようで水を持たない。 |
庚泥の地は地下に青竜がいるということからもわかるように、山の下には竜蛇が暮らしていることが多い。
ヤマタノオロチの「オロチ」という言葉も「お」は「峰」など山の高さを示している古語であり、「峰の霊」を意味しているとされている。
泉土
正土と磐根の間には、竜たちの気を含む泉(地下水)を含む土が存在している。これらは水の流れ方などによっていくつかに分かれる。
青竜地 |
木貧・土病・水栄 |
西から東へと流れる |
赤竜地 |
木栄・土富・水患 |
北から南へと流れる |
白竜地 |
木没・土栄・水富 |
東から西へと流れる |
黒竜地 |
木楽・土患・水貧 |
南から北へと流れる |
黄竜地 |
木半・土貧・水病 |
中が低く四方が高い |
紫竜地 |
すべてよくない |
四方が低く中が高い |
【磐境(いわさか)厳磐境(いづのいわさか)】
神などを祀っている地を示す磐境(いわさか)は「祝境」(いはひさかへ)の略であるとも言われている。特に強力な磐境は厳磐境(いづのいわさか)と称される。
最終更新:2025年02月03日 17:21