セトルラーム共立連邦 > 国際関係


概要

 当記事ではセトルラームの外交について纏める。

外交の基本方針

 交通の要所を占めるセトルラームにとって、周辺国との衝突は文明の存立を揺るがす死活問題となりかねない。そのため、共立三原則(主権擁護、平和協調、内政不干渉)を基軸とする全方位外交を展開。特定国の暴走を抑制しつつ、陣営間の妥結を促す方針に傾いた。具体的には共立同盟など、一定の安全保障体制を維持しながら国際情勢のコントロールを試みるものである。そうした利害調整の手法は時に曖昧であり、同盟内外の不信を誘うことから交渉に支障をきたす事例も散見された。全体としては概ね国際社会の支持を得ているため、調停国としてのイメージが定着した。

国際関係

国交主要締結国(二国間の主な条約・協定)

ユミル・イドゥアム連合帝国.★★★★★★(最大貿易相手国.同盟+姻戚)
 セトルラームと連合帝国の関係は、星間社会における最も緊密な絆の一つである。内政不干渉を基軸に据えた強固な防衛体制を築き上げ、軍事貿易では他の追随を許さない活発な取引を続けている。両者は異なる政治体制を持ちながらも、長年にわたり信頼と相互依存を深め、運命を共にする一蓮托生の関係へと進化した。経済面では、両国の結びつきは、もはや切り離せないほど深く、星域を跨ぐ交易網は双方の繁栄を支える大動脈となっている。一部のメディアは、この緊密さを「事実上の同一国家」と評するほどであり、両国の経済は互いの存立に不可欠なものとなっている。連合帝国は、セトルラームの共立党政権を率いるフリートン大統領を強く支持する姿勢を明確にしている。この支持は単なる外交辞令に留まらず、両国の政財界の結びつきをさらに強固なものとしている。セトルラームで政権交代が起きれば、連合帝国にも波及し、双方に不利益をもたらす可能性があるため、政財界の癒着は一層進んだ。こうした関係は、星間交易の安定と軍事協力の深化を支える一方で、両国の指導者たちが互いの体制を維持するために緻密な均衡を保つ必要性を生んでいる。この同盟は、単なる利害の一致を超えた「実績への信頼」によって結ばれている。両国は姻戚関係を通じて血縁の結びつきを深め、共立三原則に基づく協調を文化や価値観の共有にまで広げてきた。こうした交流は、両国の間に強い一体感を生み、星間社会における揺るぎないパートナーシップを実現した。この深い結びつきは、時に過度な依存への懸念を呼び、独立性を保ちつつ協力を維持する難しさをセトルラームに突きつけている。

  • 宇宙新暦4550~。共立公暦0年改正。イドゥニア平和友好条約(通商及び相互不可侵)
  • 宇宙新暦4550~ゼスタル魔導研究協定(特定魔法技術の共同研究)
  • 共立公暦0年~犯罪人の取り扱いに関する協定(犯罪人の引き渡し)
  • 同0年~セトルラーム・イドゥアム相互移民協定(被差別難民の処遇)
  • 同10年~カーマフォルト文化共有協定(文化保全に関する取り組み)
  • 同520年~メルトヴァーナ租税条約(脱税及び二重課税問題の是正。双方進出企業に対する免税)
  • 同522年~クラック対処協定(暴走クラック対策)
  • 同550年~セトルラーム・イドゥアム経済連携協定(軍事及び宙域船以外の関税撤廃)
  • 同620年~ルドラトリス安全保障協定(防衛協定)
  • 同620年~パッションベルム交易協定(イェルバーニ~帝国間のレアメタル貿易)
  • 同800年~イドゥアム・セトルラーム生産協力協定(特定生産物の相互供給)
  • 同800年~環イドゥニア星域T.B.N.S.L連携協定……不老人口の増加に伴う社会不安の抑制を趣旨とする。(T.B.N.S.関連の意識保全契約)
  • 同838年~通信技術に関する相互研究協定(通信技術の共同研究)

オクシレイン大衆自由国.★★★★★(重視)
 一部イデオロギーの相違から、軍事上、一定の対立構造を保っているが、三国連携*1が進む近年では過去の出来事として忘れられつつある。
個別の関係性では常に緊密化の一途を辿っており、イドゥアム帝国に次ぐ規模の貿易量を誇った。
各種外交事案に関して多くの情報共有を進めている関係上、一部では事実上の軍事協力関係と見なす向きもある。

