ONE PIECE FAN LETTER

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ONE PIECE FAN LETTER - (2025/07/04 (金) 14:03:38) のソース

&font(#6495ED){登録日}:2024/10/27 Sun 21:00:00
&font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}:約 21 分で読めます

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&link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧
&tags()
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#center(){
&sizex(6){&font(b,i){ONE PIECEを『追い求めない』人々の物語}}}

*【概要】
&b(){『ONE PIECE FAN LETTER』}は、TVアニメ『[[ONE PIECE]]』の放送25周年記念作品。
2024年10月20日放送。

脚本は豊田百香。
監督、キャラクターデザイン、作画監督に石谷恵と森佳祐務の2人。
作曲家の得田真裕氏が劇伴(1曲)を新規書きおろし。
登場人物の声優陣はかつてアニワン本編にてキャラクターを演じていた事がある。

エンディングテーマは『ウィーゴー!~麦わらの一味ver.~』。

原案は大崎知仁による小説短編シリーズ『ONE PIECE novel 麦わらストーリーズ』であり、ストーリーこそ異なるものの登場人物の多くはそちらと共通している。

舞台はONE PIECE第2部開幕のスタート地点である、&bold(){再出発の島「シャボンディ諸島」。}
時系列上は[[麦わらの一味]]が2年間の修行を終えて再集結し、魚人島へ出航した当日の話である。
また、回想の形ではあるが2年前の頂上戦争の場面も挟んでいる。

今作でフォーカスが当てられているのは、[[ONE PIECE]]という作品の花形とも言える[[海賊]]…&bold(){ではない一般人。}
超人的な力も能力も持たず、世間に名を知られることもない世界人口の大部分を占める普通の人々。 
&ruby(ワンピース){ひとつなぎの大秘宝}という夢を追い求める事もなく、冒険とは無縁の日常を生きる平凡な人間達である。
[[暴力が支配する過酷な世界>大海賊時代(ONE PIECE)]]に翻弄されながらも、自分なりの様々な人生を送る彼らの視点が描かれているのが特徴。

とは言え、「悲惨な時代の影を描く」だとか「冒険へのアンチテーゼ」といった後ろ向きなテーマを背負った作風では決してない。
一味がシャボンディ諸島に再集結した原作ストーリー((原作598~602話))の裏で、1人の名も無き少女の小さな冒険を軸に、諸島の住民達や海兵達がそれぞれ様々な思惑を抱えて奔走する姿をコミカルに描いた&bold(){ドタバタ[[群像劇]]}である。
ED入れて24分というテレビアニメ1話分のストーリーとは思えないほど濃密かつテンポの良い疾走感あふれる展開で、ストレスなく視聴できるのも魅力。
なによりメイン陣の一般人であるが故の視点は、視聴者の視点と重なる部分も多く共感を呼びやすい。


*【主な登場人物】
&b(){■少女} CV:菊池こころ
&font(#ffa500){「拝啓ナミさん。あなたは特別な海賊です。」}
本作の主人公。
問屋の娘で、[[ナミ>ナミ(ONE PIECE)]]に憧れる15歳の少女。
独自に[[ルフィ>モンキー・D・ルフィ]]が残したメッセージを解析し、[[麦わらの一味]]が再集結する日時を突き止めた彼女は、ナミにファンレターを渡そうと、彼女にとっては一世一代の小さな冒険に出る。
#openclose(show=ちなみに彼女の解析結果とは…){
彼女はルフィの右腕に書かれた&s(){3D}2Yを海軍を引き付けるための&bold(){フェイクであると断定。}
逆に注目したのが、ルフィが鳴らしたマリンフォードのオックス・ベルの&bold(){「16点鐘」}。
ルフィが鐘を突いた回数はシャボンディ諸島に棲息する &bold(){ナ マ コ の 産 卵 周 期} を意味していると推理し、ナマコの産卵日と重なる日が麦わらの一味の再集結予定日だと導き出したのだ。
……つまり、&s(){本作の伏線考察ファンもやりがちな}明後日の方向へ深掘りに深掘りを重ねた推理が、麦わらの一味の出航日と&bold(){偶然にも}一致するという凄まじいミラクルが起きただけなのである。
&s(){[[「拙者、この戦いで死ぬかもしれんな 一生分の〝運〟を使い果たした気分でござる」>錦えもん(ONE PIECE)]]}
}

