サンエックス

登録日:2024/4/30 Tue 00:27:10
更新日:2025/03/21 Fri 15:11:05
所要時間:約 5 分で読めます




【概要】

サンエックス株式会社(以下「サンエックス」)は、自社で開発されたキャラクター事業を展開する日本の企業の一つ。
企業名こそ知らずとも、たれぱんだやリラックマ、すみっコぐらしは誰もが知るところだろう。
しかしながら競合他社にあたるサンリオと比較しても、そして企業の沿革としてもキャラクターコンテンツ事業を手掛けるようになったのはかなり最近の出来事だったりする。
後述するが、実は2022年4月8日に創業90周年を迎えた老舗企業である。

本社は創業以来東京都千代田区神田多町に所在。


【沿革】

1932年4月8日に千田杏三*1が個人商店チダ・ハンドラーを創業する。
主に便箋や封筒といった文具を製造しており、文具店に販売していた。
当時からチダ・ハンドラー製の文具には、多くの人に手に取ってもらえるよう可愛らしいイラストが添えられていた。
1941年に有限会社として、1957年に株式会社として改組し、1973年5月に本社ビル設立と同時に「サンエックス」に改名した。

文具に添えられているキャラクターたちに名前が付いたのは1979年に登場した『ロンピッシュクラウン』が初めて。
こちらは当時の文具カタログにも掲載された。
1980年に登場した『ボビーソクサー』『アクアマリン』『ビートルフリーク』がヒットし、自社デザイナーによるキャラクター開発の礎となる。
1980年代のヒット商品には他に『ペンシルクラブ』『ピニームー』『カイジュウパラダイス』『エスパークス』が挙げられる。
特に『エスパークス』は小学生男子を中心に反響を呼び、一部の小学校では持ち込み禁止令が出たほど*2

そして、1998年に『たれぱんだ』がヒットし、本格的にキャラクターコンテンツ事業を手掛けることになる。
創業以来生まれてきた1000を超えるキャラクターたちは時に人々を楽しませ、そして寄り添ってくれることだろう。

ロゴは1998年まで「XXX」のようにXを3つ並べたものを採用していたが、1998年以降はSan-Xが用いられている*3
旧ロゴは人に見立てているのだとか。

【主なサンエックスのキャラクターたち】

サンエックスではかわいいだけじゃないをモットーに、様々な個性やバックグラウンドを持つキャラクターたちが多い。
これはキャラクターたちへの自己投影、共感を促すため。
尚、上述したように1000を超えるキャラクターたちが存在するため、本項目では一部の紹介に留める。

・たれぱんだ

今日もよくたれています

1998年登場。
パンダに似た新種の生物
手足はあるのに転がって移動*4し、触感はやわらかくしっとりとしており、すあまが好物。
おまけに個体差は5cm~3mとまちまち。お前のようなパンダがいるか。

元々は1995年11月に販売されたパンダのシールがリニューアルされたもの。
2000年までの2年間で年商700億というヒットを飛ばし、社会現象を巻き起こした。サンエックスにおけるキャラクターコンテンツの原点とも言えよう。
2003年に『リラックマ』が登場するまではサンエックスの顔のような存在で、登場から25年以上経過してもサンエックスネットショップでグッズが販売されており、根強いファンも少なくない。

キャラクター原案は末政ひかる。
『ひらびっと』や『ぶるぶるどっぐ』を手掛けた後に2001年に退職、株式会社てててんを立ち上げキャラクターコンテンツ事業を手掛けている*5


・こげぱん

……。

1999年7月にメモパッドの一柄として登場。詳細はこちら
キャラクター原案はたかはしみき。
サンエックス退職後は『こげぱん』の連載の他にエッセイ漫画を執筆している。


・ア

2001年登場。
その名の通りアフロヘアの犬。
陽気でごきげん、アフロっぽいものがあるとすぐに近づいてヘアスタイルが同化する。友達になりたいのだろうか。
同時期に登場した『こげぱん』とは異なり、こちらはポジティブが具現化したようなキャラクターである。

サンライズ製作でOVA化もされた。
キャラクター原案はあいみてつろう。


・リラックマ

まぁ ごゆるりと。

2003年にだらだらごろりと登場。
マイペースな着ぐるみのクマ。
突如25歳のOLカオルさん*6の家に住み着き、働き者のキイロイトリとやんちゃなコリラックマ*7と同居している。不審者とは言ってはいけない。
同居こそしていないが、はちみつの森に住むチャイロイコグマ*8はコリラックマを通じて親交を持つ。

登場後20年以上経過しても根強い人気を誇るサンエックスのトップランナーの1つ。
グッズ展開や企業コラボが盛んだったが、映像化は2019年の『リラックマとカオルさん』まで待つことになる。
2023年には北米ツアーを敢行。人気がアジア圏に集中しているサンエックスのキャラクターが北米進出するのは何気に珍しい。だらだらしたい、は世界共通
芸能人では神田沙也加やBUCK-TICKの樋口豊がファンを公言している。
ファンの年齢層が幅広いせいか、オカモトからコンドームが販売されていたりオーイズミからパチスロになったりしている。*9
また、『リラックマとカオルさん』のカオルさんは絵本と比べると性格や行動に少々問題のある人物として描かれている。*10

