トリオ TS-120/TS-130シリーズで電波を出そうの会
Day11 - TS-120Sで運用する際の注意点
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ts-120s
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TS-120がだいぶ直ってきたので、お空に出る時の注意点を確認する。
100W機には、パワーメーターが付いていない

TS-120SのMETERスイッチは、送信時ALC/Ic切替である(120VはALC/RF切替)。現代的なリグから見ると「はて」となる。
- 取説には送信時の注意として、「メータースイッチをALC」にして「SSBではALCの範囲を超えないように(レッドゾーンにならない)MIC(マイクゲイン)を調整せよ」「CWはALCゾーンの約半分の振れになるようにCARツマミを調整せよ」と書かれている。
- ALCメーターの過大なフレはアンテナ側の不調を匂わせることがあるので、日頃から見ていると、アンテナ等のトラブルの際、フレの変化に気づくだろう。とはいえ、FWD/REF電力の表示がリグ本体にないのは、ちょいと不便。
- Icとは、ファイナルトランジスタのコレクタ電流である。限られた機能実装(コスト制約・筐体容積)の中で、Icがなぜ出力表示よりも優先的に装備されたのかは謎。
- Icを送信中に監視するようになっている設計意図は、当時、200Wもの入力電力を扱うトランジスタファイナルの技術が未成熟なのを危惧した(弱気さの)表れだろうか。それともIp(プレート電流)を確認してチューンをとる真空管終段時代の名残か、はたまた、当時の13.8V/20A級直流安定化電源に電流表示があまりついていなかったからか。
- 通常、Icを監視しててエライコッチャとなることもそうはない(*1)ので、無線機側はALCで過大入力を監視しといて、出力は外付パワーメーターで監視しとけよ?ということ、かな。
CWモードにおける周波数表示は、現代の無線機と異なる。
CWモードで「TS-120で受信時に表示される周波数」は、「今どきの無線機でのそれ」の700Hz下だ。慣れないとビックリだ。
- 現代の感覚では「CWの周波数=送信する周波数」であり、受信中は無線機に表示されている周波数よりビート分(700-800Hz)下を聴いている。
- TS-120SではCW運用の際、送信周波数を受信時より+700HzずらすのをVFO側で担っている。実際送信時に周波数カウンタの表示が受信時より+700Hz増加する。
CWでの周波数の合わせ方。
したがって、キチンと周波数が調整されたTS-120であれば、もし「7.0100MHzに局がいる」との情報を得た場合、受信周波数を7.009.3前後に合わせればきっと御本尊がいるはずだ。
今どきの無線機と鳴き合わせしてやれば安心だが、ためし打ちで送信してRBNに拾ってもらい、自分の送信周波数がどこか確かめておくというのも検証方法かもしれない。
今どきの無線機と鳴き合わせしてやれば安心だが、ためし打ちで送信してRBNに拾ってもらい、自分の送信周波数がどこか確かめておくというのも検証方法かもしれない。
SSBモードでは、TS-120の送信音はおだやか過ぎる。
幸か不幸か、送信音はトークパワーが乏しい。全くパンチのない感じだ。
- SSBの送信音に影響を与える周波数変換が少ない構成のお陰で、歪みの原因が減る。そして当時の技術とコストなりに、リニアアンプのリニアリティとIMDに注意を払って電力増幅段を設計・検討したはずだ。
- しかしその結果なのかどうか、おなじ10W/100Wでも、PEPメータ上は結構振っている(=ピークでは出力は出ている)割に昨今のリグに比べるとやけに変調が浅く感じられる。
TS-120はスピーチプロセッサはおろか、AFマイクコンプレッサさえも内蔵していない。
SSBではある程度エッジの効いたトーンとコンプレッションがないと、他局と同時に呼んだ場合、毎度呼び負けていつまでも自分の番が来ないことにもなる。
「人の声の素の音に近い」と言えなくもないのだが・・・
「人の声の素の音に近い」と言えなくもないのだが・・・
かといって、マイクゲイン上げすぎ注意。
なお、マイクゲインを上げてガンガンにALCを降らすと、見事にIMDボロボロになります(以前tinySAでツートーン見て、衝撃でした)。そんな電波の質でローバンドあたりに出ようものなら、匿名の局に「広がってますよー」「バリバリ言ってるよぅ!」といじられること、請け合いです。
CB上がりのダントラモービル連中が大好きな「強い変調(意味不明)」にならぬ様、注意。
CB上がりのダントラモービル連中が大好きな「強い変調(意味不明)」にならぬ様、注意。
平均的な変調度を上げつつも、ALCが働かないような動作点でTS-120Sを使う、なんて虫のいいことはできるのかな?
後継機の話。
TS-130にはわざわざProcessorユニットという小基板を設計して実装させたのだから、おそらく120ユーザーからの要望を汲み上げたものなのだろう。
マイクコンプレッサを作り、つなぎこむも一興である。
マイクコンプレッサを作り、つなぎこむも一興である。