可能性の獣たち

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可能性の獣たち ◆Z9iNYeY9a2



光の柱が収まったところで、その中央から巨大な2つの影が姿を表す。


「ニャ〜〜〜?」
「ピカ…?」

ずんぐりとした体型となったピカチュウ。
異様に長い胴体と爛々と光る目をしたニャース。

その体は、エラスモテリウムオルフェノクをゆうに超える巨体へと変異している。

キョダイマックス。
ポケモン世界のとある地方において確認されている、ポケモン達に生じる特殊な巨大化現象により変異する姿。

その姿は、アヴァロンにいるNの目にも見えるほど大きなものだった。

「この姿は…」
「キョダイマックス、ある地方で確認されたポケモンの新たな形態ロト。
 理屈は分からないけど、もしかするとあの二匹の強い願いが、あの城の装置を通してその姿の可能性を自分の中から呼び寄せたのかもしれないロト」


エクウスが鎚を鳴らす。
その合図と共に、我に返ったエラスモテリウムオルフェノク、ラウンズ達が攻撃をしかける。

ニャースの巨体に巨大な針を飛ばすエラスモテリウムオルフェノク。
ピカチュウはそれを迎撃せんと構えていた尻尾を思い切り振るう。

すると鋼鉄化した尻尾はまるで地面を伝うように波立ち流れる。
放たれた技、ダイスチルは地を走るラウンズ、そして飛ばされた針とエラスモテリウムオルフェノクを吹き飛ばす。

「ニャ…、この技は…、今のニャーなら使えるのニャ?!」

同時にニャースも腕を振るい、黒い波動を放つ。

技を習得する能力を失ったニャースは、かつて幾度か新たな技を習得しようと訓練したことがあった。
その一つに、悪技であるつじきりが存在した。結局練習に留まり己に定着させることはできなかったが。

エデンバイタルの力で可能性を引き出したニャースは、その技をダイマックス技・ダイアークとして使用した。

宙を舞う波動は吹き飛ばされた敵へと向けて直撃する。

押しのけられるエラスモテリウムオルフェノク。グロースターは腕や頭部を破壊され、ラウンズ兵も膝をついていた。
攻撃範囲から避けたエクウス、機動力で回避したアクイラだけが健在だった。

「ニャース、もういい、早く戻れ!!君の体は…」

叫んだNの声で、ニャースは自分の体に目をやる。
あちこちに青い炎があがり、少しずつ体を侵食している。

「大丈夫、ニャ。なんとなく分かるニャが、今の大きな体なら少しは保つみたいなのニャ」
『でも、それじゃキョダイマックスの効果が切れたら消えちゃうロト…』
「…この体は、どれくらい保つニャ!?」
『戦闘不能か、技を3回撃つまでロト!』
「十分ニャ!」

クローンポケモン達をかばうように立ち塞がるピカチュウとニャース。

エクウスの砲撃とアクイラの電撃、グロースターの射撃とエラスモテリウムオルフェノクの毒針が飛来。
それを前に出たピカチュウが受け止める。

「なっ、ピカチュウ!?」
「ピカ…」

戦闘不能になったら消えてしまう、そんなニャースにダメージを負わせるわけにはいかなかった。
幸い、ダイスチルの影響で防御力が上がっている今なら、多少の攻撃は耐えられる。

無論、ニャースもそんなピカチュウを許容するわけにはいかない。

追撃するように突撃を仕掛けてきたエラスモテリウムオルフェノクの体を、ニャースの腕が掴み抑え込む。

「ン、ニャアアアアアア!!!」

叫び声と共にその体を後ろに押し込み退ける。

「ピカチュウ、合わせるのニャ!技を同時に使ってあいつらを吹っ飛ばすニャ!」
「ピカ!!」

状況の打開のために力を合わせる二匹。

体に蓄えた電撃を一気に放出するピカチュウ。
周囲に舞い散る電気がナイトメアフレームの攻撃を弾き飛ばし、コロシアムの上を駆け空へと届く。

ニャースが大きく吠え、体からエネルギーを放出。
地響きが轟き、留まるラウンズ達やオルフェノクの足元に亀裂が走りその奥から何かがせり上がる。

キョダイピカチュウのキョダイマックス技、キョダイバンライが発動し、空から巨大な雷の柱が降り注ぎ。
キョダイニャースのキョダイマックス技、キョダイコバンが発動し、割れた地からエネルギーと共に大きな小判が噴き出す。

