SCP-1968

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SCP-1968」を以下のとおり復元します。
&font(#6495ED){登録日}:2018/8/26 (Sun) 20:21:30
&font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}:約 20 分で読めます

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&link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧
&tags()
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SCP-1968は、シェアワールド「[[SCP Foundation]]」に登場する[[オブジェクト>オブジェクト(SCP Foundation)]]の一つ。
[[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(SCP Foundation)]]はKeter。

*概要
SCP-1968は&color(#ac6b35){ブロンズ色の円環}である。材質は例のごとく不明で、一部が隆起しシンボルが刻まれている。
光を歪める性質を持っており、画像ではオブジェクトが激しく歪曲してしまう。更には重力変動まで起こしているらしい。

こいつの異常性は人によって力が加えられた時に発動する。直後にこいつは急速に変形し、力を加えた人の周りを高速で渦巻き、しばらく経過すると元に戻る。
その後被験者を調査すると、&bold(){被験者の記憶は深い領域まで改変されていることが判明する。}。
例として、ある財団職員が実験の為にこいつを起動した後、インタビューで自身の来歴を説明したが、その来歴は財団に保管されている人事記録とは一致しなかった。

結果として被験者は動揺状態に陥り、しばしば人間不信を誘発する。円環の変形が激しいほど、改変の程度は大きくなるようである。
また、先述の絵文字がこの異常性の発現を制御しているという仮説が立てられている。

*発見経緯と収容手順
SCP-1968は2001年末ごろ、グリーンランド、ザッケンブルグ周辺の石油調査中に地下から回収された。調査の結果、こいつは約31万年前のものと推定されている。
財団職員は発見時の無線通信を傍受し1968を確保。グリーンランド関係者にはBクラス記憶処理が施された。
ところが職員が到着したとき、近辺にいた調査員が丸三日間にも渡って拘束された状態で発見された。
この調査員、どうにもこいつの異常性を食らったらしく、周囲の同僚に対し暴行をしたんだそうだ。

現在こいつは地下300メートルのシェルター状の収容室に保管されており、アクセス手段は一基のエレベーターのみとなっている。
搭乗口には武装警備員が常駐しているが、何か侵入事案が発生した際はエレベーターシャフトの自爆装置を起動することになっている。
警備員達は「自己の消耗」を考慮するように指示されている。(要するにわが身を犠牲にしてでも守れ、という事)
だが、これだけならこいつに触れなければいいという話に思える。KeterどころかSafeでも良いんじゃないだろうか。

追記・修正は記憶を改変してからお願いします。
#include(テンプレ2)
#include(テンプレ3)

#center(){&color(#ff0000){機密事項}}
#center(){&color(#ff0000){以下の資料の無認可閲覧は、O5レベル監督官の過半数の同意無しには禁止されています。この指令への抵触は当人の終了だけでなく、この資料を認識した他の職員の終了にも結び付きます。}}

#center(){&color(#ff0000){注記: CK、VK、XK、ZK、あるいはDedekind-uuクラスイベントが差し迫った場合には、この指令は撤回されます。}}

&color(#ff0000){&link_anchor(A){[復号化キーを入力する]}}





















&aname(A,option=nolink){ }
#center(){&color(#ff0000){警告: 直近エリアから退去しようとしないでください。セキュリティのため、一時間以内に限り中和可能な致死性ミーム媒介が投与されています。セキュリティ担当者を待ち、あなたの身元を確認できるよう準備してください。}}


#left{&italic(){&color(#00ff00){どう説明するつもりだってんだ?真実を覆い隠すために理論を延長させでもするのか?分かるだろ、たった2つの可能性しかない。}}}

#left{&italic(){&color(#00ff00){俺の知る世界は消え失せちまったのさ。変更に変更を重ねられて、今は19回目だ。}}}

#left{&italic(){&color(#00ff00){あんたは変化し続ける。何もかもがそうだ。それでも、俺は変わらないまま。俺は覚えているただ一人の人間なんだ。}}}

