鎖龍蛇-スカルデット(遊戯王OCG)

登録日:2024/04/30 Tue 16:58:00
更新日:2025/04/27 Sun 18:13:00
所要時間:約 4 分で読めます






世界大会クラスのパワーを以って、数々のカードを救ってきたリンクモンスターがあった。
抜群の力を持つそのモンスターは、「弱い」と切り捨てられてきたマイナーカードに次々とメスを入れ、
環境デッキとも渡り合える鮮やかな戦術(タクティクス)を見出し、授けていった。

鎖龍蛇(さりゅうじゃ)-スカルデット。

(一部の)決闘者は彼を、「医龍」と呼ぶーーー




《鎖龍蛇-スカルデット》とは、遊戯王OCGに登場するカードの一枚である。


【カードテキスト】

リンク・効果モンスター
◀   ▶
リンク4/地属性/ドラゴン族/攻2800
【リンクマーカー:上/左下/下/右下】
カード名が異なるモンスター2体以上
(1):このカードは、このカードのL素材としたモンスターの数によって以下の効果を得る。
●2体以上:このカードのリンク先にモンスターが召喚・特殊召喚された場合に発動する。
そのモンスターの攻撃力・守備力は300アップする。
●3体以上:1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。
手札からモンスター1体を特殊召喚する。
●4体:このカードがL召喚した時に発動できる。
自分は4枚ドローする。
その後、自分の手札を3枚選んで好きな順番でデッキの下に戻す。


【概要】

初登場は【魔導獣】や《センサー万別》も収録された2017年10月発売のブースターパック「EXTREME FORCE」から。
新マスタールール導入後から約半年後と、L召喚追加されて日も浅い頃に登場したそこそこ初期のLモンスターでもある。
初登場時のレアリティはウルトラレア。

ドラゴン族ではあるものの、見た目は名前の通り全身に撒かれた鎖に蛇のように長い首、鎧のような尖った骨を拵えていたりと凡そ普通のドラゴンからはかけ離れた姿形をしている。
こんな禍々しい見た目なのに闇ではなく地属性である。


【性能】

一見同じリンク4等のような大型らしく切り札級の性能をしていると思われそうだが、実際には見た目とは似つかわしくないサポート特化のカード。
まずリンク4と出しづらい印象を受けるが、素材指定が「カード名が異なるモンスター2体以上」とかなり緩めなため、思ったよりは出しやすい。
素材全ての名前さえ違えば何でも素材にでき、トークンや通常モンスターも可能な点もグッド。
極論《スケープ・ゴート》のトークンを各々Lモンスターに変換させても出せるし、お馴染みの《神聖魔皇后セレーネ》1枚からでも出せる。
ただし、後述の効果のことを考えると後者の出し方はあまりおすすめできないが…。

リンクマーカーの位置も相手側に一個向いてるものの残りは下の自陣側全てに向いており、特に新マスタールールの頃は非常にありがたかった箇所にあり総じて優秀。
勿論11期以降のマスタールール下でも展開の助けになってくれる。

攻撃力は最上級の最低ラインレベルの2800。
特別高くもないが、置物にもならない及第点の数値と言える。

肝心のカード効果だが、素材にしたモンスター数に比例して効果が追加されていく。
2枚からの出し方はおすすめしないと前述した理由がこれである。
このカードを出す際は必然的に2~4枚の素材数となるため、それぞれ3つの効果を内包している。

まず2体以上を素材にした場合が、リンク先にモンスターが出ると攻守をアップさせるバフ効果。
他と比べるとどうしても地味な印象を拭えないが、1ターンに1度の制約もないため〆のフィニッシュをサポートしてくれることもある。
《D-HERO ディストピアガイ》のようなバフすることに意味のあるモンスターと組み合わせるのも面白い。
そうそう無いとは思うが相手側に向いてるマーカーに出されてもバフが掛かるため利用されないように注意。

