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真贋バトルロワイヤル

バッドエンドのその先で

最終更新:2025年01月18日 15:11

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だれでも歓迎! 編集
息が苦しい。心臓の鼓動が煩い。焦りで時折足が縺れる。
幾多の要素が逸る彼女の疾走の邪魔をする。
しかしそのままならなさが、とても心地良く思える。
全身に感じるもどかしさや苦しみ。その全てが生命の営み。"生者"の証だ。
羂索が謳う殺戮の先にある理想など不必要。
自分の最も切なる願いは、こうして既に叶っているのだから。

眩い朱色の鬣を揺らしながら、駿馬の如く駆け抜ける仮面の少女。
清廉な雰囲気漂う純白の鎧とローブを纏い、太陽の輝きを胸に秘めた幻想と惑星の戦士。
若き錬金術師九堂りんね、字は仮面ライダーマジェード。
浄化の光で闇を照らしながら、彼女は一つの希望を求め、一心不乱に戦場を走り続ける。

12月25日、クリスマス。一年で最も聖なる日に災厄は訪れた。
グリオン。父を裏切者に仕立て上げた闇の錬金術師。
彼の実験場(遊び場)となった世界は、絶望の未来へと舵を取り始めた。
ケミストリーと称し、人とケミーの命を弄び、己の悦楽と狂気の為多くの悲劇を産む。
当然りんねの所属する錬金アカデミーも黙っていなかった。
クリスマスの惨劇で大敗を喫しても尚、誰一人屈せず総力を挙げて果敢に立ち向かった。

だが闇の錬金術師の力は余りにも強大過ぎた。

グリオンや彼の産み出す強力なマルガムに対抗する術もなく。
スパナ、錆丸先輩、蓮華先輩、ミナト先生、鏡花さん
敗北や失敗を繰り返す度一人、また一人と仲間が散っていく。
本当は反逆者を一息で消せる力を有しているにも関わらず。
グリオンはじわじわと真綿で首を締めるように、仲間を殺していった。
遺された未来無き者達の心を、少しずつ自分好みな不変の絶望に染め上げる為に。

生命を与える錬金術も、失われた命は錬成出来ない。
錬金術師だけでなく、人類に与えらえた絶対の掟(ルール)
如何なる覚悟を以てしても抗い難いルールに流され、気が付けば。
錬金術師の学び舎で共に過ごした在りし日の記憶。
滅びゆく世界でその過去を共有できるのは自分含め二人だけ。

頼りになる先輩たち、先達として導いてくれた先生。
彼らを失っても闘いは続く。
各地に散らばったケミーや抵抗勢力を何とかかき集め、必死に食らいついた。
頼れる仲間を殆ど失い夥しい墓標の地平を前にしても。
心折れずに闘えたのは、まだ一つ希望が残っていたから。
仮面ライダーガッチャード、一ノ瀬宝太郎がいたからだ。

人とケミーが一緒に自由に生きられる未来を信じる
掟も常識もお構いなしの型破りで夢見がちな青年。
持ち前の前向きさと情熱で、困難や絶望を打ち壊して来た彼ならきっと。
破滅に向かう未来も変えられると、確信させてくれるだけの何かがあった。

大切な仲間に家族、右目さえも奪われて。
それでもと。何とか彼は前に進もうと苦しみ藻掻いている。
その中で、自分一人が心の弱さに打ちのめされている場合ではない。
もう仲間に守られるだけの弱い自分じゃない。
何があっても仲間を守るため戦い抜き、希望を未来へ繋ぐ。
それが己の信念に基づいて決めた大切なルール。

だから、暗黒の扉が開かんとした最期の日。
最後の希望の為に、命の限りを尽くす事にも躊躇いはなかった。

ドライバーを奪われ変身出来ない彼の代わりにケミーを救い出す。
必ず果たすべき使命を全うする。凶爪によって己が命を奪われる結果であっても。
この身が滅びようと後悔は無い。だって信じていたから。
宝太郎なら取り戻した沢山の仲間(ケミー)たちと共に世界を救ってくれる。
グリオンが創り出した冥黒の暗雲を祓い、澄み渡る青空のような未来をガッチャしてくれると。

だが直ぐに。
取り返しのつかない程に絶望へと染まった希望を見て。
彼女は犯した間違いを悟った。

宝太郎は既に限界だった。
悪化する戦況に心身共に疲弊し、夢に邁進する嘗ての輝きを彼は失いつつあった。
胸中に積み上がるのは己の弱さで仲間を死なせた無力さと罪悪感のみ。
其処に目の前の死/罪を背負いきるだけの心の余裕など、当に残されていなかった。

涙を零して縋りつく彼の腕に抱かれ、気づく。
自分がすべきだったのは、死と引き換えにしてでも、希望を未来へ繋ぐ事じゃない。
何があっても生き残り、宝太郎の傍で支えてあげる事だった。
真に守り通すべき、大切なルール。もう取返しの付かない答えをはっきりと理解した時。
無いと思い込んでいた後悔が、止めどなく溢れ出した。


私の死を宝太郎の重荷にしたくない。



宝太郎が掴むガッチャを見届けたい。



宝太郎を置いていきたくない。



まだ宝太郎と一緒に戦いたい。


流れ出る命と共に零れた、万巻の想いを込めた願い。
祈りは絶望と悲しみの慟哭に溶け、轟々と燃え盛る魂の業火に包まれた──その先で。

気が付けば何故か、少女は最悪の遊戯の最中にいた。
死人の身体を渡り歩く悪魔、羂索が催す殺し合い。
動揺、困惑、疑問、不安、恐怖。蘇った彼女に渦巻く無数の感情。
それらは一つの声を聴いて、即座に霧散した。

『梔子!そいつに……いや俺たちに何をした!?』

平然と人の命を消し去った呪詛師へ、臆する事なく怒りの声をあげる青年。
痛々しい傷跡を隠す眼帯はなく、巨大な夢への希望と正義感に満ち満ちていた若き錬金術師。
クリスマスの惨劇が起こる前の、在りし日の一ノ瀬宝太郎が其処には立っていた。

今いる世界が死の瀬戸際で繰り広げられる幻覚なのか。
それとも最期の祈りが歪んだ形で聞き届けられた結果なのか。
真偽は不明だ。自身の蘇生も、宝太郎の変化の訳も皆目見当が付かない。
だとしても、自分は此処に生き、彼もまた同じ大地に立っている。
そして主催者達が与える不条理や絶望に抗おうとしている。
ならば、成すべき使命は一つ。

(宝太郎、貴方をもう絶対に一人にはしない!必ず生きて最後まで支え抜いて見せる…!)