2024年10月にProduction I.G.によりアニメを製作中と発表された。
主題歌は幾田りらっくまの『stay with me』。

キャラクター原案はコンドウアキ。『みかんぼうや』のキャラクター原案も務めている。
2003年に退職後はエッセイ漫画や絵本の他、『リラックマ4クママンガ』を執筆している。


・センチメンタルサーカス

今夜も不思議ななかまが集まって、ショータイムのはじまりはじまり

2010年登場。
街角や部屋の片隅に忘れ去られてしまったぬいぐるみたちが結成した秘密のサーカス団。
幻想的で切ない世界観で、哀愁や孤独を抱えながらも寄り添うイメージの元作成された。
ぬいぐるみたちはシャッポ団長の手でたまに修繕されている。
X(旧Twitter)アカウントで見せるシャッポ団長のお茶目さも必見。


・すみっコぐらし

ここがおちつくんです

2012年登場。
「すみっコ」はすみっこが落ち着く、集まってくる「なかまたち」の総称。
見た目こそ可愛らしいが、「周囲の環境に適合できず、故郷を逃げ出す」「自分が何者かもわからず、同族の存在さえ不明」「本来の役目を果たせず見捨てられた」「気が弱く、自己嫌悪が強い」「諸事情で母親から離れざるを得ず、正体を仲間たちにごまかしている」等サンエックスの中でもとにかくネガティブな事情を抱えている*11

開発当初は社内で批判を受けたが、いざデビューするとすみっコたちの抱えている事情が共感を呼び、「リラックマ」と並ぶサンエックスのトップランナーと化した。
「リラックマ」と比較して、小学生以下の女児向けの玩具やアパレルの比重が大きい。
2019年よりアスミックエースにより劇場版が制作され、以降2年スパンで上演されている。
2019年に公開された『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』が2024年8月にパペットミュージカルとして舞台化。
パペットは『ひょっこりひょうたん島』の人形を製作した「人形劇団ひとみ座」により製作され、劇団員4名が操者として出演。
舞台版の脚本・演出は「あさりど」の川本成が担当。
ストーリーに大きな変更はないが原作よりも尺が短いため、予め原作を鑑賞しておくことをお勧めする。

キャラクター原案はよこみぞゆり。
2020年に退職後は『なんでもいきもの』を展開中。
また退職後も『すみっコぐらし』には関わっており、劇場版でも「原案」ではなく「原作者」としてクレジットされている。


・チキップダンサーズ

2021年登場。
ちょっぴりチキンだけど好奇心旺盛な骨付きチキンのほねチキン(CV: 花江夏樹)が仲間たちと一緒にダンスで活躍するシリーズ。
テレビアニメに最も力を入れているシリーズであり、2021年10月よりNHK Eテレで放送されている。
アニメ制作はファンワークス、監督は『やわらか戦車』『アグレッシブ烈子』でお馴染みラレコ、脚本はラレコと田辺茂範*12が担当している。この人が参加した事によりメインキャストがこれになった


【二次創作について】

サンエックスでは二次創作について厳しい企業として知られている*13
詳細はサンエックスのホームページを参照していただきたいが、「ファンアートは個人で楽しむ範疇のみに留める」「ぬい撮りのSNSやインターネットへの投稿は許可するが、持ち主本人が作った衣装を着せてはならない」等。
当然ながら勝手にグッズ作って販売など言語道断である。

但し『音戯の譜~CHRONICLE~』*14のみ別途二次創作のガイドラインが掲載されているので、確認のこと。


追記・修正はすみっこでだらだらごゆるりお願いします。

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最終更新:2025年03月21日 15:11

*1 1987年に78歳で逝去

*2 『エスパークス』は文房具を揃えることで物語を読み解く、遊び心溢れるシリーズだった

*3 厳密にはXは四葉のクローバーで置き換えている

*4 時速2.75m

*5 てててん創業後に手掛けたコンテンツに『おにゃんこポン』が挙げられる

*6 長らくシルエットのみの登場だったが、『リラックマとカオルさん』でようやく全貌がお披露目された。

*7 2004年登場

*8 2016年登場。但しキャラクター原案のコンドウアキは担当していないため、『リラックマ4クママンガ』には未登場。

*9 後者に関してはコンドウへの告知がなかったらしく、非常に困惑していた。

*10 具体的な例としてはアパートに生えたキノコを食べようとする(リラックマたちも巻き込むが未遂に終わる)、一目惚れした配達員に会いたいが為に通販で無駄な買い物を繰り返す等。一応リラックマが誘拐(実際は違う)された際は助けようとするなど根は善人。

*11 ざっそうやあじふらいのしっぽ、ほこり等の例外も存在する

*12デュエル・マスターズ ビクトリー』のシリーズ構成を担当。

*13 『カピバラさん』や『ミッフィー』も同様に厳しいことで知られる

*14 日本コロムビアとの共同企画