髪留めを含めて服装は東の海のアーロンパーク編以前のナミに寄せたものになっているが、足下はブーツではなくアーロンパーク編以降の素足にサンダル姿((ナミどころか船長のルフィですら賞金首になっていなかった頃のナミの服装をどうやって知ったのか地味に謎。おそらく私服が偶然似ていただけか、サイファーポール並の調査力を持っているか、ナミが好き過ぎて度重なる思考実験を繰り返した結果ナミのファッションセンスを割り出したかのどれかだと思われる。))。
しかし、体格は15歳にしてはかなり小柄&s(){で、胸も見事なまでの絶壁。}
ナミに倣ってか裸眼で行動する場面が多いが、実は近眼であり普段は眼鏡をかけて生活している。
こういった自身の現状は彼女にとってコンプレックスでもあり、力が支配する世界で自分は自由に生きられないという屈託した思いを抱える要因にもなっている。
一方でナミのファンを自称するだけあって、咄嗟の機転や頭の回転は早い方。

なお、ナミを特別に好きなだけで、海賊自体は「野蛮人」と嫌っている。
むしろそんな「力こそ全て」な野蛮人の世界をナミが知恵や技術で渡っていくところにこそ深い憧れを抱いている模様。


&b(){■海兵兄} CV:加瀬康之
&font(#0000ff){「俺は弟が嫌いだ」}
海兵兄弟の兄の方。本作のもう一人の主人公。
海軍コート着用の上、上官が少佐であることから階級はおそらく尉官(少~大尉)と思われる。
戦闘で用いる武器は海兵の基本装備である[[&ruby(ライフル){小銃}>銃(ONE PIECE)]]のみで、白兵戦は己の拳一つで戦うステゴロ派。
実力主義の海軍本部で将校に出世するだけあって、不意打ちとはいえ複数の下っ端海賊を素手で容易く制圧できるだけの腕っぷしはあるが、それでも本作においては"常人"の域を出ない凡庸な力量である。

実家はシャボンディ諸島で八百屋を営んでおり、兄弟揃って海兵として立派に出世して仕送りもしている為、地元での評判は上々な模様。
問屋の少女とはご近所さんで幼い頃からの顔見知りであるが、彼女の母親が事あるごとに兄弟の事を持ち上げては小言を言う事もあり、まだ何者にもなれない自分にコンプレックスを抱く彼女からはあまり良い感情は向けられていない。

性格は真面目な堅物。だがそれ故に不器用な性分で((弟曰く、納得がいかなければ上官の命令に噛みつくこともあったらしい。))、幼少の頃より器用な弟と比べて貧乏クジを引かされることが多く、海兵としての出世も遅かった。
その弟からも「要領が悪い」と常日頃からよく馬鹿にされているため、上記の言葉の通り弟へ向ける感情は決して良いものではない。

実は2年前のマリンフォード頂上戦争へ弟と共に招集され、参戦した経験を持つ。
戦いの最中、切断された[[リトルオーズJr>オーズ(ONE PIECE)]]の足に巻き込まれ、左足に重傷を負う。
同じく重傷を負いながら自分を呼ぶ弟を見つけるも、一度は人間離れした猛者の戦いに臆してしまい、見捨てて逃げ出そうとする。
しかし、ルフィが兄[[エース>ポートガス・D・エース]]に向けて放った&bold(){「俺は弟だ!!」}の叫びと共に弟との思い出が蘇り、負傷した足を殴り自分を奮い立たせ弟を救う。
その後も負傷をおしつつ兄弟揃って前線へと駆け、過酷な戦場に翻弄されながらも弟と背中合わせで戦い抜いた。

自分があの戦場で悔いを残さず生き延びる事ができたのはルフィのおかげであると考えており、それだけに弟を救えた自分と違って、兄であるエースを失い行方知れずとなったルフィのことを気にかけている。