例え自分が知りうる彼と現在の彼に違いがあったとしても関係ない。
メラメラと燃える正義の心は、何一つ変わっていなかったのだから。
生きて宝太郎の元へ辿り着き、最後まで一緒に戦い抜く。
人々とケミーの笑顔を守り、救える命は全て救う。
己の信念に基づき決めた、最も大切なルールに従って。
最期に届かなかった祈りを今現実へと変える。
亡き過去への誓いを胸に、絡みつかんとする不安を振り切り、彼女は疾走する。

「おっと~、早速第一参加者(プレイヤー)はっけ~~ん!
 しかも初見の仮面ライダー!俺も中々運がいいんじゃない?」

そんな決意を抱いた走りは、歓楽に満ちた声に阻まれた。
声の主はド派手な極彩色のスーツにシルクハットを身に着けた軽薄そうな男。
奇怪なフェイスメイクや服装はさながらサーカスの劇団員や道化師の様なコミカルさを際立たせる。
しかし、目の前の男が人々に夢と笑顔を齎すエンターテイナーなどである筈が無い。
殺し合いの場にも関わらず、仮面を纏った異質な相手に一切警戒せず接触する堂々とした立ち振る舞い。
その頬に浮かべるは心和ます温かな笑みではなく、獲物を見定める狂気的な笑み。

瞬間、りんねの脳内で想起された悍ましいビジョン。
人々の無意味な足掻きを前に愉悦に頬を歪める錬金術師グリオンの姿。
最も忌むべき敵の面影が、姿形など似ても似つかない男の笑みでフラッシュバックする。
その時点で、この道化師が常人と一線を画す悍ましい何かである事は疑いようもない。

「仮面ライダーを知ってる?あなた…いったい何者?」
「俺かい?俺はメラ、神殺しのメラ様だ!
 メラメラと燃える俺の熱~い情熱が伝わってくるイイ名前だろ?」
「名前もそうだけど、そういう意味で聞いたんじゃなくて…!」
「いや~、ゲームを仕掛けられる側なんて俺久々過ぎて超新鮮でさあ~
 丁度世界滅亡RTAもひと段落したとこだったし…だったらとことん楽しむしかないじゃ~~ん!?
 …ま、アポなしで拉致られたのはちょこ~っとだけムカつくけどね。」

話が通じてるのか通じてないのか。一方通行な自分語りの内容。
神殺し、世界滅亡RTA。脳が理解を拒否するほどの悪意に満ちた単語。
世界を絶望へ塗り替える、救いようのない悪党である事実は疑いようもない。
聞き捨てならない、命の尊厳を踏み躙る物言いにりんねの握る拳に力が籠る。

「…ゲーム?貴方にとって人の生き死にが、単なる遊びだって言うの!?」
「どうせお前ら現代人は百年ぽっちで死ぬし、世界だっていつかは無惨に滅びゆく…
 なら、今面白おかしく死んで行こうぜ~!この瞬間を全力で楽しまなきゃ損損!
 理想を求めて殺し殺されどんちゃん騒ぎ。それが俺達のいるこの世界(ゲーム)のルールだ!」
「そんなものが守るべきルールだって言うなら、私はそれを絶対に認めない。
 私は、私のルールに従って貴方を倒して、仲間と一緒にこの殺し合いも終わらせる!」
「うわ~お堅~い!そんなんじゃ残り短い人生もつまんないままジ・エンドだぜ~?
 じゃ…ここで堅物のお嬢ちゃんでもテンションMAX間違いなしのスーパーアイテムをご紹介!」

ロングジャケットを大袈裟に翻し、メラが見せ付けて来た物にりんねは瞠目する。
同時に男が何故仮面ライダーを知り得たのかを理解した。
中央に黒い狐の刻印が施されたコアが埋め込まれたドライバー。
錬金術師達が保有するソレとは全く異なるデザインだが、見間違うはずもない。
りんねが仮面ライダーの字を得るきっかけとなった事件。
その渦中で出会い共に戦った戦士達。
彼らも同じく仮面ライダーの名を冠し、メラと同一のベルトを着けていたから。

「あれ?もしかしてもうご存じ?デザグラも有名になったもんだね
 なら…俺のイカしたハンサムフェイスがどう変身するかも分かるかな?」

嬉々として懐から取り出したるデバイスは、Ⅹギーツレイズバックル
創世の力と神殺し、双方の力を宿したバックルを二つに分離し、デザイアドライバーにセット。

『X GEATS』
『BLACK OUT』

聴く者の心を搔き乱す不穏な待機音が響き渡る。
その狂騒さえ心地よいと言わんばかりに道化師は不敵な笑みを浮かべ──

「変身~!」

『REVOLVE ON』

小気味よい音を奏でるフィンガースナップが滅びの始まり。
ドライバーを180度回転し、露わになったのは黒と青に染まった九尾の狐。
展開されたハンドル、ブーストスロットルレバーを引くと同時、バックルから紫焔が吹き上がった。

『DARKNESS BOOST』
『X GEATS』

瞬間、瘴気が解き放たれる。天に燦々と輝く太陽さえ覆い尽くす黒く深き闇。
暗闇より出現したのは己の名を示すロゴマーク
空を駆け巡り唸りを上げる黒狐、レジェンドキュウビ。
それぞれが旋回しながら下半身、上半身のアーマーへ変形。
溢れ出る瘴気と抑え込み融合する様に変身者へと換装。
九尾の尾に似たマントを風に靡かせ、殺し合いの地に降り立った創世と滅亡を司る邪悪なる遊び人。
紫の複眼から覗く禍々しい瞳が鋭く光り、遊び相手となる新品の玩具に照準を定める。

「黒い…仮面ライダーギーツ…?」

降臨した黒の仮面ライダー。この姿もりんねは知っている。
仮面ライダーギーツ。浮世英寿。
だが、彼女が知りうる存在と目の前の存在。性質は全くの逆だ。
神聖で神々しさを抱く純白ではなく、無に塗り潰す悍ましい漆黒。
内に秘めた情熱を示す様な赤ではなく、血が凍り付く様な底冷えた青。
誰もが幸福な世界を願う白狐の神様とは、似て非なる黒狐の神殺し。
少女の口から零れた名に、メラは違う違うとヒラヒラ指を振る。

「ブッブ~!正解は仮面ライダークロスギーツ!
 不正解のお嬢ちゃんには残念賞──死のペナルティだ!」

『READY FIGHT』

遅れて聞こえて来た変身完了の音声が試合開始のゴング。
おどけた様子で両手に握られた双剣でバツ印を作るとそのまま勢いよく斬り払った。
クロスレイジングソード、ギーツバスタークロス。
二振りの凶刃から放たれるX状のエネルギー波は、人一人など殺して余りある威力。
断じてふざけたクイズの残念賞と称して繰り出していい技ではない。
黒いギーツの出現に困惑する脳に喝を入れ即座に回避行動を取り、躱した斬撃は後方で爆裂。
爆発音が殺し合いの舞台に木霊し、大地には揺らめく蒼い炎が広がった。

アレが直撃すればどうなっていた事か、繰り広げられた光景を見れば想像は容易い。
ほっと息を付いた直後全身を襲う謎の寒気。今すぐに顔を逸らせ。さもなくば死ぬ。
未だかつてない最大級の警鐘に対し、直感を信じて上体を横にずらせば、耳に響くは鋭い風切音。
先程まで首が存在した位置にクロスレイジングソードの剣先が煌めいていた。

「おお~!ナイス反応!」

神殺しの黒狐の頭部は既に目と鼻の先に。
充分にあった筈だったセーフティラインは一足飛びでゼロへ。
冷や汗が仮面の下を伝う。りんねの知り得る最速を遥かに超えた規格外の域。
口にもない賞賛の言葉など耳に入る余裕は皆無。集中すべきは敵の次手ただ一つ。
マジェード、サンユニコーンの戦闘スタイルは敵の動きを見切る事から始まる。
攻撃を徹底的に防ぎ、躱し、生まれた隙を突いて、決定打を叩き込む後の先が軸。

