セトルラーム共立連邦

識ることは責務である。それは忌憚なく、公正に、須く議論されなければならない。
セトルラーム共立連邦
Setorraam klannam Armdeitoor
基本情報
国の標語 共立!建設!科学!
国歌 恵みと吉兆の共立祖国
主な言語 ロフィルナ語連邦方言,
ツォルマ語,
イドゥアム語,
オクシレイン語,
メルカ語,
共立英語,
第一首都 学術研究都市ルドラトリス
最大の都市 航空宇宙都市メルトヴァーナ
作:novelAI
政府 行政評議会
国家元首の称号 連邦筆頭公爵
左位連邦公爵
右位連邦公爵
国家元首の名前 アリウス・ヴィ・レミソルトロフィルナ連邦共同体公王・セ連邦筆頭公爵・行政公)
セレーナ・エルク(左位連邦公爵・立法公)
ウラジス・セトルラーム(右位連邦公爵・司法公)
政府代表の称号 連邦大統領
政府代表の名前 ヴァンス・フリートン
行政長官の称号 連邦首相
行政長官の名前 ゾレイモス・ヴィ・ケレキラ=プルームダール
建国 宇宙新暦1486年4月28日
主な宗教 エルドラーム星教ルドラス派
通貨 セドルナ・連邦ルム
(個体情報決済制)
人口総計
肉体保持者 768億4780万人
内、不老登録者の人口が272億
接続意識体 300億人以上
権利ドロイド 約15億体
 セトルラーム共立連邦(ロフィルナ語:Setorraam klannam Armdeitoor, 略称、Setoor、セ連)、は、セクター・イドゥニアに属する連邦民主制国家で、ロフィルナ連邦共同体イドゥニア星系連合文明共立機構に加盟する。共立公暦1000年・現時点における三大列強の一国で、共立同盟の主導国としても認知された。一応の民主主義国家*1でありながら、極度の独裁体制を取るユミル・イドゥアム連合帝国と連携。安全保障盟約の構成国として活動するなど、雲行きが怪しい部分も指摘される。政策投資の方向性としては、主にタクトアーツと呼ばれる独自の異能技術を中心に様々な応用科学の発展を促した。今日では航空宇宙工学をはじめ、バイオナノテクノロジーや、双方向バブルレーン通信、自動クリエイティブ・システム等の刷新を志向することから、科学文明の威信を賭けた研究が継続している。外交における基本指針としては、共立三原則に立脚した国際協調路線を維持。他の異能文明圏を仮想脅威として警戒する一方、積極的な互恵関係の構築に努めてきた*2。この国の特性として、技術協力に応じれば応じるほど心象が良くなる傾向があり、国際社会に対して能動的にコミットしてきた歴史を持つ。

 共立公歴0年(宇宙新暦5000年)。君主制と両立した独自の社会主義体制から民主化し、以降は第四憲法に基づく平等選挙制を採用した。過去数次に渡る政変から、労使協力を主軸とする一種のコーポラティズムを掲げる。今日では消費の向上に重きを置いた福祉政策を是とし、フリートン大統領の名のもとに広く実行されて久しい。体制の基本構造としては、行政、立法、司法からなる三権分立体制を取り、それぞれの執行責任を有する文官と三元君主による形式的な精察権限の共有を図った。以上の合意によって成立する行政評議会が中央の政策行政を担当し、必要に応じて最大与党の総裁たる首相と調整、筆頭公爵(大公)が追認する仕組みとなっている。現在、最も繁栄を極めているパレスポル星系を中心に、ゼルステーラ星系、ネルポラ星系、ゾルトレーナ星系、ルドラス星系、ファーリルスト星系、テルスヴィン星系、アリール・セル星系、アルゼヌーク星系、ゾラテス星系の主要11惑星を領有。加えてイドゥニア星系惑星の一部を連邦領とし、その他の非居住星域の実効支配に至った。