#right{&italic(){&color(#0000ff){教えてくれ、もし君がそう・・・}}}










#center{&bold(){&italic(){&color(#006400){&font(20px){博士、あんたを啓蒙してやるよ。}}}}}







   *   * 
 *   +嘘です
  n ∧_∧ n 
+ (ヨ(*´∀`)E) 
  Y   Y  *


上記の説明は殆どがカバーストーリー、つまり「&bold(){本当の概要を隠すための嘘}」である。
SCP-1968の真のオブジェクトクラスは&bold(){Thaumiel}。
そう、あの[[SCP-2000>SCP-1422/SCP-2000]](機械仕掛けの神)や[[SCP-2140]](過去改変画像)と同じ、「財団の切り札兼最終兵器兼諸刃の剣」である。
特にこいつはその中でも最も重要性の高い部類。つまり


&bold(){&color(#ff0000){財団の切り札、世界を救う最終手段である。}}


*実験記録
さて、真の概要について話す前に、まずはこのオブジェクトに関する実験記録について説明する。
最初の実験の後、被験者(先述の「とある財団職員」のこと)は肉体的・精神的共に問題ないことが分かり、報告会終了後に彼の宿舎に戻った。
しかし、その際に彼は自身の備品が変更されているようだと思ったらしく。その後彼のシフトが組まれた際、それを伝えられた彼はそれに強い混乱を示した。
ここまでは上記の概要の根拠となり得る。

二度目の実験の後、被験者は精神に不安をきたした。実験場所の変更、担当者不足、見知らぬ職員、彼を混乱させる要素は山ほどあった。
尋問の結果、彼自身の来歴、財団の歴史、オブジェクトの性質などについて、「根本的に異なる記憶を」彼は所持していた。

#openclose(show=これは被験者に対するインタビュー記録A抜粋である(長文注意)){

&bold(){被験者:} 何度も何度も話したじゃないか・・・ 少し眠らせてくれよ。

&bold(){インタビュアー:} すぐそうさせてあげるとも・・・ これきりで報告会はお終いだ。

&bold(){被験者:} &bold(){あんたW██████博士をどうしたんだ?}

&bold(){インタビュアー:} 何度も言い続けてるように、&bold(){そんな人物は存在しない。}君も職員名簿を見ただろう・・・ 私が君を騙そうとしているとでも言うのかい?

&bold(){被験者:} (返事なし)

&bold(){インタビュアー:} &bold(){君はB██████を覚えていないのかね?}以前から何度も君と一緒に働いてきたじゃないか。彼によれば、それなりに友情を築いていたとか・・・

&bold(){被験者: 彼のことなんか聞いたこともない。}そいつが誰なのかまったく分からない。

&bold(){インタビュアー:} だが、彼が君の個人的な情報を知っていることは認めるね?君が大学時代に付き合っていた娘のことから君の妹の子供の名前まで、どうやって彼がそれを知り得たと言うんだい?

&bold(){被験者:} (うんざりして) 知るもんか。俺の知ったこっちゃない。

      10分間の休憩。被験者にはソフトドリンクやタバコが支給された。

&bold(){インタビュアー:} 君は、我々が知っている筈だという・・・ あー・・・(メモを見る)… SCP-████とSCP-████について発言していたね。君によれば、SCP-████は[データ削除済]で、[データ削除済]が可能。そして、SCP-████はある種の未来予知コンピュータということになっているんだったね?

&bold(){被験者:} ああ。&bold(){俺がそれらの収容手順を作成した。}ここでの仕事が割り当てられるまでは、二ヶ月の間SCP-████の研究をやっていたんだ。原稿に詳しく書き上げて・・・

&bold(){インタビュアー: 君が語ってくれたようなSCPは存在しない。}我々だって聞いたことがないんだ。

&bold(){被験者:} (不可解な表情)

&bold(){インタビュアー:} どうかしたかね?