&b(){■海兵弟} CV:高橋広樹
&font(#008000){「もっと要領良くやれよ」}
海兵兄弟の弟の方。階級は兄と同様に尉官((作中では兄の方が「出世が遅い」とは言われているが「階級が下」だとは言われていない為、現時点では階級が並んでいる可能性もある。))であると思われる。
上官相手にも軽口を叩いたり、重要任務の最中だというのに酒場に寄ったりと、真面目な兄とは違いおちゃらけて軽薄な印象の人物。
兄と同じく顔馴染みである問屋の少女曰く、うざ絡みしたり、余計な一言を言ってしまう悪癖もあるらしく、彼女からは兄以上に煙たがられている。

一方で荒くれ者が集う酒場でもすぐに周りと打ち解けて談笑したりと場の空気に馴染む能力には長けており、軍からの支給品が自身の体格に合わないと即座に体格に合った装備を独自に用意するなど、何かと器用で機転の利く側面もある。
戦闘では兄と同様に小銃を用いるが、白兵戦では[[刀>刀(ONE PIECE)]]を抜く場面も。
海兵としての腕っぷしは兄とさほど差はないようだが、離れた場所から正確に狙撃したりと戦場でもその器用さを十二分に発揮しており、出世も兄より早かった模様。

兄に対しては常に小馬鹿にした態度を取るが、頼まれもしないのに兄の分の装備品も用意してあげたり、自身も生存が絶望的な状況下であるにもかかわらず兄の姿を必死に探し、見つけた時は「逃げろ」と叫ぶなど、&bold(){実のところかなり兄想い}。
戦場で命を救われた後も兄への態度は変わっていないあたり、彼としては兄に対し悪意のようなものを抱いていたワケではないのだと思われる。
上記の「もっと要領良くやれよ」という兄への口癖も、器用な人間の傲慢さが明け透けとはいえ、彼なりに不器用な兄を気遣っての発破の言葉であったのだろう((実際、海兵の仕事とは不器用なだけでも命取りに繋がりかねない過酷な現場である。))。
実際、兄の方も頂上戦争で弟の本心を察したこともあって、今までと変わらず弟を嫌ってはいるものの憎んではいないのだと思われる。


&b(){■波頭の仁王} CV:斉藤次郎
「それはただのカードではない。今後シャボンディの治安を守る重要なカギだ」
海兵兄弟の上官。小説版では大佐だが、アニメでは少佐。
筋骨隆々な巨体を持つ厳つい男で、睨まれればおちゃらけた海兵弟でさえ委縮する程。
強面とは裏腹に部下想いな人物であり、マリンフォード頂上戦争では部下を守るべく巨大な氷塊をたった1人で受け止め続けた経緯を持つ。
そのため直属の部下達からは半ば心酔されるほど慕われており、「波頭の仁王」もそれらの行動を讃えて付けられた二つ名である。
#openclose(show=そんな彼にも、誰にも言えない秘密があり…){

&font(200%){「可愛いい!!」}

&font(200%){「キミだけは、取り締まれないぃぃぃ!!」}

&bold(){実は麦わらの一味の船医[[チョッパー>トニートニー・チョッパー]]の可愛さに悩殺された&color(#F54738){熱烈なチョッパーファン}。}
写真を机の中に隠し持っており、チョッパーの姿を見る度に目をキラキラうるうるさせながら悶えまくる始末。

そんな中、シャボンディ諸島に現れた麦わらの一味に海軍の最新兵器を差し向ける命令が上官より下ってしまい、海兵としての職務とチョッパーへの想いで板挟みになってしまうことに…。
}


&b(){■本屋のバイト} CV:[[小松由佳>小松由佳(声優)]]
「誰が買うんだよこれ」
本屋で働く気が強い女性。
いつも本を買わずに立ち読みする子どもたちに手を焼いている様子。
本屋の裏口の鍵を鍵穴に指しっぱなしにしてしまう悪癖がある。
&bold(){実は[[ブルック>ブルック(ONE PIECE)]]、もといソウルキングのファン。}
シャボンディ諸島で絶賛開催中のワールドツアー・ファイナル公演のチケット当選を心待ちにしていたのだが…。