国名

 正式名称は通常、ロフィルナ語で表し、各国語に翻訳される。Setorraam klannam Armdeitoor(セトルラーム・クランナム・アルムディトール)と言い、略称はSetoor。英語表記に訳すとKlannaismic Federation of Setorram、略称、K.F.Sを用いる。日本語で直訳を行う場合はセトルラームの共立的連邦国家。正式名称として示される共立連邦の名の通り、過去数千年にも渡る共立主義思想の歴史から、公益と地域主権を命題とする統一国家であることを表した。一般的には連邦(アルムディトール)、またはSetoor、セ連などの通称が定着して久しく、正式名称の通りに綴ることは少ない。通常の連邦構成国を指す場合は、ker toer(またはkl toor.公国)の表記を用いるのが一般的である。

言語

 法律上の公用語は存在しないが、事実上の共通言語とされるロフィルナ語を中心に様々な言語が普及している。次いで話されているのがツォルマ語であり、共立時代における主要言語の一つとして分類された。中世(宇宙新暦2000年)以前の開拓期にはロフィルナ語を中心に定着し、その他の少数言語に対応する行政サービスは皆無に等しいのが実情であった。そうした状況に変化が生じたのは、宇宙新暦4500年代初頭。セトルラーム本国において不平等の是正を求める機運が高まったからであり、次いで当時の一党独裁政権が教育人材の育成に資金供与を行ったこと。政財界を牽引する知的エリート層が体制改革(自己保身)の手段として自主的に少数言語の保障へ転じたことに端を発する。更に時代が進み、学習環境が整備され始めると、これまでロフィルナ語の一方言として扱われてきたメルカ語が独立し、絶滅寸前とされたツォルマ語が再び普及するなど、表面的には戦後体制による「融和の要」として宣伝された。このようにして、宇宙新暦4802年。様々な民族問題に直面しつつも、ついに言語保護法の制定を迎えたとされる。この段階に至り、既に連邦法となって久しい民族統治法の運用も厳格化され、構成各国における独立運動の再燃に備える動きも加速した。同4900年代。世界共立構想が打ち出されたことを起点に一定の地域主権が認められると、セトルラームの行政機構は多数の合議制実体からなる民主化段階へと移行し、「共立と地域アイデンティティ」を両立させる新たな制度改革の動きが加速したのである。その後は敵性言語とされたイドゥアム語の地位も認められ、諸外国との関係改善とともに識学率の向上を図った。

 転移者星間戦争を起点に多くの特異難民が定着すると、共立英語の話者も徐々に増え始め、今日までに広く通用する主要言語の一つとして認識されるようになった。世界的な通商関係の強化に伴ってオクシレイン語の有用性も認識され、取引企業を中心に幅広い学習環境の整備を促した。しかし、共立公暦7世紀以降に高度な翻訳システム等が普及し始めると、必ずしも学習を必要としない状況へと推移。その結果、識学率の低下を招くという構造的な問題に直面することとなった。想定される最悪のシナリオから、翻訳システムの確実性に疑問が呈されるようになると、多くの企業が主要6言語の習得を必要とする人事を取り始め、今日に至る未曾有の就職困難に繋がったとされる*3。その他の雇用基準の厳格化も相まって、経済的な格差の拡大に歯止めが掛からない現状を嘆く声も聞かれた。

公的少数言語

 公的少数言語とは、該当する話者がセトルラーム国内において一定数存在し、かつ移民法の観点から公的な定着を認められたコミュニティ言語のことを指す。
恒星間航行の要所となる連邦領域圏内では無数の外来言語による手続きを認めてはいるものの、一定の国籍保持母集団として承認されたコミュニティは少数に留まっており、セトルラーム国民の関心も薄く議論の俎上にも載っていないのが現状とされた。
不老人口の爆発的増加に伴う社会不安の深刻化もあり、共立公暦1000年・現時点では一定規模の公的コミュニティを形成しがたい事情を抱えて久しい。
  • 侯式ヴァンジェ語:技術提携黎明期における相互留学の過程で一部の話者が定着した。セトルラーム社会における認知度も高く、連邦主要都市に各々少数の公的コミュニティを形成している。
  • アンラフィエ語:認知話者数.約1億800万人のうち、約50万人程度の移民がセトルラーム各地に定着し、それぞれ少数の公的コミュニティを形成している。

