『カスJK沙都子と梨花と名も無き天才絵師②』
数日後。
ファミレス。
沙都子、一人。
Tシャツ姿で、だるそうに歩いている。
視界の端。
奥のボックス席。
——あ。
あの似顔絵師。
家族連れ。
子ども、ハンバーグ。
沙都子、一切迷わず近づく。
沙都子「ねえ」
似顔絵師「……あ」
沙都子「書け」
「今すぐ」
似顔絵師
「ここ、食事中で——」
沙都子
「さっさとしないと警察言うから」
「さっきから変な目で見られてるって言えば終わりだし」
完全に嘘。
でも言い切る。
似顔絵師、
一瞬だけ黙る。
それから、笑顔。
似顔絵師
「少しだけなら」
沙都子、当然のように座る。
すぐスマホをいじる。
検索。
ホラー画像。
で、似顔絵師の息子に画面を向ける。
子ども
「……ひっ」
数秒後、泣く。
沙都子、鼻で笑う。
沙都子「うわ、弱」
「はしゃぐの好きそうな顔してたのに」
似顔絵師、何も言わない。
ペンを動かす。
沙都子「てか、まだ?」
「遅すぎ」
似顔絵師「もう少しです」
沙都子「どうせさ」
「絵で食ってけてないでしょ」
似顔絵師「……」
沙都子「親に仕送りもらってるタイプだよね」
「プライドだけ高いやつ」
似顔絵師「……」
沙都子「晒すわ、このゴミ」
数分後。
似顔絵師「できました」
沙都子「は? はぁああっ??!!」
ナプキンを差し出す。
そこにあるのは、完璧に“盛られた”沙都子。
大きな目。
やわらかい輪郭。
嫌なところは全部消えてる。
沙都子、一瞬だけ無言。
……可愛い。
自分が。
胸の奥が熱くなる。
正直、
めちゃくちゃ気に入ってる。
でも。
沙都子
「……いや死ねって……」
沙都子
「バカ!!」
「下手!!」
「ゴミ!!」
「才能ないから!!」
顔を赤くしながら、ひったくる。
沙都子「二度と描くな!!ブス!!!!」
そのままダッシュで退店。
残された席。
子供は泣き止んだ。
似顔絵師、笑顔でその背中を見送る。
終
最終更新:2025年12月24日 22:53