アラジン
ストーリー
アグラバーの右大臣
ジャファーは、砂漠の中の魔法の洞窟
タイガーヘッドを見つけ出す不思議なスカラベを持っていた。ジャファーはケチな盗賊
ガジームに魔法のランプを取ってこさせる。しかし、ガジームが足を踏み入れるとタイガーヘッドは砂漠の中に埋もれてしまう。タイガーヘッドの中に足を踏み入れることができるのは、心の清らかな人物だけだという。ジャファーが手下のオウム・
イアーゴと共に魔法の力でふさわしい人物を探し出す。それが
アラジンだった。
アラジンは貧しく盗みを働きはするが心優しい青年で、相棒のサル・
アブーと苦労して盗んだパンを空腹の子供に分け与えることもしていた。一方、アグラバーの王宮では
サルタン国王の娘・王女
ジャスミンがどんな求婚者とも結婚しようとしないことで、サルタンが心配していた。
ある日、自由を求めて宮殿を抜けだしたジャスミンは、金を知らなかったために市場のリンゴを勝手に取ってしまい、問題に発展する。アラジンがその場を助け、2人は出会う。そこに、宮殿の兵士たちがやってきて、アラジンを捕まえてしまう。ジャファーはこの機会を利用し、アラジンを王女誘拐の罪という名目で逮捕し、タイガーヘッドに行かせて、魔法のランプを手に入れようと企んでいた。
牢屋の中のアラジンは謎の老人に救われ、タイガーヘッドへ向かう。魔法のランプを手に入れたアラジンは
魔法のじゅうたんの仲間となり、入口に戻るが、謎の老人に騙され、ランプを奪われた挙句、封鎖された洞窟に閉じ込められてしまう。謎の老人(ジャファー)は勝ち誇ったように笑い声をあげるが、彼の懐にはなぜか魔法のランプはなかった。
魔法のランプは閉じ込められたアラジンの相棒・アブーが奪い返していたのだ。アラジンはこの古ぼけたランプを不審に思い、注意書きを読もうとランプを擦ると、中からランプの魔人・
ジーニーが登場する。ジーニーはどんなことでも3つの願いをかなえてくれるというが…。
概要
ディズニーの長編アニメーション映画第31作。
アラビアン・ナイトを基にした作品。アメリカでは1992年の大ヒット作となり、2800万ドルの製作費に対して2.17億ドルの興行収入を挙げ、世界でも5億ドルを超えるヒットを記録した。
その反面、人種差別だとみなされるなどの問題も起こっている。オープニングの「
アラビアン・ナイト」は歌詞の中に偏見が見られるとして、ビデオ化される際に、歌詞が変更されている。
日本*では、
羽賀研二がアラジンを演じた旧録版がVHSとして発売された。その後、2004年に『スペシャル・エディション』としてDVD・VHSが高画質で発売されるようになった。しかし、その後の2008年に『スペシャル・エディション』の新録版(アラジンの台詞を
三木眞一郎に差し替えたもの)が発売されたため、『スペシャル・エディション』が2パターン存在してしまっている。
2008年以降にTV放送される際はすべて三木眞一郎のバージョンに差し替えられているが、2010年テレビ朝日系列『smaSTATION!!』でディズニー特集が行われた際、羽賀研二のバージョンの映像が使用されていた。
『
2分の1の魔法』(2020年)の魔法表現を創作するにあたって、本作の魔法も研究の対象として使われたとされている。
歴史
『アラジン』の製作の発端は作詞家
ハワード・アシュマンによって書かれた40ページの原稿であった。アシュマンは作曲家の相棒
アラン・メンケンと共にアラジンと友人たち(バブカック、オマール、カシーム)の歌などを製作。一度はアシュマンの原稿は取り下げられることとなったが、監督の
ジョン・マスカー*と
ロン・クレメンツ*が次回作として提示された3つの案『アラジン』『白鳥の湖』『ジャングルの王者』(後の『
ライオン・キング』)の中からアラジンを選択したため、製作は本格的に動き出す。
1991年4月、マスカーとクレメンツは映画部門の責任者
ジェフリー・カッツェンバーグ*に草稿を見せた。書き直しを命じられたが、公開予定は1992年11月からずらせないという。カッツェンバーグは前月に亡くなったアシュマンの作ったものに依存しすぎないことや、アラジンの母親をカットするように要求した。アラジンは多少荒く、ヒロインの
ジャスミンは強い女性となり、オウムの
イアーゴは
ギルバート・ゴットフリードが『ビバリーヒルズ・コップ2』(1987年)が演じた役の影響でコミカルな敵役となった。1991年10月には、カッツェンバーグの満足行く出来に仕上がった。
主なスタッフ
ハワード・アシュマンの相棒として『
リトル・マーメイド』や『美女と野獣』で名曲を生み出した作曲家。『アラジン』では全曲を作曲した。
『アラジン』の製作中に亡くなってしまったアシュマンの作の中には、アラジンが母親への思いを歌った「
自慢の息子」という曲があった。メンケンはヒロインの存在感を際立たせるために、女性キャラであるアラジンの母の出番を全面カットするという決断を迫られる。その結果、アシュマンとの共作であるこの歌も泣く泣くカットすることとなる。
人気キャラクターである
ジーニーを演じた俳優・コメディアンのロビン・ウィリアムズが配役されていた。ウィリアムズは『フック』(1991年)や『トイズ』(1992年)の撮影の合間を縫って収録に参加した。「子供たちが喜んでくれるなら」と、ウィリアムズの名前やジーニーのイラストを過度な宣伝に使用しないという口約束のもと、オファーを快諾。しかし、ウィリアムズの名演技がきっかけでジーニーの役割が非常に大きくなりすぎたため、ディズニーは約束を破った宣伝をすることとなってしまう。正式な違反ではないにしろ、約束を破られたウィリアムズは続編『ジャファーの逆襲』への出演を拒否。ディズニーのCEOがカッツェンバーグから
ジョー・ロス*に代わると、ロスはディズニーとして正式にウィリアムズに謝罪。和解したウィリアムズは第3弾『盗賊王の伝説』でジーニー役に復帰する。
キャスト
DVD用新録キャスト(2004年)
スタッフ
情報集計中…
楽曲
最終更新:2025年03月20日 00:47