歴史


国民

 主要民族とされるロフィルナ人を中心に、様々な人種が共存している。
詳しくは、セトルラーム共立連邦/国民を参照のこと。

文化

 セトルラーム共立連邦の文化は、未来的なデザインと先進技術が融合した洗練された世界観が特徴です。学術研究都市ルドラトリスや航空宇宙都市メルトヴァーナなど、各都市は透明なナノ素材と有機的な形状を持つ建築物で構成されており、浮遊するパブリックスペースや光学迷彩を施した建物が並ぶ。都市全体がインタラクティブなホログラムアートに包まれ、夜には幻想的な光景が広がる。芸術面では、デジタルとアナログが融合した作品が主流であり、ホログラムやAR(拡張現実)を利用したインタラクティブなアート作品が人気を博している。音楽も多様で、ロフィルナ語を基調とした伝統音楽から宇宙の音を取り入れた電子音楽まで幅広く存在し、中でもバイオ音楽と呼ばれる生体信号を利用した音楽が注目されている。セトルラームのファッションは機能性と未来志向が融合したスタイルが特徴であり、自己修復機能を持つ衣服や温度調節が可能な素材で作られたウェアラブルテクノロジーが普及している。

 光を反射するナノファブリックや色やデザインを自由に変えられるスマートテキスタイルも人気であり、市民の自己表現の一環として重要な役割を果たしている。食文化においては革新的で環境に配慮した食材が多く使用されており、培養肉や昆虫食、プラントベースの食品が一般的に流通している。特に星間交易で得られる希少な食材を使った料理がレストランで提供され、多様な食文化が楽しめる。食事自体が一つの芸術作品のように扱われ、そのプレゼンテーションにも力が入れられている。セトルラームの社会は多様性と共立主義を尊重する文化が根付いており、市民は高度な翻訳技術とコミュニケーションツールを活用して多言語・多文化の共生を実現している。教育と知識の共有が重視されており、日常的に学び合う環境が整っている。仮想現実や拡張現実を利用した遠隔交流も盛んであり、物理的な距離を超えたコミュニケーションが行われている。

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宗教

 エルドラーム星教ルドラス派を筆頭に、様々な宗教組織が存在する。安全保障上、細かな法律等も数多く定められているが、概ね共立三原則に合意しており、中央政府は一部のテロ組織を除く全ての関連団体に信仰の自由を認めている。特定団体に忖度した政策は憲法上、禁止されて久しい(なお、実態。諸説あり)。殆どの場合においては、互いの尊厳を認め合い向き合うことが重要とされる。また、ルドラス派(左派エルドラーム)に限っては聖典の定期的なアップデートを繰り返しており、教団内部の教公庁を始め、管区主教からなる教法会議において検討を重ねているのが現状とされた。ルドラス派に次いで大規模な勢力を誇るエルドラーム創約星教ブルシェク派は従来の伝統を重視し、世俗社会との関係を巡る重厚な議論が続いている。過去数世紀にわたる混乱から、一線を超えてしまったティラスト派(現ロフィルナ王国の国教。物理的な闘争を厭わない内容で、非常に過激とされる)の活動については現状、取り締まりの対象となって久しく、宗教論議においてタブー化の流れを辿った。

暦(こよみ)

 現在の標準暦は共立公暦(Helialbam Ster)に基づくが、ロフィルナ王国由来の新暦を用いており、システム上、可能な限りの同期を継続している。連邦新暦は首都星ゼスタルの運動に依存し、その公転周期は354日、一日の長さは25時間、一時間は80分、一分は40秒で、3年に1度は357日(平均すると355日)として計算される。スケジュールの管理は、熱曜、水曜、風曜、緑曜、祭曜の5日を一回りとする6週方式を採用し、生産の効率化を図った。連邦旧暦も同じくゼスタルの公転周期に依存しており、建国以前の出来事を纏める際に用いられる。現政権の方針から、一週間に最低でも2日の休日を取り入れ、英気を養わせることが美徳となった。

国旗と国章

 共立公暦0年から採用される。セトルラームのシンボル。国旗の意味は、吉兆の光を放つ恒星と偉大なる文明社会の躍動、自由を表す白からなる。
深き青で統一された国章は水と迸るエネルギーを表し、恵みと吉兆の共立祖国を象徴する。