本来であれば集めたケミーの力を借り、豊富な手数で攻められるのだが、
その殆どが奪われ、多重錬成にてマジェードを構成するザ・サンとユニコンのみ。
確かに戦力で言えば、この強敵相手には不十分かもしれない。
だが、りんねの傍には共に立ち向かい勇気をくれる仲間(ケミー)が二人。
仮面ライダーとして死闘に臨むには、それで充分過ぎるくらい頼もしい。

「んじゃ、いっくぜ~!?」

上段から振るわれた銃剣、バスタークロスの斬り降ろしをタイミングよくいなす。
銃剣の持ち手を傾け、続けざまに放たれた光弾は、氷上を走る様な滑らかなスライディングで避けた。
地面スレスレを往くアクロバティックな回避に、メラの視界からマジェードの姿が一瞬消え去った。
お目当ての少女は既に背後。彼女の視界には妖狐のがら空きの後ろ姿が晒されている。

「はあっ!!」

完全なる死角から仕掛ける高速の足払い。
一角獣の刺突と同等の鋭さを誇るマジェードの蹴り。意識外から喰らえば、体制を維持するのは至難。
此処を起点に乱れた敵を一気に突き崩す。優等生の算段は黒狐の奇行により覆された。

「あらよっと!」

一体何を思ったか、クロスギーツがレイジングソードを地面に突き立てた次の瞬間。
柄頭を土台に身体を器用に持ち上げ、マジェードの足技を空かす。
片手一本での逆立ち。まさに大道芸じみた芸当は、先のスライディングの意趣返しか。
攻撃を察知されるのは彼女も予想の範疇。
しかし、予想の斜め上を行く回避行動に、思わずあっけに取られてしまう。
そのまま片腕でぴょんと跳ね上がると、道化師は己を唖然と見上げる少女に銃撃の雨を降らせた。

「これで決まりかな~?」
「そう決めつけるにはまだ早い!」

意識を乱されもう回避は間に合わないが、防ぐ手段は他にもある。
降り注ぐ凶弾を前に物怖じせず、真正面からマントをひらりと翻す。
マジェードが装備するマント、メイデンシェードはあらゆる攻撃の流れを変え、受け流す効果を持つ。
今回は攻撃のベクトルを正反対、すなわちクロスギーツの方向へと設定。
ニヤケ顔で贈り付けて来た死のプレゼントをそっくりそのまま綺麗に突き返した。

「うっそ!?」

迫り来る光弾は軽々と斬り捨て難なく切り抜けるも、着陸先で待ち受ける錬金術師のお出迎え。
苦し紛れにバスタークロスで刺突を放つが、マジェードにとってそれは攻撃ではなく単なる隙。
伸ばした腕を掴み、敢えて自分側に一気に引き寄せ、クロスギーツを大きくつんのめらせる。
勢いが止まらない漆黒のボディにザ・サンの灼熱を纏った痛烈なキックを見舞う。
蹴りの反発力を活かして瞬時に距離を離し、残心を取る事も忘れない。

「痛ってぇ~~、お嬢ちゃんけっこうやるじゃん。」

口では苦戦を訴えているクロスギーツだが、響いてる様子は皆無。
どころか蹴りの勢いを利用した空中での華麗な一回転を披露する余裕っぷり。
遊ばれている。競り負けたにも関わらず、飄々とした態度は何一つ変わらず。
この男は自分を命を賭けた真剣勝負の相手として捉えていない。
アマチュアとプロ、子どもと大人、人間と神。不真面目にやって当然の関係性。
神殺しなんて大層な異名が、伊達や酔狂で名乗っていない事は短い攻防でも伺い知れる

「さ~て、具合も大体わかって来たし、ここ等でオーディエンスを盛り上げに行っちゃおうかな~!?」

そう楽し気に宣言すると再びクロスギーツは奇行に走る。
右手に握った武器を真上へと力一杯に放り投げたのだ。
高く、高く。微かな点すら見えない程空の彼方へと消えていくバスタークロス。
何故と疑問符が浮かぶふざけた行動にマジェードの意識が上へとぶれる。
1秒にも満たない僅かな時間だが、神殺しの前では命取り。

「ヘイヘイヘーイ、余所見してていいの~?」

鋭い鉄拳がマジェードの視界下から見舞われる。
事象の加速を具現化するギーツテールナインと同種の力を持つクロスギーツのマント。
その力を自身に適応する事で、常人を遥かに超越した高速移動を実現可能とする。
例え制限が加えられていようとも、数メートルそこらの距離を一瞬で埋めるくらい朝飯前。
ましてや注意散漫な相手の懐へ潜り込んで、インファイトに持ち込むなど更に簡単な作業だ。

「うっ…!不意打ちのためにわざわざ武器を…!?」
「ノーノ―!そんな小細工なんて要らねーよ。
 本気で問題ないから捨てただけ。いわゆる…縛りプレイってヤツ?」

だからこれも要らな~い、と嗤って残りの武器さえも粗雑に投げ捨てる。
終いに、明らかに人を小馬鹿にしたファイティングポーズ。
小刻みにシャドーを繰り返しながらかかってこいよとマジェードを肉弾戦に誘う。
お前を倒すのは素手で充分。誰にでも分かるあからさまな挑発行為。

「嘗めるのは勝手。だけど、痛い目みても知らないから」
「ワーオこわ~い!ま、痛い目見るかやってみりゃ分かるさ」

直情的になれば相手の思う壺。大きな差が更に広がる一方だ。
努めて冷静に構えを取り、依然ヘラヘラとした態度でステップを取る道化師と対峙する。

「ほい!」

なんとも軽い掛け声と共に見舞われるジャブ。
所詮牽制、冷静に掌底で受け流し対処出来る。
しかし伸ばした手は即座に弾かれ、一段速い拳が頬を鋭く叩く。
驚く程に的確で流麗な動作。長年の経験に裏打ちされた力の真髄。
素手の縛りが単なる慢心ではないと、この一手で見せつけられる。

「ほいほい!」

遊びに興じる黒狐は呻く暇さえ与えない。
焼き直しの様に再び軽い掛け声から打ち込まれるジャブ。
今度は受けず回避を選択するが、それを予測したかの如く避けた先に待ち受ける第二打。
吸い込む様に腹部に拳が捻じ込まれ、彼女の肺の空気を空っぽにした。

「かはっ…!」
「ほいほいほい!」

苦痛に喘ぐ少女に鞭打つ駄目押しの三連打。
回避も防御も、取る余裕はない。最早甘んじて受け入れる他なく。
無慈悲な暴力を浴び、マジェードはダウン。地面に崩れ落ち、純白のローブを穢す。

「ぐうっ…!」
「ね?言った通りでしょ。縛りプレイでも問題ないって…さ!!」

馬鹿にされ、嘲られ、完膚無きまでに打ちのめされる。
此処まで宣言通りやられれば、悔しいが認めるしかない。格闘戦でこの男と戦うのは至難の業。
なれど、勝負を諦めたわけではない。一つの分野で勝てないならば、同じ土俵で戦わなければいい。
マジェードはまだ己の真骨頂を見せた訳では無いのだから。

「あれれ?」

確信を持って振るったパンチは、突如出現した壁に阻まれる。
二人の間に割って入った透明な壁は彼女が錬金術で創り出した代物。
周囲の元素を元手に盾を形作り、己の身を守ったのだ。
さらに造り出した盾を細かな礫に変え高速で射出。困惑するクロスギーツの全身を狙い撃つ。