3体以上になると、1ターンに1度手札からモンスターを特殊召喚ができる。
出すモンスターに一切の制限がなく、かなり自由度の高い展開をサポートしてくれる。
後述の効果とも相性が良いため、真価は4体素材で出したときである。

そして最大の4体でL召喚に成功すると、4ドローして手札3枚をデッキボトムに戻す驚異の手札交換効果が使える。
ドロー数自体は禁止カード《天使の施し》以上で、戻すのもデッキボトム(デッキの下)なためいらないからと戻したカードを引くこともない。
そして戻すカードは元々手札にあったカードも選べるため、ただの1ドロー以上の質の高い手札交換が可能。
手札に呼び寄せたモンスターを3体以上時の効果でさらなる展開に繋げられる点も優秀。
このカード最大の特徴にして、使う意味と言ってもいいレベルの重要効果となる。

総じて素材を増やせば増やすほど効果が強力になり、特に4体素材時がどんなデッキでも超優秀な手札交換を可能とする高スペックなモンスターである。
しかも全ての効果にカード名指定の1ターン制限がない。
つまり出せば出すほど手札交換が使えるし、手札からの展開も再度使える。
ただしあくまで素材にした数を参照とするため、《死者蘇生》等で蘇生したり《亜空間物質転送装置》等で一旦場から退けるとどの効果も使えない点に注意。

しかし、L召喚を主体としたデッキの多くは、リンク2~3を経由した連鎖的なL召喚を行うのが基本の型になりがちである。
アクセスコード・トーカー》展開によく使われる《スプラッシュ・メイジ》→《トランスコード・トーカー》とか《神聖魔皇后セレーネ》が典型例。
そういった展開ルートを基本とする場合には、《鎖龍蛇-スカルデット》の「素材4体」はクリアしづらい(できるとしても余計なディスアドが多い)。

その優秀な性能が評価され、初登場からガチ・カジュアルともにあらゆるデッキで使われるようになった。
だが、汎用リンク4が充実していき、上記の事情もあって他のリンク4を優先するデッキが多くなったため採用率は落ち着いていく。
とはいえ、EXデッキから爆発的な手札交換・展開加速に繋げられる強みは未だに唯一無二であり、現役で決闘者からも頼りにされている。
比較的地味なカードも多い「EXTREME FORCE」出身のカードの中でも最大の出世カードとなった。

あまりにも汎用性が高いこと・効果に1ターン制限がないことから、2019年10月には制限カードに指定されてしまった。
しかしその後、環境が変わった事で2023年4月に準制限カードに制限緩和され、続く2023年7月に制限解除となった。
遊戯王マスターデュエルにおいてもサービス開始当初から長い間制限カードに指定されていたが、世界大会が終わった後の2024年9月を以て無制限へ緩和された。


【相性の良いデッキ・カード】

このカードを出せる展開力のあるデッキで相性が悪いということはまずないが、上記の事情を踏まえ、「L召喚が得意なデッキ」よりも「展開力が高いが、並べた後の方向性はあまり定まっていないデッキ」で真価を発揮する傾向が強い。
《創造の代行者 ヴィーナス》のような数を増やすリクルーターとは単体で特に相性が良いが、これを挙げていくときりがないので、それのみの理由では挙げないものとする。

手札を捨てて展開を広げていく海外産のカテゴリ。
効果の都合上ポンポン場にモンスターが増え、同時に手札もゴリゴリ減っていくカテゴリなため相性は抜群。
と言うか両者のデッキを回転させる性質が噛み合い過ぎて良からぬ使い方をされてしまう場合が殆どだった。
このデッキで《鎖龍蛇-スカルデット》は大いに弾けてしまい、前述の通り制限カードに指定されてしまった。