&b(){■子ども①} CV:[[かかずゆみ]]
&b(){■子ども②} CV:[[小林ゆう]]
「オレたちが連れてってやるよぉ!」
本屋で立ち読みする悪ガキ2人。
しかし根は良い奴らのようで、終盤に本屋の女性のために一肌脱ぐ。


&b(){■酒場の男たち}
シャボンディ諸島の酒場で、酒の肴に推しの[[最強議論]]で華を咲かせていた男達。
・ミホークファン CV:桐本拓哉
マリンフォード頂上戦争では海兵として参戦していた男。
戦争のあまりの激しさに泣いてへたり込んでいたが、その中でも悠然と立つ[[ミホーク>ジュラキュール・ミホーク]]を見てファンになった模様。
・ゾロファン CV:高戸靖広
[[ゾロ>ロロノア・ゾロ]]ファンの小柄な男。
気弱そうでイマイチ発言力が弱いが、巷では死亡説も流布されているゾロの生存を信じており、その将来性を見込んでいる。
・フランキーファン CV:[[竹内良太]]
[[フランキー>フランキー(ONE PIECE)]]ファンの大柄な男。


&b(){■ボンボン海兵} CV:[[稲田徹]]
「路傍の石には日陰がお似合いだ」
いかにも嫌味な貴族然とした海兵。
たまたま見かけた少女にも路傍の石と言い放ち、彼女の平凡な精神を折ろうとしてくる。
気位ばかり高い発言の多い男だが、実際の彼は海兵の一兵卒に過ぎず、そのプライドに見合うような地位も実力も持ち合わせてはいない。
&bold(){「ボンボン」}というのも、そんな彼のどうしようもない有様を皮肉った上官からの嘲りの言葉である。
単なる民間人の少女1人へ執拗に貶める言葉を投げかけたのも、「こんな小娘よりか自分はマシだ」と思う事で惨めな自らの現状を少しでも慰めようとする彼自身の&bold(){卑屈な精神}故であろう。


&b(){■波頭の仁王の上官} CV:菊池正美
「この実験が成功すればシャボンディから海賊を一掃できる!」
[[電伝虫]]ごしに波頭の仁王へ指示を出していた海軍将校。
少佐である仁王の上官ということは少なくとも階級は佐官以上と思われる。
シャボンディ諸島の海賊を一掃する最新兵器を開発したらしく、その実地試験を再集結した麦わらの一味相手に行おうと目論んでいる。
ルフィが[[パシフィスタ>パシフィスタ(ONE PIECE)]]を一撃で粉砕したと聞いた時は狼狽えつつも、なおさら新兵器を試すのにふさわしいとほくそ笑んでいた。


他にも、少女の母親や本屋の店主、酒場の女将など喋るシーンはあるのにスタッフクレジットにはCVの記載が無いキャラクターも存在。
彼らの声優は所謂、[[粗忽屋>麦わらの一味]]名義であったと思われ、よくよく聞いてみると誰が声を当てているのか察することができる。


*【原作既出の登場人物】
上記の通り、一部に頂上戦争編の回想も含むため、一瞬のみとはいえ登場する原作既出キャラクターの数も割と膨大。
ここでは[[CV>声優(職業)]]付きで登場したキャラのみを抜粋して記載。


&b(){■[[麦わらの一味]]}
2年の修業期間を終え、シャボンディ諸島へ続々と集結していた。
一味全員の集結を待って諸島各地で各々活動しており、そうとは知らぬ上記の登場人物達とは度々ニアミスしている。
メイン陣にとって、まるで異世界人のごとく遠い存在のように語られる彼らだが、時にはすぐ傍にいる事もある&bold(){紛れもない同じ世界の住人達}なのである。