「いてっ!いてっ!ちょ、それズルくない!?素手以外とか反則じゃん!」
「何が反則よ、貴方が勝手に決めただけでしょ!」

身勝手に卑怯と罵られようと、抗議など一切受け付けない。
押し付けられたルールにむざむざ従う程、自分は優等生ではないのだから。
物質に生命を与え、自在に操り形質を変える。環境と知識を利用する闘いこそ錬金術師のスタンダード。
彼女の錬金術はまだ終わらない。マジェードが足元に手をかざすと周辺の地面が流動。
クロスギーツに纏わりつくと忽ち下半身に覆い尽くし、圧し固める拘束具と化した。

「んだよさっきから!創世の力のパチモン風情が…!」
「違う、これは錬金術。
 生命を探求する人々が脈々と受け継ぎ、創り出した英知の結晶!」

この程度の拘束など破壊は容易。だが今は一瞬さえあればそれでいい。
あらん限りの力を込め、繰り出される強烈なドロップキック。
渾身の一撃に拘束諸共吹き飛ぶクロスギーツ。
無防備な状態で受けた影響か、立て直そうとするもガクリと膝を付く。
決着を着けるには今をおいて他にない。
ダメージの響く身体を奮い立たせ、マジェードは勝負に出る。

「やっべ!」
「これで終わらせる…!」

ドライバー上部のアルケミスリンカーにハイアルケミストリングをかざす。
両側のレバー式錬金術発動装置、セミアルトヴォークを操作し錬成開始。
錬金術の象徴たるエンブレムを象ったエンブレムアルケミキサが輝きを増す。
光速で展開され続ける幻想と惑星の多重錬成が、錬金術師一人の技量を遥かに超えた必殺技を解き放つ。

『アルケミスリンク!』
『サンユニコーン!ノヴァ!』

妖精のように軽やかに、舞い上がったマジェードの飛び蹴りが焦るクロスギーツを穿つ。
一度だけでは終わらない。空中に留まり続け、ここぞとばかりに放たれる連続蹴り。
ユニコンの健脚が巨悪に浄化の楔を刻み、サンの灼熱の炎が黒狐が纏う闇を祓う。
全ての蹴りの衝撃が一斉に襲い掛かり、爆発と共にクロスギーツを天高くへと吹き飛ばした。

「どわあああああああああ────!!」

必殺の一撃を成功させたマジェード。それでもまだ終幕には遠い。
完全に押し切るには、更に一段上の必殺技ハイアルケミスリンクの発動が必須。
序盤も序盤でこうも錬金術を使い過ぎれば、それだけ限界も速まる。
だが、全て出し切らなければ生への道は切り開けない。メラはそれだけの強さと悪意を持った怪物だ。
代償を払う覚悟を決め、りんねはハイアルケミストリングをリンカーへと伸ばした。


「あああああああああ──────なんちゃって」


仮面の下で嘲笑う黒狐に化かされたとも知らずに。

真上から示し合わせたかの如く飛来した物体をクロスギーツは手に取る。
無様に衝撃に流されていたのが嘘だったかのように、平然と空中で体勢を変えた。
勝機に動くマジェードの視界で、クロスギーツが投げ捨てた筈の銃口と目が合った。

「はいここ」

『BOOST CHARGE』
『BOOST TACTICAL VICTORY』

「ああああっ!!」

迅速かつ淡々と。クロスギーツはトリガーを引き、バスタークロスの真価を発揮。
即座に充填された膨大なエネルギーが、必殺の銃撃として火を噴いた。
メイデンシェードで受け流そうとするが、マントが生み出す流れを圧倒的力が蹂躙し突き破る。
耐えきれず変身が強制解除。苦痛に表情を歪める少女が地面へと投げ出された。

「イエスッ!大成功~ッ!」

いたずらが上手くいった子どものように無邪気にはしゃぐ神殺し。
足元に転がるりんねを尻目にガッツポーズを取り、全身で喜びの感情を表現する。

「ぐっ…!さっき武器を投げ捨てたのは…縛りなんかじゃなくて…」
「半分ホントで半分ウソ…って感じ?要は演出だよ。演出!
 ちょっとしたピンチを乗り越えて、一発逆転大勝利~!
 どう?オーディエンスも大興奮間違いなしのシナリオでしょ?」

これまでの会話と戦闘で対戦相手の性格は分析済み。
常識から外れた行動を取れば、一瞬といえ思考が鈍る良くも悪くも優等生タイプ。
武器の放棄をフェイントの布石に一度使用し、悪ふざけの縛り宣言まで行えば。
彼女の脳から飛んでった武器への注意は完全に消え去る。まだ本命の役割が残っているとも知らずに。
後は武器が戻ってくるタイミングに合わせて、適当にやられつつ落下予測地点に向かうだけ。
初見殺しの錬金術で多少のイレギュラーこそあったが、結果は一目瞭然。

圧倒的な戦闘力で敵を捻じ伏せ、必殺技さえ耐えきってみせる『力』
敵の性格と動きを読み切り、確実に虚を突く戦略を練り上げる『知恵』
そして自分の思い描いた理想の展開を現実に引き寄せる『運』

デザイアグランプリで不敗神話を築き上げたスター・オブ・ザ・スターズ・オブ・ザ・スターズ。
創世の神、浮世英寿の全てを奪い取ったメラだからこそ実現したハイライト。

「と、いう訳で!記念すべき初勝利っ!メロもどっかで見ててくれたか~い?」

基本的に自分と相棒の二人で楽しめればOKだが、今いるのは人様の闘技場。
例え無理やりでも愉快なゲームにご招待頂いたのだから、盛大に盛り上げてやらねば無作法というもの。
観客の有無に明言などなかったが、誰も見ていないデスゲームなど意味がない。
主催者を筆頭に争いを楽しむオーディエンスが必ずいる筈だ。
でなければ折角のデザグラ並みの大規模ゲームなのに盛り上がりに欠ける。

眼を閉じ耳をすませば伝わるオーディエンスの歓声と熱狂。
決めポーズを収めるカメラが見当たらないのがとても残念だ。
些かの物足りなさを感じながらも、負け知らずの神殺しは勝利の余韻に酔いしれる。

だが、敗北を知らないからこそ。
本来先の未来に待っていた運命を知りえないからこそ。
彼はまだ肝心な事を理解していなかった。

力、知恵、運。
その全てで上回り捻じ伏せたとしても。
相手の胸に宿る、一番大切な"もの"を打ち負かせない限り。


「ま、だ…」


───勝負(ゲーム)は決して終わりを迎えない。



「はい?」
「まだ、終わってない…。」
「いやいやどー考えても終わってんじゃん。何起き上がってんの?
 そこは潔く脱落(リタイア)しとけよ、空気読みなって」

よろよろと立ち上がった敗者をメラは見やる。
整った制服は傷だらけ。小奇麗な顔の要所から血を垂れ流す。
一方で此方は五体満足。
ダメージは多少受けたがあくまで演出の一環、さした痛手にはなっていない。
これの何処が『終わってない』というのか。寝言は死んでから言って欲しい。
往生際が悪すぎる。最高にカッコよく決めたと言うのにこれでは台無しだ。
軽薄な口調こそ崩れずとも、メラの言葉の節々はその苛立ちを隠しきれていなかった。

