登録日:2010/11/05(金) 03:54:28
更新日:2024/04/16 Tue 21:13:33
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Little John from the Castle
Snip, snip, off gose his head
■クロックタワー2
『CLOCK TOWER 2(SECOND)』は、1996年にヒューマンから発売されたPS用ソフト。
ジャンルはパニックホラー、アドベンチャーゲーム。
好評を博した前作『
クロックタワー』の世界観、システムを引き継ぎつつ、CG、ポリゴンによる実写的なアプローチと声優によるボイスの演出を実現。
容量の増加に伴う壮大さを増した物語と、それを支えるシナリオの完成度の高さからか前作以上の人気を獲得。
ハードの関係から今作から『クロックタワー』に触れた人間も多いと思われ、名実共にシリーズでも最高傑作と呼ぶに相応しい作品となっている。
ディレクター、シナリオは前作に引き続き河野一二三。
【システム】
【物語】
……「バロウズ邸」での惨劇から1年。
事件の生還者である少女ジェニファーが証言する不死身の怪物シザーマンがマスコミに大々的に取り上げられ、
若者たちの間で恐怖のシンボルとして取りざたされている中、事件のプロファイリングを担当するオスロ大学のバートン教授は、
彼女の証言する怪物の存在を幻覚と一蹴しつつ、犯人の割り出しに手間取っていた。
そんな時、前作の事件で死んだはずのシザーマンが再びジェニファーの前に現れる・・・。
【登場人物】
15歳。
前作からの主人公。前作で発生したクロックタワー事件の生還者。
事件の調査担当となったオスロ大学のヘレン・マクスウェル助教授のもとに引き取られ、徐々に落ち着きを取り戻しつつある。
精神的にはタフで逆境に強く、命を脅かす出来事にも決して心おらすことのないタフさを備え持つ。
モデルはジェニファー・コネリー
小説版のジェニファー編では、実はジェニファー自身もバロウズ家の血を引いている(母親がバロウズ家の家系の出身者)ことが明らかになり、図らずも邪教信仰にただ独り反抗した13代目クエンティン・バロウズの打倒シザーマンの遺志を受け継ぐものとして立ち向かうことになる。
また、シザーマンはバロウズ家の女の腹を通じて生まれ落ちると語られているため、本編におけるシザーマンを産み落とした張本人であるメアリー・バロウズもバロウズ家の血を引き、なおかつジェニファーと縁戚関係にあるということになる。(直系がサイモンなので、恐らく2人は傍系の出身)
更に、ストーリー分岐次第では、1度はシザーマン追放を果たすものの、その直前にエドワードに騙されて唱えさせられた『扉を開く呪文』によって、自分の体内に存在する次元の扉を開いてしまい、新たなる「偉大なる父の息子」を身ごもり邪悪なる聖母となってしまうという最悪の結末を迎えてしまう。
ジェニファー編では、ノランとは早い段階で親しくなっていたゲーム版と違い、ノランを意識しだしている自分に気づきつつも、常にツンケンした態度を崩さないが、Aランク相当の結末でようやくノランにデレてキスする。
逆にヘレン編では、それなりに心を許しているのか、「マスコミの人間なんて信用できないのだからもう親しくするな」と忠告してきたヘレンに対し、見せたこともない怒りを露にしている。
30歳。
主人公その2。
オスロ大学犯罪心理学研究室所属のバートン教授の愛弟子で、助教授号を持つ才媛。
身寄りの無いジェニファーの身柄を引き取り、実の姉妹のように大学の宿舎で共同生活を送っている。
バートンのことは研究者として尊敬しているものの、彼の強引な研究手法に対して徐々に疑問を抱くようになり、
手がかりを得ると称してジェニファーに強引な催眠療法を施す彼への反感を隠さなかったりと、徐々に子弟の関係が変化しつつある。
モデルはXファイルのスカリー捜査官(ジリアン・アンダーソン)
小説版のヘレン編では、彼女の暗い過去が明かされる。彼女は幼い頃に父親から性的な虐待を受けており、入浴中に心臓病の発作を発した父を見殺しにしてしまった。その際に感じた解放感や喜びは殺人の快楽と分かちがたく結びついており、快楽殺人者としての自己を心の深層に形成してしまう。それは心の奥底に固く封印されていたのだが、シザーマンの影響を受け自ら進んで殺人に手を染めたバートン教授にその過去を無理矢理に暴かれたことに激高し、彼を射殺したことで、彼女は快楽殺人者として完全に目覚めてしまう。(結末のひとつより。ついでに共に生還したジェニファーもなぜか一緒に闇堕ちしてしまう)