&b(){■[[ペローナ>ペローナ(ONE PIECE)]]} CV:西原久美子
元[[スリラーバーク]]海賊団幹部。
[[バーソロミュー・くま]]の手でクライガナ島へ飛ばされ、同じく飛ばされてきた[[ゾロ>ロロノア・ゾロ]]と共に住人である[[ミホーク>ジュラキュール・ミホーク]]の元で2年間共同生活を送っていた。
ゾロをクライガナ島からシャボンディ諸島まで送り届けてあげた後も諸島に留まっており、化粧品店を物色していた。
その際、近くで騒ぎまくるソウルキングファンをうるさいとネガティブホロウで黙らせている。
ゾロがちゃんと船に向かえたのか懸念を口にしており、目を離すとすぐ迷子になる彼が一味と合流して出航するのを見届けるまで気が抜けなかったのだろう。&s(){律儀な娘だ。}


&b(){■貸しブル屋の親父} CV:高塚正也

&font(200%){誰だよ}
……ウォーターセブンの入口でヤガラブルをレンタルしており、ルフィが大量の黄金を持っていると知るとレンタル代を100万ベリーに引き上げてぼったくろうとした調子のいいオッサンと言えば思い出すだろうか。
ちなみに本名は&bold(){ミショイン・キャシブル}というらしい。
[[フランキー>フランキー(ONE PIECE)]]について月刊「船大工」の取材を受けるが、よく知らないので造船所の人に聞いてみるよう提案した。
アニメで再登場するのはウォーターセブン編以来、およそ&bold(){19年ぶり}。声も当時と変わらず高塚正也氏が演じている((当該話では角界ガエル「ヨコヅナ」との兼役であった。))。


&b(){■[[パウリー>パウリー(ONE PIECE)]]} CV:吉水孝宏
ウォーターセブンの造船企業「ガレーラカンパニー」の副社長。相変わらず借金取りや求婚者に追われている模様。
フランキーについて月刊「船大工」の取材を受けるが、逃げ回っている真っ最中だったので社長である[[アイスバーグ>アイスバーグ(ONE PIECE)]]に聞くよう提案した。


&b(){■アリーチェ} CV:[[広橋涼]]
ガレーラカンパニー社長秘書を務める10歳の天才少女。
ウォーターセブン中をたらい回しにされた月刊「船大工」の取材陣が、ようやくたどり着いたアイスバーグへの取材を&bold(){「アポ取ってください」}の一言で一蹴した。
実は本編のエッグヘッド編後半に先駆けてのCV付きでの&bold(){アニメ初登場}である。


*【舞台】
&b(){■シャボンディ諸島}
&ruby(グランドライン){偉大なる航路}前半最後の島。今作の主要な舞台であり、&bold(){登場人物の大半はこの島の住人達である。}
"島"というがその実態はヤルキマン・マングローブという1本1本が山のように超巨大な&bold(){マングローブの群生地帯}で、海上に張り出した根の部分に人々は街を築き生活している。
ヤルキマン・マングローブの樹皮からは常に特殊な粘液が分泌されており、樹の呼吸で排出された空気を取り込んで膨らんだ特大のシャボン玉が空中を漂う幻想的な光景を諸島全域で見る事ができる。
島民達はこのシャボンを活用した独自の文化を築き上げている他、シャボンの膜で船をコーティングすることで海中航行が可能となる。

世界を分かつ巨大な壁のごとき&bold(){&color(#F54738){&ruby(レッドライン){赤い土の大陸}}}のすぐ傍に位置する島である為、大陸を越えた先の海を目指す海賊は必ず立ち寄る事になる。
海賊達はこの島で海賊船をコーティングし、海底1万mにある大陸を貫く巨大な横穴に浮かぶ深海の楽園「[[魚人島]]」を経由して、&ruby(ワンピース){ひとつなぎの大秘宝}が眠る偉大なる航路後半の海&bold(){「新世界」}へと旅立つのである。
そういう事情もあって、シャボンディ諸島には偉大なる航路前半の海を越えてきた屈強な海賊が常日頃から続々と集結してくる。
島には海軍も駐留しているのだが、諸島自体かなりの広さである&s(){上に[[世界貴族>世界貴族(ONE PIECE)]]の意向で公的には違法とされているハズの[[奴隷>奴隷(ONE PIECE)]]の人身売買がこの島では黙認されているという後ろ暗い事情もある}為、&bold(){島の半分以上は海軍の目の届かぬ無法地帯}というかなり殺伐とした土地柄でもある((ただし、海賊にとっても船のコーティングが終わるまで島に縛り付けられてしまう形になる為、騒ぎを起こして海軍の目を引かぬよう自重はする模様。))。