&bold(){被験者: 俺は“あんたが将来知るだろうこと”を喋ったのか・・・} そんなら、間もなく聞き知る事になるだろうさ。█████████に実地エージェントを派遣してるか?俺達がそのSCPを見つけたのはそこだよ。

(中略)

&bold(){インタビュアー:} 君はソーダを購入した際に気付いた変化についても述べていたね・・・。&bold(){10セント硬貨の肖像に見覚えが無かったとか。}

&bold(){被験者:} (うんざりして) ああそうとも。

&bold(){インタビュアー:} 君によると、誰がダイムの肖像になっているんだったね?

&bold(){被験者:} FDRさ。

&bold(){インタビュアー:} あー、うん、それは誰だね?

&bold(){被験者:} おい・・・そんな・・・彼の横顔じゃないだって?(中略)彼の特徴的な・・・薄ら笑い?俺の言ってる意味が分かるよな。

&bold(){インタビュアー:} いや・・・

&bold(){被験者:} (わめき叫ぶ) 何故こんなことをやってる!?これは心理学的な・・・・・・ 俺を混乱させようと、そう出来上がっちまうまでどのくらい掛かるか観察しようって魂胆なんだろう・・・?

&bold(){インタビュアー:} それが真実でないことを君は分かっているね。

&bold(){被験者:} (不可解な表情)

(中略)

&bold(){被験者:} ・・・・・・自分が何を考えているか分からない。でき・・・できれば明日にしてもらえないか?俺には・・・そう俺には睡眠が必要なんだ。

&bold(){インタビュアー:} 宿舎まで警備に護衛させよう。

(中略)

&bold(){被験者:} とにかく眠りたいんだ。

&bold(){インタビュアー:} 調剤部に寄っていきなさい。何か処方してくれるだろう。

&bold(){被験者:} 精神安定剤なんざいらんよ。

&bold(){インタビュアー:} お好きなように。

&bold(){末尾陳述:}
     ポリグラフの結果は、応答が意識的な虚偽ではないことを示した。
}
#endregion

彼は当時発見されていなかった(つまり現在は発見されている)SCiPについて言及した。財団所属の博士、インタビュー担当者、ひいては10セント硬貨の肖像まで記憶と違うことを説明した。
そうして出されたのが初期の結論、現在のカバーストーリーである。しかし、精神に影響を与えたにしては被験者の記憶は細部まで筋の通ったものであった。また、彼はわざと嘘をついているわけでもなかった。
そして、彼は不可解な発言をした。

「俺は“あんたが将来知るだろうこと”を喋ったのか・・・ そんなら、間もなく聞き知る事になるだろうさ。」

・・・勘のいい財団職員の方々はすでに気付いたかもしれない。だが、もうしばらく続けさせて貰いたい。

三度目の実験の後、&bold(){恐ろしい事実が発覚した。}

#openclose(show=これは被験者に対するインタビュー記録B抜粋である(長文注意)){

&bold(){被験者:} 俺達が何を話し合っていたか覚えていることを教えてくれないか?

&bold(){インタビュアー A:} 何だって?

&bold(){被験者:} この実験は何度目だ?

&bold(){インタビュアー A:} 三度目だが、それが何か?

&bold(){被験者:} 三度目だと?

&bold(){インタビュアー A:} 君に言わせれば何度目だと言うんだ?

&bold(){被験者:} &bold(){これは第十九回試験だろ。}

&bold(){インタビュアー A:} そんな筈はない。

(中略)

&bold(){被験者:} ・・・それなら、あんたも照合できる別のネタだってあるぞ。あんたらが俺を信じてないことは分かってるが、最後に実験を行った時、俺達はあるものに関係する奇妙な現象を発見したんだ。・・・あるものというのは確かそう・・・ &bold(){カシミール力}だったか?

