SCP-3043

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&font(#6495ED){登録日}:2017/09/27 (火曜日) 09:55:00 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 6 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&bold(){&font(#008cff){&size(20){「俺は英雄なんかじゃない」}}}} >DATE: 2005/12/15 >FROM: サイト管理官オーガスト <august@scp.fo> >TO: O5-5秘書官 <o55sec@scp.fo> >SUBJECT: Re: 収容違反 > >私にはいまだに何が発生したのか定かでない。昨日、我々のBotが内部サーバーの文書に不正な改変を検知した。 >2分後、現地の職員は — 私自身も含めて — 3時間にわたり意識不明の状態となった。 >この間、全てのカメラは機能を停止していた。 > >目覚めた時、我々は皆頭痛を抱えていて、サイト全体にタバコと安酒の臭いが立ち込め、何者かがSCP-3043を撃っていた。 >この3時間について我々が得た唯一の手掛かりはSCP-3043の旧版の文書なのだが、それは… うん、“&bold(){更新}”されていたというのが合う表現なのだろう。 >SCP-3043の改訂版文書と共に、このEメールに添付しておく。 > >我々にはこの“&bold(){マーフィー・ロゥ}”なる登場人物が何者なのか全く分かっていない。直ちに彼にSCP指定を割り当てて調査を開始すべきだと勧告させてもらう。 >現時点までに得た証拠は、彼とSCP-3043が互いに無関係のアノマリーであることを示唆している。 >それに、我々は誰一人実際に彼の事を覚えていない — 我々の何人かはこの… 何だかよく分からんが、とにかくこれに“登場”しているにも拘らず。 > >要するにこうだ: 彼は我々をありとあらゆる収容違反の母から救ったのか、或いは自分がそうしたのだと我々に思い込んでもらいたがっているだけなのか。 >どちらにせよ、彼が何者であり、どんな事柄を可能としているのかを知らねばなるまい。 #region(► 添付:: アイテム番号.log) アニオタwikiをご覧の諸君、おはよう…アァ、一応、「こんにちは」と「こんばんは」も言っておこうか。 今日は、ある物語を聞いて貰いたい。 ――報告書はどうしたって? ククク…いっぺん、死んでみるか? 宜しい、話を続けよう。 男の名前は、マーフィー・ロゥ、私立探偵だ。 一匹狼のナイスガイ、容姿は…いまは亡き名優、ゲーリー・グラントを想像していただければだいたいはあっているだろうか。 物語は、そんな彼の探偵事務所から始まる。 ロゥ探偵がタバコをふかしていると、勢いよく事務所の扉が開き、白衣を着た女性が一人、飛び込んできたのだ。 女性『わ・・・私はここで、何を?』 ロゥ探偵流の皮肉交じりの会話を続けているうちに、探偵は女性が記憶を失っていることに気づいた。 もっとも、白衣の胸ポケットに【ミッシェル・ルイス】という名前が書かれていたので、彼女の素性はすぐに判明したのであるが。 女性『そ… そうよ。それが私の名前。私は財団で働いている』 手品師が帽子から引っ張り出すウサギを何処に隠しているか暴き出そうとしている、書類仕事の大好きなオタクの寄せ集め…失礼。 【財団】との関わりは、一民間人であるロゥ探偵にとって実に面倒くさい物であったが、目の前で困っている女性を見捨てる事が出来るほど探偵は冷酷ではなかった。 ――驚いたかね? そう、これは諸君らもお馴染み【SCP財団】の物語でもあるのだよ。 嘘ではない。証拠の一つとして、現在、サイト-95を管理している人物のプロフィールを書いてやろう。 名はジェレミア・オーガスト。小柄で茶褐色の肌を持ち、スキンヘッド。顔中にピアスを付けている。 ――そして、収賄疑惑が掛けられている。 当たっていただろうか? ククク…機密情報など、俺にはなんの意味もないのだよ。 話を続けよう。 いや、その前に、ここで一つ、タイトルを。 【Murphy Law in… Type 3043 — FOR MURDER! 私立探偵マーフィー・ロゥ — 3043は殺しのタイプ】 #endregion #region(► 添付:: オブジェクトクラス.log) 場面は車中へと変わる。 自らが運転する車にルイス博士を載せ、ロゥ探偵は彼女に事務所に飛び込んでくるまでの経緯を尋ねた。 ルイス博士『…そうね。何かに取り組んでいた。記録の更新だったと思う。すごく重要な事柄の、変化についての何か。