[[麦わらの一味]]は今作より2年前にシャボンディ諸島へと到達するが、[[七武海>王下七武海]][[バーソロミュー・くま]]の能力によって一味のメンバーは世界各地に飛ばされてしまい、船だけを残して離散。
頂上戦争を経て、新世界へ挑むには力不足を痛感した船長のモンキー・D・ルフィは、新聞写真を通じて「2年後にシャボンディ諸島へ集結」というメッセージを一味だけにわかる形で伝達。
2年間、一味のメンバーは世界各地でそれぞれ力を付ける修行に励む事となった。


&b(){■マリンフォード}
回想シーンで登場する、[[海軍>海軍(ONE PIECE)]]の総本山「海軍本部」の大要塞が存在した島。
今作より2年前、当時世界最強の海賊であった[[白ひげ海賊団]]が海軍に捕らえられた仲間の[[ポートガス・D・エース]]を取り戻そうと攻め入り、それを海軍の精鋭と[[王下七武海]]が迎え撃った「マリンフォード頂上戦争」が勃発。
さらに兄であるエースを救おうとするルフィやこれを機に[[白ひげ>エドワード・ニューゲート]]を討ち取ろうと目論む第三勢力も戦場へ殴り込みをかけ、戦いはより混迷を極める事となった。
どの勢力も世界最高クラスの実力者達が集結した戦いなだけあって、戦場は&bold(){天災のぶつかり合い}と言っても過言ではない異様な様相を呈するこの世の地獄と化した。
今作中では建物より大きな2つの氷山に挟まれた氷の海で戦う光景が印象的だが、別にマリンフォードが凍てつく極寒の海にあるというわけではない。
&bold(){これは[[たった1人の男>エドワード・ニューゲート]]が起こした大津波を、[[たった1人の男>青キジ(ONE PIECE)]]が周囲の海ごと一瞬で凍結させて止めた跡なのである。}

頂上戦争編はONE PIECE第1部の総決算的ストーリーで、これまでに登場した強キャラ達が一挙に集結して入り乱れる豪華なオールスター戦であったが、今作において主役を務めるのは戦いの余波で木の葉の様に吹き散らされる&bold(){海兵の雑兵達}と、戦況を配信映像で眺める他ない&bold(){一般市民の傍観者達}なのである。


&b(){■ウォーターセブン}
古くから造船業で発展した島で、世界一の造船企業「ガレーラカンパニー」を有する産業都市。
麦わらの一味の船大工[[フランキー>フランキー(ONE PIECE)]]の故郷であり、海賊船[[サウザンド・サニー号>サウザンドサニー号]]もこの島で建造された。
現在は、フランキーの兄貴分であった[[アイスバーグ>アイスバーグ(ONE PIECE)]]がガレーラカンパニー社長兼ウォーターセブン市長を務めている。
月刊「船大工」の取材陣は消息不明の&ruby(サイボーグ){鉄人}船大工フランキーの特集記事を組むための情報を得るべく、島中を奔走するのだが…。


*【重要アイテム】
&b(){■FAN LETTER}
ナミに憧れる少女が、彼女に直接会って渡そうとしていたファンレター。&bold(){今作のキーアイテムである。}
その内容の一部は少女自身がモノローグで読み上げてくれる。
海軍に没収されることを恐れてか、&bold(){目立たぬよう何の変哲もない無地の封筒に入れられているが…。}

ちなみに当のナミは原作でこの当時、[[自分達の偽物>デマロ・ブラック(ONE PIECE)]]が現れるほど世間に名が知れた事にすっかり気を良くしてファンに贈るサインを考えるなどと言い出したウソップとチョッパーに&bold(){&color(orange){「私達 悪い意味で有名なのよ わかる?」}}と呆れていたが、&bold(){まさか今この瞬間に自分に憧れてファンレターを渡そうと奔走しているカタギのファンがいようとは夢にも思わなかったであろう。}


