我らは■■であった。
母は■■を産んだ直後に死に、父と親戚たちによって育てられた。
父はプロレスラーであり、試合に勝つたび弟共々舞台(リング)の上で肩車をしてくれた。
父は小学校の頃、事故で死んだ。ーー否、殺された。
母は■■を産んだ直後に死に、父と親戚たちによって育てられた。
父はプロレスラーであり、試合に勝つたび弟共々舞台(リング)の上で肩車をしてくれた。
父は小学校の頃、事故で死んだ。ーー否、殺された。
父の死後、残された遺産を巡って親族内で諍いが起きた。
事業の不況で金が入り用になった等と言う理由(ワケ)は当時の幼い■■には知る由もない。
ただ、優しかった親族たちが死物狂いの形相で争い、血を流し傷つけ罵り合う小さな地獄に恐怖するしか無い。
迷信深い叔母に「忌み子」と罵しられ、狂った親族から目を背けるように■■は逃げた。
事業の不況で金が入り用になった等と言う理由(ワケ)は当時の幼い■■には知る由もない。
ただ、優しかった親族たちが死物狂いの形相で争い、血を流し傷つけ罵り合う小さな地獄に恐怖するしか無い。
迷信深い叔母に「忌み子」と罵しられ、狂った親族から目を背けるように■■は逃げた。
生きねばならなかった。自分たち以外全てが狂おうとも、■だけは守り抜こうと、猛吹雪の夜の中を彷徨った。
彷徨う中で他の親族を殺戮(ころしつく)した父の兄だった男が暴走(やけ)になって我らを殺そうと迫った。
左虎は■を守るために、弟は左虎を守ろうと。
"割(こわ)れ"ようとしていた我ら兄弟は、医者であり忍者でもある一人の漢に助けられた。
我らにとっての救済(すくい)となり、育ての親としても忍者としても、例が出来ぬ程お世話になったのだ。
彷徨う中で他の親族を殺戮(ころしつく)した父の兄だった男が暴走(やけ)になって我らを殺そうと迫った。
左虎は■を守るために、弟は左虎を守ろうと。
"割(こわ)れ"ようとしていた我ら兄弟は、医者であり忍者でもある一人の漢に助けられた。
我らにとっての救済(すくい)となり、育ての親としても忍者としても、例が出来ぬ程お世話になったのだ。
再び我らは親を失った。
再び、殺された。
再び、殺された。
極道(ヤクザ)の麻薬研究所(ヤクラボ)への襲撃(カチコミ)忍務。
乱入(つっこ)んで来たのは父を殺した極道番長。
左虎の氷も髪糸(いと)も、■の■■も通じぬ、正真正銘の人外(バケモノ)。
救援(たすけ)に来た■■■二人目の育ての親は、極道番長から我ら■■を庇い、望みを託して死んだ。
乱入(つっこ)んで来たのは父を殺した極道番長。
左虎の氷も髪糸(いと)も、■の■■も通じぬ、正真正銘の人外(バケモノ)。
救援(たすけ)に来た■■■二人目の育ての親は、極道番長から我ら■■を庇い、望みを託して死んだ。
悲劇の後、■■はそれぞれ偉大なる親の名を継いだ。
■■■■(■■)■■■、左虎は義父(はせがわ)の名を。
■■■■■■■■■■■■■。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。
■■■■(■■)■■■、左虎は義父(はせがわ)の名を。
■■■■■■■■■■■■■。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。
「"削除(デリート)"」
「"編集(エディット)"」
◆ ◆ ◆
「おはよう、左虎っち」
見知った白衣の女性の声に、覇世川左虎は目を覚ます。
視界は十分、だが頭の中が靄に包まれるように曖昧。何か大事なものが抜け落ちてしまったような。
それでも、覚えている。有耶無耶な思考の中でも覚えているものがあった。
・・・・・
その声も、その姿も、その優しさも、左虎は知っている。
視界は十分、だが頭の中が靄に包まれるように曖昧。何か大事なものが抜け落ちてしまったような。
それでも、覚えている。有耶無耶な思考の中でも覚えているものがあった。
・・・・・
その声も、その姿も、その優しさも、左虎は知っている。
幼い頃に共によく聞いたその声を、覇世川左虎はすべて知っている。
「マイ、先生か?」
「うん。小学校の頃の担任だったマイ先生だよ?」
「うん。小学校の頃の担任だったマイ先生だよ?」
旧知の間柄の如く、覇世川左虎へと軽い口調で語りかける。
左虎の格好は一般のものでなく、白い着物を着飾っているという普通とは少し違う。
それでも、それが当然だと、違和感無くマイ先生は左虎へと接す。
左虎の格好は一般のものでなく、白い着物を着飾っているという普通とは少し違う。
