Dr.Boom/ドクター・ブーム(Hearthstone)

「Dr.Boom/ドクター・ブーム(Hearthstone)」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

Dr.Boom/ドクター・ブーム(Hearthstone) - (2018/08/07 (火) 07:54:52) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2017-01-05 14:35:20 (Thu)
更新日:2023/12/03 Sun 04:05:23
所要時間:約 8 分で読めます





ヘヘヘッフフヘヘッ!

もちろん私は力に狂っているとも。力なしで狂って何が面白いんだ?

Dr.Boom/ドクター・ブーム はWarcraftシリーズに登場するキャラクター、及び同シリーズをモチーフとしたDTCG「ハースストーン」に登場するカードである。
この項目ではハースストーンにおける同カードを解説する。


性能

Dr.Boom/ドクター・ブーム
7マナ 7/7
雄叫び:1/1のブームロボを2体を召喚する。 警告:ロボは爆発する場合がある。

収録されているのは拡張パック第一弾「ゴブリンvsノーム(GvG)」で、レアリティはレジェンダリーレア*1の中立ミニオンカード。
7/7/7のステータスに加え、雄叫び――いわゆるCIP能力で1/1のロボを2体引き連れてくるという、TCG的にはよくあるタイプのカードである。

特に強いカードには見えない、なぜ項目を作った?と思うかもしれないが、実際それは正しい考えだ。
テキストを読んだだけではあまり強いように思えない効果だが、実際は登場から退場までの間、初心者からプロゲーマーまで最優先で手にすべきカードと言われてきたのだ。

その強さ

ハースストーンというゲームにおいて7マナ帯には癖の強いミニオンが多く、純粋に出して強いミニオンというのが他のコスト帯に比べてやや少ない傾向がある。
他のカードと組み合わせる前提の効果持ち、あるいは単体で強い効果を持っている代わりにステータスが標準よりやや劣るというカードが基本なのだ。

例えばメイジの固有ミニオンである「大魔術師アントニダス」は、手札に呪文が無いとただの7/5/7であり、多少のコンボが前提のカードである。
Archmage Antonidas/大魔術師アントニダス
7マナ 5/7
自分が呪文を使うたび「ファイアボール」*21枚を手札に追加する。
強いカードではあるのだが、タイミングを選ぶカードであることは間違いない。

効果を持たないバニラカードなら9/5という偏ったステータスの「コアハウンド」や、7/7の平均的ステータスを持つ「戦のゴーレム」が存在しているが、残念ながら構築において出番は無い。

その点、ドクター・ブームは召喚時に1/1を2体引き連れてくるため、出すだけでそれなりに強いカードと言えるだろう。
この手の引き連れ系カードの弱点である「引き連れてくるミニオンが処理されるとコスト帯以下のコストパフォーマンス」という点も、ブーム自体がバニラである戦のゴーレムと同等のステータスを持っているため、連れてくるブームロボがすぐに処理されても問題ないのだ。

しかしそれだけならば他にも選択肢はあるため、このカードが他のカードより優先的に採用される理由にはならない。
では何が強いのか、それは召喚時に連れてくるブームロボの効果である。
Boom Bot/ブームロボ
1マナ 1/1 メカ
断末魔:ランダムな敵1体に1~4ダメージを与える。
断末魔は死亡時に発動する、いわゆるPIG効果である。ブーム本体には「爆発することがある」と曖昧な文章で書かれているが、実際は死亡すれば確定で爆発する。
「ランダムにダメージを与える」というのがDTCG独特のRNGを生むのだが、それに加えて着弾先のダメージもランダムという事もあって、ただ処理するだけでも肝を冷やすことになる。
自分の場にミニオンが居る状態で相手のブームロボを破壊すれば自軍が破壊される可能性が生まれ、かといってミニオンが居ない状態だと全ての着弾先がプレイヤーに向かってくるため、最大で8点のダメージを喰らうことになる。
ミニオンの攻撃で破壊する場合、1体目を破壊したら爆撃によってその後攻撃予定だったミニオンが破壊されて計算が狂うなど、RNG要素を存分に生かした活躍をしてくれる。
無論、狙って高ダメージが出るものではないのだが、そこはいわゆる物欲センサーと似たようなもので、嫌な時に限って嫌な感じに爆撃されてしまうのだ。
おまけにブームボットはメカ種族であり、ブームが収録されている「GvG」はメカ種族がフィーチャーされているため、メカ種族と関連するカードとのコンボも可能という至れり尽くせりな性能となっている。

つまりドクター・ブームというカードは
7/7というコスト帯では高水準なステータスに加えて、破壊されるとダメージを飛ばす1/1を2体引き連れてくるミニオン
ということになる。攻撃するだけでも9点の打点を叩き出し、断末魔の爆撃でさらにダメージが加速するのだ。
テキストからは読み取りにくい強さだが、実際に盤面で対峙してみるとその強さを嫌というほど思い知らされることになる。
さらに言えばこのカードは中立カードであるため、全てのクラスにおいて平等に使用可能で、どんな相手でもこのカードの登場を考えなければならなかったのである。

採用率

そんなブームの採用率だが、実は某青い悪魔の様にほぼ100%というわけでもなかったりする。
デッキ全体が軽量で前のめりなアグロデッキや、コンボパーツをかき集めて一気に削り切るタイプのデッキでは採用されていなかった。

逆にそれ以外のミッドレンジやコントロールにおける採用率はほぼ100%と言っても良く、環境がアグロだらけという超高速環境でもない限りはまずデッキから抜ける要素の無いカードであった。
特に猛威を振るったのが、ミッドレンジドルイドとシークレットパラディンにおける活躍である。