 セトルラームにとって、シナリス連合(通称、ピースギア)は、かつて安全保障上の脅威と見なされていた。その技術力は共立世界でも際立っており、セトルラームの戦略家たちはピースギアの動向に強い警戒心を抱いていた。しかし、国際的な技術競争の激化が宙域全体の不安定化を招くリスクを孕む中、フリートン政権は共立三原則を基盤に、ピースギアとの協力体制を構築する道を選んだ。対立ではなく協調を通じて、技術の進歩を星間社会の安定に繋げる試みだった。この協力は、両者の技術者が知識と理念を交錯させる場から始まった。ピースギアの厳格な倫理基準と、セトルラームの相互主義に対する姿勢は、時に双方の軋轢を生んだ。技術管理の解釈の違いから、共同の場で軽い対立が起こることもあったが、こうした齟齬は互いの理解を深める契機となり、信頼の礎を築いた。セトルラームは、ピースギアとの二国間協力にラヴァンジェを加えた、新たな技術提携の枠組みを構築した。ピースギアとの交流は、セトルラームに技術開発の倫理的側面を再考させる転換点となり、自国の技術管理における安全性の強化を進める契機を得た。この関係は、セトルラームが調停国としての役割を果たす上で、重要な一歩となった。

  • 共立公暦700年~クオリアイト貿易協定(特殊鉱石の輸入)
  • 同700年~B.N.Sゲート敷設契約(注:特別に記載しているが、他国とも必要に応じた契約関係を結んでいる。)

聖玄羅連邦.★★★★★(重視)
 セトルラーム領域から遥か遠方に位置し、直接的な利害の衝突が見られない。逆に双方の優れた技術に関心を持ち、年々交流を深めつつある。
  • 共立公暦805年~グロノヴェイル条約(複数国の租税に関する取り決め)
  • 同850年~セトルラーム・玄羅経済連携協定
  • 同875年~セトルラーム・玄羅魔導研究協定

ツォルマリア星域連合直轄領.★★★★(友好)
 独自の軍隊を持っておらず、防衛同盟を結ばないが緊密な経済協力関係を構築している。
  • 共立公暦0年~ツォルマリア・セトルラーム生産協力協定(特定生産物の相互供給)
  • 同0年~ツォルマリア・セトルラーム経済友好協定(貿易及び企業活動に関する取り組み)
  • 同522年~クラック対処協定(暴走クラック対策)
  • 同535年~グロノヴェイル条約(複数国の租税に関する取り決め)
  • 同750年~セトルラーム・ツォルマリア社会保全協定(人口統制及び新規市場の開拓に関する取り決め)

エルカム交通公団.★★★★(友好)
 交通事業において一定の経営協力を保つ。同盟外友好国。

キルマリーナ共立国.★★★★(友好)
 共立秩序を巡るイデオロギーの相違により、一定の対立構造を保つ。個別の関係において致命的な問題は存在しない。

 紛争領域における一連の海賊行為を警戒するが、年々貿易量が増えつつあり事実上の友好関係となった。
対イドゥアム政策については緊張緩和のための努力を継続中で、経済的観点からの説得を試みているのが現状とされる。
  • 共立公暦522年~クラック対処協定(暴走クラック対策)
  • 同535年~グロノヴェイル条約(複数国の租税に関する取り決め)
  • 同685年~セトルラーム・メイディルラング経済連携協定(自由貿易)

ソルキア諸星域首長国連合.★★★★(友好)
 対メイディルラング政策において一定の協力関係を保つ。個別の関係において致命的な問題は存在しない。

ラヴァンジェ諸侯連合体.★★★(同盟+平常)
 内政不干渉を基軸とする強度の防衛体制を構築。連合帝国と比べると交流自体は控えめだが、国際安保において強度の連携を保っている。対オクシレイン政策を巡る意見の相違から、一部外交上の齟齬をきたした。セトルラーム政府としては、対ロフィルナ制裁に関するラヴァンジェ側の消極的姿勢を非難してきた経緯がある。一方、同盟その他の取引における基本路線自体は継続しており、経済的観点から事実上、膠着しているのが現状と見なされた。アポリア対策の一環として、現象魔術師機関による捜査権限のフリーパスを与えて久しく、度々、交渉材料として用いてきた。

