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ありふれた悲しみの果て

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ありふれた悲しみの果て ◆Z9iNYeY9a2

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◇

走ることすらままならない状態で、それでも歩みを止めることなく進み続けるロロ。
しかしそれは進むというよりは逃避のようにも見える光景だった。

ギアスを幾度も使用してきたロロの心臓にかかった負荷は大きく、その生命にも警鐘を鳴らしていた。
本来であれば耐えられたはずの負荷、しかし今のロロの精神状態は決して芳しいものではなかった。

「兄さん……兄さん。
 兄さん兄さん兄さん兄さん………」

兄の名前が呼ばれた。
ルルーシュ・ランペルージはもういない。

そんな現実など知らない。
だってあそこにいたではないか。
いつも自分に微笑みかけてくれたあの顔で、あの声で、自分の名前を呼んでくれた。

だから、ルルーシュ・ランペルージは生きている。兄さんはいつも傍にいる。
なのに。


後ろから何かが飛びかかってきた。
衝撃で前に倒れこむ体、もうそれに耐えるだけの力も、抗うだけの体力も意思もない。


「ロロさん!しっかりして…!!」
「…………」

どうしてこの少女の声は自分の中からまだ兄さんが生きているという現実を薄れさせるのだろう。

「あなたのお兄さんは死んだのよ…!」
「嘘だよ、だって兄さんはあそこで僕に話しかけてくれたじゃないか」
「あれは、彼がもしルルーシュ・ランペルージだったとしても、それはあなたの兄じゃないの!
 あなたの本当のお兄さんは……」

美遊はその後、自身の知っている限りのことを話した。
そのルルーシュらしき人物がとある少女に殺されたという事実を聞いたことを。
その下手人がおそらく政庁にいる者であることを。

「…………」

本来ならば未だ生きているらしいその者に対して怒りを、憎しみを感じてしかるべきなのだろう。
なのに、そんな感情はまるでどこかに置いてきたかのように全く湧き上がってこなかった。

きっとそうだ。ナナリーやもう一人のロロの名を持った者が死んで。
その後で兄さんに会った時から、何かが壊れていたのだろうと、とても冷静で客観的に自分を見ている気がした。

そのはずなのに。

「ロロさん、あなたのお兄さんは……もう、いないの」

その言葉だけは、どうしても受け入れられなかった。










美遊の中では、ゼロという存在について様々な憶測があった。
かつてロロと行った情報交換、そして間桐邸での様々な情報。

美遊はゼロという男がロロと如何なる関わりを持っているのかなど知らない。
ただ、美遊の中に浮かんだ一人の人間、イリヤを守って死んだ”衛宮士郎”―――自分の知る彼とも、イリヤの知る本来の彼とも異なる別の存在。
それが美遊の思考に引っかかるものを感じさせた。

もしロロが語ったようにゼロが兄だと言うのであれば。
彼がルルーシュ・ランペルージであることに間違いはないとしても。
ロロ・ランペルージの兄であることはないのだから。

だから、美遊はその事実をはっきりと、明確に告げた。

「ロロさん、あなたのお兄さんは……もう、いないの」

それがすぐに受け入れられるものではないだろう事実であることは、美遊自身がよく分かっている。
それでも、その想いをゼロが利用し殺し合いの道具にしようとしているのであれば、見捨てられはしなかった。

「…………」

それを聞いたロロの瞳にあったのは、深く暗い闇。
言葉は届いているはずなのに、返ってきたのは沈黙だけ。

一瞬口を噤んでしまいそうになるが、それでも畳み掛けるように言葉を続ける。

「例えどれだけ似ていても、その人の顔をしていても、あなたはそれを受け入れて生きなきゃいけないの…。
 その愛が、想いが利用されていいなんてことは、絶対にないのよ……!」
「――――だったら、何なんだよ」

続いた言葉に対して、ロロの口から苛立ち混じりのように呟かれた。
それはまるで全てを分かっていて、しかし全てを諦めて受け入れて、そして逃避した末に得た結論に固められたように。

「僕はこれまで人間扱いなんてされてこなかった。ちょっと他と比べたら性能は良かったかもしれないけどさ、それでも結局替えの効く部品でしかなかったんだよ。
 そんな僕を、唯一家族扱いしてくれたのが兄さんだったんだ…」
「………」
「”あの”兄さんも、僕のことを家族として見ててくれたんだ。だったらさ、それは僕の兄さんと何が違うっていうんだよ?」