政治

 原則として行政、立法、司法からなる三権分立体制を取る。それぞれの組織に国家元首(三元君主)が鎮座し、関連機関とともに権力を共有する。行政評議会を率いる連邦大統領は、任期15年の最大4期制となっており、構成各国におけるセトルラーム国民の直接投票をもって就任・続投となる。連邦総議会は、小選挙区制を採用する同胞院(左院)と、構成国の代表・その他の功労者からなる共立院(右院)、各界の有識者で構成される法理院(中院)の三機関によって成り立つ。法秩序を担う最高司法官は、行政と立法、双方の合意に基づいて推薦し、第三大公たる右位連邦公爵の承認をもって任命される。数ある政党組織の中でも連邦社会共立党が最も根強い人気を保ち、事実上の一強体制を成立させた。不老技術による負の側面として、フリートン及びゾレイモスの双頭秩序による交代が繰り返されている。稀に少数派閥、または野党から大統領が選出される場合もあるが、民政史上において一度も安定政権を築いたことはなく、一強体制が支持される複合要因の一つとして見なされた。特定の人物が政治の主導権を持ち続けることの是非に関して、全国的な議論となって久しい。現状はフリートン政権の独走が続いており、世代交代を望む多くの国民にとって絶望的な状況とされた。特筆すべき事項として、行政府の長を始めとする公職の任期の長さが挙げられる。国民に対して直接的な責任を持つ大統領の場合、1期あたり最低でも15年の安泰が保障されているが、成立した議案に対して再考を担う法理院議員は50年となっており、特別な弾劾手続き(それも、国家反逆罪を追求できるレベルの承認)を取らない限り逮捕されることもない。立法府において、多数派(通常の想定では政権与党)の代表とされる連邦首相に至っては信任される限り続投可能で、そうした公権力の緩みに懸念する声も聞かれた。一方で不老人口の増加に伴う様々な問題が指摘されて久しい現状、中・長期的な課題と向き合う場合に現職の続投を必要とする意見もあり、既存の枠組みを超えた党派間の議論を重ねているのが現状とされる。以上の特色から、良くも悪くも過去の民主制とは異なる体制として認知された。

 構成各国において行政制度の標準化が進んだ結果、連邦全域では政令審査や施行に関する基本手続が統一されている。政令案は各構成国から行政評議会に提出され、評議会下部の政策調整機関により分類・整理されたのち、法理院に回付される。この間、法的整合性・行政実行性・構成国間の制度調和が一貫して検証され、各機関の合議によって最終施行が認可される。法理院では再考制度が制度的に導入されており、一定の議案に対しては施行までの間に専門議員による再審査が義務化されている。該当議案は施行条件に再考完了を含むため、履行されなければ施行不可となる。政治的適格審査は信用管理局により厳格に運用されている。公職候補者は、生体識別・行動履歴・人格的一貫性などの審査項目を通過しなければならず、記憶履歴と実際の政治行動に矛盾が認められた場合、立候補権は剥奪される。また、人格複製による再生者に対しては、前人格からの理念・責任・意思継承の有無を審査する補助認証制度が存在する。継承が認められた個体は、当該制度下で公職候補としての資格を得るが、継承が否定された場合は立候補資格を与えられない。これにより、不定形的な人格継承者の政治参加に対して制度的な秩序が確立され、責任所在と政治的信頼性が保障されている。


法律


経済

 古くからゲート事業のシェアを保っていることに加え、豊富な人材と高い技術力に由来する様々な製品を輸出し、金融・貿易・投資立国としての発展を遂げた。共立公暦1000年、現時点で常に世界最上位を争う資本主義大国としての地位を固めて久しく、世界的に数多くのグローバル企業を進出させ、莫大な利益を上げているという。そうした成功から、一定の成果を見込める多くのプロジェクトに追加投資を決定。特定の公益団体*6を始め、大企業や個人投資家、高位技術者に対する優遇措置を講じた。加えて各種産業の自動化を推進。失業、無職、その他の稼働層を含む全ての国民に対して消費者給付制度*7を設けている(公益及び経済対策)。一方、生産の効率化を推し進めてきた反動でサービス業界以外の就職率に困難を抱えており、一部エリート層との経済的格差が顕著となった。最大の貿易相手国はユミル・イドゥアム連合帝国であり、防衛、通信、生産と強固な互恵体制(相互依存関係)を築いている。貿易の黒字化に注力し、消費に重きを置いた競争環境の構築を推進した。以上の施策によってフリートン政権は「国内経済の発展」をPRしているが、それ以上に自立の見込みが立たないフリーライダーの存在が問題となって久しい。

