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「まず、あいつの正体は……『鬼』だ。
鬼ってのがどういうモンなのかは、
あんたらの方が詳しいだろ」
「───なるほどの。鬼とは妖の種族の名ではない。
人々からの畏怖や信仰の力によって、
より高位の存在へと押し上げられたモノを言う。
……しかしあやつは、恐れられているというより
人々に司政官として尊敬されている、
という方が正しいのではないかの?」
鬼ってのがどういうモンなのかは、
あんたらの方が詳しいだろ」
「───なるほどの。鬼とは妖の種族の名ではない。
人々からの畏怖や信仰の力によって、
より高位の存在へと押し上げられたモノを言う。
……しかしあやつは、恐れられているというより
人々に司政官として尊敬されている、
という方が正しいのではないかの?」
「仕組みはよく分からんが……
奴はそういう『特異体質』なんだそうだぜ。
妖として畏怖されるのではなく、
人としての名声を集める事が己の力になる。だからこそ
自分が妖だって事がバレるのを極度に恐れているのさ」
あやつがずっと自らの犯行を隠そうとしていたのは、
そういうカラクリだったのじゃな。
奴はそういう『特異体質』なんだそうだぜ。
妖として畏怖されるのではなく、
人としての名声を集める事が己の力になる。だからこそ
自分が妖だって事がバレるのを極度に恐れているのさ」
あやつがずっと自らの犯行を隠そうとしていたのは、
そういうカラクリだったのじゃな。
「あいつが普段見せている人の姿、
あれは例えるなら『擬似餌』なのさ。
本体はどこかに隠れていて、人々には
立派な代官としての姿を見せる事で名声を集めて
己の力にする。それがあの男のやり方だ」
なるほどの。タネが分かってしまえば何という事はない、
妖力は感じるのに奴自身には気配を感じなかったのは
あの姿がただのハリボテだったからなんじゃな。
そうして影に隠れて本体はこそこそと子供や妖を
食らっていたとは、何とも陰湿な奴じゃのぉ……。
あれは例えるなら『擬似餌』なのさ。
本体はどこかに隠れていて、人々には
立派な代官としての姿を見せる事で名声を集めて
己の力にする。それがあの男のやり方だ」
なるほどの。タネが分かってしまえば何という事はない、
妖力は感じるのに奴自身には気配を感じなかったのは
あの姿がただのハリボテだったからなんじゃな。
そうして影に隠れて本体はこそこそと子供や妖を
食らっていたとは、何とも陰湿な奴じゃのぉ……。
「そうなると、あやつへの対抗策は
決まったようなものじゃの。妖である事を衆目に晒し、
人としての名声を根こそぎ奪い取る。
そうすれば奴の力は大きく落ちるはずじゃ」
「そう上手くは行かねぇんだ。
奴にはもう一つの特異体質がある。
妖を喰らい、その力を己のものとする異能だ。
あんたらも知ってるだろうが、奴はこの五年間ずっと
都の人々を洗脳し続けている。
どこかでそういう力を持った妖を喰ったんだろうな。
だから例え目の前で力を使わせる事ができたとしても、
あいつらは何とも思わねぇだろうさ」
決まったようなものじゃの。妖である事を衆目に晒し、
人としての名声を根こそぎ奪い取る。
そうすれば奴の力は大きく落ちるはずじゃ」
「そう上手くは行かねぇんだ。
奴にはもう一つの特異体質がある。
妖を喰らい、その力を己のものとする異能だ。
あんたらも知ってるだろうが、奴はこの五年間ずっと
都の人々を洗脳し続けている。
どこかでそういう力を持った妖を喰ったんだろうな。
だから例え目の前で力を使わせる事ができたとしても、
あいつらは何とも思わねぇだろうさ」
「くふふ、そこは問題ない。妾には秘策があるからの。
奴への対抗策はよく分かった。感謝するぞ、葛。
達者で暮らせよ」
「あぁ、それと後もう一つ忠告だ。奴と闘り合うなら、『夜』は絶対に避けろ。大仁田が鬼になる前の、
妖としての種族が何なのかは知らんが……
あいつは夜にこそ十全の力を発揮できる。
闇討ちは逆効果だ、気を付けろ」
奴への対抗策はよく分かった。感謝するぞ、葛。
達者で暮らせよ」
「あぁ、それと後もう一つ忠告だ。奴と闘り合うなら、『夜』は絶対に避けろ。大仁田が鬼になる前の、
妖としての種族が何なのかは知らんが……
あいつは夜にこそ十全の力を発揮できる。
闇討ちは逆効果だ、気を付けろ」
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「な、なぜだ……なぜ洗脳が解けている!?
貴様、彼らに何かしたな!?」
「失礼な事を言うのぉ。何かしたのはお主の方であろう?