諦めの中で見つけた逃避先であり縋ることができる存在。それがロロの得た答え。

しかし、それでも美遊はそれは違うのだと言いたかった。
その想いは、かつて”イリヤの兄”に会った時に美遊が呑み込んだ感情そのものだったのだから。


答えられない美遊を押しのけ起き上がるロロ。
その手には大きな銃と、謎の固形物質。


「こんな、人を殺す道具としか生きられなかった僕に生きる理由をくれたのが、兄さんだったんだよ……。
 家族って言ってくれたのが兄さんだったんだよ……?
 ねえ、美遊―――――」

人として扱われず、それでも例外となる唯一の存在が兄だった。
そんな彼は、他人事とするにはあまりにも重なるものが多かった。

「それでも、大切なものを亡くした僕はさ、何かに縋ることすら許されないの?」
「――――そんなことは」

ない、それでも――――と、そう美遊は言葉を続けたかった。
しかし、それは叶わなかった。

パン

何かを叩くかのような音が聞こえると同時に、言葉を続けるために口を開こうとした美遊のその目の前で。
ふらりと立ち上がったロロの体から真っ赤な鮮血が舞ったのだから。

そのまま、受け身を取ることもなくバタリと地面に倒れるロロ。

「―――ロロさん!」

咄嗟に駆け寄り、その体を抱え上げた美遊。
しかし。


『…心臓を撃ちぬかれています。もう……』

ロロは既に事切れていた。
その完全に閉じられた瞳からは、彼が最後に何を見たのかすらも察することはできなかった。

「………どうして」

その言葉は、美遊にしてみれば誰に向けたものでもなく、あるいは皆に向けたものでもあった。
ロロに言葉を伝えきれなかった自分、あんな選択をしてしまったロロ、そして。


「どうしてかって?決まってるじゃないか。そんな人間としては中途半端なやつなんて化け物でしかないだろ?」

ロロを殺した、その何者か。

現れた者は20近くの歳に見える男で、その手にはロロを撃ちぬいただろう銃を持っている。

「オルフェノクを追ってここまで来てみれば、また別の化け物がいるんだからな。そんなやつ殺すしかないとは思わないか?」
「あなたは……、そんな理由でロロさんを…!」
「まあ話は少しは聞かせてもらったけど、君もそんなやつの同類なんだっけ?
 だったらせっかうだし、死んでくれないかな?」
『……?』

不気味な笑みを浮かべながらもこちらに銃口を向ける男。
無論カレイドサファイアである美遊にはそんな銃だけではどうなることもない。

はずであったのに、銃声が聞こえると同時。


「…!?」

美遊の体に強い衝撃が奔った。
ただの拳銃ではここまでのものは感じないだろうほどのもの。

(あの銃は…何かの特殊兵装…?!)

疑念と警戒が美遊の動きを止める。
ただそこに佇んでいるだけにも関わらず感じる不自然な威圧感。
しかしこのまま撃たれてばかりでいるわけにはいかない。
サファイアを振り上げ魔力弾を射出しようとした、その時だった。

『美遊様!右32度の5メートル先を!』
「――!!」

サファイアのそんな言葉に導かれ対象を咄嗟に切り替え何もないはずの空間を撃ちぬく。
角度、距離は正確だった。

青い閃光が奔りサファイアの告げた空間を抉った瞬間。
獣の鳴き声のような悲鳴と共に、周囲の景色が歪んだ。

何もなかったはずの場所に、かつて美遊が戦った黒いキツネのモンスターが蹲り。
目の前で銃を構えていた男は消失し、そこから一メートルほどずれた位置に特徴的なマントとモノクルを纏った中年ほどの男がいた。


「どうして分かったのですか?」
『そこのモンスターには以前会ったことがあります。その時も今回のように幻影でこちらを惑わして攻撃してきました。
 先に銃を放たれた時に既視感を感じたことが違和感となりました。故に視界に頼らず、超音波によって周囲の様子を観測させていただきました』
「なるほど、これは失敗でしたね」

おそらく先の銃撃も、幻影で隠したゾロアークの攻撃を重ねていたのだろう。

自分の判断、選択ミスに顔を若干歪めつつも美遊を見据えて離さない男。
その特徴的な格好の存在を、美遊は聞いている。

「もしかして、あなたがゲーチス?」
「ほう、Nから聞いたのですか?」
「シロナさんと、あと美樹さやかさんから。
 美樹さやかさんを薬で狂わせた、とも」
「……これは想定外でしたね。それを知っているということは、アレは正気を取り戻したのですか。これは色々見直さなければ」

顎に手を当て思考する仕草を見せながら呟くゲーチス。
今、この男は己の利用した少女のことを”アレ”と、モノ扱いした。
その事実、そして今足元にある躯の存在がシロナの言っていたことが本当であることを物語っていた。