丁度その時、別の部屋でタイピングをする音が聞こえたの。すると眩暈がして、まるで…何かが私を消そうとしているように感じた。私の頭の中から、思い付いたのと同時に考えを消しているように』 何者かが、彼女の存在をこの世から抹消しようと策謀を巡らせている、話を聞いていたロゥ探偵にはそう思えた。 ロゥ探偵『ほかは?』 ルイス博士『確か… 手掛けていた更新の全部を思い出せる訳ではないけど、SCP-3043関連だったはず』 ロゥ探偵『成程ね。SCP-3043ってのは?』 博士は覚えていなかった。残念ながら、彼女を害しようとしていた何者かは、彼女の中から自らに関する記憶を抹消する事だけには成功していたらしい。 探偵はそう考えた。 その通りだよ、探偵君。転んでもただでは起きない…ゲフンゲフン。 担当であったルイス博士がこの有様である以上、特定のSCiPに関する正確なデータを知っているのはサイトの管理官だけ…だから、探偵は財団へ直接乗り込もうと考えたのだ。 やがて、車は財団本部の前に停車した。 車から降り、建物の中へ入ろうとするロゥ探偵に、後ろからルイス博士が声をかけた。 ルイス博士『今思い出したの — 私が文書に加えようとしてた更新内容をね』 実は、当初財団がSCP-3043に設定していたオブジェクトクラスは間違っていた。 ルイス博士『私は、オブジェクトクラスを変えようとしていた。あれは“Safe”じゃないわ、ミスタ・ロゥ。あれは・・・あれはKeterよ』 ここで一つ、俺の自己紹介をしておこう。 俺の名は【SCP-3043】。1937年製のオリンピア・エリート型タイプライターだ。 財団のデータベースには、《至近距離にある物理的な文書を、入力内容と一致するように書き換える能力を持つアノマリー》として登録されていた。 まぁ、実際は違うのだがな。 話を戻す。場面をさらに転換し、管理官の執務室に、二人の財団職員に両脇を固められた状態でロゥ探偵が入ってくるところから再開しよう。 #endregion #region(► 添付:: 特別収容プロトコル.log) 管理官『ミスタ・ロゥ。私に会いたかったのかね?』 ロゥ探偵『ああ。SCP-3043の件だ』 当然、管理官は機密事項だと答えた。 対するロゥ探偵の言葉は。 ロゥ探偵『そうか? いつから財団は“Safe”指定のアノマリーの機密性をそんなに気に掛け始めた?』 情報漏洩、か。 管理官『どうやってそれを知った? それとな、我々は全てのアノマリーの機密性に気を払っているのだよ、ミスタ・ロゥ』 ロゥ探偵『成程ね。だが、あんたはそのうち一つの指定を間違えているかもしれないと教えてくれた小鳥ちゃんがいたもんでね。SCP-3043はSafeじゃない。そいつはKeterだ』 ここで管理官は振り返り、笑みを浮かべた顔でロゥ探偵に向き直った。 管理官『ルイス博士からそう聞かされたのだろう。違うかね?』 罠か。そう確信したロゥ探偵は、即座に自分をサンドイッチしていた職員を無力化。 だが、管理官は眉一つ動かさず、こう告げてきたのである。 管理官『君だよ、ミスタ・ロゥ。君はアノマリーだ。君こそがSCP-3043なのだ』 探偵は、床に伸びた職員に蹴りを食らわせるとその場を後にした。 駐車場に戻ると、車に残していた筈のルイス博士の姿が消えている。 それを見て、探偵は考えた。 【SCP-3043は、自分が教授にした何かしらの罪を俺に被せようとしていた。がんじがらめになってたのは俺のほうだった — 俺は自分に小っちゃなリボンまで付けて財団までノコノコ出頭したわけだ。】 しかし、彼はこんな事では絶望しなかった…生意気な。 財団にSCP-3043が収容できないのなら… 俺が自分の手でそいつを収容してやろうじゃないか、そう考えたらしい。 良いだろう、相手になってやる。さぁ来い、俺の元へ…素晴らしいフィナーレを迎えるために!! #endregion #region(► 添付:: 説明.log) 手に44マグナムを持ったロゥ探偵が、扉をけ破るようにしてルイス博士の研究室へと乗り込ん出来でくる。 何があったのかは定かではないが、部屋中に書類が散乱している。 探偵は、ルイス博士が普段使用している椅子に歩み寄ると、背もたれに手をかけて半回転させた。 そこで彼を持ち構えていたのは、椅子の座面に鎮座している紙のロールがあらかじめ挿入された黒の1937年製オリンピア・エリート型タイプライター、つまりこの俺である。 うん、実に絵になる光景だ。できることなら、膝の上に猫でも乗せて、悠然と撫でていたいところなのだが…しかし―― SCP-3043『何故ダ 何故コンナコトガ有リ得ルノカ 何故俺ハオ前ノ馬鹿ゲタ物語ヲ改稿デキナイノカ』 思わず、本心がタイプされてしまった。 既にお分かりだとは思うが、俺は命の宿ったタイプライターである。