      (インタビュアーたちが互いに相談する。)

&bold(){インタビュアー A:} (インタビュアー Bに向けて) ああ、任せる。

&bold(){インタビュアー B:} カシミール力とはどういう意味ですか?

&bold(){被験者:} ああ。そのまんまの意味さ。アーティファクトはそれに作用する。

&bold(){インタビュアー B:} そのようなことをどうやって知り得たんです?

&bold(){被験者:} あんたらがそれについて話してるのを立ち聞きしてたからな。

インタビュアー B: 何時そんなことがあったというんですか?

&bold(){被験者:} あんたは覚えちゃいないさ。第十七回試験の後だったか。頼むから分かってくれよ。あんたらはコレが俺の記憶に影響を及ぼすと考え続けてる。俺の思い違いだってな。もしそうなら、俺はどうやってSCP-████とSCP-████について知り得たんだ?もし俺の言う現象を確認しちまったら、そん時はどう説明するつもりだ?

&bold(){インタビュアー A:} 君は・・・

&bold(){被験者:} どう説明するつもりだってんだ?真実を覆い隠すために理論を延長させでもするのか?分かるだろ、たった2つの可能性しかない。俺がイカれてるか、あるいはそうじゃないかだ。

&bold(){インタビュアー A:} 未だ究明中だ・・・

&bold(){被験者:} 納得したら、また話そうぜ。それまで俺は用済みだ。宿舎に連行して、監禁するなり解放するなりしてくれ。

(インタビュー中断)
(中略)
&bold(){注記:} その後すぐに、███████助研究員(このインタビューを補佐していた人物)が自分自身を被験体として用い、非承認の実験を行った。
その後に彼と会話した職員は確認できなかったものの、彼が財団の非機密データベースを利用しての調査に二時間従事していた際に母親に電話をかけたことが分かっている。
&bold(){だが、実際には███████助研究員が母親への通話をし損なったこと(少なくと十数回以上、それ以上の時間を費やして通話を試みたにも関わらず)が確認されている。}彼は母親のボイスメールメッセージを繰り返し再生した。
間もなくして、&bold(){███████助研究員は自殺した。}
(インタビューは50時間後に再開)

&bold(){被験者:} 助手はどうしたんだ?

&bold(){インタビュアー:} 転任したよ。

(中略)

&bold(){インタビュアー:} もう一度聞く、私に信じて欲しいこととは何だ?

&bold(){被験者:} &bold(){12週間}、俺はアーティファクトでの任務に従事してきて、[注記:実験開始からまだ&bold(){一週間}しか経過していない。] 財団や大統領の変更、地球の土地配置の改変、そしてあんたの変化・・・&bold(){髭無い方が良く見えるぜ、}まあ今言ったようなことをこの目で見てきた。ついでに言えば・・・ &bold(){それらは全て過ぎ去った。}

インタビュアー: 何だって…

被験者: &bold(){俺の知る世界は消え失せちまったのさ。}変更に変更を重ねられて、今は19回目だ。まだ同じ言葉を話せてるだけラッキーだな。いいかよく聞け。俺がモルモットにされ続けてるのを承知するただ一つの理由は、&bold(){今後もう俺自身の歴史が存在することはないからだ。}あるいは歴史の外側か。自分の妹、持ったことがない子供たち、結婚したことがない妻に見覚えなんてない。俺は過去の無い亡霊なんだ。アーティファクトを使って失うものなんて何一つ無いんだよ。

(中略)

&bold(){被験者:} あんたは変化し続ける。何もかもがそうだ。それでも、俺は変わらないまま。&bold(){俺は覚えているただ一人の人間なんだ。}あんただって本当は██████████博士じゃない、少なくとも俺が知っていた人物じゃない。



(この時、インタビュアーと立会人███████の間でテレタイプを介した意見交換が密かに行われた。)

&bold(){インタビュアー:} カサンドラ・コンプレックスを伴うカプグラ症候群かもしれない。

&bold(){Observer:} おそらく。

(中略)

&bold(){インタビュアー:} 彼が持つ未解明の知識は?