ミッドレンジドルイド

ドルイドクラス特有のマナ加速を駆使し、中型ミニオンと大型ミニオンを並べるデッキである。
特に強い動きだったのが、「練気*3」と「コイン*4」を生かしたブームの早期召喚で、上手く揃えば後攻2ターン目に7/7+爆発する1/1という悪夢のような盤面を作り出すことが出来た。
ブームを処理しようにも7/7という高いステータスが立ちふさがり、かといってロボを破壊しようものなら爆撃を受けるという、投了もやむを得ない状況を作り出す、ロマンと実用性を兼ね備えた動きである。
ミッドレンジドルイド自体がトップメタの一角だったため、さほど珍しい光景ではなかった。

シークレットパラディン

秘策*5をデッキから無償で引っ張り出す「謎めいた挑戦者」を主軸にしたパラディンのビートダウンデッキである。
序盤からミニオンを出していくミッドレンジデッキに近いデッキだが、謎めいた挑戦者と秘策によって相手のリソースを削り、そのまま押し切るのが勝ち筋となる。
何よりも強い動きだったのが6T目に6マナの「謎めいた挑戦者」、7T目に7マナの「ドクター・ブーム」、8T目に8マナの「ティリオン・フォードリング*6」を出す「7並べ」と呼ばれる動きである。
大型ミニオンの連打に加え、ブームロボとティリオンの持つ断末魔がさらにダメージを加速させ、処理しきれたとしても盤面は壊滅状態で押し切られてしまうのだ。
シークレットパラディンもトップメタの一角を担っていたため、こちらもよく見られる動きであった。

対策

そんなブームだが、採用率の高さから警戒される存在となり、多くのデッキで対策カードが採用された。

ブーム自体は何の耐性もないミニオンなので、除去するのは比較的容易であった。
パワー5以上のミニオンを破壊する呪文「密言・死」や、中立カードながら単体除去を行えるミニオン「大物ハンター」によって一発で刈り取られるのはよく見られる光景であった。
Big Game Hunter/大物ハンター
3マナ*74/2
雄叫び:攻撃力7以上のミニオン1体を破壊する。
特に有効だったのがウォリアーの呪文「乱闘」と、プリーストの呪文「光爆弾」である。
Brawl/乱闘
5マナ
1体を除きすべてのミニオンを破壊する(ランダムに選択)
乱闘はブームとロボだけが居る盤面なら3分の1で残ってしまうが、(自陣含めて)ブームとロボ以外にもミニオンが並んでいればその確率はさらに下がり、ブームとロボをまとめて処理できる可能性が生まれるため、多少のダメージは覚悟のうえで安定した除去となる(ブームだけ残るパターンもあるが)
Lightbomb/光爆弾
6マナ
各ミニオンにそれぞれの攻撃力に等しいダメージを与える。
光爆弾は完全除去ともいえる呪文でこちらも自軍が巻き込まれるが、プリーストのデッキは体力が高いミニオンが多く採用されていたため、盤面をある程度残しつつの除去が可能であった。

とはいえ、都合よく対策カードが手札にあるわけでもないし、ブームの処理に手間取って他のミニオンで押し切られるというパターンも多く、対策が確立された後も依然として強力なカードであり続けた


最期

そんな環境における主役(?)であったブームだが、その強さからユーザーから度々「nerfしろ」や「禁止カードにしろ」だの「存在を削除しろ」といった声が上がるようになった。
開発のBlizzard社はブームが強いことを認めながらもブームに対する処置は何もなかったが、ブーム登場からおよそ1年半後に「フォーマット制」の導入を発表、今後の公認大会は新しい拡張セットが中心の「 スタンダード 」フォーマットで行われるようになり、ブームが収録されている「GvG」はスタンダードの対象から外れたため、ブームの活躍の場は突如として消滅する。
環境の王者であり続けたブームの最後は、意外とあっけないものであった。



が、 フォーマット制の導入とスタンダードフォーマットの導入に合わせて「 ワイルド 」フォーマットなるものも作られていた。
ワイルドではこれまでハースストーンで登場した全てのカードが使用可能であり、それだけに魔境とも言える環境なのだが、ブームはワイルドで第二の人生を歩み始める。
こちらでも前述の相性が悪いタイプのデッキ以外で一時期は採用率ほぼ100%を誇り、一緒にスタンダード落ちしたカード達と仲良くやっていたのだ。
今は断末魔復活という強力さを誇るンゾスとのアンチシナジーや、シナジーがどんどん追加されるワイルド環境では彼の存在は強いコモンのような存在。
グッドスタッフで組みたいミッドレンジのフィニッシャーに落ち着くというやっと時代が彼に追いついたかのような存在に落ち着いた。
ワイルド自体があまり盛り上がっているフォーマットではないが、それでも一定のユーザーからは支持されており、ワイルド体験会ともいうべき酒場では堂々とアートになっていた。


余談

  • 名前を見てピンと来た人もいるだろうが、名古屋弁をしゃべらない方の博士が元ネタである。アメリカ産のゲームという事もあって、ブーム以外にもマーベルネタが見られる。
  • 原作におけるブームははっきり言ってパッとしない敵キャラクターの1体であり、メインストーリーにも絡んでこないキャラクターであるため、ハースストーンでの大活躍はWarcraftファンの間で物議を醸したとか。
  • 「GvG」がリリースされる前のプロゲーマーによる事前レビューでは、ブームの評価はあまり高くなかった。唯一「StrifeCro」というプレイヤーはブームの強さを見抜いており、「GvGのカード事前レビューTOP20」では1位「ブーム本体」2位「ブームロボ①」3位「ブームロボ②」という(冗談混じりながらも)圧倒的な評価を下している。



警告:追記、修正する場合がある。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/