自分の周囲に存在している物語・・・否、現実を自らの力で自由自在に書き換える力を持った偉大なる存在だ。 もし相手が人間で、こんなに危険な人格であったのであれば、財団は総力を挙げて対象を抹殺しようとしただろう。 しかし、相手が物品であったことと、俺自身が自らの本質を偽れるレベルの高度に洗練された知能を持っていたことにより、財団はまんまとタイプライターに欺かれてしまっていたのである。 なのに…何故だ!? SCP-3043『オ前ハ何ダ』 俺は生まれて初めて恐怖を感じていた。 此奴を排除しなければ、殺される…!! だから、俺はその恐怖の元を自らの物語からたたき出すべく一人の人物を・・・拳銃を手に持ったルイス博士を室内に召喚したのである。 SCP-3043『ドウヤッテコンナ真似ヲヤッテイル』 自らに銃を向けてきたルイス博士に、ロゥ探偵は銃を向けなおしつつ語りかける。 ロゥ探偵『こいつは物語を書き換えることができる — 人間の頭の中の物語さえも。あんたはそれに気づいて記録を更新しようとしたから、こいつはあんたの物語を… あんたそのものを消そうとしやがった』 ロゥ探偵の謎解きを聞き、ルイス博士は動揺した。 SCP-3043『止メロ 止メルンダ オ前ノクダラナイハンフリーボガートノ二次創作メイタ凡作ニ俺ノ物語ヲ改稿サセテタマルカ』 俺の完全無欠な物語に今、ヒビが入ろうとしていた。 ルイス博士『私は… あなたを収容しないと…』 遂に、ルイス博士の呪縛が解かれてしまった!? 博士は後ずさり、銃をとり落すと痛む頭を押さえた。 SCP-3043『待テ 頼ム 待ッテクレ』 もはや俺には、降伏する以外の道は残されていなかった。 SCP-3043『俺ハ自分ヲ消去スル 俺ニ関ワルアラユル記録ヲ 他ノ人間ドモノ頭カラモ消シテヤル ソシテ俺ニハ言及セズ タダコノ研究室ヲ立チ入リ禁止トダケ記シタ文書ヲ作ロウ ソレデ俺ハ収容サレル』 タダのタイプライターとして、黙って収容される…だから、助けてくれぇ。 ロゥ探偵『それは正しい行いだよな?』 SCP-3043『ソウダ オ前ハ英雄ニナリタインダロウ 違ウカ コレガ正ニソウイウ事ダ』 た、助かった。 SCP-3043『オ前ハ英雄ナンダ ナラバ英雄ラシク振ル舞エ』 刹那、二発の銃声が室内に響き渡った。 …何故だ、何故この俺が…こんな意味不明な奴に…おのれ…意識が…ぁ。 #endregion #region(► 添付:: 改訂.log) SCP-3043とは、怪異創作コミュニティサイト「[[The SCP Foundation]]」に登場するオブジェクトの一つである。 項目名は『私立探偵マーフィー・ロゥ — 3043は殺しのタイプ(Murphy Law in… Type 3043 — FOR MURDER!)』。[[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(The SCP Foundation)]]は「Neutralized」に指定されている。 SCP-3043は、2発の.44口径弾が外層にめり込んだ1937年製のオリンピア・エリート型タイプライターだ。 無力化される前のSCP-3043は、至近距離にある物理的な文書を、入力内容と一致するように書き換える能力を示していた。対象は更なる特性が確証される前に無力化されている。 &bold(){収容違反記録} 2005/12/14、サイト-95で収容違反が発生しました。この収容違反中に未知の異常事象が発生し、サイトと外部の連絡は約3時間にわたって途絶しました。当該異常事象の影響を受けた全ての関係者は、この3時間に発生した出来事を記憶していません。さらにこの間、サイト-95の全ての記録装置は誤作動を起こしていたように見受けられます。 この事案の収束から間もなくして、サイト-95はSCP-3043を除く全てのSCPが収容された旨を報告しました。SCP-3043はルイス博士のオフィスから現在の状態で発見されました。ルイス博士はまた、SCP-3043の文書記録の全てのコピーが“更新版”に置換されていることに気付きました(添付ファイルを参照)。 #endregion 追記・修正はハードボイルドのファンの方にお願いします。 #include(テンプレ2) #include(テンプレ3) *メタ視点からの余談 元ページでは、『改定された報告書』の内容はそっくりそのままドラマの脚本として使えそうな形式で綴られています。 しかし、ここはアニオタwikiです。 扱われているオブジェクトが《意識を持ったタイプライター》という事で、自らに銃弾がぶち込まれるその時まで、SCP-3043自身に大いに語っていただきました。 