『海より深い姉妹の愛』
梨花「何故スーパー……?」
沙都子「安いからだよ」
梨花「綾小路きみまろ好きそう」
沙都子「あんたのババァ煽り、だいぶ高火力だよな」
梨花「スーパーでネギ界隈」
通路の向こう。
中学生くらいの女子が三人、
菓子棚の前で固まっている。
沙都子「……」
梨花「いやなに盗み聞きしてんの。ヤバ」
沙都子「面白いから。動物園感覚的な?」
梨花「あんたと優子の会話のほうがよっぽどモンキーだよ」
一瞬。
中学生A「ねぇ見た?古手w」
中学生B「うわ、学校来てんの?しぶと」
梨花「……ん?」
中学生C「バッドデイ確定」
中学生A「雉子見た瞬間、今日終わったって思うんだけど」
中学生B「わかる。空気一気に湿るよね」
中学生C「てか教室いなくね?また保健室?」
中学生A「“具合悪い”って便利だよな」
中学生B「毎日悪いならもう来んなって話」
中学生C「いるだけで周りが気遣わされる系、ほんと無理」
中学生A「先生も腫れ物扱いだし。特別枠うざ」
梨花、視線を落とす。
制服。
見覚えがある。
妹と同じ中学。
梨花「……何それ」
沙都子「おめぇも耳ダンボやんけ」
中学生A「つか普通自分の娘に雉子ってつけます?って話」
中学生B「遺伝子ガチャ外れ」
中学生C「だからああなるんでしょ」
中学生A「近づいたらこっちまで運気下がりそう」
梨花「……沙都子、待ってて」
沙都子「へ?」
梨花、無言で方向転換。
店員に近づく。
梨花「すみません」
梨花「あそこの……はい。あの子たち」
梨花「さっきから同じ棚を何周もしてて」
梨花「動き、ちょっと不審で……」
店員「え?あ、はい……」
店員「すみません〜君たち、カバン見せてもらっていい?」
中学生たち「え?」
その瞬間。
梨花、沙都子の腕を掴む。
沙都子「え、なに――」
二人、全力で走る。
通路を抜け、
入口を抜け、
外へ。
沙都子「……察した」
梨花「……」
沙都子「…………スタバ、いこか?」
梨花「……朝まで付き合えよな」
終
最終更新:2026年01月01日 00:34