カーマフォルト文化共有協定


概要

 カーマフォルト文化遺産共有協定は、共立公暦10年、先の大戦から失われつつある文化遺産の維持を目的に成立した。
セトルラーム共立連邦ユミル・イドゥアム連合帝国間で結ばれた保全協定の一種である。

歴史

 戦時中、破壊の限りを尽くした両国の被害は天文学的数値に達しており、失われた遺産は数知れず、夥しい数の資源が費やされた。特に国家経済(=生産・軍事力)の向上に血道を上げるセトルラームの開発政策は常軌を逸するものと批判され、戦後、更に多くのリソースが失われるなど、軍拡競争の再燃が懸念されていたのである。共立秩序を巡る国際社会との駆け引きが続く中、当時の救国行動党政権は力による国威の復活を掲げており、自由資本主義の名のもと、聖域なき産業改革を進めるなど旧態依然とした独裁国からの距離を取り始めていた。一方、計画の実行に際しては現地住民に対する配慮は殆どなされず、順次再開発を行うなどして間もなく標的になるであろうイェルバーニ王国の混乱も誘ったわけである。これに対して、事態の悪化を憂いた時の帝国政府は連邦との貿易比率を高めつつ、二国間の団結を提案。国際社会におけるセトルラームの地位向上を支援する代わりに開発の手を緩めるよう促した。この試みは、ある程度のレベルまで奏功し、友好の楔を打たれたセトルラーム政府は従来文化の保護に一定の理解を示すようになった。この発展的な議論の中で互いの親善交流に関する調整も繰り返され、両国は未来への投資(開発リソースの平和利用)を進めていくことに合意したのである。(本来の目的としては、オクシレインに傾きかけていたセトルラームの変質を帝国が止めた説が有力とされる)

内容

  • 文化遺産の保全に関する相互支援
  • 国際外交における相互連携の強化
  • 観光資源に対する投資の強化

問題点

 本協定の履行から、セトルラーム政府による無差別な土地開発計画は撤回された。しかし、連邦宇宙軍の強化は依然として継続。時代を下れば下るほど両国間の温度差が際立つようになっていった。ゼスタル魔導研究協定に係る開発リソースの振り分け方にも齟齬があり、トローネ皇帝が文化遺産の保全に力を注ぐ一方、返り咲きを果たしたフリートン政権は科学分野の発展に全力を投じるなど、履行状況そのものに疑問符が付くようになった。そうした政策の違いは、やがて両国の観光収入(文化力)に大きな差を生む流れとなり、セトルラーム国内で懐古主義的論調(=イェルバーニや帝国の影響)を強める結果に繋がった。

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外交
最終更新:2023年02月03日 17:27