クロックタワー2

登録日:2010/11/05 Fri 03:54:28
更新日:2024/04/16 Tue 21:13:33
所要時間:約 7 分で読めます





Little John from the Castle
Play's with a little boy
Snip, snip, off gose his head
Bright red bright red….




■概要

CLOCK TOWER 2(セカンド)』(クロックタワー2)は、1996年にヒューマンから発売されたPlayStation用ソフト。
ジャンルはパニックホラー、アドベンチャーゲーム。
好評を博した前作『クロックタワー』の世界観、システムを引き継ぎつつ正統進化。
CG、ポリゴンによる実写的なアプローチと、声優によるボイスの演出を実現。
容量の増加に伴う壮大さを増した物語と、それを支えるシナリオの完成度の高さからか前作以上の人気を獲得。
ハードの関係から今作から『クロックタワー』に触れた人間も多いと思われる。
名実共にシリーズでも最高傑作と呼ぶに相応しい作品となっている。

ディレクター、シナリオは前作に引き続き河野一二三。



【システム】

基本システムは前作と一緒。クロックタワーを参照。
以下に簡単な変更点を挙げる。

  • プレイアブルキャラクター
本作ではジェニファーだけではなく、新キャラのヘレンとのW主人公となった。
同じステージでもキャラにより展開やギミックが大きく違ってくる。
更に他にも様々なキャラクターを操作する事になる*1

  • 体力
本作では時間経過だけで体力回復ができるようになった。
ただし、前作では5段階あった体力は3段階と狭められたため、赤状態になりやすいので注意。

  • セーブ
オートセーブが廃止。メニュー画面から任意でセーブが可能となった。
データも最大で3つまで保存でき、プレイ途中で任意のデータから再開することも可能になっている。
このため周回プレイをせずとも再挑戦がしやすくなり、事故防止の保険セーブもできる。
初心者には嬉しいものの、逆に言えば縛らない限りはヌルゲーになりがちな原因でもある。

  • シナリオ進行
前作ではバロウズ邸の謎を解き明かし脱出するだけだったが、本作は全3章のシナリオに分かれている。
更にシナリオに入る前のインターミッションモードがあり、事件が起きる前のサブキャラとの交流が描かれる。
このインターミッション時の会話はフラグになっており、その後のシナリオ展開に影響を及ぼす。
尚、場合によってはバッドエンド確定となり、やり直さなければならなくなることもある。


【物語】

あの「バロウズ邸」での惨劇から1年。
猟奇殺人事件は「クロックタワー事件」と呼び習わされ、マスコミに大々的に取り上げられていた。
事件の生還者である少女、ジェニファーが証言する不死身の怪物はマスコミにより「シザーマン」と命名。
若者たちの間で恐怖のシンボルとして取りざたされていた。

そんな中、事件のプロファイリングを担当するオスロ大学のバートン教授は
彼女の証言する不死身の怪物の存在を幻覚と一蹴しつつ、犯人の割り出しに手間取っていた。

そんな時、前作の事件で死んだはずのシザーマンが再びジェニファーの前に現れる…。



【登場人物】

  • ジェニファー・シンプソン
(CV:ルミコ・バーンズ / 西村ちなみ)
15歳。前作からの主人公で、前作で発生したクロックタワー事件の生還者。
事件の調査担当となったオスロ大学のヘレン・マクスウェル助教授のもとに引き取られ、徐々に落ち着きを取り戻しつつある。
精神的にはタフで逆境に強く、命を脅かす出来事にも決して心おらすことのないタフさを備え持つ。
本作ではタートルネックのセーターにミニスカート、ロングブーツを履いた現代的な装い。
シナリオ3では黒いセーターと赤いコートを身に纏っている。

モデルは『フェノミナ』の主人公ジェニファー・コルビノ(演:ジェニファー・コネリー)

  • ヘレン・マクスウェル
(CV:リサ・シライシ / 鶴ひろみ)
30歳。主人公その2。
オスロ大学犯罪心理学研究室所属のバートン教授の愛弟子で、助教授号を持つ才媛。
身寄りの無いジェニファーの身柄を引き取り、実の姉妹のように大学の宿舎で共同生活を送っている。
バートンのことは研究者として尊敬しているものの、彼の強引な研究手法に対して徐々に疑問を抱くようになっていく。
手がかりを得ると称してジェニファーに強引な催眠療法を施す彼への反感を隠さなかったりと、徐々に子弟の関係が変化しつつある。

