【我が墓碑銘をここに謳おう】
燃え尽きたはずの灰の山が再び熱を帯び始め、ゆっくりと……意志を持つかのように動き始めた。
やがて灰の中から人間の手の形が突き出され、虚空を掴むかのように動き出す。
滅びたはずの者が灰の中から蘇り再び動き出すという、本物の不死者の如き光景が此処に現出する。
《真祖》と同じく、幾度殺されようとも死なない異能。
たとえ肉体が滅ぼされ灰に変じようとも、まるで時間を逆行させたかのように生前と全く同一の姿で復活するという、不死者の真髄に至った証。
そして、
不死なる者が死ぬという矛盾、死よりも重い一念を抱くことで到達する墓碑銘、その原初の形態である。
作中では、同様の能力に至った人物が二名いるため、それらを分けて記述する。
(碑名は不明(又は原初故に無銘))
「坂本龍馬じゃ!あん男がこの世に生きちょる限り、ワシもまた不滅よ。
誰に何回殺されようがのォ……龍馬の首ば獲るまでは、誰がおとなしゅう死んでなんぞやるもんかや。
世の道理?知ったことかァ!ワシがそんなものに付き合うちゃる道理こそ、それこそどこにもないろうが!」
かつての同胞である
坂本龍馬に対し一方的に執着し、余命僅かな
《血染ノ民》となっても彼を付け狙い――そして十六夜村の死闘で
隼人に敗北した
岡田以蔵。
しかし、灰となって滅びたはずの以蔵は驚くべき現象を引き起こす。
―――死の状態から逆行……再び血の怪物として灰の中から立ち上がり、完全に元の肉体を取り戻すという
覚醒を。
CBも驚愕したこの悪夢の如き能力は、恐ろしい事に一度きりでは終わらず、その後も発動し続ける。
二度目は箱根で、
永倉新八を自らの命を捨てる相討ち前提の剣にて葬り去った後に。
三度目は同じく箱根で、
同族殺しのフェレイラに対し、CBが
肉体操作の墓碑銘の罠を掛けるための囮として。
急所を貫かれて、あるいは大型の
葬鬼刀に五体を砕かれても――その度に以蔵は蘇り立ち上がってくる。
喜怒哀楽、人間も持つ感情の色、それを複雑に入り混じらせた、混沌極まる相貌を浮かべて。
長命の吸血種ですら成し遂げられない、死を拒絶し、現世に舞い戻るほどの能力を生み出す――
以蔵にとってのその一念とは……上記の台詞にもあるように、
坂本龍馬への憎悪と執着という、
ただ度を超えた執念、それのみである。
異国の吸血鬼や
吸血種と変じた新選組と刃を交え、辛くも勝利してきた隼人や沖田も、道理を捻じ伏せるほどの圧倒的な質量を持つ感情を持った狂気の怪物に戦慄するしかなかった。
「ほたえな、以蔵」
しかし、打つ手を失った隼人達の前に現れた意外な人物が、妄執に取り憑かれた以蔵に引導を渡すこととなる……。
「おまえの捜している男は───既に、この世におらぬ」
物語の裏側で《真祖》の力を求め暗躍してきた、謎多き同族殺しの男・フェレイラ。
箱根で暴発した《真祖》の力で自死したはずの彼はしかし、蝦夷まで隼人を追ってきた柩の前に現れる。
そこで語られた彼の正体、それは吸血種の歴史において最後の真祖の使徒であり、真祖を殺した大罪人とされるユダ・イスカリオテ本人だった。
ユダは真祖を疎んで排除した他氏族の策略により神殺しの汚名を着せられ、肉体も精神も極限にまで追い込まれる。
首を刎ねられ、灰となるまで躰を燃やし尽くされながら、彼の血はただ一つの想いを抱いていた。
それは、裏切者の汚名を着せられたままでは死ねないという、強烈な一念。
これが吸血種にとっての初の《墓碑銘》の覚醒の時であり、
あくまで黎明の使徒として不死の因子を付与された
疑似的な不死者に過ぎなかったユダは、その強固な意志により
百年以上の年月を経た後に、現世に帰還を果たす。
その後吸血種が支配者として君臨する世界の形を、醜く歪だと断じた彼は名を変え、膨れ上がった
獣たちの根絶を目的に行動し始める。
死から生の逆行を実行できるとは言え、太源たる《真祖》の力の影響は免れないのだが、
長い年月の中、ユダ――フェレイラは
自らの魂が宿る血液とその容れ物となる鋼鉄の《葬鬼刀》を本体とし、武器を振るう肉体を道具として扱うという防御策を編み出しており、これにより箱根から離脱する事ができた。
―――フェレイラは自らの精神世界に柩を閉じ込め、
邪魔な彼女の自我を破壊する事で真祖の力だけを抜き取ろうと苛烈な暴力を加えるが……そんな彼の前に予想だにしなかった人物が現れる。
攻略法
- 主人公とラスボスの根源が同一なんだよね。「新選組を敗戦に導いた裏切り者」と「神(キリスト)を殺した裏切り者」(共に冤罪の汚名) -- 名無しさん (2021-12-11 19:43:24)
- 原初に以蔵が純愛で至ってるのほんと草はえる -- 名無しさん (2021-12-16 06:53:22)
最終更新:2024年09月05日 03:13