2017年第101回インディアナポリス500マイル

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2017年第101回インディアナポリス500マイル」を以下のとおり復元します。
&font(#6495ED){登録日}:2018/5/20 (日曜日) 18:00:00
&font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}:約 10 分で読めます

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#center(){伝統誉れ高き、インディ500。}
#center(){101回目を迎える今大会は日本、いや世界のモータースポーツファンが驚愕する日となった―――}


***・始めに

インディ500とは、毎年5月の最終月曜日、アメリカの戦没者追悼記念日に開催されるインディカーシリーズのことである。開催日の都合上、F1のモナコグランプリと同時に開催されることが多い(というより近年はよくあわせている)。
そのモナコ、ル・マン24時間耐久と並ぶ、&bold(){世界3大レースのひとつとして有名}だ。
(&bold(){この三つの中ではもっとも古く、1911年から開催されている})
無論、インディカーシリーズの中でもっとも大規模で、&bold(){&color(#ff0000){ここでの勝利はシリーズチャンピオンと同等の栄光、もしくはそれ以上に賞賛されるほどである。}}

コースはインディアナ州インディアナポリスにある&bold(){インディアナポリス・モーター・スピードウェイ}。全長2.500マイル(キロメートルに直せば4.023km)、これを出走33台が200周走る。
直角のコーナーを4つ繋げたようなレイアウトで、&bold(){最高時速約380km、周回平均速度約350km}、コーナーを曲がるときにかかる負荷は実に&bold(){最大5G(自身の体重の5倍の重力)}と、ドライバーにもマシンにも厳しい。
また、曲がるといっても、後方のドライバーにはストレートを延々と走ってるかのごとく&bold(){スリップストリーム(前を走ってる車の後ろにつき、抵抗の少ない状態を利用して加速する現象)}が掛かり、ほぼ常にオーバーテイクのチャンスが生まれる。めまぐるしくトップが入れ替わるのもインディ500の特徴だ。


***・レース内容

決勝は5月28日、雨の心配もあったが無事開催。
エントリーの中には大本命といわれている&color(#0000ff){&bold(){スコット・ディクソン}}、元F1ドライバーの&color(#388503){&bold(){ファン・パブロ・モントーヤ}}、&font(l){F1で不調だから}自分の新たな可能性を求めてやってきた[[&font(#ffb74c){&bold(){フェルナンド・アロンソ}}>フェルナンド・アロンソ]] (アンドレッティ、琢磨のチームメイトとして参戦)、そして唯一のインディカーシリーズ参戦中の日本人ドライバー、&color(#0076ff){&bold(){佐藤琢磨}}が名を連ねた。

琢磨はこれが8度目の挑戦。実は一度だけ、このインディ500で後一歩という瞬間が会った。それは5年前、2012年の同レースである。2位まであがった琢磨は、ファイナルラップでトップ(ダリオ・フランキッティ)を抜こうとするも、&bold(){トップが露骨にブロックし、コースの白線を踏んでスピン、ウォールに激突した。}
これだけ聞けばただ自滅しただけかもしれない。しかし、これはインディ500。1位でなければ意味がないのだ。事実、勝利したドライバーは場内から大量のブーイングを受け、クラッシュしたマシンから出てきた琢磨には惜しみない拍手が送られた。
これが意味するのは明白であろう。
その後のセレモニーで「僕は小柄だけどあともうちょっとスペースが必要だったんだ」とスピーチし笑いを誘っていた。
その後、琢磨はそのアタックを見惚れられたチーム(A.J.フォイト)に移籍、2013年にはそのチームで1勝しているのだ。2018年はまた違うチーム(アンドレッティ)に移籍したものの、そのチームとは終始円満だったという。&bold(){しかし琢磨は最後まで悩んだほどこのチームとの仲は良好だった。チームを去る際に彼が使っていたステアリングをプレゼントしてくれた}((本当は契約更新したかったのだが、チームがホンダエンジンとの契約をやめたため強制的に移籍が決まってしまった。琢磨自身がホンダとのスポンサー契約があるため、どうしてもホンダエンジンを使うチームにしか在籍できない縛りがある))。
	
