イズモ「共立側からは“こっちの日程で他の恒星系巡らん?”って言われてるけど、1年くらいは探査と開拓メインにやっていこう」
KAEDE「りょーかい。まあ、当然かぁ」
嬉しそうな声で返すKAEDE。どこかほっとしたようでもあった。
イズモ「とりあえず、採掘と第二本部の建設、始めようか」
KAEDE「了解」
早速端末を操作し、地形スキャンと周辺状況の確認に入る。
この恒星系の探査目的で、ネットワーク用衛星群をエルニウスの砲弾に格納し射出。その申請は無事に許可され、実行に移された。
数時間後――
新たに得られたデータには、興味深い情報が含まれていた。
主な鉱物は石英・長石。さらに微量ながら鉄も存在。大気は窒素・炭素主体である一方、ケイ素含有量が高く、核種の調査ではアクチノイド系元素が大量に検出されていた。
中でも注目すべきは――
ダイヤモンドを人工的に大量生成可能な元素構成があることが判明したことだった。
一方で、惑星表面に散在する人工的な精製済みの鉄構造も確認された。
だが、それらの場所はすでに**“荒れ地”化**しており、管理不要な状態だった。
イズモ「なんか、こう……やる気は感じるけど、後処理テキトーって感じだなぁ……」
資料を見つめながら、眉をしかめる。
KAEDE「領土問題も“球面だなんだ”でうるさかったですしね……」
苦笑しながら肩をすくめる。
その矢先――新たな“物質”が発見された。
イズモ「なにこれ?」
手に取るのは、青みを帯びた薄紫色に光る黒玉模様の鉛色金属。
KAEDE「なんて金属?」
興味津々といった面持ちで端末にスキャンをかける。
この物質は鉄に酷似した構造を持ちつつも、異常なまでの堅牢性と高いエネルギー潜在値を有していた。
しかもこの星に特有の元素構成であることが確認される。
イズモ「これは……エネルギー鉱石っぽいけど」
KAEDE「そうね。これ利用すれば何か作れそうだね」
さらに調査を進めると、別の特殊鉱物も見つかった。
この鉱石はポータルの原料に酷似した性質を有し、ワープ時のエネルギー効率を飛躍的に上昇させるだけでなく、
励起加工により、変換可能な膨大なエネルギーを生成できることがわかった。
しかも、この物質は――直接ポータルに変換可能である。
イズモ「やば……この星、まじで宝庫じゃん」
KAEDE「けど、そこまで都合良すぎると、逆に怖いですよね……」
真剣な表情でそう告げた。
さらなる調査で確認されたのは、この星の磁場異常。
クェーサー級の磁場形成反応が断続的に確認されていた。
また、北半球に存在する低標高の三角形状大陸では、表面に淡い燐光を放つクリスタル構造が広範囲にわたって埋め込まれていた。
それは明らかに“人工的”で、そして“何かが存在する”ことを示唆していた。
だが――
2人は、まだそのことを知らなかった。
その後、共立機構に提出する調査報告書に、これらの資源情報を含めて送付。
さらに、シナリス星系内での駐屯地建設についても、正式に打診を行った。
イズモとKAEDEは、新たな時代の開拓者として――
未知と可能性に満ちたこの星に、確かな一歩を刻み始めたのだった。
最終更新:2025年06月27日 20:23