【大別】

大きな分類としては妖怪・変化・幽霊*1が用いられている。それぞれの総称を用いず、特徴などで示せば以下のようにまとめることが可能である。

 そのまま天地に存在するもの   無生の精霊や作用、有生の異形   (まがもの)   妖怪 
 自然物が霊を得て化した存在   有生・器物の化けたもの・精霊   (ばけもの)   変化 
 魂魄の一部のみしかない存在   迷の者・亡魂   (まよいのもの)   幽霊 

妖怪は「まがもの」や「もののけ」あるいは「しるまし」、変化は「ばけもの」に該当すると言える。
妖怪には生なき物もあれば生ある物もいる。変化の大半は生ある物である(生なき物も「変化」によって生ある物となる)。幽霊はすべてが生なる物のたましいにあたる「まよいのもの」である。

 生なき物   生ある物 
 無化の精霊   有生の精霊 
 無化の天象・時候(しるまし)   有生・器物の変化(ばけもの) 
 迷の者・亡魂   河童天狗竜蛇 


俗に用いられる「おばけ」や「ばけもの」という言葉は、この三大別すべてを含んだ意味合いで用いられており、広義の「妖怪」*2もそれと同様である。

しるまし

古くは君主たちの行動に対して不化(天地)が生じさせる現象が「怪異」として観測・記録され、それらが何を示すかという点が緯書(いしょ)で取り扱われて来た。「ふしぎな現象」そのもの全般を表す。吉事(よきこと)凶事(あしこと)に大きく区分される。凶兆とされる凶事を「しるまし」、大きく災害をもたらす凶事は「国の厄」(くにのまが)と称される。

最終更新:2024年04月19日 00:10

*1 江馬務『日本妖怪変化史』などに見られる。

*2 近世の学者による論や、井上円了の『妖怪学講義』などで用いられて来た「妖怪」はそれにあたる。