モデルは『Xファイル』のスカリー捜査官(演:ジリアン・アンダーソン)

  • ノラン・キャンベル
(CV:ジェフ・マニング / 真殿光昭)
26歳。精悍な顔立ちのハンサムボーイ。
名前は立派だがイエローペーパー(三流ゴシップ誌)とも評される「オスロウィーク」の若手記者。
その甘いマスクの醸し出す雰囲気から軽薄な印象を与えてしまうのも否めないが、記者としての能力には優れている。
事件の取材を口実にジェニファーに接近したことがきっかけで事件に巻き込まれた。
ジェニファーの証言する不死身の怪物の存在を信じ、情報面から一行をサポートする。
彼女とは取材するもの・されるものの関係を超えて親しくなっていく。

モデルは勇敢なハンサム役でひっぱりだこなメル・ギブソン

  • ティム
ノランの同僚。
赤い帽子の太っちょのカメラマン。やや(?)間抜け。
暴走しがちなノランの抑え役。

  • スターン・ゴッツ
(CV:ピーター・ストーン / 佐藤正治)
42歳。クロックタワー事件の担当警部補。
経験至上主義で超常現象やオカルトの類は一切信用しない頑固者。
ジェニファーにはいつも「警部さん」と間違えて呼ばれている。
警部補である彼がこの事件を任されたのは、本来の担当者となるべき上役が入院中の為。
その為、警部と呼び掛けられる度に「警部補だ」と訂正すると云うお約束の場面がある。
…が、ジェニファーからは最後まで勘違いされたままだった。
モデルは『フレンチ・コネクション』で知られるジーン・ハックマン*4


  • サミュエル・バートン
(CV:ロバート・スペンサー / 大塚明夫
52歳。南オスロー大学犯罪心理学教授。
実効的な犯罪捜査としてのプロファイリング導入の為、サンプルとしてクロックタワー事件を調査している。
天才肌の研究者ゆえに他人からの干渉を嫌い、目的のためならば手段も問わない強引さで周囲の反感を買いがち。
ジェニファーに対する催眠療法の件で、教え子であるヘレンと対立している。

モデルは『羊たちの沈黙』のレクター博士(アンソニー・ホプキンス)

  • ハリス・チャップマン
(CV:ジョジョ・オオタニ)
35歳。優秀な研究者ながら、陰気な性格とおどおどした態度が災いし出世を逃した。
女性であるヘレンに先を越された事もあり、益々浮いた存在になってしまっている。
ロリコン気質の持ち主で、ジェニファーに屈折した愛情を抱いている。
モデルは異様な雰囲気を醸し出す演技で有名なジョン・マルコビッチ。

  • エドワード
(CV:テリー・オサダ / くまいもとこ)
10歳。金髪碧眼に透き通る様な白い肌を持つ、恐ろしい程の美少年。
ジェニファー同様、バロウズ邸で発見されたクロックタワー事件の生還者。
事件のショックで記憶を失っているという。こんな奴いたっけ…?
ジェニファーから情報が引き出せないので、新たな催眠治療の被検体として選ばれた。
尚、「エドワード」という名前は、ケイが名前がわからないのでは不便という理由で便宜的に付けた名前である。


  • ベス
23歳のゼミ生でバートン研究室の一員。仮眠室に自分用の枕を持ち込んでいる。
年齢に似合わぬ子供っぽい性格で、好奇心から「バロウズ城」までやって来る程。
ジェニファー編でもヘレン編でも特定の条件を満たすことで生存する。

  • ダニー
コンピューターに強い研究員で、ヘレンのパソコンを修復してくれる。25歳のゼミ生。
大学で発生した事件では事件発生前に既に帰宅しており、一行のイギリス行きにも同行しなかったため、唯一難を逃れた。
シザーマンについては「実在したら面白い」などと言っていた。