それでも、それが当然だと、違和感無くマイ先生は左虎へと接す。
「……お久しぶりです。小学生(しょーぼー)の頃はお世話に」
「随分変わっちゃったね、左虎っち。まあ、それはあたしもかな」
「随分変わっちゃったね、左虎っち。まあ、それはあたしもかな」
まだ左虎が小学校に通っていた頃、何かと世話を焼いていたのが彼女。
■■■■■になったときも左虎と一緒に探していたのは懐かしい思い出。
父の死後、忍者としての道を歩んでからは出会う機会は無くなってしまった。
変わってしまったと自嘲するマイ先生の呑気っぷりは相変わらずで、その振る舞いは左虎を安心させる。
■■■■■になったときも左虎と一緒に探していたのは懐かしい思い出。
父の死後、忍者としての道を歩んでからは出会う機会は無くなってしまった。
変わってしまったと自嘲するマイ先生の呑気っぷりは相変わらずで、その振る舞いは左虎を安心させる。
「こんな状況じゃなかったら、昔話に花を咲かすってのもやってみたかったなぁって」
「かも、しれぬな」
「かも、しれぬな」
表の恩師との再会、と心を解すには場所が似合わない。
羂索を名乗る女子高生(じぇーけー)、梔子ユメ。
死人に口なし、死人の夢は利用してやると言わんばかりの悪行。
死者の尊厳を踏みにじったものによる、極道以上の悪なる所業。
羂索を名乗る女子高生(じぇーけー)、梔子ユメ。
死人に口なし、死人の夢は利用してやると言わんばかりの悪行。
死者の尊厳を踏みにじったものによる、極道以上の悪なる所業。
断じて、許すわけには行かない。
たとえその過去が何であろうと、それを選んでしまったが最後はそうせざるえない。
帝都■忍、影より秩序を守る忍者として、当然至極の結論。
これ以上にない高難易度(げきむず)の忍務。忍者(しのは)たちまで巻き込まれているのか、その情報の足取りすらつかない。
たとえその過去が何であろうと、それを選んでしまったが最後はそうせざるえない。
帝都■忍、影より秩序を守る忍者として、当然至極の結論。
これ以上にない高難易度(げきむず)の忍務。忍者(しのは)たちまで巻き込まれているのか、その情報の足取りすらつかない。
「……こんな時にごめん、左虎っち。昔の約束、覚えてる?」
「む?」
「む?」
不安げなマイ先生が左虎の顔を覗き込む。
忍者である自分はまだしも、ただの一般人(パンピー)であるマイ先生。
非日常(いじょう)を知らぬ者が、異常に巻き込まれればそのような顔をするのも分からなくもなかった。
頭の中がまだ少し曖昧だ。霧がかったように、なにか忘れているような感覚が引っかかる。
忍者である自分はまだしも、ただの一般人(パンピー)であるマイ先生。
非日常(いじょう)を知らぬ者が、異常に巻き込まれればそのような顔をするのも分からなくもなかった。
頭の中がまだ少し曖昧だ。霧がかったように、なにか忘れているような感覚が引っかかる。
そうだとしても、それよりもマイ先生の言葉に耳を傾けることに集中する。
「もしもの時、あたしのことを助けてくれるって、昔の約束。左虎っちは覚えてないかもしれないかな」
「……そうか」
「……そうか」
かつての記憶にそのような事があったか、と納得する。
死と隣り合わせの修行、度重なる忍務、義父の死。忍者として生きてきて様々な事がある。
過去の記憶全てを覚えている、というわけにはいかない。人は大切なことであろうとも、時間が経ってしまえば忘れてしまう。
死と隣り合わせの修行、度重なる忍務、義父の死。忍者として生きてきて様々な事がある。
過去の記憶全てを覚えている、というわけにはいかない。人は大切なことであろうとも、時間が経ってしまえば忘れてしまう。
「心配せずとも、そのような約束がなくともマイ先生の無事はこの左虎が保証しよう」
「ふふっ、左虎っちは相変わらず」
「ふふっ、左虎っちは相変わらず」
そんな言葉に、マイ先生の表情が緩んだ。
多少は緊張がほぐれてくれたのなら幸い。
この先は何が起こるかわからない。弱いNPC(したっぱ)程度なら自分でもなんとかなるが、マイ先生はそうではない。
多少は緊張がほぐれてくれたのなら幸い。
この先は何が起こるかわからない。弱いNPC(したっぱ)程度なら自分でもなんとかなるが、マイ先生はそうではない。
「だからさ、左虎っち」
そんな不安を和らげたいと思ってか、マイ先生は再び左虎の方を向く。
抜けたような顔だが、その瞳だけは真剣だ。
それはかつての教え子に対しての思いなのか、はたまた元教え子に対して恐怖を隠しているのか。
今更ながら気付いたが、マイ先生は時計のようなものを持っている。