バートンとは、過去に愛人関係にあった(バートンが父によく似ていたため惹かれたのがきっかけ)
26歳。
名前は立派だがイエローペーパーとも評される「オスロウィーク」の若手記者。
精悍な顔立ちのハンサムボーイで、その甘いマスクの醸し出す雰囲気から軽薄な印象を与えてしまうのも否めないが、
記者としての能力には優れている。
事件の取材を口実にジェニファーに接近したことがきっかけで事件に巻き込まれ、
ジェニファーの証言する不死身の怪物の存在を信じ、情報面から一行をサポートする。
その中で、彼女とは取材するもの・されるものの関係を超えて親しくなっていく。
モデルはメル・ギブソン
実は、実の妹がクロックタワー事件に巻き込まれて死亡しており、事件の真相の解明と公表を目的としてジェニファーに近づいてきたことが明らかになった。そのせいもあって、根は非常に真面目な性格であることが強調されている。
ティムの取材に支障をきたすほどに度を越したホラーマニアぶりに辟易して「ホラーオタクのデブ」呼ばわりしたりと、結構口が悪い。ゲーム中では終始一人称が「ぼく」だが、小説版では「俺」になったりと、結構イメージが違う。。
また、ゲーム版のジェニファー編と違い、ちゃんと家まで送り迎えを申し出たにもかかわらず、会社への連絡を忘れていたことに気づき、ジェニファーを電話ボックスの外に放置したまま電話を始めた結果、大学宿舎での殺人事件に巻き込ませてしまうという重大な失態を犯している。
ジェニファー編では選択肢次第で生存できるが、ヘレン編では物語がクライマックスに向かう以前の段階で襲ってきたシザーマンからヘレンとジェニファーを逃がすため囮となって死亡してしまう。
ノランの同僚。
太っちょのカメラマン。やや(?)間抜け。
ジェニファー編では、バロウズ城内に侵入てはぐれた後、ノラン共々シザーマンに追い詰められた末に、腰から真っ二つにされて死亡。
ヘレン編ではノランと共にジェニファーとヘレンを逃すために戦うもやはり腰から真っ二つにされて死亡した。
42歳。
クロックタワー事件の担当警部補。
経験至上主義で超常現象やオカルトの類は一切信用しない頑固者。
警部補である彼がこの事件を任されたのは本来、担当者となるべき上役が入院中の為。
その為、警部と呼び掛けられる度に警部補だと訂正すると云うお約束の場面がある…が、ジェニファーからは最後まで勘違いされたままだった。
ヘレン編では、絵画の中に潜んでいたシザーマンの突撃を受けて腹部に重傷を負わされ、助けるか否かの選択肢次第で死亡してしまう。
ジェニファー編では、ハリスを殺害したシザーマンから逃げていたジェニファーを拷問室に匿い、吊り階段を下すよう促して自身は時間稼ぎのために残った。
その後のストーリー分岐次第で生存する。
モデルはジーン・ハックマン
52歳。
南オスロー大学犯罪心理学教授。
実効的な犯罪捜査としてのプロファイリング導入の為、サンプルとしてクロックタワー事件を調査している。
天才肌の研究者ゆえに他人からの干渉を嫌い、目的のためならば手段も問わない強引さで周囲の反感を買いがち。
ジェニファーに対する催眠療法の件で教え子であるヘレンと対立している。
モデルは羊たちの沈黙のレクター博士(アンソニー・ホプキンス)
シザーマンの存在こそあり得ないと決めつけていたものの、プロファイラーとしての視点からシザーマンという名の快楽殺人者に対する興味を深めていき、徐々に「シザーマンという快楽殺人者がいかにして殺人を犯すのか、その時の精神状態がどのようなものなのかを確かめたい」という耐えがたい欲求を抱くようになり、プロファイラーにとっての禁忌に踏み込んでいってしまう。そしてシザーマンの唆しを受け入れて自らシザーマンとなり、殺人に手を染めていく。
狂気に傾いていく一方、実は、ジェニファーに対し、催眠療法でにより「恐怖を引き金として彼女の中にプログラミングした第3の人格を呼び起こす」という強い暗示をかけており、「バロウズ家とシザーマンの血塗られた歴史に纏わる知識、そしてその対処法の全てを知り尽くした第3の人格」を宿したジェニファーを万一の切り札として密かに残していた。
彼の最後の良心がそうさせたのか、それすらも実験の内に過ぎないのかは定かではないが、ヘレンにとってそのことが大きな助けとなった。
ハリスが共犯となっているジェニファー編では、シザーマンのテレパシーで殺人の唆しを受けるものの、他人の命令に従うことを良しとしない性格から殺人に手を染めることを忌避し自ら命を絶つという、だいぶまともな性格に描かれている。(ゲーム版のジェニファー編で首つり自殺していたのもこれが理由)
35歳。