 消費者給付制度の運用は、信用管理局が所管する生活基盤評価機構によって担われ、各国民の信用評価点・職業履歴・生産履歴に基づき支給範囲が決定される。制度は三段階に分類されており、基礎給付・補完給付・技能特化給付がそれぞれ独立して機能する。特に補完給付は、自動化領域における雇用喪失者に対して重点的に支給され、失職者の社会消費支援策として法制化されている。ゲート事業に関する技術資格制度は、共立公暦950年に改正された技能認定法に基づき、全職能者に対して国家認定資格の取得が義務付けられている。認定資格は技術等級別に9階層に分かれており、高等級保持者には輸出関連事業への優先的従事権が与えられる。これにより、技術者集約型産業の人材流動性が制度的に保障され、国際競争力の維持が達成されたとされている。連邦外資源の採掘・製造事業については、第七資源開発法に基づき、外惑星拠点からの収益は登録法人所在地に関わらず連邦本庁への収益報告が義務化されている。本庁では収益配分に基づいた課税処理が実施され、課税逃れを目的とした法人移転は違法とされている。この制度は財政監査院直轄の資源収益統括庁によって運用されており、事業収益の地域偏在抑制と再分配の公平性を制度的に担保する役割を持つ。


  • 現代の格差社会を象徴する大都市メルトヴァーナの居住区。低級住宅街の左右には商業施設を備えた高層ビル群が建設されて久しく、武装警官隊による下層市民の締め出しも度々実行された。
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  • 大都市メルトヴァーナを彩る上層区域の景観。ここに住む多くの市民が下層区域とは無縁の生活を送っている。
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テクノロジー

 世界に冠たる科学技術大国を自称し、日々研究予算の捻出に努める。航空宇宙分野においては第3世代ルーゼリック・ワープドライブを実装。複数のロジカルゲートを用いる短縮航行を実現した。セトルラーム艦隊は更なるワープ速度の向上を実現するため、第3世代量子ビルド・ネットワーク(通称、T.B.N.S.)による量子並列転送を持続しており、アクティブ・シークエンスにおける大幅な座標計算の短縮を行っている。ウォームアップを必要としない高精度の跳躍技術は物理法則の常識を一変させ、あらゆる分野の発展に繋がった。全ての意識を保全するライフサイクル・システムの発展は、死からの復活をも可能とし、戦死という概念を希薄化させて久しい。古くから発展を続ける神経科学の成果は、近年あらゆる分野で応用が進み、更なる研究の進展に繋がった。もはや魔法と称しても差し支えないタクトアーツ(令咏術)の恩恵は、人々の生活を激変させ、誰もが全ての夢を叶えてしまう危険域に突入している。


教育

 概ね文明共立機構と同じ体制を採る。5歳から10歳を対象とする幼年学校を始め、11歳~15歳までを対象とする少年学校、16歳から全ての年齢層を対象とする高等大学、高専、特別学校などから構成された。幼年学校では主に初等教育における様々な地域コミュニケーションを重視し、社会性の第一段階を身に着ける。少年学校においては、そこから更に社会問題などのディスカッションを取り入れ、共感性を育むのである。これを社会性の第二段階と定め、高等大学において更に専門性を高めていく。晴れて卒業した多くの学生には就職の優先資格が与えられ、主に中央省庁によるスカウトが行われている。特筆すべきはフリートン政権が『労働からの解放』を掲げていることであり、大手企業による極端な自動化が進んだ。受け皿の減少を懸念する意見もあるが、そうした動きに反対する声は少なく、一部の団体を中心にフリーランサーの育成が行われている。公教育にかかる費用は全て無償化され、基本的人権を成す根幹要素として普及した。