「どうしてロロさんを殺したの」

怒りを堪えながらも震える声でゲーチスに問いかける。
返答次第では実力行使すらも厭わぬ、それほどの激情が美遊の中に燻っている。

「理由ですか。そうですね、強いていうなら私が動きやすくなるように色々な方に対する誤解を振りまいておこうかと思っていたところで目についた。それが一つですね。
 あと一つあるとすれば――――」

と、ゲーチスは美遊にニッコリと微笑みかけながら。

「ほら、そこの少年本人も言っていたではないですか。自分のことを道具、だと。
 気持ち悪いじゃないですか、そんなものが自分の意思をもって愛を語ろうとするなんて」
「―――――――っ!」

それで限界だった。
相手が人間であったとしても、今の美遊にはそれを討つことに迷いなどなかった。
そのままサファイアを振りかざしてゲーチスへ魔力弾を撃ち込もうとした。

その瞬間だった。

『美遊様!上です、危ない!!』

サファイアの声に咄嗟に反応し、空を見上げた時だった。
何かの影が空を舞いながら、こちらに衝撃波が襲いかかったのは。
それがこちらに着弾するほんの一瞬前に防壁を展開。
サファイアによる魔力砲にも匹敵する威力のそれをどうにか相殺し襲いかかった影をはっきりと視認する。

そこにいたのは、紫の体に黒い翼を持ち、3つの頭を備えた竜。
その姿はゲーチスが持っているポケモンだとシロナから聞いた情報と一致する。
凶暴ポケモン、サザンドラ。

「気合玉です」
「ガァァァァァァ!!」

咆哮を上げて、光の玉をこちらに放つサザンドラ。
弾速こそ速くはないため回避は難しくはない。
ロロの倒れた場所を飛び退く美遊。

「ゾロアーク、辻斬りです」

そこに、復帰したゾロアークがゲーチスの指示に従い爪を振るう。
サファイアで受け止めつつもさらに後退したことでゲーチスからは大きく離れてしまう。

そのまま、ゆっくりとロロの元に歩み寄り、その手にあった道具を拾い上げる。

「拳銃が一つに、…これは爆弾でしょうか。なるほど」
「お前が、ロロさんに触れるな!」
「そうそう、姿を見られた以上はあなたも消しておかねばなりませんね。
 ゾロアーク、もう一度イリュージョンしなさい」

ゲーチスの指示を受け、鋭い瞳を向けつつも静かにゲーチスと自身の姿を背景と同化させ消失させるゾロアーク。
しかしサザンドラの姿は健在。逃げるつもりはないようだ。

「あなたは…、絶対に許さない!」

そのまま炎を口から吹き出したサザンドラを前に、美遊はサファイアを掲げて迎え撃った。

◇


そんな彼らの戦いの場からそう離れていない場所。
一人の男が早足で歩いていた。

先のオーガの一撃で意識を失っていた草加雅人。
彼が目を開いた時視界に入ってきたのは、一体のオルフェノクが空を飛んで行く様子。

「オルフェノク……」

殺してやる。
真理を穢した化け物共は、一人残らず。

真理を殺すことに対する迷いがまだあったのかもしれない。だから、あそこで真理を殺したあのオルフェノクすらも倒せなかった。
だから待っていろ、長田結花を始末し、自分の中で真理に対する迷いも振り払うことができたなら。
次はお前の番だ。

ファイズギアはあの時木場勇治の手に渡ってしまい今手元にはない。
しかし、その代わりに自分の倒れていた場所の近くには使い慣れたベルトであるカイザギアが落ちていた。

これなら木場勇治に負けることもないはずだ。
だからせいぜい首を洗って待っていろ。

お前たちは、必ず俺が―――――

◇

草加雅人はカイザギアを手に入れたことで戦闘力としては最良の状態へと近づいた。
しかし、彼は気づいていない。

その一方で、心のどこかが少しずつ狂っている事実に。
真理がオルフェノクに襲われたこと。
そして、その真理がオルフェノクへと変化してしまったこと。

全ては幻影を見せられたことによる勘違いだが、それを照明する手立てが無い以上、草加にとっては現実と変わらない。

ならば、確かに草加は真理を殺すという決意は揺らぎはしないだろう。
だがそれとは別に、最愛の者を最悪の存在に変えられたという事実は、彼の心を少しずつ蝕んでいっていた。