&b(){■計画書}
少女がナミに会ってファンレターを渡すためのプランをしたためた計画書。
この日に備えて練りに練ったと思われる計画がシャボンディ諸島の地図にビッチリと書き込まれている。
海岸に停泊しているサウザンド・サニー号までのあらゆるルート探索を長い時間をかけて入念に行ったようで、地元の海兵ですら知らない裏道をいくつか発見している。

&b(){■月刊「船大工」}
シャボンディ諸島の本屋で売られていた船大工専門誌。月刊誌で号数はvol.39。
麦わらの一味の船大工であるフランキーの特集記事&bold(){「フランキーという漢」}を組んでいた。
だが、ウォーターセブンで敢行した取材ではフランキーに関する目ぼしい情報を得られず。
行き詰まった挙句、袋とじ扱いもいいトコな&bold(){&color(#F54738){破廉恥な写真♂}}をデカデカと掲載する暴挙に出る始末。
このあんまりな誌面に、本屋のバイトや立ち読みしていた[[長い髪の女>ニコ・ロビン]]は酷評していた一方、[[チンチクリンな謎の生物>トニートニー・チョッパー]]は大興奮していた。

ちなみに裏表紙にはフランキーの子分であったザンパイ達が営む御用組合の広告が載っている。&s(){彼らに取材はできなかったのであろうか…。}


&b(){■海軍コート}
海兵の中でも、階級が少尉以上の&bold(){「海軍将校」のみが着用を許されるコート。}
背中に大きく&bold(){「正義」}と書かれているのが特徴的で、基本的に袖に手を通さず肩にかける形で着用する。
今作に登場する海兵は波頭の仁王以外、階級について言及されないのだが、このコートの有無である程度絞り込む事が可能。
例えば海兵兄弟は2人ともコート着用なので階級は少尉以上の将校であることが判るし、ミホークファンの男やボンボン海兵は無着用なので准尉以下の下士官であることが判る。
また、海兵弟は2年前の頂上戦争の時点ですでにコートを着用しているが、兄の方は着用していなかったので当時はまだ下士官の立場であったと思われる。


&b(){■起動パスキー}
海軍が開発した&bold(){対海賊用最新兵器}の起動に用いる認証鍵。
片手に収まるサイズのカードにいくつか穴が開けられている形状で、所謂パンチカードと呼称されるタイプ。
麦わらの一味相手に新兵器の実地試験を行う旨を上官から伝えられた波頭の仁王は、このパスキーを海岸に停泊している兵器を搭載した軍艦まで届ける任務を海兵弟に命じた。
海軍の重要機密ということもあり、&bold(){目立たぬよう何の変哲もない無地の封筒に入れられているが…}。

なお、兵器搭載艦はサイズこそ小型艦の部類であるが、船体とほぼ一体化した巨大なタンクが目を引く他に類を見ない特殊艦艇である。
兵器起動用の認証鍵をわざわざ兵器から離れた諸島内陸部の駐屯地に保管していたあたり、かなり危険な兵器であることが伺えるが…
#openclose(show=対海賊用最新兵器の恐るべき実態){
&bold(){&color(#F54738){シャボンコーティングごと船体を溶かす毒液}を海中に放出し、潜航した海賊船を海賊団ごと文字通り海の藻屑へと変えてしまう}何とも&bold(){&color(#F54738){デンジャラス}}な兵器。
しかし、仁王も毒液が周辺の生態系に悪影響を及ぼす懸念を上官へ伝えていたように、周辺海域に被害を及ぼす危険性も孕んでいる。
というかヤルキマンマングローブという&bold(){木}の群生地であるシャボンディ諸島で、腐食対策がある程度なされている木造船の船体を溶かす程の劇毒なんて散布したら、最悪の場合、&bold(){諸島そのものの崩壊に繋がりかねない}であろう。
原作で麦わらの一味が魚人島へ向け無事出航した事実からもわかるように、兵器の試験は実行直前に発生したちょっとしたトラブルによって未遂に終わった為、その効果や使用場所について今一度再考してくれる事を願うばかりである。
}


