【大別】
大きな分類としては妖怪・変化・幽霊が用いられている。それぞれの総称を用いず、特徴などで示せば以下のようにまとめることが可能である。
そのまま天地に存在するもの |
無生の精霊や作用、有生の異形 |
(まがもの) |
妖怪 |
自然物が霊を得て化した存在 |
有生・器物の化けたもの・精霊 |
(ばけもの) |
変化 |
魂魄の一部のみしかない存在 |
迷の者・亡魂 |
(まよいのもの) |
幽霊 |
妖怪は「まがもの」や「もののけ」あるいは「しるまし」、変化は「ばけもの」に該当すると言える。
妖怪には生なき物もあれば生ある物もいる。変化の大半は生ある物である(生なき物も「変化」によって生ある物となる)。幽霊はすべてが生なる物の
たましいにあたる「まよいのもの」である。
俗に用いられる「おばけ」や「ばけもの」という言葉は、この三大別すべてを含んだ意味合いで用いられており、広義の「妖怪」もそれと同様である。
しるまし
古くは君主たちの行動に対して不化(天地)が生じさせる現象が「怪異」として観測・記録され、それらが何を示すかという点が緯書(いしょ)で取り扱われて来た。「ふしぎな現象」そのもの全般を表す。吉事(よきこと)凶事(あしこと)に大きく区分される。凶兆とされる凶事を「しるまし」、大きく災害をもたらす凶事は「国の厄」(くにのまが)と称される。
【まがものと花】
災厄をもたらす魔物や疫神たちにあたる妖怪たちは、古くは草木や花と密接に結びつけられて語られていた。その大きな理由は、特に花の咲く春季から夏季にかけて、瘟癘(おこり)などを中心とした病気(やみのけ)に、太古の昔の人間たちが冒されることが多かったからである。
花鎮祭(はなしずめのまつり)は、花が咲き満ちると共に世の中に大きく拡がって行く疫神や病魔たちを、和め祀るための祭礼である。3月におこなわれ、桜の花などが飾られる。五色の切麻と玄米を撒き、妖鬼(まがども)たちへの手向けとする。
最終更新:2025年08月17日 20:09