本人すらも気付かないところで、少しずつ、確実に。





【D-5/一日目 午後】

【美遊・エーデルフェルト@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:ダメージ(小)
[装備]:カレイドステッキサファイア@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[道具]:基本支給品一式、クラスカード(ライダー)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ、支給品0~1(確認済み)
[思考・状況]
基本:イリヤや皆と共に絶対に帰る
1:ゲーチスを倒す
2:ロロさん……
3:白い魔法少女(織莉子)のあり方は認められない
4:『オルフェノク』には気をつける(現状の対象は木場勇治、村上峡児)
5:まどかの世界の魔法少女を調べる
[備考]
※参戦時期はツヴァイ!の特別編以降
※カレイドステッキサファイアはマスター登録orゲスト登録した相手と10m以上離れられません

【ゲーチス@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:左腕に軽度の火傷(処置済)
[装備]:普段着、ベレッタM92F@魔法少女まどか☆マギカ、ゾロアーク(体力:ダメージ(中)、片腕欠損、ゲーチスに怒り)@ポケットモンスター(ゲーム)、サザンドラ(体力:ダメージ(小))@ポケットモンスター(ゲーム)
[道具]:基本支給品一式、病院で集めた道具(薬系少な目) 、不明支給品0~1(未確認)
羊羹(1/4)印籠杉箱入 大棹羊羹 5本入 印籠杉箱入 大棹羊羹 5本入×4@現実、きんのたま@ポケットモンスター(ゲーム)
デザートイーグル@現実、流体サクラダイト@コードギアス 反逆のルルーシュ(残り2個)、デザートイーグルの弾、やけどなおし2個@ポケットモンスター(ゲーム)
[思考・状況]
基本:組織の再建の為、優勝を狙う
1:口封じのために美遊を殺す
2:表向きは「善良な人間」として行動する
3:人間に寄りつつあるNを見限るか、それとも人間に失望させるか?
4:切り札(サザンドラ)の存在は出来るだけ隠蔽する
5:ゾロアークの力をもってできるだけ他者への誤解を振りまき動きやすい状況を作り出す
※本編終了後からの参戦
※「DEATH NOTE」からの参加者に関する偏向された情報を月から聞きました
※「まどか☆マギカ」の世界の情報を、美樹さやかの知っている範囲でさらに詳しく聞きだしました。
(ただし、魔法少女の魂がソウルジェムにされていることなど、さやかが話したくないと思ったことは聞かされていません)
※桜とマオとスザク以外の学園に居たメンバーの事を大体把握しました(あくまで本人目線)



【D-5/病院周辺/一日目 午後】

【長田結花@仮面ライダー555】
[状態]:ダメージ(小)、疲労(中)、仮面ライダー(間桐桜)に対する重度の恐怖
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×3、ゴージャスボール@ポケットモンスター(ゲーム)
スナッチボール×1@ポケットモンスター(ゲーム)、魔女細胞抑制剤×1@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー、ジグソーパズル×n、呉キリカのぬいぐるみ@魔法少女おりこ☆マギカ、不明支給品0~2
[思考・状況]
基本:皆の力になりたい
1:病院に向かい、海堂さんに……
[備考]
※参戦時期は第42話冒頭(警官を吹き飛ばして走り去った後)です


【草加雅人@仮面ライダー555】
[状態]:負傷(中)、真理の死及びオルフェノク転生の事実に対する精神不安定
[装備]:カイザギア@仮面ライダー555
[道具]:基本支給品、
[思考・状況]
基本:園田真理の保護を最優先。儀式からの脱出
1:長田結花を抹殺し精神を落ち着けた後、真理を殺したオルフェノクを確実に殺す。
2:オルフェノクは優先的に殲滅する。
3:真理を、俺は―――――
4:ポケモン、オルフェノク、魔女に詳しい人物から詳しく情報を聞き出す。
5:Lとの約束のため病院か遊園地へ
6:長田結花は殺しておく。……が、今は手出し出来ない。
7:地図の『○○家』と関係あるだろう参加者とは、できれば会っておきたい
[備考]
※参戦時期は北崎が敵と知った直後~木場の社長就任前です
※自分の知り合いが違う人物である可能性を聞きました
※灰色の怪人(オルフェノクのような何か)となったNが真理を殺す、という幻を見せられました


【ロロ・ランペルージ@コードギアス 反逆のルルーシュ 死亡】

124:閃光の真実と深淵の影 投下順に読む 126:憎悪-Badblood mind
時系列順に読む 129:帝王のココロ
120:この醜く残酷で、美しく優しい世界(前編) 園田真理 129:帝王のココロ
N
木場勇治
ゲーチス 136:堕落天使
草加雅人
116:その手で守ったものは(前編) 美遊・エーデルフェルト
セイバー 129:帝王のココロ
長田結花 136:堕落天使
111:ConneCt ゼロ 129:帝王のココロ
ロロ・ランペルージ GAME OVER


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