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共立世界 > 神々の防壁


概要

 神々の防壁は、共立世界に遍在する時空障壁である。
事象災害に分類される諸現象が連なることで成り立ち、星系の間を渡る移動の成否を規定する。
共立世界の諸文明は、この障壁を宇宙構造の与件と見て航路と技術体系を組み立てた。

初心者向けの解説

 神々の防壁は、船が星から星へ渡るときに、目指した場所へ辿り着けるか否かを左右する時空の障りである。
共立世界(責任世界)の宇宙には跳躍の計算を狂わせる歪みが各所に残っており、歪みの濃い空域に入った船は、進む先を見失って跳躍が止まる。
歪みの正体は、古典古代の世界であるヒュプノクラシアが備えていた時空の秩序の名残で、神が世界の運行を種族に委ねた後に残った部分にあたる。
残った部分が各所で災いの形を取ったものが事象災害であり、連なり全体を纏めて指す言葉が『神々の防壁』である。

 外から共立世界(以下、現世)へ入ろうとする船も、同じ歪みの影響を受けると考えられている。遠くの勢力が艦隊を送り込む事態が起きれば、歪みの海を渡る途中で隊列が乱れ、目指した星系に届く前に散り散りになる展開が想定されている。攻める側は補給の線を長く引く必要に迫られるため、侵攻の成算は低いという見方が学者の間で語られてきた。以上は推論の域にある話で、外から大軍が攻め寄せた事例の確認は現在も課題として残る。現世の各国は、来襲の可能性を遠い想定に置いたまま、備えの厚みを内側の災害に向けている。外を隔てる働きと内側の不便は、一続きの歪みから生じた。障りは内と外を同じ扱いにするため、現世の住人は、隣の星系へ荷を運ぶだけでも大きな手間を強いられる。船が通れるのは歪みの弱い区間を繋いだ細い航路だけで、幹線から外れた空域には便の回る間隔が長い。物資が届くまでに長い時間がかかり、通信の返事も同じだけ遅れる。災いが大きく広がった空域は封鎖され、該当する文明圏の多くが、補給の道を絶たれた状態での維持を強いられる。

成立

 古典古代の世界構造であるヒュプノクラシアは、まどろみへ落ちていく世界であり、落下の半ばで魔法が現れた。古典古代に通ずる理論であるレトロジックには、それ自体が力を備える自己現実性があり、世界法則の維持を理の内側で成し遂げた。法則が理の側で自ら実現していたことから、空間を渡る行為は理の承認によって成り立ち、距離の処理は種族の技術の外側で完結した。ドゥルーズ時空では、時の流れが主客の関係として現れたため、一定の速度で過去から未来に進む時間の観念が成立する余地は狭かった。ある年代の出来事が別の年代に接続しうる構造は色歴史の概念に整理され、後世の学者は、この説そのものに疑義を呈した。世界創暦は、神の沈黙の後に近代的な時空観を得た種族が定めた考古学的スケールであって、古典古代の秩序を後から写し取った尺度である。創世に始まる責任の及ぶ範囲を、神と精霊は『ある時』に定め、以後の運行を種族の手に委ねた。転換の時期は共立世界の旧暦時代に相当し、世界法則を自ら実現していたレトロジックの自己現実性は、種族の自立とともに後景に退いた。維持の働きが退いた時空では、法則の実現が種族の解釈に移り、線形の尺度に写し取る作業が空域ごとに進んだ。写し取りの届く範囲は星域ごとに幅を持ち、余りの部分が時空の歪みとして各所に残った。歪みは、跳躍の演算が負荷を加えるたびに表面化し、個々の災厄に姿を変えた。魔法文明圏では高位の儀式が同じ負荷を与え、災厄の発生が重なった。発生した年代については、色歴史の性質を受けて複数の年代に跨がる記録が並び、起点の特定は現在も割れている。災厄の連なりは星間空域の各所で持続し、跳躍の途絶えた区間が各文明の航路図に書き込まれた。

