『ブルーアイジャパニーズ』
(キャラ)オリヴィア、ロボット三等兵
夢を見た。
……っていうか、夢かどうかも分かんない。
よくわかんないから夢と現実のオレグラッセって感じで処理してほしい。
場所は不明。
宇宙かもしれないし、整体かもしれないし、三途の川のJCTかもしれない。
なんか身体ふわふわ浮いてて、周囲まっくらで、でも真っ暗っていうより『黒いゼリーの中』みたいな感じで。
そこで私は、一人の女の人に話しかけられた。
女の人は、サラッサラの緑色の髪の毛。
なんかこう……美人っていうかさ、なんて言うの?「深夜二時にドンキで急に見かけたらビビるタイプの完成顔面」って感じで。
服も白いし。無駄にヒラヒラしてるし。あと目つきが妙に怖いけど、──でもどこか、神秘性みたいなオーラだけは一丁前に出てて。
『……まぁ、いい』
で、第一声がそれ。
いや何が????? 何に対しての“まぁ”???
絶対「ハズレ引いたけどギリ許容範囲」みたいなテンションだったじゃん今。
オーディションの最終選考落ちた時のスタッフコメントみたいな温度感やめろ。
当然、私もブチ切れるわけ。
「あぁん!? 文句あるならカツカレー食って実家に帰れや!!!!」って怒鳴ってやろうとした。
……でも、声が出ない。
っていうか、口が動かないとかじゃなくて、この空間『喋る』っていう概念そのものがBANされてる感じ?
Wi-Fi切れた。完全に圏外。アンテナ死亡。
ミッフィー。私、口がバッテンのミッフィーちゃんになっちゃった。
だから以降、この知らない女から一方的に声をかけられることとなる。
『……私は嘘は言わないが、本当の事も言わない質でな。分かるか? 今からお前には、何の情もない独り言を届ける。──』
『──血が、たくさん流れた。……バカな男がいたものだ。──』
……血?
……バカな男? え、元カレ?? 刺した??
……あと、嘘も本当も言わないって、どゆこと????
ツッコミとかじゃなくて、ただの質問さえ発せられないこの状況。
脳内でサイレン鳴らしながら発狂する私を置き去りにして、女の独白は加速する。
『──……昨日、少し騒がしくてな。くだらない正義感を抱いた連中がいた。──』
『──悪趣味なゲームを止めると息巻いて……随分と必死だったよ。誰かを守れると、本気で信じていた。──』
『──それで、結果はどうだ? この通り。……滑稽な話だ。──』
『──勝てるはずもないものに抗い、救えるはずもない誰かを救おうとして。結局、自分たちだけが先に死んでいく。──』
『──……だが、人間は、──』『──そういう無意味を、美しいと呼ぶらしい。──』
『──私には理解できん。──』
『──理解できんが……あの馬鹿どもの顔は、少しだけ覚えている』
その瞬間だけ。ほんの、一瞬だけ。
女の人の冷え切った目が、どこか遠くの、絶対に私には届かない場所を見るみたいに揺れた。
黒い海みたいな空間の中で、彼女の声だけがやけに鮮明に響く。
……正直に白状しておく。
この時、私の内心、脳トレのフランス語版を最速RTAで強制プレイさせられてるくらいパニックだった。
女の人が何を言ってるのか1ミリも分からない。脳みそを丸ごと冷水に水葬されてるみたいな感覚。
『あれ、これマジモンの宇宙に投げ出されてる?』って思うくらいには、半端なく息苦しかった。
そんな、バカな私でも。
脳みそを洗濯機に入れて十五分くらいフル脱水されたみたいな私でも。
──二つだけ、分かったことがある。
『これは契約だ。──』