電気とエネルギー、小判に挟まれたグロースターは次々と爆発していき、ラウンズ兵の身をも焼き焦がし消し飛ばしていく。
エラスモテリウムオルフェノクも身動きが取れぬまま体を膨大なエネルギーに侵され。
回避しそこねたアクイラも体の節々を爆発、退避していたエクウスも巻き込まれる。

中でもダイアークを受けたグロースターとエラスモテリウムオルフェノクのダメージは大きかった。
体周囲に浮遊する黒いエネルギーが、ピカチュウの電撃の威力を増幅させている。

膨大な電磁波が発生して周囲の電子機器を爆破、ピカチュウやリザードン達が担いでいたカメラもスパークしていく。
アヴァロンへの映像中継が途切れ、状況が把握できなくなるN。


やがて閃光が晴れていき。
地面に撒かれた小判が電気を帯びて小さく放電している中で、体から電気を漏らしながらぐったりとしているエラスモテリウムオルフェノクがいた。
ナイトメアフレームもラウンズ兵も視界の中で跡形もなく消し飛んでいる。


「ピカ…ッ…!?」

その中でピカチュウが何かに反応するように視線を動かし。
ピカチュウの体を、巨大な槍が貫いた。

「ピカアッ!!」

血と悲鳴を上げながら倒れるピカチュウ。
体から光が漏れ出して巨体が消えていき、元の小さなピカチュウの体だけがその場に残っていた。

見ると、視線の先には一つの巨大な影。
エクウスの体とアクイラの翼を兼ね備えた金色の体。
機体性能でどうにか攻撃を凌いだエクウスとアクイラ、その最後の2機が合体したナイトメアフレーム、レガリアの姿があった。

最後に残った敵相手に、ピカチュウ達を守らんとリザードン、ゾロアークやクローンポケモン達が一斉に攻撃を仕掛ける。
それをレガリアは、巨大な翼から放出したエネルギー弾で吹き飛ばす。
衝撃で飛ばされるポケモン達。

倒れたピカチュウの側に駆け寄るポッチャマとピンプク、キョダイニャース達。
胸付近に大きな傷があり、そこから絶えず血が流れ続けている。
ピンプクがタマゴうみを使いピカチュウの体力を回復しようとする。しかし傷が塞がることはない。

痛みで歪むピカチュウの目の先では、ポケモン達がレガリアの足を止めんと抗っている。
しかしグロースター達とは違う特注製のナイトメアフレーム、ポケモン達の攻撃ではびくともしていない。

ふと、ピカチュウはその体がバチリと静電気の火花を散らすのを見た。

その様子を見て思った。自分ならあるいは勝てるかもしれない。
だけど立ち上がる力がない。

起き上がろうとして、胸の痛みと力の入らない手に転び。
その拍子に、ひっくり返ったバッグから転がり出たものがあった。


それは、クローンのピカチュウに渡されたもの。
実験の中で自分には使うことができず、故にポケモンとしての失敗作との烙印を押されてしまった道具。

ピカチュウは受け取りを拒否したが、使わずともいいから持っていて欲しいと言われバッグにしまっていたもの。

使わなかった理由は簡単。怖かったのだ。
これを使うと自分が自分でなくなる、サトシとの思い出を消してしまうのではないかと。

「ニャ…」

ピカチュウの様子に気付いたニャース。
それを使うべきだとピカチュウ自身が思っているのに、心の奥にある恐怖がそれを止めているのだと。

「大丈夫ニャ、ピカチュウ。おみゃーがどうなっても、おみゃーはピカチュウニャ。
 ニャー達が追っているポケモンで、ジャリボーイのポケモンなのニャ」

その言葉に勇気をもらったように、ピカチュウは微笑み。
四肢に力を入れて立ち上がり。

地面に転がったその道具、雷の石に手を触れた。




サザンドラの竜の波動、リザードン2匹の火炎放射を拾い上げた槍で難なく弾き飛ばすレガリア。
ゾロアークが懐に迫り、隻腕での辻切りを放つもその装甲はびくともしない。

頭部から放たれた雷撃がポケモン達を地に伏せさせる。

身動きできないリザードン達。残った強豪ポケモン達を、確実に息の根を止めようとその手の槍を突きつける。
それを思い切り振り下ろした時だった。

レガリアの顔面に素早く何かが叩きつけられた。
鋭い音と共に顔の部分に亀裂が走り、機体が衝撃で後ろに下がった。

その気配が背後に移ったことを感じたレガリアの顔は後ろへと向く。

息も絶え絶えながらも、こちらへ向けて闘志の眼を燃やす小さな影。
小さな体は一回り大きく変位している。

「ライチュウ!」

ピカチュウ、いや、ライチュウ。それは雷の石に触れたことで進化した姿だった。

「みんな、ライチュウを援護するニャ!!」

ニャースの叫びで、ポケモン達は最後の力を振り絞るかのように一斉にレガリアへと飛びかかる。

同時にレガリアの背部にあるコックピットから一人の魔人が姿を表す。
カメラを破壊され視界を封じられたことで直接見る必要が出たのだろう。
これまでのラウンズ兵と同じ佇まいながらも、ポケモン達にもどこか彼らと違う威圧感を感じさせていた。