そして琢磨は今年のインディ500で&bold(){予選4番手を獲得}、33台のため、3台一列の2列目イン側からのスタートとなった(アロンソはすぐ隣の5番手、ディクソンはトップ)。

そして決勝がスタート。
オープニングラップで琢磨は7位まで後退するも、しっかりと前に喰らい付き、順位を上げていく。
アロンソも同様、F1で培ってきた実力を存分に発揮していた。

しかし、52周。
予選トップを走っていた&color(#0000ff){ディクソン}が、曲がりきれずにウォールにヒットした周回遅れ(ジェイ・ハワード)に追突。&bold(){宙を舞い、マシン後部を失う大クラッシュをしてしまう。}観客席も一瞬ヒヤッとした。
幸い、両者ともに怪我は無く、ディクソンも自力でマシンを降りることができた。
しかし、パーツが飛散したりフェンスが破損するなどにより&bold(){&color(#ff0000){赤旗中断}}。各ドライバーが築き上げた差はリセットされることになる。

65周、琢磨はチームメイトがトップグループを独占していることを利用し、&bold(){トップに出る。}
これは、前にマシンがいない自身のマシンの状態を確認し、いつどのチームメイトがトップで走行してもいいようにするという、いわゆるチームオーダーでもあった。そのため、バトルはせず、10周ほどでチームメイトに譲った。
また、このときの琢磨を含めたチームのエンジンは、

#center(){&bold(){&color(#ff0000){勝つかぶっ壊れるかの大博打の設定}}}

で、いつ、どこで壊れてもおかしくない状態であったという。
それを考えると、自分のマシンを試せるこのチームオーダーは非常にありがたいものだったと思える。

しかし、レースは混乱が続く。
67周に一台が前のマシンから発生した&bold(){乱気流により単独クラッシュ}。それに巻き込まれる形でもう一台も壁にヒット。2周後にすぐに2度目のセーフティーカーとなる。
高速で走っているれば、その分空気の流れも激しくなる。少しの油断や判断ミスがクラッシュにつながってしまうのだ。

その後も何度もアクシデントやクラッシュに見舞われ、次々とリタイアしていく。
その中には、なんと&font(#ffb74c){アロンソ}の姿も。
原因はエンジン。恐れていた&bold(){エンジンブロー}であった。攻めに攻めてのリタイアではあった。悔しくはあったが、楽しめてよかった。と、本人は後にコメントしている&font(l){(F1でのストレスを発散できたのだろうか?)}

そして迎えた残り11周での再スタート。琢磨は2番手。前にはこちらも元F1ドライバー、マックス・チルトン(チップ・ガナッシ)。3番手には4連覇の可能性が見えてきたエリオ・カストロネベス(ペンスキー)。
チルトンは経験が浅いながらも、その車は非常に調子がよく、このまま行けば優勝も狙える状態にあった。一方、琢磨はエンジンにいつアロンソと同じようにエンジンブローが起こってもおかしくない状況にあった。
しかし、今回のセッティングで&bold(){他のマシンよりもダウンフォースを強めに設定しており}、終盤でありながらタイヤのグリップを温存していた。つまり、タイミングさえあれば抜ける状態なのだ。そのためにはどうしてもチルトンが邪魔。
そこで琢磨は、

#center(){&font(#ff0000){一度後ろのエリオを前に行かせ、エリオがチルトンを抜かしたところをかわそうと考えた。}}

エリオなら何度も戦って手の内を知っているし、フェアに勝負してくれるだろうと。
残り10周でエリオが琢磨の前に出る。琢磨は最後の望みをこの判断に委ねた。

そして残り7周、チャンスはやってきた。狙い通り、エリオがチルトンをオーバーテイク。チルトンのスピードが落ちたところを琢磨もかわしていく。そしてスリップストリームを使ってエリオに近づく。
残り5周でついに琢磨がトップに返り咲く。エンジンはもう限界近いが、もてるすべての力を振り絞り引き離しにかかる。
だがエリオも当然抜き返しにかかる。琢磨に抜かれたのと同じように、スリップストリームを使いトップスピードを上げる。
…が、抜けない。&bold(){エリオのタイヤはもうグリップが残ってなかった}。一コーナーで1度並びかけるが、スピードを落とさずに曲がることができず、再び琢磨が引き離す。
これで勝負は決した。
琢磨はトラブルが起こらないよう祈りつつ、マシンをゴールまで走らせる。