交通

 国内交通に関して、膨大な需要を抱えるセトルラームにおいては国営企業によるインフラ事業の独占が進んだ。条件を満たす近隣空域であれば量子ポートアルターによる即時転送も可能。街中ではビル毎移動する巨大なタワーバスも存在し、スケジュールの短縮に繋がっている。各都市を結ぶ基幹地下鉄では、帝国製から独自に発展を遂げた巨大列車タワートレインが走行し、人々の生活に欠かせない重要な交通手段の一つとなった。軌道エレベーターの類は廃止されて久しく、今日では更に発展を遂げたレールタワーが設置されている。緊急避難用の装置として発電機能を備えたボールポッドも設置され、災害時における生存性の向上に大きく貢献した。更に富裕層向けのタクシーサービスも普及するなど、数少ない観光収入の一つとして重視される。

治安

 セトルラームは高度な技術と厳格な法執行機関によって比較的安定した治安を維持している。各都市や星系では、AIによる監視システムと生体認証技術を組み合わせたセキュリティネットワークが導入されており、犯罪発生率は低い。特に、学術研究都市ルドラトリスや航空宇宙都市メルトヴァーナでは、高度に発達したセキュリティシステムが市民の安全を保障している。治安維持においては、連邦警察と治安維持軍の連携が重要な役割を果たしている。連邦警察は都市部のパトロールや犯罪捜査を担当し、治安維持軍は国境警備や大規模な治安維持作戦に従事している。また、セトルラームは国際的な治安協力にも積極的であり、他国との情報共有や共同訓練を通じて治安対策を強化している。セトルラーム社会では、市民の安全を第一に考えた防犯対策が講じられている。例えば、公共スペースにはホログラム警備員が配置され、異常事態を即座に察知し対応するシステムが整備されている。また、交通機関や公共施設には高度なセキュリティチェックが導入されており、不審物の持ち込みやテロ行為を未然に防ぐための対策が施されている。一方で、連邦の治安体制には課題も存在する。特に、デジタル犯罪やアポリア攻撃に対する脆弱性が指摘されており、これに対処するための対策が急務となっている。また、時折発生する政治的な対立や社会不安も治安に影響を与える要因となっている。特に大規模なデモや抗議活動が行われる際には、治安部隊が厳戒態勢を敷き、暴動の発生を未然に防ぐための対応が求められる。全体として、セトルラーム共立連邦は高度な技術と効率的な治安維持体制によって比較的安定した治安を維持しているものの、共立時代特有の新たな脅威に対する対応が求められている。


通信とメディア

 セトルラーム共立連邦の通信とメディアは、高度な技術基盤と複雑な政治的力学が交錯する領域であり、国民生活や国家運営に深く根ざしている。連邦のメディア環境は、政府の影響力と民間の競争がせめぎ合う一方で、独自の文化や歴史的背景から生まれた特異な状況が特徴的だ。中道リベラルを標榜するアリール・メルダは、セトルラームの知的エリート層や若者を中心に支持を集めるメディアグループで、ホログラム配信や双方向バブルレーン通信を活用したインタラクティブな報道が特徴であり、視聴者はリアルタイムで番組に参加し意見を反映させることができる。この柔軟性と透明性が人気の理由だが、一方で「中道」を自称しつつも現政権に批判的なトーンが目立つことから、保守層からは「偽装リベラル」と揶揄されることもある。アリール・メルダの看板番組「ルドラスの眼」は、学術研究都市ルドラトリスから発信され、科学技術や社会問題をテーマにした討論が連邦全土で視聴されている。対するアンデレ・ヨプステルは保守派の牙城として知られる老舗メディアで、伝統的なロフィルナ語の語り口を重視し連邦の歴史や共立主義の精神を称賛するコンテンツで根強い人気を誇り、特に高齢者や地方星系の住民に支持されている。デジタル技術よりも物理的な放送網に依存する傾向があり、航空宇宙都市メルトヴァーナの高層ビル群から発信される電波塔がその象徴となっている。両者の対立は単なる思想の違いに留まらず、連邦の未来像を巡る国民的議論を反映している。