その本体を狙うように、リザードン二匹は火炎放射を放つも、槍の一振りの風圧で下げられる。
ゾロアークが幻影を見せて撹乱しようとするも、翼から周囲一帯に射出されたエネルギーの散弾が辺りの地面を抉り幻影を引き剥がす。

そうして前を見る魔人の背後をライチュウのアイアンテールが迫った。
不意打ちだったにも関わらず、即座に反応し拳で受け止める。
反動で後ろに下がったライチュウにレガリアの巨槍を振り叩き落とそうとするもライチュウもまたそれらを尻尾で受け止めて弾き返す。

足を地面につけるライチュウ。
しかし胸の傷の痛みか膝を突く。

隙有りと言わんばかりに、振りかざした槍を大きく地面に突き刺し。
その姿は掻き消えた。

今のライチュウがゾロアークの幻影だと気付いた時にはライチュウの姿は空の上にいた。

空を見上げ、追いかけるレガリア。
そこに、巨大な咆哮が周囲に轟く。



(ピカチュウ、おみゃーは次の一撃に全部をつぎ込むつもりニャ…)

ライチュウに進化し体力をある程度上げることで戦う力を蘇らせたピカチュウ。
しかし体の傷の治癒にはそれは関与していないことにニャースは気付いていた。

だから次の一撃で決めるつもりだと。

こちらも最後の一撃は温存していたが、巨大化させて保たせていた体もそろそろ限界がきていた。

だから。

(先に、行ってるニャ…!!)
「キョダイコバンニャァァァァ!!!!!」

地から噴き出した大量の小判が、空を飛ぶレガリアへと襲いかかった。


突如周囲を舞うエネルギーと小判に機体を蹂躙されるレガリア。
機体に重大なダメージを与えるものではないが、それが逆に苛立たせる。

そのレガリアに向けて、リザードンからの投擲を経て宙を走るように迫るピカチュウの姿が目に入った。
小さな体を電気が纏う。
先程洗脳装置を破壊した一撃を放とうとしている。

判断力に陰りを見せた苛立ちをぶつけるように、レガリアはその胸部を展開する。

エクウスの時に持っていた巨大な鎚の鈍器の部分を格納した胸部、そこから放たれた一発の巨大なミサイル。
吹きすさぶ風圧が小判を吹き飛ばし、一直線にライチュウへと向かう。
レガリアの胴体にも匹敵する大きさの弾頭、故に進行速度は遅いがその重厚な一発はライチュウの体を吹き飛ばすだろう。

ぶつかり合おうとするライチュウのボルテッカーとミサイル弾頭。
しかしその2つが衝突する直前、横から降り掛かった何かが弾頭を貫いた。




「…ニャース、ピカチュウ、これが、君たちの選んだ答えなんだね……」

キョダイコバンを放った後、その体が縮小していく様子はアヴァロンにいたNにも見えた。
そしてその体が消滅していく姿も。

同時にピカチュウ、いや、ライチュウの攻撃が捨て身のものであることも分かった。

死にゆく彼ら自身に対してできることはない。
だからせめて自分にできる精一杯のことをしよう。
彼らの想いに報いるために、この先の未来に進むために。

飛んでいるゆえに距離が近いからこそ。ポケモンが周囲にいないからこそ。

この攻撃は外さない。
アヴァロンから放たれた単装砲が、ライチュウと衝突しようとしているミサイルへと直撃した。



もし放たれた攻撃がレガリアに向いたものであれば、あるいは搭乗者の戦士としての勘が攻撃を避けさせただろう。
もし搭乗者がキョダイコバンによって精神を乱されず冷静であったならば、ミサイルの爆破がされた後で後ろから迫る攻撃を避ける道を選んだだろう。

あるいは心がなければそれぞれを冷静に対処できただろうが、そうなってはエラスモテリウムオルフェノクやラウンズ兵達をまとめられなかっただろうから言っても詮無きこと。

視界の先に迫っているのは、爆発し進行能力を失ったミサイルを前から押し込んでくる小さな生き物の姿。

「…なるほど、これが今を生きる生命の力か」

そして、その姿に感心してしまったことで反応することを忘れてしまった。
既に生命を失い未来を捨てた上で力を得た自分たちに対する、未来を進もうとする意志に。
それが自分たちを打ち破った事実に。

