- 2 -
隣町へはローカル線に乗っていく。地元のローカル線に乗るのなんて、小学校以来だった。
ふと、ジュニアで野球をやっていた頃のことを思い出す。あの頃は野球というスポーツが自分の中で
確立していく時期だった。高学年の良き先輩であった現在パワフルズの小波さんに憧れ、ただひたす
ら上手くなろうと、プロ野球選手の真似事なんかをしていた。
ただその時点ではまだ、プロ野球選手になる、という目標は、オレの中には無かった覚えがある。
ふと、ジュニアで野球をやっていた頃のことを思い出す。あの頃は野球というスポーツが自分の中で
確立していく時期だった。高学年の良き先輩であった現在パワフルズの小波さんに憧れ、ただひたす
ら上手くなろうと、プロ野球選手の真似事なんかをしていた。
ただその時点ではまだ、プロ野球選手になる、という目標は、オレの中には無かった覚えがある。
本格的にプロ野球選手になろうと考え始めたのは、ある日、ある人から言われた一言だった。
『キミは小学生かい?…凄いな、10年に1度か…或いはそれ以上か…、この球を投げられるのは…』
最初、オレは何のことだかさっぱり分からなかった。とにかくオレは凄いのだと、そう思った。
中学に入ってしばらくした頃だ。あかつき大学付属高校エースとして話題になった、今も小波さんが
ライバル視している、猪狩守さんの必殺のストレート『ライジングショット』。
そのストレートはピストルの弾のようなドリルの回転をする、野球界最強の直球、ジャイロボール。
中学に入ってしばらくした頃だ。あかつき大学付属高校エースとして話題になった、今も小波さんが
ライバル視している、猪狩守さんの必殺のストレート『ライジングショット』。
そのストレートはピストルの弾のようなドリルの回転をする、野球界最強の直球、ジャイロボール。
ジャイロボールという魔球を知ったのは、その時が初めてだった。
いつからだろう。
オレは周りから…といっても、野球部員の中だけだが、天才だと呼ばれるようになっていた。猪狩守
さんと同じ、ジャイロボール。それは、一朝一夕で身に付くものではないのだから。
そしてプロ野球選手になろうと決意した。オレにはそれだけの才能があると、そう思えたから…。
オレは周りから…といっても、野球部員の中だけだが、天才だと呼ばれるようになっていた。猪狩守
さんと同じ、ジャイロボール。それは、一朝一夕で身に付くものではないのだから。
そしてプロ野球選手になろうと決意した。オレにはそれだけの才能があると、そう思えたから…。
<<次はー…あかつきー…あかつきー…お降りの際はー…>>
着いた…。
改札を通ると地元とは違う都会めいた街。地元も結構都会だと思っていたが、多分ここは地元より
人が多いような、そんな感じがした。
オレはポケットに入れていた手紙を取り出し、住所を確認する。歩いて行ける距離のようだ。
改札を通ると地元とは違う都会めいた街。地元も結構都会だと思っていたが、多分ここは地元より
人が多いような、そんな感じがした。
オレはポケットに入れていた手紙を取り出し、住所を確認する。歩いて行ける距離のようだ。
「タクシー拾うまでもないか……あッ、オレ住所知っててもこれがどこか分かんないじゃん!」
「あれっ」
「あれっ」
やっぱりタクシーか…お金が勿体無いなぁ…。
などと思いながら手紙をポケットにしまうと、傍らで声がした。反射的に声のした方へ視線を向ける。
などと思いながら手紙をポケットにしまうと、傍らで声がした。反射的に声のした方へ視線を向ける。
「シズくん!?シズくんだよね!」
「ん…?」
「シズくんだっ、久しぶりだね!私のこと覚えてる!?」
「ん…?」
「シズくんだっ、久しぶりだね!私のこと覚えてる!?」
何だこの女子高生は…。
この辺の高校の子だろうか、今時では珍しいセーラー服で、短い髪にヘアバンド。 久しぶり、と言わ
れてデジャヴを感じたが、多分それは木乃葉さんのことだろう。
オレはこの子と会ったことなんて…
この辺の高校の子だろうか、今時では珍しいセーラー服で、短い髪にヘアバンド。 久しぶり、と言わ
れてデジャヴを感じたが、多分それは木乃葉さんのことだろう。
オレはこの子と会ったことなんて…
…いや、待てよ…オレの事今"シズくん"って呼ばなかったか。
オレの下の名前は雫(しずく)という。中学に入りたての頃、そんなあだ名で呼ばれていたな…。
オレの下の名前は雫(しずく)という。中学に入りたての頃、そんなあだ名で呼ばれていたな…。
「…」
「あー…もしかしてシズくん忘れちゃってるの…?酷いなぁ…」
「え、いや…、んと…間違ってたらごめん…、もしかしてなつきちゃん?」
「あはっ、やっぱり覚えててくれたんだね!」
「あー…もしかしてシズくん忘れちゃってるの…?酷いなぁ…」
「え、いや…、んと…間違ってたらごめん…、もしかしてなつきちゃん?」
「あはっ、やっぱり覚えててくれたんだね!」
そうだ、この子の名前は藤乃なつき。中学校まで同じだった、幼馴染みみたいなものだ。中学1年の
時に同じクラスになって以来、2年3年はクラスが違って特に顔も合わせることなく卒業。その後はお互
い別々の高校に進学した。
ついでに言うと、オレは昔こっちに住んでいたのだ。
時に同じクラスになって以来、2年3年はクラスが違って特に顔も合わせることなく卒業。その後はお互
い別々の高校に進学した。
ついでに言うと、オレは昔こっちに住んでいたのだ。
確か…パワフル高校に行ったとかって…、そうか、じゃあこのセーラー服はパワフル高校か…。
そういえばここ、あかつき市は、パワフル高校とあかつき大付属の激戦区だ。
そういえばここ、あかつき市は、パワフル高校とあかつき大付属の激戦区だ。
…にしても4年も顔見ないとこんなに変わるものなのか…。
「良かったっ、シズくん私のことちゃんと覚えててくれて…、それよりどうしたの?」
「あ、ああ、実はさ、人に来るよう言われたんだけど、住所がよくわからなくて…」
「ん~?どれどれ?」
「あ、ああ、実はさ、人に来るよう言われたんだけど、住所がよくわからなくて…」
「ん~?どれどれ?」
なつきちゃんに言われてオレはポケットにしまった手紙をもう一度取り出す。
「あー、ここ、加藤クリニックだと思う、多分」
「加藤クリニック?」
「加藤クリニック?」
何か聞いたことあるぞ…?…その、『加藤』って部分…。
「うん、凄く美人の先生がいたんだけど、最近休業が多くて、何でかなって私も気になってて」
「は、ははははは…」
「は、ははははは…」
それってもしかしなくてもさぁ…。
オレは脳裏に浮かぶあの人をもみ消した。まさか本業サボって保健室の先生に…。
オレは脳裏に浮かぶあの人をもみ消した。まさか本業サボって保健室の先生に…。
「私が連れて行ってあげるよ、ここからすぐそこだから」
「あ、うん、ありがとう、なつきちゃん」
「ふふっ、どういたしましてっ」
「あ、うん、ありがとう、なつきちゃん」
「ふふっ、どういたしましてっ」
そういう訳で、オレは理香先生の本業所に行くことになったのだ。あと、なつきちゃんと再開したわけ
だが、この時はまだ…そう、この瞬間はまだ、ただの幼馴染みだった。
だが、この時はまだ…そう、この瞬間はまだ、ただの幼馴染みだった。