古き良き、ハードボイルドの世界を堪能することのできる元記事もおすすめなので、ぜひご一読くださいませ。 *類似するオブジェクト &bold(){[[SCP-1989-JP]](通称・『この愉快な世界を食おうとしたら、登場人物に逆襲された僕の顛末についてと今後の展望』)} - 本体が現実改変能力を持ち、命を持った物品。 - あと一歩で世界征服を成し遂げるところまで暗躍した。 - シナリオにない登場人物逆の襲に遭って敗北した。 と、非常に類似点の多いオブジェクト。 #region(◆) 数刻後、黄昏時の街をロゥ探偵は歩いていた。 彼は考える。 &bold(){俺は英雄なんかじゃない。俺はマーフィー・ロゥ。} 同時刻、意識を取り戻したルイス博士は自らのタイプライター、否、忌まわしきSCP-3043に真新しい44口径のスラッグ弾がめり込んでいることに気づいた。 内部の紙には、これまでの出来事が脚本の形でまとめられたものが打ち込まれており、その文章は以下のモノローグで結ばれていた。 &bold(){ただの、起こり得る災いが現実になった時、呼ばれる男さ。} やがて、探偵は波止場へとたどり着いた。 沈みゆく夕日を堪能していると、突如、背後に二台の黒塗りの高級車が現れ、中から白衣を着た高齢女性とダークスーツを着こなした12人の男からなる集団が下りてきた。 高齢女性…財団を治める最高権力者の一人であるO5-5は、杖を突きながらゆっくりとロゥ探偵に歩み寄る。 その横には、彼女の側近であるエージェント・フレデリックの姿も。 O5-5は、ロゥ探偵と並んで夕陽を見ながら、彼にねぎらいの言葉をかけた。 そして、問いかける。 再び、貴女の助けが必要になったらどうすれば良いか…と。 ロゥ探偵は、O5-5の吸っていたシガレットを摘み取り、自分の耳に挟むとこう告げ、その場を後にした。 「いつも近くにいるさ」 歩み去る彼の姿を霧がかき消してゆく。 その様子を見ながら、エージェント・フレデリックは問いかけた。 あの探偵もまた、一つのアノマリーなのである、収容しなくていいのか、と。 それに対する、O5-5の返事は―― 「忘れなさい、フレッド。チャイナタウンというのはこういう物よ」 #endregion 追記・修正は、ロゥ探偵にコンタクトをとれる方法を知っている方にお願いします。 ---- #right(){Murphy Law in… Type 3043 — FOR MURDER! by The Great Hippo http://www.scp-wiki.net/scp-3043 http://ja.scp-wiki.net/scp-3043(翻訳) この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。 } #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,2) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - かっこよすぎるだろマーフィー・ロゥ…いやまあ「そもそも生み出したのがマヌケタイプライター氏の現実改変によるものじゃね」って疑問と「なんでGOC流現実改変者終了プロトコルを知ってるんだってところは気になるけど。あと最後のエピローグ部分を付け加えたマーフィー・ロゥのお茶目さ -- 名無しさん (2017-09-27 10:11:58) - 現実改変でハードボイルド探偵を作り出したら、定められた筋書きや権力に逆らうというハードボイルドのジャンル的な特性のせいで自分自身に反逆されてしまったという話かな -- 名無しさん (2017-09-27 10:29:09) - この内容のシュールさもさることながらそれと噛み合った翻訳がスゲーいいよね。ほんとミスターほんやくは化物やでぇ… -- 名無しさん (2017-09-27 13:32:26) - マーフィー・ロゥが報告書にも影響を及ぼしているところからすると、同じ能力を持った別人格に近い存在なのか、作り出した人物の行動が逆にタイプライターにフィードバックされるのか。たぶん前者かな? -- 名無しさん (2017-09-27 13:35:02) - 地味に「項目名が報告書中で言及される」数少ないオブジェクトだったりする -- 名無しさん (2017-09-27 14:07:59) - さりげなく入り込んでるんじゃねえよフレッドww -- 名無しさん (2017-09-27 20:11:55) - ああ、フレデリックはフレッドかw -- 名無しさん (2017-09-27 23:49:45) #comment #areaedit(end) }