「見事だ」

押し込まれたミサイルと高電圧の雷撃がレガリアの体を砕いていき、爆風の中で割れていく仮面の奥で。
戦場に最後に残ったラウンズ、ナイトオブワン、ビスマルク・ヴァルトシュタインは称賛の声を漏らして消滅していった。



爆風の中からライチュウの姿が現れることはなかった。

だが、リザードンはそれに涙を流す暇もない。
コロシアムに最後に残った敵、エラスモテリウムオルフェノクが麻痺状態から復帰しつつあった。

司令塔であったビスマルクによる制御を失って暴走しつつある。

飛来した針を避けながら、その顔面に至近距離から火炎放射を叩き込む。
熱に怯み身をそらすエラスモテリウムオルフェノク。

振るわれる腕をかいくぐりながら、リザードンはその背後、ラウンズ達がいたときには決して通ることができなかった扉へと突っ込む。

その奥に備えられた台の上にあった2つの大きな宝石、金剛珠と白珠を咄嗟にその手に取った。

リザードンには、この場で戦う皆には知る由もないことだが。
その少し前に、会場の各所で重要施設の破壊が行われ、会場の維持バランスに変化が生じていた。

その中で、最後のバランサーとして機能していたポケモン城の施設を制圧した。

彼らの戦いはまだ続く。
最後に残った凶獣を倒さねば、この先に進むことはできない。

ただ、この戦いそのものとしては彼らの勝利だろう。
その一手を以て。

会場の崩壊が始まったのだから。




【N@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:疲労(小)、ゲーチスの言葉によるショック
[装備]:サトシのリザードン@ポケットモンスター(アニメ)、ゾロアーク(スナッチボール)@ポケットモンスター(ゲーム)、スマートバックル(失敗作)@仮面ライダー555、ロトム図鑑
[道具]:基本支給品×2、割れたピンプクの石
[思考・状況]
基本:クローンポケモン達の世界を守るため、生き残る
1:ピカチュウ…、ニャース…、みんな…!
2:世界の秘密を解く
[備考]
※モンスターボールに対し、参加者に対する魔女の口づけのような何かの制約が課せられており、それが参加者と同じようにポケモン達を縛っていると考察しています。


【エラスモテリウムオルフェノク@仮面ライダー555 パラダイス・ロスト】
[状態]:ダメージ大、暴走
[思考・状況]
基本:■■■■■■■■―――――



【ニャース@ポケットモンスター(アニメ) 死亡】
【ビスマルク・ヴァルトシュタイン@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー 消滅】

※サトシのピカチュウ、サカキのサイドン(ドサイドン)は死亡しました
※残っているクローンポケモンはリザードン、サザンドラ、ポッチャマ、ピンプクです。それ以外は死亡しました。
※会場の空間が崩壊しました。



金剛珠と白珠。

ディアルガ・パルキアの力を制御するために使われる道具。
無論本物ではなく、アカギが一定の役目を果たすために生み出したレプリカのようなもので本物ほどの力はありませんが。
ですがあれが会場の時空間を維持する重要な触媒となっていたのは確かでしょう。
他の場所で他の方々がどれだけ頑張ったのかにもよると思いますが、あれを確保したならば会場の崩壊は進行し脱出への道は見えることです。


さて、ですが私にはこの先どのような結果を導き出すかは分かりません。
ポケモン達が何かを成すかその身の可能性を以てしても敗北するかも。

ポケモンに対して私ができることはもうないでしょうね。
こうして何かを考えるのもここまでかもしれません。

余計なお世話かもしれませんが、一つ。
アカギ、もしポケモン達がこの戦いの中で可能性を開いたならば、あなたはそれを見届けるべきでしょう。
その中にある可能性にも、感情のない世界が見せることはない輝きにも、目を向けるべきでしょう。

本当に、余計なお世話かもしれませんが。
ただ、私あなたに同調はできませんが、ゲーチスと比べたらそこまで嫌いではないのですから。

172:決斗・アヴェンジャー&ライダー 投下順に読む 174:シンセカイ
時系列順に読む
171:あなたと私は友達じゃないけど N 177:EndGame_LastBible
ニャース GAME OVER
初登場 エラスモテリウムオルフェノク 177:EndGame_LastBible
ビスマルク・ヴァルトシュタイン GAME OVER
161:ニャースとアクロマ・世界のカタチ アクロマ



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