抜けたような顔だが、その瞳だけは真剣だ。
それはかつての教え子に対しての思いなのか、はたまた元教え子に対して恐怖を隠しているのか。
今更ながら気付いたが、マイ先生は時計のようなものを持っている。
マイ先生がいつも持ち歩いている時計。
先生は両親の忘れ形見と言っていた。
だから、何も気にすることはない。
第三の恩人であるマイ先生を疑うことなど、何一つもない。
「今から私のために、よろしくね?」
なにか大切なことを忘れた、でも問題はない。
忍務に何も、問題はない。
何も、問題はない。
い い 夢 を
「Faites de beaux rêves」
「Faites de beaux rêves」
"編集完了(エディットコンプリート)"
◆ Ⅺ ◆
分かったことは、削除(デリート)完了までいつもより時間が掛かる、ということ。
タイムマシンにも細工をされてるのか、巻き戻し(リトライ)はほぼ不可能と推測しても良い。仮に可能だとして、数分前に戻る程度が精一杯か。
殺し合いをさせる、という事を前提に、巻戻(リトライ)されて盤面をひっくり返されるというのは相手方も阻止したいだろう。
削除(デリート)の方も、すぐには全部消せないように細工がされていた。
不意を打つ形で覇世川左虎とかいうお医者さんに削除(デリート)を試したはいいが、削除の進行が遅いのが原因か、多少は抵抗の素振りはしてはいた。
その事実は、実証実験の足がかりにもなった。中途半端に削除された記憶の穴埋めするように、「編集(エディット)」で「アタシに関わった記憶」を植え付けた。
編集自体はアタシのハッキング能力あってのこと、袋に入っていたオコノミボックスを使用し、彼の記憶をハッキングして編集したのだ。
あとは経過観察を兼ねて適当なやり取り、その間に編集(エディット)は完了(コンプリート)。
タイムマシンにも細工をされてるのか、巻き戻し(リトライ)はほぼ不可能と推測しても良い。仮に可能だとして、数分前に戻る程度が精一杯か。
殺し合いをさせる、という事を前提に、巻戻(リトライ)されて盤面をひっくり返されるというのは相手方も阻止したいだろう。
削除(デリート)の方も、すぐには全部消せないように細工がされていた。
不意を打つ形で覇世川左虎とかいうお医者さんに削除(デリート)を試したはいいが、削除の進行が遅いのが原因か、多少は抵抗の素振りはしてはいた。
その事実は、実証実験の足がかりにもなった。中途半端に削除された記憶の穴埋めするように、「編集(エディット)」で「アタシに関わった記憶」を植え付けた。
編集自体はアタシのハッキング能力あってのこと、袋に入っていたオコノミボックスを使用し、彼の記憶をハッキングして編集したのだ。
あとは経過観察を兼ねて適当なやり取り、その間に編集(エディット)は完了(コンプリート)。
「………はい」
無心のまま返答した左虎っちを見て、一旦は一安心。
と言っても、何かのきっかけで削除した記憶が蘇るのはあるから、そこは油断できない。
何せ、巻戻士なんかよりも厄介なのが沢山いそうなんだから。
でも、これはアタシにとっても最大のチャンス。
アタシの夢を叶える、もう一つの機会。
と言っても、何かのきっかけで削除した記憶が蘇るのはあるから、そこは油断できない。
何せ、巻戻士なんかよりも厄介なのが沢山いそうなんだから。
でも、これはアタシにとっても最大のチャンス。
アタシの夢を叶える、もう一つの機会。
貧乏発明家だった両親、アタシの事を愛してくれたパパとママ。
そんなパパとママは、巻戻士とかいう正義ぶった連中に見殺しにされた。
事故で死ぬはずだったアタシ含めた400人の内398人だけ救って、パパとママだけ切り捨てた。
そんな偽善者の巻戻士共を殺して、不平等な世界を変えるためにアタシはクロックハンズになった。
そんなパパとママは、巻戻士とかいう正義ぶった連中に見殺しにされた。
事故で死ぬはずだったアタシ含めた400人の内398人だけ救って、パパとママだけ切り捨てた。
そんな偽善者の巻戻士共を殺して、不平等な世界を変えるためにアタシはクロックハンズになった。
全てを、平等にするために。
不平等な世界を、変えるために。
クロックハンズの手を取った時点で、既に覚悟を決めている。
不平等な世界を、変えるために。
クロックハンズの手を取った時点で、既に覚悟を決めている。
でも、少しだけ同情してもいいと思ってるよ、左虎っち。
世界は不平等だから。アタシも、左虎っちも、あんな理不尽に親を奪われて、さ。
削除(デリート)が中途半端なせいで、弟の記憶を消しちゃったのは申し訳ないと思ってる。