&bold(){Observer:} 多分潜在感覚と作話症によるものだろう。文献上には彼のようなケースがある。

&bold(){インタビュアー:} それと、███████助研究員の自殺については?

&bold(){Observer:} フォリ・ア・ドゥでは。



&bold(){インタビュアー:} ・・・どういう意味だ?

&bold(){被験者:} どういう意味。どういう意味かだって?ならこの説明でどうだ。:もしあんたが████████博士を尋問すりゃあ、████████████の痕跡を見つけられる筈だ。数日中に、彼からのどデカいサプライズに直面することになるだろうさ。それを何で今の俺が知っているんだろうな?

&bold(){インタビュアー:} 馬鹿馬鹿しい。君が保有する未解明の知識について、君は説明することができるのか?

&bold(){被験者: 俺はこの・・・&bold(){世界交替状態 が前回よりもゆっくり展開され、出来事が起こるのもより遅くなっていると考えてる。}手に負えないほど事象が分岐しないのなら、&bold(){この現象は効果的に近い将来の予知を可能にしてくれるんだ。}俺がちょうど第一九回試験をやってた所から来たことを考えると、ここでは・・・

&bold(){インタビュアー:} そんな説明を信用できる訳がないだろう。単刀直入に聞こう。君は第三者に強制されているのか?君の知っていることを明かさないようにという明確な指示の下に行動してるんじゃないのか?私が言ったように、もし・・・

&bold(){被験者:} 俺をおちょくるな。理解してくれ。アーティファクトは近い内に&bold(){██████████████████████する。███████████████。███、████、█████████████████████████。およそ数週間でな。}

&bold(){インタビュアー:} 教えてくれ、もし君がそう・・・

&bold(){被験者:} &bold(){博士、あんたを啓蒙してやるよ。██████████、██}██████████。███████████████?███?████。██████。████████████。████████████████████████████████████████。 ██████████████████。████。█████████████████████████。██、████████████████████、███████████████。███。██████████████。████████████████████████。█████████、█████████、████████████。████████████。█████、████、█████████████████████████████████████████████████████████。█████████████████████████████

██████████████████、████████████████████████████████████████████████████。█████████████████ ██████████████████████、██████████████████████████████████████████、███████████████████████
██████████████████████████、█████、████████、██████████████████████、██、███、██、████、████、██・・・・・・}

&bold(){(O5監督官 ███████の権限により、インタビューはこの時点で突然終了された。)}

&bold(){末尾陳述:}
ポリグラフの結果は、応答が意識的な虚偽ではないことを示した。



&font(#ff0000){明らかに様子がおかしい。}
まず、被験者はこの実験が&bold(){十九回目}であると主張している(実際は先述のように&bold(){まだ3回})。
さらに、「インタビュアーの二人から立ち聞き」したという「カシミール力」なるものについて彼は語ったが、当の二人はその力について会話した記憶はなかった
(のちに被験者は彼自身の主張を裏付ける証拠に近い仮説を提出している。有り体に言えば、彼の主張は証明されてしまったのだ)。
そして、被験者は、この円環が「記憶へ影響を及ぼす」訳ではないことを示唆する発言をしていた。
インタビューは一度中断されたが、その間にインタビュアーの一人が自身を実験台にして実験を行った。彼は母親に電話を繰り返し掛けたが、&bold(){通話をし損ない、母親のボイスメッセージを繰り返し再生した後自殺}している。おそらく、彼がボイスメッセージで聞いた人物の声は、自分の「母親」の物ではなかったのであろう。インタビューはその後再開された。
再開後、被験者は&bold(){12週間}この円環への任務に就いていたと語った(実験を開始してからまだ&bold(){一週間}しかたっていないのに)。彼は「変化」を自身の目で見てきたと語った。彼は「自身の知る世界はすでに消え失せた」と主張している。
この時、インタビュアーとその立会人はこの被験者が精神疾患を患っていると考えていた。
その後、被験者の発言がこのオブジェクトの核心に迫る。