「空気や自分の弱さなんかで…守りたいものを諦めて流される…。
 守りたくないルールに縛られるのは、もう止めるって決めたから。」
「決めたからなにー?諦めなきゃいつか俺に勝てるとか、本気で思っちゃってるわけ」
「勝てる勝てないじゃない。まだ宝太郎が、思い描いた夢の為に前を向いて必死に闘ってる。
 私一人勝手に倒れて…彼を置き去りにするなんて、もう絶対に嫌なの…!」
「あん?夢…?」
「グリオンを倒して、人とケミーが笑顔で一緒に生きられる世界を実現する…。
 宝太郎と…みんなとの理想を叶えるまで、私は…なにがあっても諦めない!」

『──諦めない限り、思い続ける限り、いつか願いは叶う…!』

「────理想…理想ねぇ…。」

りんねの叫びにピクリ、とメラのこめかみに青筋が立つ。
何故勝者である筈の自分がこうも苛立っている。
何故この女に、治める世界諸共消してやった"搾りカス"の顔がダブる。
力も知恵も運も、何もかも劣ってる癖に散り際も弁えない負け犬仲間だから?
それもある。
だが、一番の原因はなんとなく理解出来ていた────『眼』だ。
何時までも未来を諦めようとしない、煌々と輝く眼がどうしようもなく癪に障る。

「あーあーあー、もういいって!鬱陶しい!
 お前"ら"とのゲームはもう終わってんだよ!────敗者は黙って消えろ!」

うんざりだ。思い出したくもない。
勝敗の決したゲームに延々と待ったを掛ける見苦しい連中の顔は。
このままダラダラ生かし続けていたら折角の楽しいバトロワにケチが付く。
此処に来る前と同じように、さっさと滅ぼして片を付けてしまおう。
不快感を払拭するべく、再びトリガーを引き、足掻く敗北者を終わらせにかかる。

「…ごめんね、ユニコン、ザ・サン。──最後まで、私と一緒に闘って!」
『ユニコ~ン!』『ザ・サン!』

命の保障の無い死地へ共に挑んで欲しい。
余りに酷な願いをカードに宿る仲間達は力強く応える。
眩い輝きを放つ信念は陰る事を知らずとも、力の差は歴然。
太陽の光は忽ち闇に吞まれ、バッドエンドは必然に訪れる。












「絆創チェンジ…!」



だがそれでも──と。
高らかに反逆の声を上げ、理想の世界(ハッピーエンド)を望む希望の灯が────




≪ベッDOWN!!≫




絶望の運命(バッドエンド)を焼き尽くす、絆の炎を呼び起こした。

「────はぁ?なにこれ?」

若き錬金術師の滅びを告げる銃声は一向に木霊しない。
代わりに、常に一定の余裕を保っていたメラから、心からの困惑が漏れ出す。
何処からか現れた"赤黒い布"
それがクロスギーツの身体へ何重にも巻き付き、硬く縛り上げていたからだ。

「絆、創膏…?」
「なんだってそんなもんが────おわああ~~~っ!?」

傷口を塞ぎ、外気から人体を保護する衛生材料。
荒唐無稽だがそれ以外にその布を形容する言葉が思い当たらない。
混乱する周囲を他所に、伸びた絆創膏が大きく撓り、捕らえた怪人を引っ張りあげる。
急展開にさしもの神殺しも咄嗟の踏ん張りが取れず。
引力に逆らえないまま素っ頓狂な叫び声をあげて連れ去られた。
異質な絆創膏の捕縛縄。
その終点に待ち受けるはクロスギーツと同じ漆黒の仮面戦士。

戦士を彩る黒の正体は、自他共に焼き焦がす執着の業火。
身体の各所に幾重にも巻き付いた絆創膏。単なる装飾に映るそれは、
無限に溢れ出る黒々とした負の感情を、辛うじて繋ぎ止める拘束具にも見え。
ヘルメットに刻まれた一筋の線が意味するは、決して消える事のない罪過の象徴。
見る者を震わす禍々しい雰囲気に、頭部に伸びた天を突く二本角
地獄の底より罪人を裁きに迷い出た黒鬼。そう見間違う者も少なからず居よう。

「なんなんだよ、お前はさぁ…ッ!?」

問答無用。残忍なる悪党に制裁を下す怒りの鉄拳。
獄炎の拳が無抵抗の顔面を叩き、解放された五体は強力な衝撃を伴って民家の壁面をぶち抜いた。
直前にメラが残した疑問を聞き入れてか否か。
昏き天に手を伸ばし、低く、重く、されど力強い声で戦士は名乗りを上げる。


「焼き尽くす深き執着の戦士────キズナブラック!」


轟音。
後方より突如として巻き起こる大爆発。
新手かとりんねはキズナブラックの周囲を見渡すも、終ぞ原因は見当たらず。
当の本人は此れがさも当然であるかの如く、己を照らす爆炎を受け入れていた。

「あの…助けてくださってありが「…名前は」──え?」

傍観者であったりんねは理解が追いつかない事ばかり。
はっきりしているのは、キズナブラックと名乗る戦士が命の恩人である事実。
まずは感謝をと礼を伝えるが、それを遮ってブラックは彼女に尋ねる。

「えっと、私の名前は九堂りんね…」
「違うあんたじゃない。さっきの狐野郎の名前だ。分かるか?」

名を尋ねる意図は気になるが、それが彼にとっての最重要事項なのだと理解。
疑問を抱えつつも口には出さず、尊大に語っていた神殺しの名をキズナブラックへ伝える。
望みの答えを聞きそうかと彼が頷いたのも束の間、四方から絆創膏が飛び出し二人を守る様に包み隠す。
直後、襲い来る凄まじい衝撃。絆創膏の覆いが晴れた先には、瘴気を放つ黒狐の姿。
己の健在を誇示するかの如く、自身の獲物を担ぎ悠々と立っていた。

「効いたぜ~今のパンチ。ヒロイン助けられてご機嫌かい?正義のヒーロー君。
 で、まさかこのまま勝てるとか甘い事考えちゃってる?」
「…貴様は必ず俺が殺す。だが、今は彼女の安全が最優先だ」
「ハッ、即退散だなんてだっせーの!ていうかさー、逃げれるって考えも甘過ぎなんだよッ!!」

闘いを邪魔され、不意とは言え一撃を貰った屈辱。
加えて、逃げおおせられると自惚れられれば黙って見逃す道理は皆無。
トン、と軽く地を蹴れば、黒狐は黒い弾丸となって距離を一瞬で詰め切る。
事象の加速を応用した高速移動。先の闘いで見せた脅威が再び彼女らに牙を剥く。

「俺達が逃げるんじゃない。貴様が此処から消え失せるんだ!」

桁違いの移動速度を目の当たりにして尚、迎え撃つ戦士に一切の動揺なし。
迫る脅威に対抗するべく、ブラックは一枚のカードを取り出した。

「左遷(レルゲイト)オン──メラ!」

宣言した瞬間、カードから飛び出す一条の光。
溢れだした光は一直線にクロスギーツへと突き進む。
速い。しかしその尺度は一般的な物。クロスギーツから見れば欠伸が出る程に遅い。
高速移動の最中、姿勢を器用に調節しひらりと身をかわす。
こんなちんけな代物で退けられる算段ならば片腹痛い。
そう鼻で嗤ったのもつかの間、光は其処で急転換し再びクロスギーツを狙う。

