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オリビアちゃんの大冒険

原題:The Great Mouse Detective
公開:1986年7月2日
時間:74分
監督:ロン・クレメンツ*バーニー・マティンソン*デイブ・ミシェナー*ジョン・マスカー*
原作:イヴ・タイタス*

2000 2003



  • 目次

ストーリー

1897年、ロンドン。

誕生日を迎えるかわいいネズミの女の子オリビア・フラバーシャムはおもちゃ職人である父親のヒーラム・フラバーシャムに、バレリーナ人形をプレゼントされて大喜び。しかし、それも束の間、ヒーラムは何者かに誘拐されてしまう。オリビアは世界的なネズミの探偵バジルを探す途中で、アフガニスタン*帰りの軍医ドーソン博士に出会う。2人はバジルの協力を得ようとするが、バジルは関心を示さない。だが、話を聞いていたバジルはドブネズミの犯罪王ラティガンによる犯行であると確信する。

バジル、ドーソン、オリビアは犬のトビーとおもちゃ屋を捜索するが、フィジットにオリビアまでも誘拐されてしまう。バジル、ドーソンは捜査を続け、アジトを突き止めるが、ラティガンに遭遇し、遂に捕まり、ネズミ捕りの罠にかかってしまう。間一髪で脱出を成功した3人とトビーは、ラティガンを追ってバッキンガム宮殿へと向かう。

概要

ディズニーの長編アニメーション映画第26作。擬人化した動物と、人間が共存している作品である。イヴ・タイタス*の『ねずみの国のシャーロック・ホームズ』が原作となっている。ストーリー展開はシャーロック・ホームズの『ブラック・ピーター』が基になっている。

バジルシャーロック・ホームズ*の家の地下に住むネズミという設定で、ホームズは人影としてワンシーンだけ登場している。ホームズの声は、1940年代にホームズ俳優として知られたベイジル・ラスボーンの音源を使用している。彼は1967年に亡くなっている。

日本*では『刑事コロンボ』のテーマとして知られているミステリーのテーマ曲を作曲したヘンリー・マンシーニ*が音楽を担当している。

世界で初めてCGが使用されたアニメ映画。ビッグ・ベンの中の巨大な歯車のシーンがそれである。

後に『リトル・マーメイド』(1989年)、『アラジン』(1992年)で大ヒットを記録したジョン・マスカー*ロン・クレメンツ*のコンビが参加している。

歴史

ビアンカの大冒険』(1977年)の製作中、シャーロック・ホームズと動物が登場するアニメ映画の企画が浮上した。ベテランレイアウトアーティストのジョー・ヘイル*イヴ・タイタス*の小説『ねずみの国のシャーロック・ホームズ*』を候補に挙げたが、ビアンカに似ているという理由で話は流れた。1982年、ロン・クレメンツ*ピート・ヤング*が児童書のシリーズのアニメ化を希望し、当時のCEOであるロン・ミラー*がこれを了承した。アニメーターたちは『コルドロン』(1985年)の方向性に不満を募らせていたため、『ねずみの国のシャーロック・ホームズ』は代替のプロジェクトとして採用されることとなった。

監督はバーニー・マティンソン*ジョン・マスカー*マイケル・ミッチェナー*、製作総指揮はミラーが務めることになった。初期の案ではオリビア・フラバーシャムは大人で、ドーソン博士が惚れてしまうというものであったが、ミラーが観客の感情移入しやすい女の子にしようと提案した。また、バッキンガム宮殿*をうろつくタレコミ屋のキャラクターもいたが、バジルが自力で情報を集めることになったためカットされた。

1984年にミラーが失脚し、パラマウントからやってきたマイケル・アイズナー*が新CEOとなった。アイズナーはパラマウントの同僚であるジェフリー・カッツェンバーグ*をディズニーに迎え入れ、映画部門のトップを任せた。完成したストーリーを確認したアイズナーとカッツェンバーグは物語のテンポの遅さに不満を持ち、アニメーションの工程に移る前に見直しを要求した。元々の公開予定は1987年のクリスマスだったが、アイズナーは予算を1,000万ドルから2,400万ドルに増額して1986年7月公開に早めるよう要求した。ロイ・E・ディズニー*はマティンソンに製作総指揮へ移動するように頼み、ロン・クレメンツ*を共同監督に昇進させた。

1985年にパラマウントから公開された『ヤング・シャーロック ピラミッドの謎』が不調に終わったことを知ったアイズナーはタイトルを原作通りの『Basil of Baker Street』から『The Great Mouse Detective』に変更した。バジルという名前がイギリス的すぎてウケが悪いのではという懸念からであったが、この変更はスタッフの間では不評だった。

キャスティング

アメリカやイギリスの俳優にオーディションした結果、バジル役はシェイクスピア俳優のバリー・インガムが勝ち取った。ドーソン役のヴァル・ベッティンはクレメンツ監督の推薦だった。オリビア役のスザンヌ・ポラチェクは100人以上ものオーディションから勝ち取った。『ミッキーのクリスマスキャロル』(1983年)でスクルージ・マクダックを演じたアラン・ヤングはスコットランド訛りを評価されてヒーラム・フラバーシャム役に選ばれた。

スタッフはバジルの動きの参考にするため、『Champagne for Caesar』(1950年)のロナルド・コールマン*の演技を見ていた。そして、この映画に出ていたヴィンセント・プライスラティガン役に選んだ。芸歴50年以上の彼はこのオファーをとても喜んだという。ラティガンの手下フィジット役はベテラン声優のキャンディ・キャンディードが務めた。

アニメーション

バジルは当初ホームズ俳優のビング・クロスビーを参考にしていたが、アニメーターは結局レスリー・ハワード*を参考にした。ラティガンはやせ細ったネズミの予定だったが、プライスの演技を基に大柄なデザインに変更された。また、元アメフト選手であった前CEOのロン・ミラー*の体格も参考にされている。


クライマックスの対決シーンはビッグ・ベン*の針の上で展開される。しかし、レイアウトアーティストのマイク・ペラザ*は監督のマスカーに時計台内部での戦闘シーンを追加することを提案。ペラザのチームはロンドン*に送られ、異例となるビッグ・ベン内部の取材が行われた。15分に一度チャイムが鳴るため、チームは調査を一時間で終えた。スタジオに戻ると、フィル・ニベリンク*デイブ・ガイロウ*は数ヶ月かけてCGでビッグ・ベン内部の歯車を製作。それをセルに転写して色を塗り、キャラクターを書き加えることで、迫力あるクライマックスシーンに仕上がった。

キャスト

バジル バリー・インガム 青野武
ドーソン博士 ヴァル・ベッティン 永井一郎
ラティガン ヴィンセント・プライス 宝田明
フィジット キャンディ・キャンディード 大塚周夫
オリビア・フラバーシャム スザンヌ・ポラチェク 藤枝成子
ヒーラム・フラバーシャム アラン・ヤング 村越伊知郎
ジャドソン婦人 ダイアナ・チェスニー 京田尚子
マウストリア女王 イヴ・ブレナー 新道乃里子
トビー フランク・ウェルカー* -
フェリシア フランク・ウェルカー -
バーソロミュー バリー・インガム -
ミス・キティ* メリッサ・マンチェスター 伊集加代子
シャーロック・ホームズ* ベイジル・ラスボーン(※ゲスト)
ワトソン博士* ローリー・メイン 峰恵研
老人 槐柳二
子分 ウォーカー・エドミストン
市民 ウォーカー・エドミストン
その他 チャールズ・フライシャー


スタッフ

情報集計中…

タグ:

長編映画
最終更新:2024年09月08日 18:41
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