トリオ TS-120/TS-130シリーズで電波を出そうの会

Day19 - AF-GENユニットの予防メンテと改良 (2)

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ts-120s

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マイクアンプ回り。

電源周りにぶら下がっている電解コンデンサもどんどん取り換え。
ついでに段間の電解は、低域をもうすこし出すべく値増やしめにした。その他アースに落とす電解は値は同じ。シンプルなTrによる低周波増幅はまず音を汚さないこと、あと安定度が命だ。
  • C43/C46/C30 1u/50V→4.7u/50V
  • C31 3.3u/50V→4.7u/50V
  • C45 4.7u/16V→22u/50V
  • C48/C49 4.7u/16V→4.7u/50V
当時からするといい部品が使われていたと思うけど、音の通り道と電解の劣化は音の劣化を招きます。

マイクアンプ回りは、能動素子も替えよう。

初段マイクアンプQ18 2SC2240GR、Q10/Q11 2SC1815Yは音響的に悪くない石だけど、音のトーンは少し落ち着かせる方向にしたい。
中域がマイルドなトーンの2SC1775、高域にスッキリ抜けるトーンの2SC1845あたりを使おうかなどと考えていたが、結局2SC460を代替した「2SC2320」を、3段ともhfeを選別し用いた。
三菱石らしい、ホットな音が出てこないかな?(希望的観測)

続いてAF PA。

AF PA(Q7)周辺の電解は、取り換えついでにちょい強化しましょう。特に音の経路。
  • C17 1u/50V→4.7u/16V
  • C19 10u/16V→10u/16V
  • C24 220u/16V→1000u/16V
  • C21/C22 47u/16V→100u/16V
当時からするといい部品が使われて(以下同文)

物の序です。AFプリアンプ周辺もいじっちゃいましょ(悪乗り)

復調用のダイオードリング(D1~D4, 1N60)の後に、AFプリアンプが設けられています。
送信部のミキサーにはクワッドダイオードやICを使っていても、受信の復調をあえて「1N60のダイオードリング」にしているのは、歪特性の強みを狙ったケンウッドのアナログ機・伝統の回路ですね。

電解コンデンサは、ほぼ値はそのままで交換しました。ここでもお気に入りの2SC2320にご登場願います。
  • Q1 2SC2240GR→2SC2320
  • C4 0.47uF→4.7uF/16V muse FW
  • C5 220uF/10V→220uV/16V
  • C7/C8 10uF/16V→22uV/50V
  • C9 0.1uFマイラー→0.1uF MPF*1
  • C3 0.033uFマイラー→0.047uF MPF(ページ下部で変更理由を述べております)


後日追加:AFプリアンプの炭素皮膜抵抗は替えちゃえ。

初段の音の通り道は古い抵抗を看過できない。
  • R3 6.8k炭素皮膜抵抗→6.8k金属皮膜抵抗(KOA)
  • R4 4.7k炭素皮膜抵抗→4.7k金属皮膜抵抗(KOA)
  • R5 3.3k炭素皮膜抵抗→3.3k金属皮膜抵抗(KOA)

補足:TS-520トーン化したいのです(嘘)

ダイオードリングによるデモジュレータのと、AFプリアンプにはさまる「LPF」は受信機のトーンを決めていると思われます。


IF漏れをC2 (0.01uFセラコン)でGNDに落としたあと、LPFを通るわけですが、
  • TS-120のデフォルトは、R3 6.8k、C3 0.033uF。これだと-3dBカットオフが710Hzぐらいです
  • 一方、TS-520で相当するLPF部分は 6.8k/0.047uF。こちらにするとカットオフ500Hz。
    • この200Hzのカットオフ位置の違いというよりは、主に高域の下がり具合により、聴感的な受信音の重心が下がりそうです。と言ってもCRによるだら~とした特性のLPFなので、高域が聞こえない訳でもありません。
  • 余談ですがそのLPF部分、TS-830ではDET出力側から0.022uF/2.7k/0.022uF、TS-940では0.047uF/1.8k/0.022uFになってます。これだとそれぞれ2.7kHz/-3dB、4.0kHz/-3dBぐらいでしょう。全然LPFの思想が違うようです*2


ということで、キャラキャラとハイ上がりなオリジナルのTS-120トーンよりも、520風のトーンを目指してC3を0.047uFに変更しました。
ここでR3を上げると更にカットオフ周波数は下がるのですが、やりすぎるとブーミーでむしろ耳障りなトーンになってしまうので注意です3.5MHzあたりに、時々低域過剰でモコモコな局いますよね。

受信音は好き嫌いの世界。
好みの音にチューニングしてみてくださいませ。

これで、いったん終了です。

AF-GENユニットはその名の通り、主に送受信のAF信号が駆け巡るボードです。
主に音の通り道や電源まわりは、ここまでのパーツ交換で最低限劣化影響が解消された・・・気分にはなれました。
追加で、マイラーコンもいくつかMPFに交換しましたが、もはや気分の問題で、あまり効果はないでしょう。あと一部の音の通り道の抵抗は、音響用ではないけど金皮にしてます。


うちの個体では送受信共に、メンテ前のハイ上がりのトーンからだいぶ重心が下がった印象です。
とはいえ音の良し悪しは主観の世界ですので、コメントは差し控えさせていただきます。どうか自己責任でお楽しみください。*3
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注釈

*1 メタライズド・ポリエステル・フィルムの略です

*2 多段で入るIFフィルターの選択度に音調を任せてるから? まあ。いずれ830トーン風を試すなんてのも一興でしょう。

*3 もし「ギンギンな音」へとチューンアップしたければ、AFプリとマイクアンプのあたりは、音響用の電解コン・抵抗を使うもよし、かもですね?