 一方、共立連邦国営放送は政府の直接的な統制下にあり、災害情報や現政権の政策解説を主な役割とする。報道の自由を重んじる観点から「必要情報以外の中立性は保障しない」と公言しており、事実上フリートン大統領の意向を反映した放送内容が大半を占める。税金で運営されることから、フリートンは「国民が政策を理解する義務がある」として視聴を推奨しているが、野党からは「事実上のプロパガンダ」と非難され、特に近年は民間メディアへの圧力を強める動きが顕著だ。例えば、国営放送が独占的に使用する「緊急政策告知チャンネル」は、民間メディアが同様の情報を流すことを法的に制限されており、これが競争の不均衡を招いている。共立公暦998年のイドルナートの大火事件では、国営放送が事件の詳細を政府寄りの視点でのみ報道し、民間メディアが独自取材を試みたところ通信妨害を受けたとの疑惑が浮上した。

技術的基盤と国民の反応

 セトルラームの通信インフラは、タクトアーツと呼ばれる異能技術と量子通信技術の融合により、星系間でも瞬時に情報を伝達可能だ。一般市民は個人端末「セルリンク」を通じてメディアにアクセスし、生体信号を利用した認証で個別最適化された情報が提供される。しかし、この高度な技術がメディアの分断を助長する一面もある。アリール・メルダは若者向けにAR(拡張現実)討論会を展開し、参加者が仮想空間で政策をシミュレーションできるサービスを展開しているが、アンデレ・ヨプステルは「伝統の喪失」を訴え、こうした技術を「共立の精神を薄れさせる」と批判する。この分断は国民の間で「メディア戦争」と呼ばれ、特にロフィルナ人は感情的な反応を示しやすく、討論番組が暴動に発展することも珍しくない。共立公暦1000年時点で、文明共立機構は報道倫理の是正を勧告したが、連邦国内では「中立」という概念自体に懐疑的な声が強く、「民主化以前の検閲で悪用された」「基準が曖昧で恣意的な運用を招く」との理由から改善の兆しは見られない。

メディアと政治の緊張関係

 セトルラーム共立連邦では、メディアと政治の関係が激しい権力闘争の場となっている。フリートン政権は国営放送を掌握し、民間メディアに対抗する「市民情報参加プログラム」を導入。これは国民が放送コンテンツを作れる仕組みだが、政府が「民主的参加」と謳う一方、AIフィルター「セドルナ・ハーモナイザー」が批判的意見を排除し、政権支持者や不老登録者の声だけを優先する。アリール・メルダはこれを「偽装民主主義」と非難し、暗号化通信で内部文書を暴露、フィルターの偏りを証明したが、政府は「国家機密漏洩」を盾に記者を訴追する構えを見せ、配信制限で圧力をかけた。一方、アンデレ・ヨプステルは伝統派や地方の支持を頼りに政権と距離を保ちつつ、「連邦の安定」を理由に穏健路線を維持し、直接対立を避けている。この三つ巴の緊張はメディアを政治闘争の最前線に変え、共立公暦998年のイドルナートの大火(パルスポル放送塔占拠事件)で爆発。アリール・メルダ支持者が国営放送施設を占拠し政権批判を流したが、治安維持軍が介入し死者12名を出した。政府は「テロ」と断じたが、国民の間では「言論弾圧」と反発が広がり、文明共立機構も懸念を表明。メディアと政治の対立は連邦の分断を深め、安定を脅かす火種となっている。


地方行政区分

 主に一つの星系を「連邦星区」として指定し、それらを構成する自治体を「公国」「州」「地方」といった順に纏めている。
詳しくはセトルラーム共立連邦/地方行政区分を参照のこと。