『──見ず知らずのお前に頼んだことへ、詫びはせん。……だが、【共犯者】の主犯として担ってくれ。──』
『──……そして、あの馬鹿共の、無意味だったはずの記憶を、……お前が紡いでくれ。──』
ひとつは、今溢れた言葉が、この人の紛れもない『本心』なんだってこと。
つまり、この人が最初に言った『私は嘘は言わないが、本当の事も言わない』っていう、あのすました態度そのものが、ただの寂しい嘘だったんだってこと。
それと、もうひとつは、
『──命じてくれ。私がお前に授ける【ギアス】で、主催者を、そして、多くの同志を。──』
『──【真に愛されるエンドロール】……お前たちの手で、そんな道筋を作るために』
私の目の前をフワフワと漂う、小さな玉粒の液体に、その人の綺麗な瞳が反射していて。
丸い水滴が、ぼうっ、って熱い赤色に光ったと思った瞬間。
──『右目』の景色が、一変したように感じたってこと。
………
……
…
──カチャッ
「ヒッ、ピギャァァァァァァァァァ!!! 近い近い近い銃口近ァァァァァいッッ!!!!」
「もう一度言います、オリヴィア殿。ぼくは戦争と洗ってないお米が嫌いです。でも、お国の為、『きちくべーえー』はやっつけねば怒られてしまいます。お答えください、あなたはきちくべーえーですか?」
「いやいやいや私ももう一度言うわっ!? NO!! NOきちく!! NOべーえー!! アイアムジャパニーズ!! 寿司!! 富士山!! HENTAI!! お米もちゃんと研いでから炊く派ァァァァァ!!!!」
「……これだから心理戦はきらいなんだ。嘘かどうかぼくには分からない。証明できるものはありますか」
「え?(つか、きちくべーえーって語感かわいいな??)──」
「──……あー、これ分かる?」
「けん玉であります」
「うん。つまり、私はけん玉を持ってる人であって、米英人じゃない!! Q.E.D.証明終了!!!」
「ムムっ、とんちがきいてるなぁ~。お見事であります」
「(あ、危ねぇぇぇぇ……!! よかったぁ、相手が華子スペックでぇぇ……!!)」
◆
『バトル・ロワイヤル』──。
……いやあ、あそ研もとうとうここまで来たか〜って感じだった。
起きたらさ、教室で森口ってセンセーが『殺し合いしてもらいマース♪』とかJ-POPのノリで言ってて、なんかモノホンの銃とか渡されてさ。
……うん、分かるよ。
こういう時は空気読んでさ、「え、怖い……」「お家帰るぅ(涙)」とか可憐に反応すべきってのは、華のJCとして重々分かってる。
分かるよ……分かる……。分かるけども…………──いや度っ!! 度があるでしょっ!!?
現実味の!!!! 限界突破(リミットブレイク)しすぎなんだけどっ?!!!!
これね、100%確信できることが一つだけあるわ!!!!(……いや待って。100%って盛った。スピリタスは98度だからあっちの方がギリ強いわ。……なんだこの例え)
──これは間違いなく、華子の有り余る財力で築き上げた超弩級にタチの悪い『あそび』。
──もはや『あそび』の皮を被ったイジメに、私は巻き込まれてるわけ。
「……そう考えると、全てに合点がいっちゃうよね」
つまりはさ、あの森口センセーは香純の変装って推理づくわけ。
証拠? 妙に敬語が丁寧だったし、あと黒板に【BATTLE ROYALE】って英語書いてたから。香純以外にありえないでしょ。
……え? 森口センセーとの “圧倒的な身長差”だって……?
知るか! 知らないしっ!!
そんなもんシークレットブーツでもバリボリ食べて伸ばしたんでしょ?! シークレットブーツが何なのか知らないけどさ!!!