「なんだとぉ?」

再度迫る攻撃も避けるが、三度光は急転換。
まるで意思を持つかの様に、狙った対象を何処までも自動追尾する。

「チッ…!うざってぇ、ヒーローが狡いもん使ってんじゃねーよ!!」

発動した時点で回避は不可能。
攻撃の性質を理解し、観念したクロスギーツは防御体勢を取り、光を真っ向から受け止めた。
痛みは皆無。だが次の瞬間、己の意思とは無関係に上空へ飛ばされる身体。
宣言通り、まんまとしてやられたと悪態を吐く暇も与えない。
空の彼方へと飛び去る光に連れ去られ、後には束の間の静寂だけが残された。

◆◆◆

突如として現れた漆黒の戦士。
彼が来てからの全てはまさに驚きの連続だった。
一度は命を失う覚悟をしたにも関わらず、今もこうして生きている。
硬く誓った掟を再び破らんとするバッドエンドから救ってくれた希望(ヒーロー)。
絶望的状況から繰り広げられた怒涛の展開に、頭の整理が追いつかない。

「…大丈夫か?りんね」

呼びかけられた自分の名が、意識を現実へと引き戻す。
りんねは改めて御礼を述べると彼は振り返りはせず、ならいいとぶっきらぼうに一言だけ返して来た。
そのままりんねには近づかず、正反対の方向へブラックは一目散に歩を進める。

「何処へ行くんですか?」
「あの狐…メラが飛んで行った後を追う。
 緊急避難であのカードを使ったが倒せたわけじゃない。
 他の誰かに被害を出す前に俺の手で始末を付ける。」
「なら、私も闘います。私を守る為に逃がしたんだったら責任がありますから」

最優先は言うまでも無く宝太郎との合流だ。
しかし目的があるからと言って、命の恩人に全てを丸投げしていい理由にはならない。
救える命を救うのも、護るべき大切な掟の一つ。
尋ね人の宛も無く探し回るより、協力を結びながら脅威を止めつつ先へ進む。
それこそ宝太郎との合流や他の巻き込まれた参加者の助けに繋がる筈だ。

「無茶するな。あいつにやられたばっかりだろ。その傷で戦えるのか」
「貴方のお陰で令呪も体力も全て出し切らずに済みました。
 仮面ライダー…貴方と同じく変身も可能ですし、錬金術でのサポートもまだ充分出来ます。」

「錬金術…魔法みたいなもんか。」
「魔法と言うよりかは科学に近いんですけど…今はその解釈で大丈夫です。
 とにかく、アイツが一ノ瀬や誰かを傷つけるなら、知らない振りなんて私は出来ません。」
「凄い度胸だな。そんだけ傷だらけにされてまだ戦おうだなんて。
 …そういう所まで似てるのかよ」

一体何か呟いたのか。疑問を言葉にする前に何かが投げ渡される。
それが支給品の入ったリュックだと気づいた直後、ブラックは右腕をりんねの前に突き出した。

≪絆創拘束(バンソウバインド)!!≫

次の瞬間、電子音声が鳴り響き、手首のブレスから射出される絆創膏。
飛び出した絆創膏は彼女にベタリと貼り付くと、近くの壁に彼女を抑え付ける。
クロスギーツさえ縛り上げた強力な拘束。
仮面ライダーでもない今の力では当然びくともしない。

「…ッ!これは…!?」
「安心しろ。直ぐに解ける様にしてある。NPCや他の参加者に襲われたら意味がない。
 ただ…もしりんねが"イドラ"と同じ様な性格なら。
 きっとこうでもしないと、意地でも追いかけて来るだろうと思ってな。」
「どうして?私が足手纏いになるから…!?」
「違う。俺はもう誰とも絆を結べない。俺は…独りで闘い続けなきゃいけないんだ。」

強迫観念に駆られた確固たる決意。
其処に秘めた思い全てを察するのは初対面のりんねには不可能。
隠そうとしても滲み出る、声色から伝わる激しい後悔と罪悪感の感情が。
威風堂々と戦場へ進む戦士の歩みを、後ろめたさから来る逃避と錯覚させた。
絶対に放っておけない。自分の中に定めた掟は彼を止めなくてはと囁くも。
直ぐに伸ばそうとした手は、絆創膏に阻まれ伸ばせない。

「待って!」
「りんね、あんたは生きろ。生きて自分の大切な絆を守れ。
 いつか未来で…皆を笑顔にする夢を叶えてくれ。」

叫ぶ声のみでは想いは届かず。
纏う漆黒を夜の闇に紛れさせ、キズナブラックは消えて行く。
神殺しと対峙した際、とても頼もしく、大きく見えた希望の背中。
その後ろ姿が小さく見えたのは、きっと距離だけのせいではなかった。

【九堂りんね@映画 仮面ライダーガッチャード ザ・フューチャー・デイブレイク】
状態:正常、ダメージ(大)、拘束中(すぐに解除)
服装:錬金アカデミーの制服(ボロボロ)
装備:ハイアルケミストリング@仮面ライダーガッチャード
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0~2、浅垣灯悟のランダムアイテム×1、ケミーカード(ザ・サン、ユニコン)@仮面ライダーガッチャード、ホットライン
思考
基本:今度こそ宝太郎と一緒に戦い抜く
01:宝太郎を探し出す。自分の知る彼とは違ったとしても。
02:拘束が解けたらキズナブラックを追う…?
03:メラへの最大級の警戒
参戦時期:冥黒王に殺害された後、意識をザ・サンへ移す直前
備考
※

【支給品解説】
▪ハイアルケミストリング@仮面ライダーガッチャード
九堂りんねに支給。
アルケミスドライバーを呼び出す特殊なアルケミストリング。
本来は錬金術師が錬金術に用いる為に利用する通常のアルケミストリングだったが、
りんねの父、九堂風雅より力を授かり、進化。宝石の色も青からオレンジへと変化した。
召喚したドライバーに付属するケミーカードを使用する事で仮面ライダーマジェードに変身出来る。

◆◆◆


強制的な空の旅を終え、新たな大地に降り立つ黒狐。
敵影が無い事を確認すると、バックルを外しクロスギーツの変身を解除。
先の闘いで散々溜まった此処までの不満をため息に変える。

「ったくさ~どいつもこいつも空気読めない奴ばっかで参っちゃうって。
 こんなんばっかだと、俺もオーディエンスも愛想つかしちゃうよ?」

敗者の振舞いを弁えない錬金術師の女もだが、
その間に割り込んで来たキズナブラックを名乗る男も癪に障る。
戦闘中の乱入もバトルロワイアルの華だ。不意打ちで一撃見舞われるのは仕方ない。
確かに鬱陶しくは感じたが、やる気があるなら相手してやるつもりだった。
それが強引にノーゲームにされたとなると、高揚した気分も萎えてくると言うもの。
何時でもテンションの高まる合いの手を挟んでくれる愛しい相方のメロが恋しくなる。

「折角次のゲームを俺に放り出させてまで連れて来たんだ。
 もっと盛り上げてくんないと、お前の世界の神と一緒に滅亡させちゃうぜ羂索?」

数多の神話を滅ぼし、時と世界を渡り歩く時間犯罪者。
デザグラを運営する未来人さえ手を焼く、稀代の神殺し様をこうも容易く捕らえたのだ。
苛立ちこそあれ、今回のGMには一目置いている。彼らが運営するこのバトロワも。
世界滅亡ゲームとは異なる新鮮さを提供してくれると信じよう。
そうでなければ、この世界諸共綺麗さっぱり滅ぼすまで。