外交

 主に友好関係を深めているのがユミル・イドゥアム連合帝国で、戦後親善交流を基軸とした平和外交を継続する。
詳しくは、セトルラーム共立連邦/国際関係を参照のこと。

軍事

 詳しくは、セトルラーム共立連邦/軍事を参照のこと。

 大統領直属の主な軍事部門として、対外工作・情報保全・治安維持を総合的に担当する公共安全管理局(通称、KaTa)が存在し、必要に応じて友好各国との連携を取っている。また、連邦国防省による正規軍(連邦国防軍)の指揮統制も継続。共立公暦998年における『セ連・ティラスト宗派ディルムバルク強襲テロ事件』『第715次ヴァンス・フリートン大統領暗殺未遂事件』『共立連邦内務省・特別憲兵総隊軍事クーデター未遂事件』(これらを纏めてイドルナートの大火と総称する。首謀者は軍上層部の過激派およびロフィルナ王国の対外情報機関・破壊工作部隊総司令の可能性が濃厚とされた。)を受けて対策を強化した。メイディルラング系列の海賊放送によると、ユミル・イドゥアム連合帝国指揮下の帝国官房がセトルラーム各地に潜伏して久しく、外交の在り方を巡る連邦政府内の軋轢が生じた疑いも指摘される。同999年。連邦内パルスポル星系に駐留する共立機構国際平和維持軍外域・セクター監察軍FT執行第1艦隊司令部は、フリートン政権による共立三原則の履行状況を確認の上、適切に対応していく旨を強調した。一方、セトルラーム自体が文明共立機構に多大な供出を続けている現状、同最高評議会との合意によるカバーストーリー工作説(事態収束のための情報統制実行疑惑)も浮上し、一般的には複雑すぎる内容として認知された。

エピソード

炎上する大統領

 一部から神格化されているが、共立主義者の革を被った「独裁者」であるとも言われる。実際に民主化以前の時代には多くの政敵を粛清するなど、力の限りを尽くしていた。アリウス大公率いる改革派が実権を掌握して以降は姿勢を改めたようであるが、それも自らが生き残るための方便に過ぎないと見られている。反面、腐敗の温床とされた主要軍閥を手懐け、糾合に至らしめた実績もあり、功罪合わせて語られることが多い。そんなわけで今でも一定の人気を保っているが、人によって大分見方が異なるようである。今日では、セトルラームを代表するマスコットキャラクターとしてミーム化され、左右を問わず様々な場面で燃やされたり茶化されたりしている。……どうしてそうなった。アリウス大公の御前で号泣芸を披露することに定評があり、そのパフォーマンスが面白くて支持者になった国民もいる。政策の目玉として労働を含む「苦役からの解放」を訴えているが、「早々に辞任して解放されてほしい」と首相であるゾレイモスに即答された。そんなフリートン大統領の迷台詞『大統領は炎上するものだ』。暴走する大統領を首相が諌める構図が出来上がっており、そうした状況に怒る野党は「衆愚政治を極めている」と非難している。

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最終更新:2025年07月25日 22:57

*1 国際通念上は欠陥のある民主制として認知される。時の大統領の政治力次第では政敵を弾圧できてしまう危うさを抱えているため。

*2 セトルラーム政府が希求する国際協調路線には諸説あり、専門家の間でも意見が分かれるところである。異なる陣営間の雪解けに尽力してきた実績を持ち、オクシレインをはじめとする一部の勢力から調整役としての役割に期待された。一方、絶大な経済的威力を前面に押し出す外交姿勢から怒りを募らせている中小国家も多く、簡単には評価できないテーマとして認知される。

*3 翻訳の技術自体は旧暦の遥か以前から存在したが、携帯可能なものになると非常に割高であったり、諸星系との距離感、その他の問題など複合的な要因に阻まれて長らく普及しなかった。そうした状況も共立時代における技術革新によって克服され、一旦は普及する流れを迎えたものの、翻訳自体を妨害できる技術も登場し、多くの利害関係者が地道な言語習得に回帰せざるを得ない事態へと推移した。

*4 作:PixI

*5 作:PixI

*6 野党、その他の支持層からは「大統領個人に忖度した御用組合」として批判されている。

*7 この消費者給付制度には医療費も含まれており、国民の申請によって即座に審査、上乗せされる。人工知能の判定に不服がある場合は最寄りの市役所か国の福祉監査部門、裁判所等に訴える権利も保障された。

*8 作:AIピクターズ

*9 作:NovelAI