そして…


#center(){&size(20){&color(#0076ff){&bold(){「うおおおおおおおおおお!!!!」}}}}
#center(){&size(20){&color(#0076ff){&bold(){「おおおおおおおおおおお!!!!」}}}}
#center(){&size(20){&color(#0076ff){&bold(){「おおおおおおおおおおお!!!!」}}}}
#center(){&size(20){&color(#0076ff){&bold(){「おおおおおおおおおおお!!!!」}}}}

&bold(){インディアナポリス500マイル至上初、日本人の勝者が誕生した。}
&color(#0076ff){&bold(){佐藤琢磨}}。5年前につかみ損ねた栄光を、その手中に収めた。
喜びを爆発させ、無線が割れんばかりの雄たけびを上げた。
勝者のみが通れる「&bold(){ビクトリーレーン}」にマシンを止め、観衆やチームスタッフが見守る中、伝統のミルクを飲む。
モータースポーツ界に新たな歴史が誕生した瞬間である。

以下、琢磨の勝利時のコメント

#center(){&color(#0076ff){&bold(){「信じられないよ!この勝利はチームやスタッフのおかげ。応援してくれた人々みんなに感謝してもし切れないくらいだ。}}}
#center(){&color(#0076ff){&bold(){とてもタフなレースだったけど、エリオは本当にフェアに勝負してくれた。だからこそ僕も外から仕掛けられた。}}}
#center(){&color(#0076ff){&bold(){すばらしい勝負にみんなも喜んでくれてるといいね。}}}
#center(){&color(#0076ff){&bold(){5年前のクラッシュ、あれも今日の結果につながってる。みんなのおかげで忘れ物を取り戻せた。最高だよ!}}}
#center(){&color(#0076ff){&bold(){最後の3ラップでどう転ぶか分からなかった。エリオとのアクセル全開での勝負に勝った。最高のレースになったよ。」}}}

***補足
・このときの琢磨の優勝賞金は日本円にして約2億7000万。レース一回でのこの金額は破格である。
・優勝者がミルクを飲むのがインディ500の伝統だが、これを飲まないと一部賞金がもらえない。(過去に1人、飲み忘れて賞金がもらえなかったドライバーがいる)&s(){乳製品アレルギー持ちのドライバーが優勝したらどうするのだろうか}((現在その手のドライバーが出場した事は無いが、おそらく豆乳か乳幼児用の非アレルゲンミルクが出る。そして賞金はもらえない可能性が大。))
・レース後、琢磨のマシンをメンテナンスした際、大量のオイル漏れがあったそうだ。&bold(){本当にエンジンブロー一歩手前の状態}だった。
・琢磨はその後、首相官邸に招かれ、安倍内閣総理大臣より&bold(){内閣総理大臣顕彰を受賞}した。&bold(){モータースポーツ界としては史上初である}。
 このことが如何にすごいかは、よく分かるだろう。御礼として琢磨はコースに使われたブリック(レンガ)を渡した。
・インディ500のトロフィーがアメリカ以外に出るのは以外にも始めてのこと((アメリカ人以外のウィナーが居ないわけでは無いが、彼らは生活が完全にアメリカベースである。))。

追記修正はNo Attack,No Chanceの精神を持ってお願いします。

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- ホントに素晴らしかった。国民栄誉賞モノだと思うんだけどなぁ……  -- 名無しさん  (2018-05-20 20:05:53)
- まさか生きてるうちに、日本人がインディ500で勝つ瞬間を見られるとは思わなかったよ。今年も期待。  -- 名無しさん  (2018-05-21 09:46:36)
- 野球のラミレスもよく言ってるけど、英語の「タフな○○」の訳しづらさは異常  -- 名無しさん  (2018-05-21 11:29:13)
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