みんなご存知満足。
有り余る展開力により4体素材の《鎖龍蛇-スカルデット》を出すことすら容易。
墓地が肥えていれば1枚からの大量展開が出来るデッキなので、4体素材時の効果はかなり有用。
モンスターを引いてハンドレスが保てなくなる恐れも、デッキ戻しや3体素材時の効果のおかげで心配ない。
3体素材で出したとしても、手札の《インフェルニティ・デーモン》や《インフェルニティ・ミラージュ》を特殊召喚出来るだけでもかなり有用。
この役立ち具合から、彼もまた満足龍の一体といえよう。

アニメ遊戯王GXにて橘一角が使用したカード。
普通に使うとギャンブルカードだが、【未界域】と組み合わせることによってデッキを掘り進め、《鎖龍蛇-スカルデット》である程度デッキ操作を可能とするため狙って1キルができるようになってしまった。

召喚・特殊召喚時にデッキの地・水・炎・風属性モンスターを1体ずつデッキトップに置けるPモンスター。
L素材となるモンスター4体に加え、戻すための手札が3枚以上必要になるため、フル活用はやや難しいが、2~3体引き込めるだけでも十分に強力。

  • 《世海龍ジーランティス》
世にも珍しいモンスター1体からでも出せるリンク4モンスター。
当然リンク4の《鎖龍蛇-スカルデット》1枚からでも出せる。
このカード自体も展開デッキの補助となる場面も多いため、セットで使われることもしばしば。

  • 《レスキューフェレット》
自身をデッキに戻す事でリンクモンスターのリンク先にレベル合計が6になる様に《レスキューフェレット》以外のモンスターを効果無効・エンドフェイズに破壊されるデメリット付きでリクルートするモンスター。
《鎖龍蛇-スカルデット》は下向きマーカーが3つあるので最大3体のリクルートが可能。3体以上素材にした時の効果を使えば場に出しやすいのも非常に相性が良い。
地属性なので《ダーク・ドリアード》でデッキトップに置け、《世海龍ジーランティス》で出し直せばリクルートしたモンスターの効果無効と自壊デメリットが解除されるため、これらの組み合わせでかなり自由なコンボが出来る。


【余談】

レアリティと効果の汎用性の高さにより、初登場から長い間カード価格の高騰が続き、全盛期には3000円以上することもあった。
そして初登場から5年以上が経った2023年12月に、所謂年末箱の「QUARTER CENTURY DUELIST BOX」を以てようやく再録されることとなった。
現在では大体100円以下で購入できるお手頃なカードとなっている。

名前の由来は「スカル(Skull=骸骨)」「カルテット(quartet=四重奏)」「デッド(Dead=死)」を組み合わせたもの。
骨を彷彿とさせる見た目、リンクマーカー数にドロー枚数()の4要素、凶悪そうな出で立ちとそれぞれの要素が見事に噛み合った、高いネーミングセンスには感銘を受けること請け合いである。
また、分銅鎖と呼ばれる武器に分類されるものの中に、「鎖龍蛇(さりゅうだ)」と呼ばれる道具がある。

汎用性の高い効果は何も普通のデッキだけでなく、ファン要素の強いコンボデッキでも重宝されやすい。
ドロー効果でコンボパーツとなるキーカードを引き込み、この手のデッキに不足しがちな展開補助も《鎖龍蛇-スカルデット》ならお手の物。

中でも、性能が著しく低いカードを活躍させるファンデッキでは驚異の使用率を誇る。
某動画サイトのそういったカードを「患者」と捉え「治療(=カードの使い方を見出す)」を目的とする界隈では、あらゆるフィールドに駆け付け重症デッキの息を吹き返す様を「名医」と捉えられ、医龍の愛称で親しまれている。
ついでに先述の《世海龍ジーランティス》も同様に「患者」治療によく使われるため、「二代目医龍」と呼ばれるようになった。

二体の医龍は《No.60 刻不知のデュガレス》《聖騎士の追想 イゾルデ》等医療チームとともに、今日もどこかで一枚でも多くの「患者」を救うためデッキを回転させていることだろう…。


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最終更新:2025年04月27日 18:13