*【余談】
放送当時テレビアニメ本編はエッグヘッド編の途中であったが、2025年4月までの半年間クオリティアップのための「充電期間」を設ける事が決まった為、充電期間中の穴埋め放送の第1弾として本作が製作されたという経緯がある。
次週からは魚人島編の特別編集版である「SPECIAL EDITED VERSION 『ONE PIECE』 魚人島編」の放送が開始され、「一味が再集結し、シャボンディ諸島を出航(本作)→[[魚人島]]への航海(SP魚人島編)」と時系列が繋がる形になっている。



#center(){
&sizex(6){&font(#ffa500){「わたしは奪われた自分の手紙を取り戻しただけ。大切な人への・・・ファンレターを!」}}
}



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#openclose(show=▷ コメント欄){
#areaedit()
- 波頭の仁王が小説まんまで最高だった。  -- 名無しさん  (2024-10-27 22:04:47)
- おい夢を求めることのない普通のあんた達…ロックスターって名…知ってるだろ?  -- 名無しさん  (2024-10-27 22:12:11)
- 八百屋兄弟やミホークファンは精鋭ばかり集めた頂上戦争に招聘されてしかも五体満足で生き残ってるのは凄いよな。  -- 名無しさん  (2024-10-28 00:01:56)
- あの娘は軽度小人症とかじゃないよね?他の15歳キャラとあまりに、、  -- 名無しさん  (2024-10-28 12:35:17)
- ↑めちゃくちゃデカい普通の人間がいるんだから逆もまた然りってことなんだろう。たぶん。  -- 名無しさん  (2024-10-28 15:54:34)
- 声優陣は、本シリーズで名ありキャラを演じた方々だな。主役の菊池こころさんはおトコだし、海兵兄弟は兄がモルガンズで弟がクイーンだし。  -- 名無しさん  (2024-10-28 18:15:03)
- ↑3そんなこと言ったらワンピース世界は重度巨人症だらけになるぞ  -- 名無しさん  (2024-10-28 18:16:53)
- ↑4 初登場時のコビーやダダンの子分の片割れみたいに年齢の割に小柄な人もいるから全然おかしいことどはないよな。  -- 名無しさん  (2024-10-28 18:42:49)
- キャラ達に名前無いのが「これはモブ達の物語」っていう拘りを感じて良い  -- 名無しさん  (2024-10-28 18:43:18)
- ある意味、30分だけどTVスペシャルみたいだった...重大発表の動画の中で天の声こと( 山口由里子 )さんが語ってたけど、菊池さんに渡された台本は「 劇場版か!?と思う位にぶ厚かった 」らしいって。  -- 名無しさん  (2024-10-28 19:06:13)
- ↑ミス・ゴールデンウィークと言うバグ枠みたいなのもいるからモーマンタイ  -- 名無しさん  (2024-10-28 23:06:14)
- ↑のコメントは↑8についてのレスね  -- 名無しさん  (2024-10-28 23:23:06)
- 大海賊時代って控えめに言ってクソだと思う  -- 名無しさん  (2024-10-29 08:15:05)
- 大海賊時代は酷すぎるけれどもそれでも全部酷いわけじゃない(ろくでもねーけど)ってのだからな。  -- 名無しさん  (2024-10-29 23:53:04)
- 面白かった。一般人視点のワンピってありそうでなかったから凄く新鮮に感じられた。  -- 名無しさん  (2024-10-31 00:22:34)
- いつか「夢に破れた挫折者達」視点の話が見たい  -- 名無しさん  (2024-10-31 02:00:08)
- 波頭の仁王のチョッパーのことは大好きでたまらないけど断腸の思いで職務を優先する公私混同しないところ推せる。  -- 名無しさん  (2024-10-31 14:52:02)
- チョッパー大好きな大佐さんは、小説を読んだ時は勝手にハンコックを(目をハートにして)諌めていた人と同一人物だと思い込んでたけど、このアニメでその誤解がとけた。  -- 名無しさん  (2024-11-01 20:19:15)
- ルフィ達の目線で戦いとか見てたから、一般人の目線で見る戦闘シーンがめちゃくちゃよかった  -- 名無しさん  (2024-11-02 13:52:24)
- クソデカ誰だよで笑った  -- 名無しさん  (2025-02-15 04:52:12)
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