優秀な研究者ながら、陰気な性格とおどおどした態度が災いし出世を逃した。
女性であるヘレンに先を越された事もあり、益々浮いた存在になってしまっている。
ロリコン気質の持ち主で、ジェニファーに屈折した愛情を抱いている。
ジェニファー編では、名のある財閥の御曹司だが、優秀な兄と常に比較され続けてきたため、常に鬱屈した精神状態に置かれていたことが明らかとなった。
強いコンプレックスにつけこまれてシザーマンに「言うことを聞けばジェニファーをものにできる」そそのかされたことでシザーマンに成りすまして犯行に加担した。
バロウズ城近辺でのキャンプ中にジェニファーを拉致してバロウズ城に向かい、彼女の前で正体を明かし、彼女への思いを打ち明けるものの拒絶されたこと逆上し彼女に暴行を加えるが、いつの間にか姿を現していたシザーマンに首チョンパされて死亡。
ヘレンに対しては常に自分の先を行く存在ゆえに苦々しく思っていたようで、ジェニファーの目の前で「教授をたらしこんで助教授の座を手に入れた」と侮辱している。
ヘレン編では、バロウズ城でヘレンと再会した後、ジェニファーがいる場所へとヘレンをおびき寄せ、シザーマンをけしかけて殺させようとするものの、憎い相手が死ぬ喜びにニヤニヤしながら見物している隙にやはりあっさりと首チョンパされて死亡した。
モデルはジョン・マルコビッチ
バートン研究室の一員。
年齢に似合わぬ子供っぽい性格で好奇心から「バロウズ城」までやって来る程。
コンピューターに強い研究員で、ヘレンのパソコンを修復してくれる。
大学で発生した事件では事件発生前に既に帰宅しており、一行のイギリス行きにも同行しなかったため、唯一難を逃れた。
ヘレンの友人。
大学の仮眠室を恋人との情事に使う人…。
ホラー映画でこう云う人は大概…。
ローズの恋人。
情事の為に深夜の仮眠室を訪れる。
上記の様にホラー映画でこう云う人はやっぱり…。
市立図書館館長。
バートンの友人。
魔像の鑑定を依頼される。
16歳の時に書いた、近親婚に関する論文が教科書に記載されている程の人物。
図書館職員。
絵に描いた様な犠牲者。
かつて「バロウズ邸」にて執事を努めていた人物。
現在はオスロー郊外に住む。
訪ねて来たノラン(かゴッツ)に「バロウズ城」の情報を伝えようとするが…。
リックの飼っているセントバーナード犬。
主人からは大変可愛がられており、普段は大人しい犬であったことが伺える。
10歳。
金髪碧眼に、透き通る様な白い肌を持つ恐ろしい程の美少年。
ジェニファー同様クロックタワー事件の生還者だと云うが…?
エドワードの保護者。
グラニット孤児院の職員。
…1年振りにジェニファーの前に姿を顕した不死身の怪物。
本名はダン・バロウズ。
Get ready! I'm comin' to get ya!!
【その他・用語解説】
初代バロウズ家当主。
百年戦争の後に地方領主となりバロウズ城を建造する。
戦後間もなく極端に死を恐れるようになり、不死を求めて邪教に手を染める。
セオドールから数えて13代目の当主。
シザーマンと化した我が子を抹殺し、邪教崇拝を止めようとしたらしいが…。
裏切り者と記されている…。
セオドールが建造したバロウズ家の起源となる城。
イギリス国境を守る為の戦用の城ながら、城壁や堀の無い奇妙な作りがされている。
城が落とされなかったのは、人知を超えた守護がなされていたからだとも言われている。
バロウズ家がこの城を捨て、ノルウェーへと移り住んだのは1912年。
崇拝者の願いによって扉を超えて降臨すると云う御使いとも呼ぶべき存在。
嬰児の姿で10年を過ごすとも、畸形で血を好むとも伝えられる。
人知を超えた能力を有し、崇拝者の系図の中に出現して来たという。
前作からの重要アイテム。
【シナリオ】
ジェニファーとヘレン、それぞれを主人公とした2つのシナリオからなる。
基本的に双方の物語は独立しており、攻略の為の手順も一部を除いて違うので注意されたし。
【大学研究棟】
主人公はジェニファーとヘレン。
シザーマンの出現により悪夢と化した大学からの脱出を目指す。
【リック邸】
主人公はノランかゴッツ。
バロウズ家の執事だったリック邸からの魔像を回収、脱出を目指す。
TVを見て笑うシザーマンが見れる。
【市立図書館】
主人公はヘレン。
選択肢によってこちらに分岐する。
魔像の回収と脱出が目的となるのも同じ。
{※上記2シナリオは、シナリオ1での魔像鑑定依頼の場所が異なっていてもプレイはできる。
ただし、その場合は……。}
【バロウズ城】
主人公はジェニファーとヘレン。
攻略の為には上記シナリオ内で入手出来る、ある重要アイテムが必要になる為に手詰まりにならない様に注意。