妾はただ彼らを元に戻してやっただけじゃ。
妾の妖術のひとつ、『傾国のお狐様』によってな。
この術にかかった人間は妾の言葉ならば
何でも信じ易くなり、妾に盲目的に従うようになる。
くふふ、奇しくもお主の力と似たようなものじゃが……
どうやら妾の妖術の方が強かったようじゃのぉ?」
貴様、彼らに何かしたな!?」
「失礼な事を言うのぉ。何かしたのはお主の方であろう?
妾はただ彼らを元に戻してやっただけじゃ。
妾の妖術のひとつ、『傾国のお狐様』によってな。
この術にかかった人間は妾の言葉ならば
何でも信じ易くなり、妾に盲目的に従うようになる。
くふふ、奇しくもお主の力と似たようなものじゃが……
どうやら妾の妖術の方が強かったようじゃのぉ?」
「妖術だと……そんなもので私の民を奪うなど……!!
許さんぞ、貴様ァァッ!!」
許さんぞ、貴様ァァッ!!」
グォッ!!
巨大な手が狐に迫る。が、狐はそれをゆるりと躱し、
手をふぃと振る。すると青白い炎が無数に現れ、
一斉に大仁田に襲いかかった。
「くっ……!!」
「くふふ、狐火というやつじゃ。
なに、その身体は本物ではないのじゃから、
熱くもなかろう?」
「貴様、どこでそれを……!!
……そうか、葛の入れ知恵か!!
あの男、まだ生きていたとはな……忌々しい!!
だが、奴が私の事を全て知っていると思ったら
大間違いだ!!」
手をふぃと振る。すると青白い炎が無数に現れ、
一斉に大仁田に襲いかかった。
「くっ……!!」
「くふふ、狐火というやつじゃ。
なに、その身体は本物ではないのじゃから、
熱くもなかろう?」
「貴様、どこでそれを……!!
……そうか、葛の入れ知恵か!!
あの男、まだ生きていたとはな……忌々しい!!
だが、奴が私の事を全て知っていると思ったら
大間違いだ!!」
ズォッ!!!
大仁田のいる方向から妖力が溢れ出し、
まるで暴風のように吹き荒れる。
妖力を感じる事ができない人間達ですら、
その圧力に吹き飛ばされてしまっている。
「うわぁ!!何だ!?突風!?」
「これも、あいつがやったのか!?」
「化け物だ!!やっぱりあいつは化け物なんだ!!」
堰を切ったように慌てふためき、逃げ惑う住民達。
それを凄まじい形相で睨み付ける大仁田。
もはや、鬼としての本性を隠す気もないようじゃな。
まるで暴風のように吹き荒れる。
妖力を感じる事ができない人間達ですら、
その圧力に吹き飛ばされてしまっている。
「うわぁ!!何だ!?突風!?」
「これも、あいつがやったのか!?」
「化け物だ!!やっぱりあいつは化け物なんだ!!」
堰を切ったように慌てふためき、逃げ惑う住民達。
それを凄まじい形相で睨み付ける大仁田。
もはや、鬼としての本性を隠す気もないようじゃな。
「ふん。正体が露見した今、こんな奴らは
もうどうでも良い。貴様らを全員消した後で、
また遠い地でやり直せば良いのだからな!!」
ふと見上げると大仁田の後ろに、少しずつ
「何か」が浮かび上がって行くのが見えた。
赤く、猛々しい巨体。……これは、まさか!!
もうどうでも良い。貴様らを全員消した後で、
また遠い地でやり直せば良いのだからな!!」
ふと見上げると大仁田の後ろに、少しずつ
「何か」が浮かび上がって行くのが見えた。
赤く、猛々しい巨体。……これは、まさか!!
「狐!まずいぞ、一旦退け!!
今まで奴が見せていた巨大な手は……
奴の本体の一部だったのじゃ!!」
今まで奴が見せていた巨大な手は……
奴の本体の一部だったのじゃ!!」
奴の本体は、ここではないどこかに
隠れているのだと思っておった。
そして奴が扱う巨大な手は、
妖術か何かで作り出した物なのだと。
……じゃが、それは間違いじゃった。
隠れているのだと思っておった。
そして奴が扱う巨大な手は、
妖術か何かで作り出した物なのだと。
……じゃが、それは間違いじゃった。
奴の本体は、ずっとここにいたのだ。
ただ『見えなくなっていた』だけで、
あの手と同じ大きさの本体が、
ずっと奴の後ろにいたのだ!!
ただ『見えなくなっていた』だけで、
あの手と同じ大きさの本体が、
ずっと奴の後ろにいたのだ!!
「今更逃げ腰か?私を本気にさせておいて、
それはないだろう。さぁ、さっきまでの威勢を見せろ。
全て、捻り潰してやる!!」
それはないだろう。さぁ、さっきまでの威勢を見せろ。
全て、捻り潰してやる!!」