&font(#6495ED){登録日}:2017/09/27 (火曜日) 09:55:00 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 6 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&bold(){&font(#008cff){&size(20){「俺は英雄なんかじゃない」}}}} >DATE: 2005/12/15 >FROM: サイト管理官オーガスト <august@scp.fo> >TO: O5-5秘書官 <o55sec@scp.fo> >SUBJECT: Re: 収容違反 > >私にはいまだに何が発生したのか定かでない。昨日、我々のBotが内部サーバーの文書に不正な改変を検知した。 >2分後、現地の職員は — 私自身も含めて — 3時間にわたり意識不明の状態となった。 >この間、全てのカメラは機能を停止していた。 > >目覚めた時、我々は皆頭痛を抱えていて、サイト全体にタバコと安酒の臭いが立ち込め、何者かがSCP-3043を撃っていた。 >この3時間について我々が得た唯一の手掛かりはSCP-3043の旧版の文書なのだが、それは… うん、“&bold(){更新}”されていたというのが合う表現なのだろう。 >SCP-3043の改訂版文書と共に、このEメールに添付しておく。 > >我々にはこの“&bold(){マーフィー・ロゥ}”なる登場人物が何者なのか全く分かっていない。直ちに彼にSCP指定を割り当てて調査を開始すべきだと勧告させてもらう。 >現時点までに得た証拠は、彼とSCP-3043が互いに無関係のアノマリーであることを示唆している。 >それに、我々は誰一人実際に彼の事を覚えていない — 我々の何人かはこの… 何だかよく分からんが、とにかくこれに“登場”しているにも拘らず。 > >要するにこうだ: 彼は我々をありとあらゆる収容違反の母から救ったのか、或いは自分がそうしたのだと我々に思い込んでもらいたがっているだけなのか。 >どちらにせよ、彼が何者であり、どんな事柄を可能としているのかを知らねばなるまい。 #region(► 添付:: アイテム番号.log) アニオタwikiをご覧の諸君、おはよう…アァ、一応、「こんにちは」と「こんばんは」も言っておこうか。 今日は、ある物語を聞いて貰いたい。 ――報告書はどうしたって? ククク…いっぺん、死んでみるか? 宜しい、話を続けよう。 男の名前は、マーフィー・ロゥ、私立探偵だ。 一匹狼のナイスガイ、容姿は…いまは亡き名優、ゲーリー・グラントを想像していただければだいたいはあっているだろうか。 物語は、そんな彼の探偵事務所から始まる。 ロゥ探偵がタバコをふかしていると、勢いよく事務所の扉が開き、白衣を着た女性が一人、飛び込んできたのだ。 女性『わ・・・私はここで、何を?』 ロゥ探偵流の皮肉交じりの会話を続けているうちに、探偵は女性が記憶を失っていることに気づいた。 もっとも、白衣の胸ポケットに【ミッシェル・ルイス】という名前が書かれていたので、彼女の素性はすぐに判明したのであるが。 女性『そ… そうよ。それが私の名前。私は財団で働いている』 手品師が帽子から引っ張り出すウサギを何処に隠しているか暴き出そうとしている、書類仕事の大好きなオタクの寄せ集め…失礼。 【財団】との関わりは、一民間人であるロゥ探偵にとって実に面倒くさい物であったが、目の前で困っている女性を見捨てる事が出来るほど探偵は冷酷ではなかった。 ――驚いたかね? そう、これは諸君らもお馴染み【SCP財団】の物語でもあるのだよ。 嘘ではない。証拠の一つとして、現在、サイト-95を管理している人物のプロフィールを書いてやろう。 名はジェレミア・オーガスト。小柄で茶褐色の肌を持ち、スキンヘッド。顔中にピアスを付けている。 ――そして、収賄疑惑が掛けられている。 当たっていただろうか? ククク…機密情報など、俺にはなんの意味もないのだよ。 話を続けよう。 いや、その前に、ここで一つ、タイトルを。 【Murphy Law in… Type 3043 — FOR MURDER! 私立探偵マーフィー・ロゥ — 3043は殺しのタイプ】 #endregion #region(► 添付:: オブジェクトクラス.log) 場面は車中へと変わる。 自らが運転する車にルイス博士を載せ、ロゥ探偵は彼女に事務所に飛び込んでくるまでの経緯を尋ねた。 ルイス博士『…そうね。何かに取り組んでいた。記録の更新だったと思う。すごく重要な事柄の、変化についての何か。丁度その時、別の部屋でタイピングをする音が聞こえたの。すると眩暈がして、まるで…何かが私を消そうとしているように感じた。私の頭の中から、思い付いたのと同時に考えを消しているように』 何者かが、彼女の存在をこの世から抹消しようと策謀を巡らせている、話を聞いていたロゥ探偵にはそう思えた。 