  • ローズ
ヘレンの友人。30歳。性に奔放で大学の仮眠室を恋人との情事に使う人…。
ホラー映画でこう云う人は大概…。

  • ベイカー
ローズの恋人。32歳。彼女との情事の為に、深夜の仮眠室を訪れる。
上記の様にホラー映画でこう云う人はやっぱり…。
ヘレン編のオープニングにおける賑やかし要員であり、ジェニファー編には登場しない*6

  • サリバン
市立図書館館長でバートンの友人。72歳。魔像の鑑定を依頼される。
16歳の時に書いた近親婚に関する論文が、教科書に記載されている程の人物。
冒険好きでさばけた人物だが、ジェニファー曰く「話が長い」。

  • サンドラ
図書館職員。絵に描いた様な犠牲者。実は名前が明かされたのは公式攻略本の身で、
本編中では名前を呼ばれない。
小説版のジェニファー編では名無しの若い男性職員が代わりに登場する。

  • リック
かつて「バロウズ邸」にて執事を務めていた人物。現在はオスロ郊外に住む。
訪ねて来たノラン(もしくはゴッツ)に「バロウズ城」の情報を伝えようとするが…。

  • ビクター
リックの飼っているセントバーナード犬。
主人からは大変可愛がられており、普段は大人しい犬であったことがうかがえる。

  • ケイ
グラニット孤児院の職員。
フルネームはケイ・サターホワイトで、エドワードの保護者。

※少しタメて…。




















…1年振りにジェニファーの前に姿を顕した不死身の怪物。

本名はダン・バロウズ。

Get ready! I'm comin' to get ya!!




【その他・用語解説】

  • セオドール・バロウズ
初代バロウズ家当主。
百年戦争の後に地方領主となりバロウズ城を建造する。
戦後間もなく極端に死を恐れるようになり、不死を求めて邪教に手を染める。

  • クエンティン・バロウズ
セオドールから数えて13代目の当主。
数世紀にわたって続いてきた邪教崇拝に唯一反抗した人物。
自分の代に生まれたシザーマンを追放し、邪教信仰を根絶しようと試みたものの、志半ばで邪教派に暗殺された。
そのため邪教徒の本では裏切り者と記されている。

  • サイモン・バロウズ
元リックの主人で一番新しいバロウズ家の当主。
前作で飢餓状態で閉じ込められており、事件解決後は餓死した姿で発見された。

  • バロウズ城
セオドールが建造したバロウズ家の起源となる城。
イギリス国境を守る為の戦用の城ながら、城壁や堀の無い奇妙な作りがされている。
城が落とされなかったのは、人知を超えた守護がなされていたからだとも言われている。

バロウズ家がこの城を捨てノルウェーへと移り住んだのは80年前の1912年。

  • 偉大なる父
バロウズ家が信仰する宗教における神。すなわち邪教の邪神。
人々に死を与え、彼を崇拝する者には魂の不死を与えると言われる存在。
小説版では物語のナビゲート役として登場している。

  • 偉大なる父の使徒
崇拝者の願いによって扉を超えて降臨すると云う、天使や御使いとも呼ぶべき存在。
巨大なハサミを持ち、嬰児の姿で10年を過ごすとも、畸形で血を好むとも伝えられる。
彼らに肉体を滅ぼされることで崇拝者は魂の不死を獲得し、人々の恐怖を糧に永遠の時を生きるとされる。
人知を超えた能力を有し、崇拝者の系図の中に度々出現して来たという。

  • 魔像
前作からの重要アイテム。ひんやりとした感触がある。
回収しないでクリアすると、ランクEエンディングしか迎えられなくなってしまう。
魔像はともかく、油さしや懐中電灯までが重要になるというのが本作の罠。