エンディング分岐の殆どがこのシナリオに集約し、罠も多い。
【余談】
ベストエンディング(ランキングA)をクリアし、尚且つ生存人数を最大の7人とする事で「PAMPHLET」で「???」と記されていた項目を開く事が可能。
設定資料の閲覧の他、「SCISSOR MAN」のテーマ、「Little John from the Castle」、ゴッツ役の声優さんの鼻歌(?)とスタジオでの収録の様子をそのまま音声収録したおまけ「Gotts(EXTRA)」が収録されている。
また、コスチュームチェンジの裏技も使用可能に。
他にも、一度でもクリアすればメッセージの表示方法が、10のエンディング全てをコンプリートするとキャラクターがぶよぶよする「BUYOBUYO」モードなどが選べる様になる。
前作がダリオ・アルジェント作品へのオマージュだったのに対し、本作はホラー映画全般へのオマージュ作品となっている。特にサイコサスペンスホラー映画からの影響が強く、ゴシックホラー映画的な趣の強かった前作とは一味違う雰囲気を演出している。
本作では時間経過だけで体力回復ができるようになった。
ただし、前作では5段階あった体力は3段階と狭められたため、赤状態になりやすいので注意。
【小説版】
ゲームのノベライズを手がけている小説家の牧野修により、本作のノベライズが発売された。
ゲーム本編に沿って、ジェニファー編とヘレン編の2冊が発売されており、小説本編の各章の要所要所に掲示される
選択肢によって話しの展開が変化するゲームブック方式でゲーム本編のマルチエンディングを再現しており、
ゲーム中で明らかにされなかった多くの設定や謎を描いた本編補完も兼ねた作品となっている。
小説版では登場人物の殺され方が違っていたり、ゲーム中に登場していないオリジナルの人物に置き換えられているキャラがいたりと
相違点が多いが、展開自体は概ね原作に忠実であり、それでいてゲームではわからなかった登場人物の心情や過去
暗い人間関係などが暴かれていく展開は、まさにサイコホラー的な味わいがある。
おもしろいのは作中では「後味の悪い結末ほどよい結末」と位置づけられているところで、
結末次第では物語のナビゲート役としてプロローグやストーリー分岐毎の選択肢発生時に登場する「偉大なる父」が
「下らん結末だ」とか「これこそ最高の結末だ!」とか言ってきたりする。
ゲーム版の説明書でも「プレイヤーが気に入ったエンディングがその人にとっての真のエンディング」と制作者の口から語られているように、
どの結末が結末たりうるかは読者次第というわけである。
今では入手が難しいが、ファンであれば一読をオススメする。
- ホラー系大好きな友だちから借りたけど、シザーマンが登場して五分で電源切った。マジ怖すぎ。ビビりな自分には無理ですわ。 -- 名無しさん (2013-09-16 17:17:08)
- チャプター1が一番怖かった。エレベーターの演出といい『イマカラ ソコニ イクゼ』といい…… -- 名無しさん (2013-10-31 23:05:03)
- なんか所々文字化けが酷い……荒らされたか? -- 名無しさん (2014-04-11 13:36:08)
- ↑履歴見る限り荒らされた様子は無いけど -- 名無しさん (2014-04-11 15:14:27)
- 食べちゃいたいくらい愛してる! byシザーマン -- 名無しさん (2015-01-06 18:46:28)
- ↑3 サイレントヒルとかもこんな感じだから、ホラーゲーム特有の演出だとずっと思ってたけど、これ文字化けだったの? だかこれはこれで… -- 名無しさん (2015-01-06 19:30:26)
- 前作の生き残り…10歳の子供…この二つの符号が示す物はひとつ…! -- 名無しさん (2015-07-11 15:59:33)
- チャプター1が一番怖いのわかる。バロウズ城はクリアするだけで大変だから、シザーマンとの遭遇率も半端じゃなくてウザいだけになるんだよな -- 名無しさん (2021-09-03 19:42:20)
- 何かの攻略本だとヘレン編のチャプター1に出てくるローズとベイカーは、宿舎で逢引するのにムカついてたハリスの凶行だったとか -- 名無しさん (2021-09-03 22:33:36)
- ↑攻略本でなく小説版ね。ジェニファー編で自らが殺したと明かしている。ただ、ゲーム版では、職員窓口にある黒いソファーの上に子供くらいのサイズの足跡が残っているという描写があったりする。 -- 名無しさん (2021-10-22 10:42:28)