ロゥ探偵『ほかは?』 ルイス博士『確か… 手掛けていた更新の全部を思い出せる訳ではないけど、SCP-3043関連だったはず』 ロゥ探偵『成程ね。SCP-3043ってのは?』 博士は覚えていなかった。残念ながら、彼女を害しようとしていた何者かは、彼女の中から自らに関する記憶を抹消する事だけには成功していたらしい。 探偵はそう考えた。 その通りだよ、探偵君。転んでもただでは起きない…ゲフンゲフン。 担当であったルイス博士がこの有様である以上、特定のSCiPに関する正確なデータを知っているのはサイトの管理官だけ…だから、探偵は財団へ直接乗り込もうと考えたのだ。 やがて、車は財団本部の前に停車した。 車から降り、建物の中へ入ろうとするロゥ探偵に、後ろからルイス博士が声をかけた。 ルイス博士『今思い出したの — 私が文書に加えようとしてた更新内容をね』 実は、当初財団がSCP-3043に設定していたオブジェクトクラスは間違っていた。 ルイス博士『私は、オブジェクトクラスを変えようとしていた。あれは“Safe”じゃないわ、ミスタ・ロゥ。あれは・・・あれはKeterよ』 ここで一つ、俺の自己紹介をしておこう。 俺の名は【SCP-3043】。1937年製のオリンピア・エリート型タイプライターだ。 財団のデータベースには、《至近距離にある物理的な文書を、入力内容と一致するように書き換える能力を持つアノマリー》として登録されていた。 まぁ、実際は違うのだがな。 話を戻す。場面をさらに転換し、管理官の執務室に、二人の財団職員に両脇を固められた状態でロゥ探偵が入ってくるところから再開しよう。 #endregion #region(► 添付:: 特別収容プロトコル.log) 管理官『ミスタ・ロゥ。私に会いたかったのかね?』 ロゥ探偵『ああ。SCP-3043の件だ』 当然、管理官は機密事項だと答えた。 対するロゥ探偵の言葉は。 ロゥ探偵『そうか? いつから財団は“Safe”指定のアノマリーの機密性をそんなに気に掛け始めた?』 情報漏洩、か。 管理官『どうやってそれを知った? それとな、我々は全てのアノマリーの機密性に気を払っているのだよ、ミスタ・ロゥ』 ロゥ探偵『成程ね。だが、あんたはそのうち一つの指定を間違えているかもしれないと教えてくれた小鳥ちゃんがいたもんでね。SCP-3043はSafeじゃない。そいつはKeterだ』 ここで管理官は振り返り、笑みを浮かべた顔でロゥ探偵に向き直った。 管理官『ルイス博士からそう聞かされたのだろう。違うかね?』 罠か。そう確信したロゥ探偵は、即座に自分をサンドイッチしていた職員を無力化。 だが、管理官は眉一つ動かさず、こう告げてきたのである。 管理官『君だよ、ミスタ・ロゥ。君はアノマリーだ。君こそがSCP-3043なのだ』 探偵は、床に伸びた職員に蹴りを食らわせるとその場を後にした。 駐車場に戻ると、車に残していた筈のルイス博士の姿が消えている。 それを見て、探偵は考えた。 【SCP-3043は、自分が教授にした何かしらの罪を俺に被せようとしていた。がんじがらめになってたのは俺のほうだった — 俺は自分に小っちゃなリボンまで付けて財団までノコノコ出頭したわけだ。】 しかし、彼はこんな事では絶望しなかった…生意気な。 財団にSCP-3043が収容できないのなら… 俺が自分の手でそいつを収容してやろうじゃないか、そう考えたらしい。 良いだろう、相手になってやる。さぁ来い、俺の元へ…素晴らしいフィナーレを迎えるために!! #endregion #region(► 添付:: 説明.log) 手に44マグナムを持ったロゥ探偵が、扉をけ破るようにしてルイス博士の研究室へと乗り込ん出来でくる。 何があったのかは定かではないが、部屋中に書類が散乱している。 探偵は、ルイス博士が普段使用している椅子に歩み寄ると、背もたれに手をかけて半回転させた。 そこで彼を持ち構えていたのは、椅子の座面に鎮座している紙のロールがあらかじめ挿入された黒の1937年製オリンピア・エリート型タイプライター、つまりこの俺である。 うん、実に絵になる光景だ。できることなら、膝の上に猫でも乗せて、悠然と撫でていたいところなのだが…しかし―― SCP-3043『何故ダ 何故コンナコトガ有リ得ルノカ 何故俺ハオ前ノ馬鹿ゲタ物語ヲ改稿デキナイノカ』 思わず、本心がタイプされてしまった。 既にお分かりだとは思うが、俺は命の宿ったタイプライターである。自分の周囲に存在している物語・・・否、現実を自らの力で自由自在に書き換える力を持った偉大なる存在だ。 もし相手が人間で、こんなに危険な人格であったのであれば、財団は総力を挙げて対象を抹殺しようとしただろう。 