共立公暦1000年、
ユピトル学園主権連合体の
リンベルーク・アカデミア、サー・フォス・カレッジの
遊理部部室。
霧島兵一郎は軍服にマントを羽織り、「正義の鉄拳装置」のメンテナンスに没頭していた。
35歳の彼は、学生たちの中でも異彩を放つ存在だ。周囲が最新の異能デバイスで遊び呆ける中、彼は「手作業こそ男の魂」と、古い工具を握り締めている。
「ふん、この螺子が正義の鍵だ。緩めば悪が忍び込む!」と、兵一郎は一人ブツブツ呟きながら作業を進めていた。
そこへ、部室のドアが勢いよく開き、
エリカ・キリシマが乱入してきた。彼女の手には酒瓶が握られ、顔はすでにほろ酔い状態だ。
「おいジジイ!聞いてくれよ、さっき酒場でバカどもがあたしに絡んできやがってさ!一発ぶん殴ってやったんだから、HAHAHA!」
エリカは豪快に笑いながら、兵一郎の肩をバンバン叩く。兵一郎は眉をピクつかせ、工具を置いて冷静に反論した。
「エリカ、貴様…また喧嘩か。正義とは酒場の乱闘で示すものではないぞ」と、真面目くさった顔で説教を始める。
だが、エリカは聞く耳を持たず、「うるせえ!あたしに言わせりゃ正義ってのは気分次第だよ!」と叫び、酒瓶を兵一郎に押し付けてきた。
「お、お前……!酒は贅沢の敵だ!俺は飲まん!」と抵抗する兵一郎だったが、エリカの怪力に負け、渋々一口飲まされる。
すると、彼の顔がみるみる真っ赤になり、「こ、この味……!大坂の屋台で飲んだ焼酎に似ておる……!」と、突然ノスタルジーに浸り始めた。
エリカは目を丸くして、「何!?ジジイ、あたしと同じ酒好きだったのかよ!」とゲラゲラ笑う。
その時、遊理部の部長、
スーラ・ヴィ・レクサーニが部室に登場。彼女は狂気的な笑みを浮かべ、手に怪しげな装置を持っていた。
「兵一郎君、エリカちゃん、お待たせ~!新しい実験の時間よぉ!」と、スイッチを押すと、兵一郎の「正義の鉄拳装置」が勝手に起動。
雷を纏った拳型の機械が部室内を跳ね回り、棚を倒し、書類を燃やし、大混乱が巻き起こった。
「貴様ら!これが正義の使い方か!」と叫ぶ兵一郎は、慌てて装置を止めようと飛びかかるが、酔いが回って足元がふらつき、エリカにぶつかって二人とも床に転がる。
スーラは「最高の実験データね!」と拍手しながらメモを取り、エリカは「あたしのジジイ、意外と軽いな!」と大笑い。
混乱の中、兵一郎は這うように立ち上がり、マントを翻して叫んだ。
「貴様ら、正義を笑いものにする気か!俺の鉄拳が…俺の鉄拳がぁ!」
だが、その声は装置の爆発音にかき消され、マントが焦げ臭い煙を上げていた。遊理部のメンバーは大爆笑し、兵一郎は「これも試練か…耐え難きを耐えるのみ!」と呟きながら、悄然と床に座り込んだ。
結局、部室は半壊し、風紀委員会から呼び出しを食らった兵一郎。
だが、エリカが「あたしのせいにしとけって」と肩を叩き、スーラが「次はもっと面白い実験にしようね」とウインクしてきた。
彼は深いため息をつきつつ、「この孫娘と部長…正義の道は険しいな」と呟いた。
しかし、その目にはどこか楽しげな光が宿っていた。こうして、霧島兵一郎のコミカルな一日は、笑いと混乱に満ちた幕を閉じたのだった。
最終更新:2025年04月08日 00:14