  • 青銅の短剣
前作で唯一の武器。ミイラを撃退するのに使ったが、本作ではシザーマンに使う。
真のエンディング分岐にも関わってくる。

  • ンハ・イ・シュ
扉を開く言葉。ラテン語のメモに書かれているが意味は不明。
正確には「扉を開け、道を示せ」という前置きがつき、この部分だけ英語である。


【シナリオ】

ジェニファーとヘレン、それぞれを主人公とした2つのシナリオからなる。
基本的に双方の物語は独立しており、攻略の為の手順も一部を除いて違うので注意されたし。


SCENARIO:1

【大学研究棟】
主人公はジェニファーとヘレン。
シザーマンの出現により悪夢と化した大学からの脱出を目指す。

SCENARIO:2

【リック邸】
主人公はノランかゴッツ。
バロウズ家の執事だったリック邸からの魔像を回収、脱出を目指す。
TVを見て笑うシザーマンが見れる。

【市立図書館】
主人公はヘレン。選択肢によってこちらに分岐する。
魔像の回収と脱出が目的となるのも同じ。

※上記2シナリオは、シナリオ1での魔像鑑定依頼の場所が異なっていてもプレイはできる。但し、その場合は……。

LAST SCENARIO

【バロウズ城】
主人公はジェニファーとヘレン。
攻略の為には上記シナリオ内で入手出来る、ある重要アイテムが必要になる為に手詰まりにならない様に注意。
エンディング分岐の殆どがこのシナリオに集約し、罠も多い。


【余談】

ベストエンディング(ランキングA)をクリアし、尚且つ生存人数を最大の7人とする事で「PAMPHLET」で「???」と記されていた項目を開く事が可能。
設定資料の閲覧の他、「SCISSOR MAN」のテーマ、童唄「Little John from the Castle」、ゴッツ役の声優さんの鼻歌(?)とスタジオでの収録の様子をそのまま音声収録したおまけ「Gotts(EXTRA)」が収録されている。
また、コスチュームチェンジの裏技も使用可能に。
他にも、一度でもクリアすればメッセージの表示方法が、10のエンディング全てをコンプリートするとキャラクターがぶよぶよする「BUYOBUYO」モードなどが選べる様になる。

前作がダリオ・アルジェント作品へのオマージュだったのに対し、本作はホラー映画全般へのオマージュ作品となっている。
特にサイコサスペンスホラー映画からの影響が強く、ゴシックホラー映画的な趣の強かった前作とは一味違う雰囲気を演出している。



大きな城のリトルジョン
元気な男の子と遊んでる
チョキチョキ頭を刻んだら
中から出てきた赤い水…。



【小説版】

ゲームのノベライズを手がけている小説家の牧野修により、本作のノベライズが発売された。
ゲーム本編に沿って、ジェニファー編とヘレン編の2冊となっている。
小説本編の各章の要所要所に掲示される選択肢によって話の展開が変化するゲームブック方式によってゲーム本編のマルチエンディングを再現しており、
ゲーム中で明らかにされなかった多くの設定や謎を描いた本編補完も兼ねた作品となっている。

小説版では登場人物の殺され方が違っていたり、ゲーム中に登場していないオリジナルの人物に置き換えられているキャラがいたりと相違点が多い。
だが展開自体は概ね原作に忠実であり、それでいてゲームではわからなかった登場人物の心情や過去、暗い人間関係などが暴かれていく展開は、まさにサイコホラー的な味わいがある。

おもしろいのは作中では「後味の悪い結末ほどよい結末」と位置づけられているところ。
結末次第では物語のナビゲート役としてプロローグやストーリー分岐毎の選択肢発生時に登場する「偉大なる父」が
「下らん結末だ」とか「これこそ最高の結末だ!」とか言ってきたりする。
ゲーム版の説明書でも「プレイヤーが気に入ったエンディングがその人にとっての真のエンディング」と制作者の口から語られているように、
どの結末が結末たりうるかは読者次第というわけである。

今では入手が難しいが、ファンであれば一読をオススメする。




追記、修正しないと
殺しちゃうよ?



シャキーン!!

シャキーン!!

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最終更新:2024年04月16日 21:13

*1 それぞれのシナリオでサブキャラクターを操作する機会もあるので、プロローグを含めれば操作キャラは全5人もいる。

*2 母親がバロウズ家の家系の出身者

*3 死体はミイラ化していたとされているが、恐らくは前作のゲーム本編におけるバロウズ邸の食糧庫の倉庫の中に放置されていたミイラのことだと思われる。

*4 60歳で心臓発作を起こして引退も考えたが、その後も映画に出演。病を克服して自分でも忘れるほど多くの映画に出演したことで『タフガイ』の名をほしいままにした。

*5 条件を満たすために必要なアイテムが消滅してしまう

*6 ただし、小説版ではジェニファーに発見されなかっただけで、ハリスに殺害されていたことが本人の口から間接的に語られている。(しかも丁寧な死にざまの解説付きで)