だから。
世界は不平等だから。アタシも、左虎っちも、あんな理不尽に親を奪われて、さ。
削除(デリート)が中途半端なせいで、弟の記憶を消しちゃったのは申し訳ないと思ってる。
だから。
「平等(やさしい)な世界になった時には、左虎っちの両親も、蘇らせてあげるよ」
【マイ=ラッセルハート@運命の巻戻士】
状態:健康
服装:白衣
装備:マイのタイムマシン装置@運命の巻戻士、オコノミボックス@ドラえもん
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0~1、ホットライン
思考
基本:優勝して、不平等な世界を変える
01:左虎っちを利用する。優勝したら左虎っちの両親を蘇らせてもいい
02:タイムマシンの使用は慎重に。削除と編集も使い所をなるべく考える。
03:巻戻士は許さない。
参戦時期:クロノたちと出会う前
備考
状態:健康
服装:白衣
装備:マイのタイムマシン装置@運命の巻戻士、オコノミボックス@ドラえもん
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0~1、ホットライン
思考
基本:優勝して、不平等な世界を変える
01:左虎っちを利用する。優勝したら左虎っちの両親を蘇らせてもいい
02:タイムマシンの使用は慎重に。削除と編集も使い所をなるべく考える。
03:巻戻士は許さない。
参戦時期:クロノたちと出会う前
備考
【覇世川左虎@忍者と極道】
状態:"削除(デリート)"により一部記憶欠損、"編集(エディット)"影響下(マイ先生)
服装:忍者衣装
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0~3、ホットライン
思考
基本:ーーー
01:ーーー
参戦時期:死亡後
備考
マイ=ラッセルハートの"削除"及び"編集"の影響の為、弟の事含む一部記憶が欠損しています。強い衝撃等があれば蘇るかもしれません
状態:"削除(デリート)"により一部記憶欠損、"編集(エディット)"影響下(マイ先生)
服装:忍者衣装
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0~3、ホットライン
思考
基本:ーーー
01:ーーー
参戦時期:死亡後
備考
マイ=ラッセルハートの"削除"及び"編集"の影響の為、弟の事含む一部記憶が欠損しています。強い衝撃等があれば蘇るかもしれません
【支給品紹介】
【マイのタイムマシン装置@運命の巻戻士】
マイ=ラッセルハートに支給。クロックハンズの幹部に支給される時計型のタイムマシン。
幹部はそれぞれ固有の能力が使用でき、マイ=ラッセルハートのタイムマシンは"削除(デリート)"と"編集(エディット)"
ただしタイムマシンの機能は何かしらの制限が施されており、"削除(デリート)"は発動後記憶の完全な削除には時間を要する制限が掛けられている。
ただし"編集"は所有者であるマイ=ラッセルハートの天才的なハッキング技術によるもの。
【マイのタイムマシン装置@運命の巻戻士】
マイ=ラッセルハートに支給。クロックハンズの幹部に支給される時計型のタイムマシン。
幹部はそれぞれ固有の能力が使用でき、マイ=ラッセルハートのタイムマシンは"削除(デリート)"と"編集(エディット)"
ただしタイムマシンの機能は何かしらの制限が施されており、"削除(デリート)"は発動後記憶の完全な削除には時間を要する制限が掛けられている。
ただし"編集"は所有者であるマイ=ラッセルハートの天才的なハッキング技術によるもの。
【オコノミボックス@ドラえもん】
マイ=ラッセルハートに支給。ドラえもんの秘密道具の一つ。
直方体の形をした端末で、付属されているマイクに音声入力をすると、四角いもの限定であるが、ありとあらゆる道具の機能をもたせることができる。
現在はハッキング用のパソコン代わりとして使用中。
マイ=ラッセルハートに支給。ドラえもんの秘密道具の一つ。
直方体の形をした端末で、付属されているマイクに音声入力をすると、四角いもの限定であるが、ありとあらゆる道具の機能をもたせることができる。
現在はハッキング用のパソコン代わりとして使用中。
候補作107:汚れちまつた特別に | 投下順 | 候補作116:Try&Fight |
時系列順 | ||
GAME START | マイ=ラッセルハート | 010:この願い、たとえ魔法がなくたって(前編) |
覇世川左虎 |