ユピトル学園主権連合体.★★(同盟+警戒)
 旧暦時代において独立された歴史を持つ。長年の平和維持活動が奏功し、近年、一定の緊張緩和に至った。あくまでも軍事的な意味での緊張の緩和であって、国際秩序の在り方を巡る双方の意見は依然として対立している現状がある。ユピトル政府はセトルラームによる旧暦時代の搾取に懐疑的な立場を取るが、一方のセトルラーム政府は過去数世紀にわたる経済支援をもって解決済みであると抗弁しており、ロフィルナ問題を巡る解決策について未だ合意の見通しが立たない。

カルスナード教王国.★★(警戒)
 技術進歩の在り方を巡る重大な齟齬が見られる。相互理解のための外交努力を継続中。

 特異な政治思想を持っており、重度の懸念を拭えないが、現時点において脅威と見られる動きは確認していない。

ロフィルナ王国.★(敵対)
 形式上の同盟国にして事実上の敵対国。ともにロフィルナ文明圏を構成するが、現行秩序に対して暴走の危険性を孕んでおり、一挙手一投足を睨んだ。
近年の大規模なテロ活動を受けて一線を超えたものとみなし、武力制裁の準備を進めている。

以下、すべての合意内容を凍結し、1001年~ロフィルナ王国に対する宣戦布告の方針を固めた。

仲裁外交

 貿易立国であるセトルラームにとって、国際緊張の高まりは死活問題となる。
そのため、敵対する星間諸国の間を取り持っており、世界の均衡維持に取り組むなどブロック経済構造の緩和に努めてきた。
不測の事態に備えて黒丘同盟との窓口も補強していることから、名実ともに調停国としての評価を得た。

  • 同592年:戦後問題に係る対オクシレイン政策.グロノヴェイルの戦闘
  • 同665年:イドゥアム・キルマリーナ間における軍事衝突の回避(備考:帝国政府はセトルラームによるゾラテス星系の統治を要請。それは間もなく承認された。)
  • 同830年:イドゥアム・キルマリーナ間における国家貿易の再開

租税条約枠組みの拡大

 重度の福祉政策を採用するセトルラームにとって、富裕層による脱税は死活問題となる。特に基幹産業の移転は国の経済を左右しかねず、技術保全の点から見ても大事になることから連邦政府は情報共有ネットワークの普及に努めてきた。追跡の第一段階として、最大取引相手国となって久しいユミル・イドゥアム連合帝国と二国間条約を締結。これにより、長きに渡って続いた二重課税問題が是正され、両国間の企業活動を促進させたのである。時代の流れとともに敷設されるゲートルートの発展は星系間の距離を縮める効果をもたらし、必要経費の低下に伴って脱税を試みる者も再び増加傾向を辿った。フリートン大統領は、巧妙に税逃れを図る旧体制派の政敵を追い詰めるため、キルマリーナ、ツォルマリア、カルスナード、その他のイドゥニア諸国と次々に条約枠組みの拡大を進めてきたのだという。

その他の国際同意枠組み


国際問題

被差別種族に対する戦後保障

 セトルラーム連邦軍は、過去の大戦における反攻作戦において、イドゥアム帝国に属する多数の大都市を焼き尽くし、夥しい数の市民を虐殺した。これは帝国軍がセトルラーム本国に侵攻した折、戦略兵器を用いて諸星系を壊滅させたことに対する報復であったが、連邦軍は捕らえた帝国臣民に対し、老若男女を問わず様々な組織的虐待を行ったのである。また、民間船(病院船を含む)に対する無差別攻撃を始め、航宙要塞を地上に墜落させる。絨毯爆撃を継続し、捕虜を盾代わりに用いるなど、今日ではおよそ考えられない作戦を実行していた。戦後交渉において、イドゥアム帝国はそうした連邦の残虐性を非難したが、セトルラームの視点から見ると帝国こそ差別政策の権化であり、非道の限りを尽くしていること。悪童の如き侵略を繰り返し、それでいて被害者のように振る舞うその姿勢に多くのセトルラーム国民が激烈な反発を示したのである。

