このモソッピョロモスンヴァーヌ世界には、「ヌョンソッソ」「モッアソーズォ」「エァンニョモポーヨ」「ゾモモッヌ」「ススッポヴォ」の5つの大陸が存在する。
各大陸ごとに古代言語はぽつぽつと残ってはいるが、今日では人々はモソッピョロモスンヴァーヌ共通語で会話をしている。
他の古代語にはない不思議な力を持つ「ヌョンソッソポォーノッシュ」は、雄大な自然を誇る森と草原の大陸「ヌョンソッソ」で生まれた言葉と伝えられている。
モソッピョロモスンヴァーヌ歴123年、ゾモモッヌ帝国中央魔法院にいつ書かれたのか分からない、一冊の古びた書物がエリャンソーヌットォという詩人によってもたらされた。不思議な瞳を持った旅の吟遊詩人に授けられたというこの書物は、本としての原型を保っていること自体が奇跡という程損傷が激しかったが、辛うじて数ページに書かれていた"文字"は見て取れるものだった。しかしその"文字"は解読することが出来ず、当時の学者達はこれを何者かの悪戯だとし、無価値と判断された書物はエリャンソーヌットォが保管する運びとなった。
しかし彼は気付いていた。この書物には何か普通ではない、謎の力が秘められていることを。
137年、冒険者ポポロスォーヌモによってヌョンソッソ大陸奥地のヤヌンソモロロォーンの森深くに神殿が発見された。訪れる者もなく、植物に覆われる遺跡となっていた内部の祭壇や装飾に刻まれていた模様…。彼にはこの模様に見覚えがあった。それは、若くして死んだ兄に授けられた書物に書かれていた文字だったのだ。このことに気が付いたポポロスォーヌモは故郷に戻り、一人孤独に研究に勤しんだ。
後にこの神殿は、ヌョンソッソ大陸で古くから信仰されてきた風の神「ポロロンモッスァニェヌョンソッソ」を奉った「風の神殿」であるということが判明。
偶然にも、ポポロスォーヌモが言語学者達を震撼させることとなる大発見をした時の年齢は、兄・エリャンソーヌットォが亡くなった年齢であった。
147年、冒険をしながらも神殿の文字研究を続けていたポポロスォーヌモに転機が訪れる。一人の吟遊詩人と出会ったのだ。ヌョンソッソ大陸の生まれであるという彼は、ポポロスォーヌモに古から伝わるという詩を教えてくれた。驚くべきことに、詩人が書いた文字はあの本の文字、神殿に書かれていた文字だったのだ。
その文字を流暢に読み上げて唄う詩人に、ポポロスォーヌモはいたく感動した。その言葉をどこで覚えたのか、何なのかを聞こうとしたが、そこに吟遊詩人の姿はなく、後には風に舞う葉が残されていたのみだったという。ポポロスォーヌモは「あの唄には不思議な魔力が宿っていた」と後に手記で語っている。
風のように消えた旅の詩人は、幼い頃に兄から聞いた、書物を授けてくれたという詩人に酷似していた。
ポポロスォーヌモは各大陸を旅するうち、あの言葉は各地に点在するものの、圧倒的にヌョンソッソ大陸の多くのものが残されていることを突き止めた。
旅の詩人達によって世界中に細々と散らばり、詩人から詩人へと受け継がれているらしいということも判明した。
彼はヌョンソッソ大陸に活動拠点を定め、「不思議な詩人から伝えられた言葉」、「ポロロンモッスァニェヌョンソッソを奉る風の神殿から発見された」事から、この言語に「吹き渡る風の言葉」という意味の「ヌョンソッソポォーノッシュ」という名称を与えた。
この時既に著名な言語学者となっていたポポロスォーヌモは、数名の弟子達とこの「ヌョンソッソポォーノッシュ」の研究に情熱を注いだ。
モソッピョロモスンヴァーヌ歴167年春、偉大なるヌョンソッソ言語学者ポポロスォーヌモ・ソッヌォーニェは数名の弟子に見守られながら、静かに息を引き取った。
遺言により、彼はヌョンソッソ大陸の南、故郷キョッポレソヌンソソの村の墓地、吟遊詩人エリャンソーヌットォの隣で眠っている。その墓には、「詩人の書物」の最初の一文が刻まれている。
- ヌョンソッソポォーノッシュ エォヌョモッチョ ロモンソ ペンピョロスモォンノォ ルモップペヌゥムフョッソポォ -
- 遥かなる古の森より生まれし言葉…その意味が風に紐解かれた時、汝は瞳に新たなる道を映し出すであろう… -
彼が生涯に渡って追い続けたヌョンソッソポォーノッシュであるが、未だにその大半が謎に包まれている。
書物の発見から800年の年月が経った今日のモソッピョロモスンヴァーヌでも、彼の魂を受け継いだ学者達が日夜ヌョンソッソポォーノッシュの解読に勤しんでいる。
風の詩人の書物は「ヌョンソッソ・グリモア」と呼ばれ、ヌョンソッソ大陸のソッポロロンスッヌェ王立魔法図書館に歴史的文献として大切に保管されている。
最終更新:2012年10月30日 00:16