まずは一周。華々しい活躍でサクッと優勝を飾る。
もし殺し合いが愉快なものであれば、自分か羂索らにまた参加者を収集させ。
バトルロワイアルRTAをやってみるのも一興か。
既に勝ちを確信した、傲慢な未来を思い描くと、自然と下がった気分も盛り上がる。

「さ~て気を取り直して行きますか!次回のメラ様の活躍にこうご期待!」

不敗神話を築いた白狐の神さえ滅ぼし取り込んだ黒狐の神殺し。
殺戮遊戯すら鼻歌混じりで練り歩く享楽家は、己の勝利(ハッピーエンド)を信じて疑わない。
心と体に敗北の二文字を刻んだ、最悪の結末(バッドエンド)を未だ知らぬが故に。

【メラ@仮面ライダーギーツ 4人のエースと黒狐】
状態:正常、ダメージ(小)、不快感(中)
服装:いつもの服装
装備:デザイアドライバー@仮面ライダーギーツ 4人のエースと黒狐
   Ⅹギーツレイズバックル@仮面ライダーギーツ 4人のエースと黒狐
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0~2、ホットライン
思考
基本:愉快に楽しくバトルロワイアル
01:狙うは優勝。派手にカッコよく決められれば更によし。
02:次キズナブラックに会えば、サクッと殺す。
03:錬金術使いの仮面ライダー(りんね)に若干の不快感。
参戦時期:クロスギーツビクトリーで世界を滅亡させ帰還した直後
備考
※ロキの変身能力が使えるかは採用時後続の書き手さんにお任せします

【支給品解説】
▪デザイアドライバー+Ⅹギーツレイズバックル@仮面ライダーギーツ 4人のエースと黒狐
世界を4つに分断する事で同じく4つに分かれた創世の神、浮世英寿の力、知恵、運の要素を奪い取り、それを元に創り出した変身アイテム。
XギーツIDコアを埋め込んだ変身用のベルト、デザイアドライバーに装填する事でクロスギーツに変身する。
変身時にはクロスレイジングソード、ギーツバスタークロスが付属する。

◆◆◆



俺の胸には、いつも大きな穴が開いていた。
この世で一番の絆(アイ)を注いでくれる両親を失ってから。
底の見えない"孤独"と言う名の傷が。
決して癒えないその穴からは、不安や恐怖が黒い濁流となって溢れ出る。
幾ら身体を張ろうとも、ちっぽけなこの身一つでは傷口を塞げない。
激流に抵抗虚しく飲み込まれるか、深く暗い穴の底へするりと抜け落ちるだけ。

ならばどうする、と子どもながらに考えた。
医療のいの字も知らない無知な少年にとって。
傷口を塞ぐ手段などたった一つしかない。
"絆創膏(キズナ)"を貼り付ける事。
それが俺に出来る唯一の治療法だった。

絆創膏を張れば忽ち穴は塞がり、不安も恐怖も流れ出ない。
心に濁った水は溜まらずに安らぎが訪れる。しかし平穏は一瞬だけ。
新品の絆創膏は徐々に黒く滲み、やがてペロリと剥がれ落ちる。

再び溢れ出た濁流を抑える為に、俺は慌てて新たな絆創膏を張り直す。
貼って、剥がれて、貼って、剥がれて。俺の人生はその繰り返し。
無限の孤独を無限の絆で塞ぐ。
不毛なイタチごっこが終わりを告げる日はなかった。

時は流れ、少年から青年へと移り変わり。
ゼツエンダーから絆を守る戦士、キズナレッドに俺はなった。
誰かの、皆の、全ての人の絆を守りたいと願う心が、孤独だった俺を強く成長させ。
絆装戦隊としての日々は、苦楽を共にした仲間との何物にも代えがたい大きな絆を育んだ。

その一方で、掛け替えのない絆を結んで行く度に理解した。
絆を結べば結ぶほど、全てを失う事への恐れも同じだけ膨れ上がっていく。
強い絆創膏を重ねるだけでは、傷穴は消えず、絆への執着が全てを黒く押し流す。
身体と違い、心の傷は絆創膏で塞ぐだけじゃ勝手に治癒などされやしない。
癒えない執着はやがて漆黒の業火となって燃え盛り、大切な仲間すらも巻き込む暴走を引き起こした。

絆への飢えがある限り恐怖と不安は永遠に続く。
あの日開いた傷穴をすっぽりと埋める代わりなど存在しない。
執着の元たる絆を捨てる選択肢はない。それは絆を結んだ全ての人への裏切り。
何より手放せば最後、流れ出る負の感情に吞まれ、二度と元には戻れなくなる。
胸に抱えた闇と一生付き合って行くのだと、俺は覚悟を決めていた。

世界の命運と俺の人生。全てが一変した運命の日までは。



ゼツエンダーの首領、絶縁王との最終決戦。
壮絶な一騎打ちの末、結果は相打ち。
遺していく仲間への謝罪と絆を守り抜けた達成感を胸に眠りにつき。
次に目覚めた時、俺は何故か異世界へと飛ばされていた。

見慣れぬ土地に見知らぬ人々。
馴染みある世界と変わらない、人と人との絆を守りながら。
帰還の手がかりを模索するも見つからず。協力者探しは空振り続き。
もうこの世界で生きていくしかない。元の世界で得た絆とはもう会えない。
孤独な夜に、絶望と諦念の闇が色濃く心に根差た時。
夜明けの光を俺に差し込んだ希望(ヒーロー)が、イドラだった。

『────帰れなくて困ってる人がいるみたいだから 私の魔法で助けてあげるわ』

孤独を隠して気丈に振る舞う俺に、何かと振り回されながらも。
いつも俺が一番欲しい言葉をかけ、当たり前の様に手を差し伸べてくれた。
負の海から引っ張りあげてくれた、イドラの優しい声やはにかんだ表情が、今でも忘れられない。
冒険者として共に過ごし、苦難を乗り越え、寄り添う時間が。
埋まる筈のなかったと底なしの傷穴に、胸いっぱいの絆を注いでくれた。

旅路の途中で彼女が語ってくれた、一つの理想。
亡き父親の意志を継ぎ、魔法で世界中の人々に笑顔をする。
何よりも困難で、子どもっぽく、現実離れした、輝かしい夢。
応援したいと思った。特別だと思えた少女の大きな夢を。
絆を守る戦士としてだけでなく、一人の男として。
俺はイドラが結んでいく絆を守る。夢見た世界を一緒に掴み取る。

そうして互いの心に、硬い絆で結んだ約束を交わし。


『────ごめん ね…。元の世界に…帰して…あげられ…なくて』


そして──失った。
どんな絆も全て大切だと信じた、俺の愚かな選択のせいで。

かつての宿敵、ウラギリス。元の世界との結んではいけない絆に手を出し。
ツケとして払わされた、裏切りと言う最悪の代価(バッドエンド)。
埋まりかけた穴は再び広がり。そしてもう二度と、塞がる事は無かった。