「俺はこの・・・世界交替状態 が前回よりもゆっくり展開され、出来事が起こるのもより遅くなっていると考えてる。」

そして、インタビュアーがしゃべろうとするのを遮り、こう発言した。

「&bold(){博士、あんたを啓蒙してやるよ。}」

その後の彼の発言は&bold(){全て黒塗りで規制されており}、傍聴していたと思われるO5監督官の一人に突然インタビューは終了させられた。


*財団による追加の調査
被験者の発言の裏付けをするため、財団はこのオブジェクトが効果を及ぼすと思われる範囲内の調査・測定を行った。すると、この円環が異常性を発現した際、CERN(欧州原子核研究機構。実在の組織)から「&bold(){ある現象}」についての報告が入った。「ある現象」について財団が調査を行ったところ、ニュージーランド、南アフリカ、南極(いずれもデンマークよりもかなり遠い)、果ては&bold(){木星周辺でも「ある現象」が発生していた}。この現象は瞬間的に、言ってしまえば&bold(){ビッグバンによる爆発並みのスピードで拡散している}らしい。唯一この現象が発生しなかった地点は、


&font(#ff0000){&bold(){SCP-1968の動作範囲、もっと言えば被験者がいる場所だった。}}


*真の概要
さあ諸君、大分待たせたが、このオブジェクトの真の概要について説明しよう。
このオブジェクトは、お察しの通り、被験者の記憶を改変するものではない。このオブジェクトが改変している本当の物は、

&font(#ff0000){我々の過去、}

&font(#ff0000){もっと言えばこの宇宙全体の過去である。}

ここで、「因果関係」というものについて説明する。因果関係というのは、「&font(#0000aa){Aを原因にBの結果が生じる}」というもの、原因があって結果がある、という関係であり、その関係は絶対に一方通行である。
通常の時間軸における因果関係というのは、過去の出来事や行動を原因に今が形作られ、そして今の行動や出来事が未来へ繋がっていく。すなわち「&font(#0000aa){過去があるから今があり、今によって未来が決まる。}」というものである。過去に我々が存在していたから、今も我々が存在している。過去に宇宙が(ry、今も宇宙が(ry。それは間違ったものではない。
このオブジェクトは、その因果関係を逆転させてしまうのだ。すなわち、「&font(#ff0000){未来から今を、そして過去を作り直す}」という事である。
先ほど触れた「ある現象」とは、被験者が言及した「カシミール力の変化」である。これは、&bold(){光を超える速度でこの円環の効果が宇宙全体に行き届いている}ことを表している。

そして、先ほどの被験者の発言、&bold(){「世界交替状態 が前回よりもゆっくり展開され、出来事が起こるのもより遅くなっている」}とは、再構築された世界では、出来事の起こる日時が遅くなることを示している。
例えば、出来事Aがあったとする。起きた後、円環をある人物Bが起動する。すると、&bold(){世界は再構築され、似たような世界が誕生する}。Bは元の世界の記憶を保持しているため、結果的にBの記憶が改変されたように感じる。そして、出来事Aは起きていないことになる。しかし、一週間後に出来事Aが再構築された世界で起こる。その後またすぐに円環をBが起動する。すると、また世界は再構築され、またAは起こっていないことになる。起動するたびにAが起こる日時は遅くなるため、二週間後に出来事Aが再構築された世界で(ryという事である。
被験者は他にも&bold(){「この現象は効果的に近い将来の予知を可能にしてくれる。」}と言っている。未来から今や過去を作っているのだから、例え世界がどれほど作り替えられていても訪れる未来は変わらない。
そして出来事の発生が遅れるなら、起こりうる出来事を予知することも実質可能という訳なのだ。


*どういうことだ![[まるで意味が分からんぞ!]]