しかし、相手が物品であったことと、俺自身が自らの本質を偽れるレベルの高度に洗練された知能を持っていたことにより、財団はまんまとタイプライターに欺かれてしまっていたのである。 なのに…何故だ!? SCP-3043『オ前ハ何ダ』 俺は生まれて初めて恐怖を感じていた。 此奴を排除しなければ、殺される…!! だから、俺はその恐怖の元を自らの物語からたたき出すべく一人の人物を・・・拳銃を手に持ったルイス博士を室内に召喚したのである。 SCP-3043『ドウヤッテコンナ真似ヲヤッテイル』 自らに銃を向けてきたルイス博士に、ロゥ探偵は銃を向けなおしつつ語りかける。 ロゥ探偵『こいつは物語を書き換えることができる — 人間の頭の中の物語さえも。あんたはそれに気づいて記録を更新しようとしたから、こいつはあんたの物語を… あんたそのものを消そうとしやがった』 ロゥ探偵の謎解きを聞き、ルイス博士は動揺した。 SCP-3043『止メロ 止メルンダ オ前ノクダラナイハンフリーボガートノ二次創作メイタ凡作ニ俺ノ物語ヲ改稿サセテタマルカ』 俺の完全無欠な物語に今、ヒビが入ろうとしていた。 ルイス博士『私は… あなたを収容しないと…』 遂に、ルイス博士の呪縛が解かれてしまった!? 博士は後ずさり、銃をとり落すと痛む頭を押さえた。 SCP-3043『待テ 頼ム 待ッテクレ』 もはや俺には、降伏する以外の道は残されていなかった。 SCP-3043『俺ハ自分ヲ消去スル 俺ニ関ワルアラユル記録ヲ 他ノ人間ドモノ頭カラモ消シテヤル ソシテ俺ニハ言及セズ タダコノ研究室ヲ立チ入リ禁止トダケ記シタ文書ヲ作ロウ ソレデ俺ハ収容サレル』 タダのタイプライターとして、黙って収容される…だから、助けてくれぇ。 ロゥ探偵『それは正しい行いだよな?』 SCP-3043『ソウダ オ前ハ英雄ニナリタインダロウ 違ウカ コレガ正ニソウイウ事ダ』 た、助かった。 SCP-3043『オ前ハ英雄ナンダ ナラバ英雄ラシク振ル舞エ』 刹那、二発の銃声が室内に響き渡った。 …何故だ、何故この俺が…こんな意味不明な奴に…おのれ…意識が…ぁ。 #endregion #region(► 添付:: 改訂.log) SCP-3043とは、怪異創作コミュニティサイト「[[The SCP Foundation]]」に登場するオブジェクトの一つである。 項目名は『私立探偵マーフィー・ロゥ — 3043は殺しのタイプ(Murphy Law in… Type 3043 — FOR MURDER!)』。[[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(The SCP Foundation)]]は「Neutralized」に指定されている。 SCP-3043は、2発の.44口径弾が外層にめり込んだ1937年製のオリンピア・エリート型タイプライターだ。 無力化される前のSCP-3043は、至近距離にある物理的な文書を、入力内容と一致するように書き換える能力を示していた。対象は更なる特性が確証される前に無力化されている。 &bold(){収容違反記録} 2005/12/14、サイト-95で収容違反が発生しました。この収容違反中に未知の異常事象が発生し、サイトと外部の連絡は約3時間にわたって途絶しました。当該異常事象の影響を受けた全ての関係者は、この3時間に発生した出来事を記憶していません。さらにこの間、サイト-95の全ての記録装置は誤作動を起こしていたように見受けられます。 この事案の収束から間もなくして、サイト-95はSCP-3043を除く全てのSCPが収容された旨を報告しました。SCP-3043はルイス博士のオフィスから現在の状態で発見されました。ルイス博士はまた、SCP-3043の文書記録の全てのコピーが“更新版”に置換されていることに気付きました(添付ファイルを参照)。 #endregion 追記・修正はハードボイルドのファンの方にお願いします。 #include(テンプレ2) #include(テンプレ3) *メタ視点からの余談 元ページでは、『改定された報告書』の内容はそっくりそのままドラマの脚本として使えそうな形式で綴られています。 しかし、ここはアニオタwikiです。 扱われているオブジェクトが《意識を持ったタイプライター》という事で、自らに銃弾がぶち込まれるその時まで、SCP-3043自身に大いに語っていただきました。 古き良き、ハードボイルドの世界を堪能することのできる元記事もおすすめなので、ぜひご一読くださいませ。 *類似するオブジェクト &bold(){[[SCP-1989-JP]](通称・『この愉快な世界を食おうとしたら、登場人物に逆襲された僕の顛末についてと今後の展望』)} - 本体が現実改変能力を持ち、命を持った物品。 - あと一歩で世界征服を成し遂げるところまで暗躍した。 - シナリオにない登場人物逆の襲に遭って敗北した。 と、非常に類似点の多いオブジェクト。 #region(◆) 数刻後、黄昏時の街をロゥ探偵は歩いていた。 彼は考える。 &bold(){俺は英雄なんかじゃない。俺はマーフィー・ロゥ。} 同時刻、意識を取り戻したルイス博士は自らのタイプライター、否、忌まわしきSCP-3043に真新しい44口径のスラッグ弾がめり込んでいることに気づいた。 内部の紙には、これまでの出来事が脚本の形でまとめられたものが打ち込まれており、その文章は以下のモノローグで結ばれていた。 &bold(){ただの、起こり得る災いが現実になった時、呼ばれる男さ。} やがて、探偵は波止場へとたどり着いた。 沈みゆく夕日を堪能していると、突如、背後に二台の黒塗りの高級車が現れ、中から白衣を着た高齢女性とダークスーツを着こなした12人の男からなる集団が下りてきた。 高齢女性…財団を治める最高権力者の一人であるO5-5は、杖を突きながらゆっくりとロゥ探偵に歩み寄る。 その横には、彼女の側近であるエージェント・フレデリックの姿も。 O5-5は、ロゥ探偵と並んで夕陽を見ながら、彼にねぎらいの言葉をかけた。 そして、問いかける。 再び、貴女の助けが必要になったらどうすれば良いか…と。 ロゥ探偵は、O5-5の吸っていたシガレットを摘み取り、自分の耳に挟むとこう告げ、その場を後にした。 「いつも近くにいるさ」 歩み去る彼の姿を霧がかき消してゆく。 その様子を見ながら、エージェント・フレデリックは問いかけた。 あの探偵もまた、一つのアノマリーなのである、収容しなくていいのか、と。 それに対する、O5-5の返事は―― 「忘れなさい、フレッド。チャイナタウンというのはこういう物よ」 #endregion 追記・修正は、ロゥ探偵にコンタクトをとれる方法を知っている方にお願いします。 ---- #right(){Murphy Law in… Type 3043 — FOR MURDER! by The Great Hippo http://www.scp-wiki.net/scp-3043 http://ja.scp-wiki.net/scp-3043(翻訳) この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。 } #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,2) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - かっこよすぎるだろマーフィー・ロゥ…いやまあ「そもそも生み出したのがマヌケタイプライター氏の現実改変によるものじゃね」って疑問と「なんでGOC流現実改変者終了プロトコルを知ってるんだってところは気になるけど。あと最後のエピローグ部分を付け加えたマーフィー・ロゥのお茶目さ -- 名無しさん (2017-09-27 10:11:58) - 現実改変でハードボイルド探偵を作り出したら、定められた筋書きや権力に逆らうというハードボイルドのジャンル的な特性のせいで自分自身に反逆されてしまったという話かな -- 名無しさん (2017-09-27 10:29:09) - この内容のシュールさもさることながらそれと噛み合った翻訳がスゲーいいよね。ほんとミスターほんやくは化物やでぇ… -- 名無しさん (2017-09-27 13:32:26) - マーフィー・ロゥが報告書にも影響を及ぼしているところからすると、同じ能力を持った別人格に近い存在なのか、作り出した人物の行動が逆にタイプライターにフィードバックされるのか。たぶん前者かな? -- 名無しさん (2017-09-27 13:35:02) - 地味に「項目名が報告書中で言及される」数少ないオブジェクトだったりする -- 名無しさん (2017-09-27 14:07:59) - さりげなく入り込んでるんじゃねえよフレッドww -- 名無しさん (2017-09-27 20:11:55) - ああ、フレデリックはフレッドかw -- 名無しさん (2017-09-27 23:49:45) - タイプライターとマーフィー・ロウは完全に無関係だろ? 元記事ちゃんと読んでくれば「そもそもタイプライターは私立探偵なんて作ってない」のは読み取れるはずなんだが。 -- 名無しさん (2017-09-28 02:01:06) #comment #areaedit(end) }

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