代わりに。敵への憎悪と執着が招く暴走を、俺は一切起こさなくなった。
死に物狂いで抑えようとした濁流に、ドス黒い激情の炎に身を任せた瞬間に。
摩耗した心は不安や恐怖を受容した。より多くの絆を守れる力を手に入れたのだ。
一番護りたかった肝心の絆はもう何処にもないと言うのに。

途切れ途切れの記憶の果てに。やがて辿り着いたのは忌まわしき過去。
施された封印を破壊し、最悪の未来を招く憎き仇を叩き潰す。
果たすべき贖罪を終える。
今は亡き絆に誓った俺の前には、少女の皮を被った悪魔が立っていた。

突然現れたその悪魔、羂索は無慈悲に人々の自由と絆を奪い去り。
その心にもう二度と修復出来ない傷穴を残す。
直ぐに理解した。
コイツはイドラの未来を奪った怨敵と同等に倒すべき邪悪であると。

なのに。
皆が思い思いに声を上げ反旗の意思を示す中で。
俺は一人、バカみたいに呆然と立ち尽くし動けないでいた。
自分もまた、名前も声も知らない誰かと同様に。
その悪魔に小さな"傷穴"を付けられていたから。

ふと、考えてしまった。
もしも奴の言葉が真実ならば。もしも己の理想が叶うなら。
俺の過ちで失った大切な絆を取り戻せるのではないか。
その為なら、顔も名前も知らない赤の他人の絆など、踏み躙ってもいいのではないか。

吐き気がした。
家族に誓った夢に唾を吐き捨てる、己の物とは思えぬ狂気の思考。
余りの悍ましさに、腹から込み上げたモノをありったけぶちまけた。

例えそれが魔が差したと呼べる程度だったとしても。
例えそれが一瞬とさえ呼べない刹那であったととも。
絆を守る戦士として、絶対に許されない思考。
人々の大切な絆を断ち切る悪意ある選択など、ゼツエンダーや魔王族と何が違うという。
キズナファイブや勇者に滅ぼされて当然の悪そのものだ。

何より邪道に堕ちてでも得た未来を、イドラは喜んだりしない。
お前の命は数多のバッドエンドの上に成り立っているだなどと。
彼女が描いた"世界中の人々を笑顔にする夢"に真っ黒なペンキをぶちまけたに等しい。
他ならぬ俺自身がイドラをバッドエンドに導く存在へとなる。
そんな最低最悪の未来は、彼女を失う以上に耐えられない。

でも、どうしてもダメだった。
羂索に付けられた傷からドロリと流れ出した"何か"が。
大穴から絶えず溢れる濁流よりも緩慢に。
しかし確実に、激情の洪水に流れ落ち、混ざり合い、黒く心を蝕む。
一人で抑えたってどうしようもないのは幼少期から分かってる。
一度空いてしまった穴を塞げる絆は、もう無い事も理解している。

俺の弱さが何時か誰かの絆を奪うなら。
俺の未来が彼女の理想を閉ざす位なら。

命を絶つ他ない。
そう考えた矢先だった。
耳をつんざくような爆発音が聞こえたのは。

苦悶と絶望の中で尚も身体が動いたのは。
誰かを守るヒーローであった故の性か。
誘蛾灯に誘われる蛾の様に覚束ない脚で現場へ近づく。
視界に捉えたのは二つの人影。
傷だらけで倒れ伏す少女と勝利に酔いしれ嗤う仮面の黒狐。
護るべき絆、倒すべき悪。何方も明白。しかしそれ以上足は進まない。

他人の絆を奪う怪人が、一体どのツラを下げて正義の味方を気取る。
新たな傷が生み出す黒で染まり切る前に、速く全てを終わらせなくては。
今の俺に誰かの絆を守り、結ぶ資格などありはしない。
失われゆく命を虚ろな目でみながら、フラフラと立ち去ろうとして。
不意に映った、ゆっくりと立ち上がろうと少女の姿に───

──己の過ちで永遠に失った、かつての希望(ヒーロー)を垣間見た。

彼女とイドラは全く似てない。
人種が違う。服装が違う。住む世界が違う。
胸だって別に大きい訳でもない。
外見で似てる部分など長い黒髪くらいなものだ。

それでも。

彼女と同じ、困難を前にしても諦めない輝かしい勇気が。
彼女と同じ、子どもっぽくて現実味ない大きな大きな夢が。
燃えカスの様になっていた俺の身体を突き動かした。
微かに感じた、あの日の彼女の幻影。
在りし日の希望へ縋りつく様に、俺は戦う理由を見出した。

もう誰かと絆を結ぶ資格のない罪深い俺が、最後に出来る事は一つ。
彼女の様な誰かの希望が、バッドエンドに至る未来を変えて見せる。
ハッピーエンドを阻む最悪の可能性。その一片さえ叩き潰す。
その為に、俺は仮初の絆創膏を張って、絆を奪う悪を葬る戦士と成ろう。

だがもし。
護るべき絆が何処にも存在しなくなってしまったら。
急ごしらえの絆創膏が黒く染まり、剥がれ落ちてしまったら。
新たな傷口から溢れる、執着や恐怖よりも黒く恐ろしい"欲望"(ナニカ)。
その黒に心が染まった時に、果たすべき役目はもう理解している。

イドラをバッドエンドに導く可能性は何者だろうと潰す。
それが俺が一生かけて贖うべき贖罪なのだから。

【浅垣灯悟(バッドエンド)@戦隊レッド 異世界で冒険者になる】
状態:正常、キズナブラックに変身中
服装:いつもの服装
装備:キズナブレス@戦隊レッド 異世界で冒険者になる、ブラック絆装甲@戦隊レッド 異世界で冒険者になる
令呪:残り三画
道具:ホットライン
思考
基本:バッドエンドに導く存在は全て消す。自分自身も例外なく。
01:メラを探し出し殺す。
02:イドラと似た夢を持つりんねには生きていて欲しい。
03:自分の中の悪意を抑えきれなくなれば、誰かの絆を奪う前に自害する
参戦時期:ウラギリスの封印を破り、灯悟たちと対峙する前
備考
※キズナブラックの装備は採用時後続の書き手様にお任せしますが、最低限握手カリバー、縁結ビームガンは召喚可能です。

【支給品解説】
▪キズナブレス+ブラック絆装甲@戦隊レッド 異世界で冒険者になる
絆創戦隊キズナファイブに変身する為の変身アイテム。
腕輪型アイテム、キズナブレスに絆創膏型アイテム、絆装甲(バンソウブレード)をセットする事で変身。ブラック絆装甲の場合、キズナブラックへ変身可能。
絆に対する強い執着と孤独への恐怖、そして絆を奪おうとする敵への憎悪によって
限界以上の力を引き出し暴走を起すが、失った絆への膨大な執着を糧に強引に暴走状態を抑えている。

▪左遷(レルゲイト)@HUNTER×HUNTER
念能力者専用ゲーム、グリードアイランドで使用されていたスペルカード。
呪文と名前を宣言する事で、対象プレイヤー1名をゲームエリアのどこかへ飛ばす。

候補作069:魔王の悪戯、笑えぬ仕業 投下順 候補作074:ねぇ死んだらどうなる?
時系列順
GAME START 九堂りんね 011:1つ問おう!ヴィラン共の企みを阻止する次代の象徴には何が必要だと思うかね?そう……ヒロインだ!
メラ 025:閑話F:魔女狩りクエスト/神殺しゲーム
キズナブラック 040:信-Lost Essence-

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