要するに、このオブジェクトは、
「&font(#0000aa){起動するたびに世界を再構築し、}」
「&font(#ff0000){その度に出来事が起きるのを遅らせる}」
異常性を有しているのである。
&bold(){世界を包むこの円環は、因果関係をひっくり返し、世界を、過去を、再構築する。}



#center(){&bold(){&sizex(7){SCP-1968}}}

#center(){&color(#ac6b35){&bold(){&sizex(7){&ruby(世界を包む逆因果の円環){Global Retrocausality Torus}}}}}






本家記事には最後にSCP-1968の最近の動向について書かれている。
実験から二か月後、この円環は&bold(){「人間による操作を伴わずに」}起動した。実験時とは全く違う現象が起きたのだ。すると、&bold(){実験の被験者とよく似た人物が出現した。}相違点は、&bold(){未知の化学的熱傷を全身に負っていた}ことであった。インタビューする試み空しく、程なくしてこの人物は息絶えた。
それからさらに一か月後、再び円環は勝手に起動し、今度は&bold(){重武装した非人型実体を放出した}。その実体は財団の職員に攻撃し、12人殺害、多数のけが人を出し、最終的に無力化された。実体の持っていた兵器は、今の物理法則に逆らう性質を有しており、その外見はSCP-1968と似たものだった。

この二つの補足と、先のO5によるインタビューの突然の停止。
考えられるのは、かつての世界で少なくとも二回[[K-クラスシナリオ]]が起こったというものである。
一度目のシナリオでは、先の人物が致命傷を負いながらもSCP-1968を起動。しかし起きる未来を伝えられぬまま死んでしまった。
その結果再構築された世界でも再びK-クラスシナリオが発生。しかもこれはSK-クラス:支配シフトシナリオだったらしい。
この二回目では財団はSCP-1968を起動できなかった。しかし幸運なことに、シナリオを起こした生物自身が1968を起動。また世界が再構築された。
そしてこれらの二つの起動が三つ目の世界。つまり今の財団世界で観測されたのだと思われる。
被験者は、このK-クラスシナリオの発生について言及したと予想が付く。
・・・しかし、このオブジェクトの特性は「出来事を遅らせる」だけである。&bold(){「無いことにできる」訳ではない。}
果たして財団は、この報告書が存在する世界でそれを回避できたのだろうか?

*補遺
CK-クラス:現実終焉シナリオ発生時に、このオブジェクトを使用することを誰かが提案した。しかし、このオブジェクトを使用することは「世界の消滅を確実なものにする」と書かれている。同時に、「何もしないことは同様の結果を約束する」とも言及している。
そりゃそうだ。こいつが起こしているのは世界そのものの再構築だ。はっきり言えば「K-クラスをもっともマシなK-クラスで上書きしている」も同然である。
しかし1968を使わなければ、より凄惨なK-クラスシナリオで世界が終わるだけなのだ。だから使うしかない。
それは財団の目的の一つ「正常性の保護」を否定することに繋がる。だが、現行世界の報告書においてこいつがThaumielに指定されていると言うことは・・・
少なくとも、そのときが来ればやるつもりなのだろう。今の財団は。