……まぁ、で。ここからが重要。
問題は、この“あそび”をどう攻略するかになるんだけどさ。
──でもそれも、私の天才的に仕立て上がったIQがもう答えを出していた。
「つまりは『りあじゅー』っぽい参加者をやっつけまくれば、終戦でありますな。オリヴィア殿」
「あぁぁぁそれ冗談だからぁ!!!! ていうか冗談になってないし!! ワードが物騒すぎるし!! あとその“終戦”って言い方やめろ!! 生々しいわ!!──」
「──……てかさ~~、いい加減、そのブリキの被り物外したら……?」
「『かぶりもの』? それも、りあじゅーやうな重と同じくらいおいしいものでありますか」
「うっさい!! てか、設定上あなたロボットなんだから食べれないでしょ!!──」
「──もう~~~!! そのロボットごっこやめてよぉぉ~~!!! 華子ぉぉぉぉぉ~~~~~~~~!!!!」
────この、自称・ロボット三等兵の華子と行動を共にする。
それだけが、私のバトロワ完全攻略の最適解になるわけだった。
「オリヴィア殿、ぼくは戦争がきらいですが、絶対あなたの命だけはお守りするであります」
「そうでありますか……、華子殿、その口調飽きたから早く素に戻ってほしいであります~~……」
どうせ“青春してるやつから脱落”みたいな、性格悪いゲームバランスに決まってる、このバトロワ。
……主催の華子がなんでプレイヤーとして参加してるのかは謎だけど、まぁいいや。(※ほんとはよくない)
丸投げ。考えるのダルいし丸投げ、ポイッ。
全部このロボット(仮)に押し付けて、私は後ろで適当に生き残る。
“努力しないで生還する”こそ、オリヴィア・生存戦略だ。
だってワタシ、ガイコクジンダカラ、ニホンノゲームルール、ヨクワカラナイデ~ス♪
「…………で、そろそろツッコんでいい? ……大戦用ロボット……だっけ、きみ」
「その通りであります。ぼくは大日本帝国防衛の為に開発された、最新鋭・大和魂搭載型決戦兵器であります!」
「……はいはい。……じゃあ背中に書いてるその文字列、見ちゃダメなやつ?」
「ややっ、そこに気付くとは。さてはオリヴィア殿も……『MADE in America』仲間でありますか?」
「…………。……同士よ~~、大志を抱け~~~。……はァ~……」
……うん、機械に丸投げね。
食洗機だって外国製の方が強いし。
つまり、このロボットも多分なんとかなるでしょ。……知らないけど。
………
……
…
◆
……パチパチと瞬きをする度。
さっき見たあのドロドロした宇宙の景色が、一瞬、本当にコンマ一秒だけ、脳裏の焼き付く。
アポクリンとか、汗とか、そういういつもの悩みより先に、妙に右目の奥がに熱くて、じわじわと痒む。
試しに、私はさっきの契約を思い出しながら、華子ロボへ命令してみた。
「オリヴィアが命じるッ──」
……当然だけど、何も起こらなかった。
華子ロボが「おお〜」って拍手して、それで終わり。…………頼むからそこで終わってくれよ私の中二病、って猛烈に恥ずかしくなった。
──でも。
──時折一瞬だけ見える、あの緑の髪の女の人の寂しそうな顔。
──そして、私の記憶には絶対に存在しない、どこか知らない世界の、血の海の風景。
──そのツーショットは、もしかしたら……この『あそび』が終わった先にある、未来の姿なんじゃないかって。
今はまだ、契約させられた重い大志を、瞳孔の奥底に沈めたままでいる。
【オリヴィア@あそびあそばせ】
[状態]:脇汗インフェルノ、ギアス【絶対遵守】
[装備]:けん玉、アメリカン☆M1ガーランド♪
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×2
[思考]:あそばにゃ損損ッッッ!!
1:とりあえず華子ロボと一緒にいればなんとかなるかも。
2:このバトロワ、絶対華子がノリで始めた超巨大あそび。うわっ、私の推理、冴えすぎ~~♡
3:きちくべーえー……語感サンリオの新キャラっぽくてかわいいな……。
【ロボット三等兵@ロボット三等兵】
[状態]:健康、オリヴィア護衛モード
[装備]:三八式歩兵銃、銃剣
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1、ライスバーガー
[思考]:これだからバトル・ロワイヤルはきらいなんだ。
1:オリヴィア殿を絶対にお守りする。
2:りあじゅーは危険思想の可能性が高いため警戒。
3:戦争は嫌いだけど、上官殿に怒られるのも嫌いなので頑張るであります。
4:きちくべーえーの参加者。もし目の前に現れた暁には……容赦しないであります!
最終更新:2026年05月26日 21:39