【初出】
0巻
【解説】
真名は “纏玩”(てんがん)。
炎の色は爛れた赤銅。
人化は使っておらず、
顕現した姿は本質そのままであり、その姿を人間を閉じ込めたシャボン玉で覆って隠していた。
“徒”の中でもかなり矮小な部類に入り、その存在の規模も理想も感情も全て卑小であり、
フレイムヘイズにすら妬みの感情を向けることしかできなかった。
また、体術も
自在法も下手で、自身の顕現すらまともに出来ておらず、移動したときや何かと接触した時に焦げ跡や残り火を残してしまっていた。
一応“
燐子”を扱うことは出来るが、それも上等なものではなく、操り人形のようにある程度自由に行動できるものの、主人が討滅されると即座に機能を停止して消滅した。
ちっぽけで、何より「醜い」自分に激しい劣等感を抱き、人化した姿を彼の理想の美しい姿に加工することに執着し、美しい『いつかこうなる自分』を作るために古今東西の美男子を攫い、その写真と彼らを自分のトレーラーのコンテナ内いっぱいに蒐集していた。
その蒐集癖と所持する
宝具『
アタランテ』の性質上、醜くなった美男子たちや邪魔をする者(
大上準子)は喰らって捨てていたので、その痕跡を
御崎市に程近いとある田舎町(寄木市)で
シャナと呼ばれるようになる以前の『炎髪灼眼の討ち手』に発見され、付け狙っていた
濱口幸雄は一瞬の隙を突いて攫ったものの、追いかけてきた
シャナとの交戦の結果、討滅された。
【由来・元ネタ】
名前の元ネタはキリスト教の下級悪魔 ウコバク(Ukobach)と思われる。大きな頭と細い牛のような尾を持つ。地獄の窯の火を絶やさないよう、油を注ぎ込む係をベルゼブブから任されているという。
別の説では、熱い石炭で亡者を苦しめるという。
「纏」は装束など身につけること、「玩」はおもちゃにする、もてあそぶこと。真名全体で「弄ぶべきもので装束する」という意味だと思われる。
真名に「纏」という字が入っている通り、彼の憧れる美麗な物を身に纏うという行為は醜く弱小な己を誤魔化すための「隠す」「飾る」という行為であり、そのためには捕食の対象である人間すらも使うのだと解釈できる。なんとも哀れな“徒”である。
また、「装束して弄ぶ」と解釈することも出来る。彼は自身の姿の参考となるものを纏っているが、結局その姿を作るのは不可能で、ただ活用できずに弄んでいるだけである。
最終更新:2025年04月11日 21:05