 矢面に立つフリートン大統領としても、敵性種族に対する帝国の悪魔的所業を見るにつけ、どのような誹りを受けようと侵略者の戯言にしか映らなかった。以上の流れから、帝国に対する根深い憎悪が燻っていたものの、事態の拡大を望まぬ両国首脳は賠償によらない保障方法を模索し、その結果、移民協定の締結に至ったのである。共立公歴0年。時の救国政権は、世論の反発にも関わらず係る難民に対する保障を断行した。一方の帝国領内においても敵性種族に対する差別政策が廃止され、段階的な社会保障プログラムが浸透していく流れとなる。両国間の憎悪は長らく当事者を苦しめたが、共立時代における支援活動を通じて徐々に緩和されていった。暫しの時が経過し、相互安定を迎えてから暫くすると、フリートン大統領は自国軍が行った過去の所業について間違いを認める旨の声明を発した。これを事実上の謝罪として見る者もいたが、少なからぬ数のセトルラーム国民が自国の正当性を信じており、国際外交において完全に触れてはならない禁忌となってしまった。

文明の在り方を巡るカルスナード国民との論争

 カルスナード教王国は古の時代、侵略者(星間機構ツォルマリア文明)によって母星を枯渇させられた歴史から厳格な自然信仰に基づく権威主義体制を取る。共立機構が徹底する内政不干渉の原則により、政府間の関係は表面上平静を取り繕っているものの、互いの国民感情においては譲れない問題が多く事実上忌避的な様相を呈した。過去の星間戦争を教訓とするカルスナードの民にとって、神の領域に踏み込む特定技術の封印は何よりも厳守すべき生命の原則とされる。そのため、魂の操作も厭わぬセトルラームの行動は自然の摂理に反した恐るべき所業としか映らず、両者の隔たりが際立った。一方のセトルラーム国民にとって、あらゆる知識を学ぶことは自然の摂理に反するものではなく、より良い社会を築くために必要な当然の権利として受け止められる。尤も、全ての先端技術は然るべき教育と高い倫理意識をもって管理しなければならないことを前提とするが。道徳のために節制を尊ぶカルスナードの民と、人権のために発展を志すセトルラーム国民の論争は平行線のまま今日を迎えた。

クラック暴走事件を巡る人権問題

 共立公暦517年。クラック暴走事件(515年)に端を発する国内世論の高まりを受け、連邦総議会は、係る異能力の規制を趣旨とする特別安全対処法を可決させた。この法律は、所定の要件を満たす『危険能力者』への監視を継続し、必要に応じて個人の選択を制限、物理的な拘束をも可能とする。同519年。当該魔術に関して、差別の助長を危惧するラヴァンジェの抗議(詳しくは、現象魔法/クラックを参照)が続く中、セトルラーム国内においても合憲性を巡る与野党間の議論が紛糾。弁護士団による差止訴訟に発展すると、安全保障を巡る共立世界全体の問題とされてラヴァンジェを含む国際社会の懸念を深めた。同521年。これまでの流れから、一種の魔術脅威論が流布されると、戦争の可能性を危惧した共立機構はこれを否定し、当事国に対して問題の早期解決に取り組むよう求めたのである。その合意内容は、概ね以下の通り。

  • セトルラーム政府は特別安全対処法を改定。クラック個人の基本権を保障し、公的登録の促進に務める。
    また、自主的に憲法改正を進め、基本的人権に係る諸条項の補強を行う。
  • ラヴァンジェ政府は当該クラックの基本権を保障しつつ、対魔措置を含む最大限の協力を各国政府に対して行う。
    その一環として同国内に関連機関(文化・技術交流部門)を設置し、留学生を受け入れる。
  • 当事国を含む関係各国は当該事件を教訓とし、対処協定を締結すること。
    これは共立機構の主導で取り組み、内政不干渉の原則と両立させる形で国際秩序の維持に務める。

 以上の内容は、その後、特に大きな混乱もなく履行されたが、一方で未登録のクラックが難民として認定された場合に、ラヴァンジェ側の引き渡し要求をどのように受け止めるのか不明瞭とされた。同523年。フリートン大統領は、引き続き有効な解決手段の策定にあたるよう関係省庁に指示。その結果、当該クラック(特に非合法出国クラック)に対して軍による保護プログラムの適用も可能とする。このような試みは、表面上、『内政干渉にあたらない国内基本政策の一環として制定されたものである』と説明されるが、一方のラヴァンジェからは終了措置に対抗する挑発行為と受け止められかねず、現在、解決法を巡る国際社会の議論が継続している。

関連記事

タグ:

外交
最終更新:2025年08月25日 11:10

*1 セトルラーム、イドゥアム、オクシレインの間で合意された。新時代共立秩序。内容の良し悪しについては諸説あるが、これに抗おうとする全ての勢力に対し、外交・軍事の両面からコントロールしようとする試みである。