&bold(){財団の明日はどっちだ。}

追記・修正は、過去を再構築してからお願いします。
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#region(蛇足)
「SCP-1968が起動したら世界が再構築されるなら、何故その瞬間を観測することができたのか」という疑問が湧くかもしれない。
ただ少し考えてみると、その「観測できた」という事実も結局は再構築されて生まれた過去に過ぎないのである。
SCP財団のフォーマットは報告書、つまり調査が終わった後の過去を記したものである以上、全ては改変されたものなのだ。
つまりここまでの「1968が発見されて、実験がされて、インタビューがあって、そこからオブジェクトの真実が分かって、Thaumiel指定される」
という流れ事態が、改変の末に成り立ったものといえる。1968の正確な起動回数が把握できないのもこれが理由。
こいつにとっては「自分が起動した」という出来事さえも、改変される過去の一部でしかない。
再構築され続ける世界の中ではっきりしている現実は、「かつての世界を知っている人間が1968から出てきた」という過去のみなのである。
#endregion
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#right(){CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-1968 - Global Retrocausality Torus
by  equitefahrenheit
http://www.scp-wiki.net/scp-1968
http://ja.scp-wiki.net/scp-1968

この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。
}
#include(テンプレ2)
#right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600,3)
}
#include(テンプレ3)

#openclose(show=▷ コメント欄){
#areaedit()
- 博士、あんたを脱毛してやるよ。  -- 名無し  (2018-08-26 20:24:24)
- 財団の明日はどっちだとかなかったとかのオチちょっと多すぎて霹靂してる  -- 名無しさん  (2018-08-26 21:24:47)
- 世界の明日を無くすSCiPが多すぎてそろそろ項目同士の差別化点にはならなくなってきた感はあるよね  -- 名無しさん  (2018-08-26 22:21:03)
- このSCiPはタウミエルの中でも根本から変える、超大規模な奴だよね  -- 名無しさん  (2018-08-26 22:33:14)
- ↑3本家で色々見たらそうでもない。ただこうして外部でまとめられるのはどうしても派手で印象に残りやすいものになるから…  -- 名無しさん  (2018-08-27 01:55:56)
- ↑4「霹靂してる」はツッコミ待ちなのか?  -- 名無しさん  (2018-08-27 06:04:07)
- これSCP-3005ぐらい好きなSCPだわ  -- 名無しさん  (2018-08-27 09:15:24)
- ↑3いや希望が残ってるやつとか色々とパターンあるのにお決まりのごとく「明日はどっちだ」とか「なかった」とかそんな感じのばかりでワンパターンな記事のオチでもったいなあなあと。あっ誤字すいませんでした↑4  -- 名無しさん  (2018-08-27 09:49:23)
- ↑1説明下手で悪いけどSCPページそのものでなくアニオタの記事のオチの話ね  -- 名無しさん  (2018-08-27 09:50:45)
- オチに便利なフレーズだからな。でも使いすぎると陳腐、でしょ?  -- 名無しさん  (2018-08-29 06:59:33)
- 財団世界が滅びそうで滅びないのは発動を認識できないThaumielのおかげか  -- 名無しさん  (2018-09-30 18:30:00)
- どうしようもないけど首の皮1枚繋がって今のところなんとかなってるってSCPが好きだったけど最近のは詰み確定してるのが多いからなー、滅んだら創作としてお話が続かないけどいいのかってなる  -- 名無しさん  (2018-10-19 00:51:53)
- ↑そこはカノン次第、気に入らない設定は頭から排除したっていい。わけだしね。  -- 名無しさん  (2018-10-26 16:58:59)
- 「最近の動向」から読みとれるのは「近い未来にサイトが非人型実体に占領される」ことだけで、Kクラス云々は言ってないんじゃないか? 占領下で被験者がなんとか起動に成功したのが火傷のパターン。しかし先送りされた次のイベントでは、被験者はとうとう起動できなかった。が、幸運なことに、直後に非人型実体がたまたま起動させて、再び先送りに成功したのが最後のパターン。  -- 名無しさん  (2018-11-08 21:59:22)
- ↑別にこいつは起きる未来を確定させる訳じゃない。「逆因果」になっているのは起動した瞬間だけだから、その後は行動次第でいくらでも未来を変えられる。たとえ変えられなくても永遠に先送りにできる。だからThaumiel。  -- 名無しさん  (2018-11-17 19:21:48)
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