構造

 障壁の実体は、時空連続体に残る歪みの集合であり、境界の形は空域ごとに定まる。

作用
 防壁の作用は、空間跳躍の経路上で座標の対応が崩れる形を取る。跳躍を始めた船体では、出発点と到達点を結ぶ演算が中途で参照先を失い、跳躍そのものが途絶える。演算の側から見た障壁は、線形の尺度で書かれた座標の系に対して古典古代の秩序が割り込む事象にあたり、割り込みの深さが跳躍の成否を分ける。障壁の強度は空域ごとに推移し、発生中の事象災害の規模に連動して増減する。位相の裂けた区間では作用が濃く重なり、波動の縮拡が進む区間では、その輪郭が伸び縮みする。強度の高い区間を横切る跳躍は、演算の途中で座標の解が複数に分かれ、船体の到達点が確率の幅を帯びる。距離の長い跳躍ほど経路が多くの区間を跨ぐため、強度の低い空域でも累積の歪みが跳躍を止める場合がある。航法の側は、区間ごとの強度を積算して経路の可否を判じる手順を採り、積算の値が閾を越えた経路は封じられた。

応答
 障壁は、災厄の種別ごとに異なった振る舞いを示す。異相亀裂が生じた空域では、時空連続体の歪みが残るあいだ作用が局所的に強まり、重力の異常と重なって航行の判断が揺れる。時空遊動が影響を及ぼす領域は、時間の進行に揺らぎを抱え、跳躍の演算が前提とする同時性が崩れる。星火戦争に由来する領域の他に、発生の原因を追跡中の領域も観測され、両者で障壁の応答は似た形を取る。局所世界変動によって外側の次元が引き寄せられた場合、障壁の作用は接触の面に向き、流入の経路を細める。転移者の発生は、この経路と結び付き、流入の量は障壁の応答に応じて変動する。魔法文明圏に由来するアポリアが加われば、法則の破綻が時空の歪曲と結合し、空域の性質が書き換わる。裂泉崩域と重なった空域は、惑星ベルディンに由来する泉域の現象が障壁の歪曲特性と融合したもので、範囲が波動的に変動する。

観測
 障壁の検知は、直接の測定を避け、周囲に現れる異常の指標を拾う手順で行われる。光の屈折の異常が手がかりとなり、重力波の乱れを併せて読むことで、障壁の濃い区間の位置が絞り込まれる。観測の網は幹線の周辺で密に敷かれており、分布を示す図の精度は空域ごとの観測の頻度に応じて上下する。強度の値は時間とともに移るため、図の更新は継続の作業となり、幹線の周辺では短い周期で書き換えが進む。障壁の内部に入った観測機の記録は、時間の経過と認知の構造が歪むために揺れを含み、複数の機体の記録を突き合わせる処理が要る。古典古代の秩序に由来する対象へ線形の尺度を当てる作業には原理の限りがあり、値の解釈は仮説の段階に置かれた。観測の成果は各文明の間で共有され、航路図の基礎となる資料に組み込まれている。

波及

 障壁の定着は現世の全体に及び、以後の各文明は星間空域の状態を前提として活動の範囲を定めた。星系間の相互の到達は長い期間にわたって隔てられ、共立世界の内側でも超光速の航行は経路ごとに成否が分かれた。安定した経路の確保が各文明の技術史を方向づけ、ルーゼリック・ワープ航法は歪みの弱い区間を選ぶ手順で星系間の輸送を成立させた。歪みの強い区間では、船体が到達点を失って漂流する事故が続き、既知の航路は太く短い幹線に集約された。幹線の外側に位置する星域は補給の周期が長く取られ、備蓄の計画を独自に立てた。星間通信も中継の設置が重ねられ、障壁の緩んだ区間に沿って回線が伸びた。航行の途絶えた領域が広がった区間では、交易路の寸断が通信網の断絶を伴い、周辺星域は補給を長期にわたり絶たれた。文明共立機構(後に共立銀河連邦)は、災厄の生じた空域を封鎖して被害の範囲を押さえる方針を基本に置き、封鎖の判断は発生後の記録に依存する。既存のワープ理論の見直しが進められ、時空シールド技術の運用には規制の枠が設けられた。高エネルギー実験と次元干渉技術の運用には監視の体制が敷かれ、跳躍を扱う機関には事前の登録が義務づけられた。世界線固着装置は、揺らぐ世界線の値を一点に固定し、航路の座標を保つ方式で開発が進む。各文明の教育機関では技術倫理の課程が強化され、跳躍と高位の魔法の運用に関する指針が組み込まれた。封鎖された空域の周囲には常設の監視網が敷かれ、隔離を終えた空域では航路の再設定が続いた。

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最終更新:2026年08月10日 22:40