100系新幹線電車

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100系新幹線電車 - (2017/08/30 (水) 21:16:48) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2017/08/26 Sat 09:10:33
更新日:2024/04/11 Thu 19:51:43
所要時間:約 3 分で読めます




100系新幹線電車とは、旧日本国有鉄道・JR東海・JR西日本が開発・製造し運用した新幹線電車である。


概要

旧国鉄が0系の本格的な置き換えを目的に開発・製造。それまでは老朽化した0系をマイナーチェンジした0系で置き換えるという事を繰り返していたが、ベースは1964年からほとんど変わらず生活水準の向上によって陳腐化が否めなかったため、初めてのフルモデルチェンジ車として開発された。

開発に際して3人のデザイナーを招聘し、車両メーカーがデザインしたものを国鉄の専門委員会が検討して採用する形が採られた。

実は試作車であるX0編成は0系最終増備車である37次・38次車よりも早く落成している。最終増備車であるG46編成は300系の量産第1号であるJ2編成よりも遅く落成したが、廃車はG46編成の方が早かった。*1

仕様

基本仕様

編成 4/6/12/16両(4・6両は全電動車、12両は10M2T、16両は12M4T)
車体 普通鋼製
電気方式 AC25000V 60Hz
制御方式 サイリスタ位相制御
主電動機 MT202型直流直巻電動機 定格出力230kW
制動装置 発電ブレーキ併用電気指令式ブレーキ・渦電流ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ*2
保安装置 ATC-1
駆動方式 WN駆動
起動加速度 1.6km/h/s
最高運転速度 220km/h(X・G・K・P編成)・230km/h(V編成)
平坦線均衡速度 約276km/h・約289km/h
速度種別 S21(K・P編成)・S26(V編成)
減速度 2.6km/h/s(常用)

老朽化した0系の置き換えが主目的であるため、輸送力・車両製造費は0系と同等にされ、地上設備の改良を最小限に抑えつつ、到達時間の短縮を行うことを念頭に置いている。また開発目標として「お客様第一」を掲げ、乗務員用の設備削減などを行った。

大きく0系から変わった点はまず先頭部の形状だろう。0系はいわゆる団子鼻が特徴だったが、100系では鋭角にした前頭部から徐々に断面積を大きくした流線型にし、ヘッドライトも細長い形状に変更された。運転台の窓も開閉可能だったものを固定窓に変更し、車体との段差を減らした。このため0系の団子鼻に対し、100系は「シャークノーズ」と呼ばれる。

もう一つは2階建て車両の連結である。0系は全電動車とすることで200km/h運転に必要な出力を確保していたが、100系はモーターの出力を向上したことで付随車の連結が可能となり、話題作りとイメージアップのために新幹線初の2階建て車を連結することになった。原則として2階をグリーン車や食堂車、1階を通路と普通車指定席・個室・カフェテリアに充てた。これについては各編成で仕様が異なる。

また窓の大きさも0系初期車と同様に試作車以外座席2列で1枚の大窓を採用した。座席は0系だと普通車の3列側は回転できなかったが、シートピッチを104cmまで拡大して全列を回転可能にし、同時に普通車の居住性も向上させた。

制御方式は0系の低圧タップ制御からサイリスタ位相制御に移行した。
サイリスタ位相制御は整流に使う「サイリスタ」という半導体素子…乱暴に言えばスイッチ付きのダイオードみたいなものを使う制御方式で、
大雑把に言うと格闘ゲームでいうキャンセル技みたいに整流(=通電)の一部をキャンセルすることにより、
その先の直流回路に必要な電力だけを送り込む方法。
身近なところでは白熱電球の調光なんかに使われている。*3
整流回路=制御回路なので、うまくやれば整流兼制御用のサイリスタ回路を「インバータ」として使うことにより交流回生ブレーキも実現できるが、100系にはそこまでは搭載されていない。

X編成

1985年から87年にかけて登場した車両。2階建て車は8号車と9号車に連結され、8号車は食堂車、9号車は階上がグリーン車・階下がグリーン個室とされた。
試作車は窓が小さい、ヘッドライトがつり目気味など大きな特徴を持っており、量産化改造後も一部は残った。

量産第1編成から第4編成は老朽化が特に激しかった0系こだま編成を置き換えるため、暫定的に12両編成で投入され後に中間車4両を組み込んで16両X編成となった。また量産第1号編成はX2編成に改番された。

総走行距離が車齢の割に長く、1999年8月から翌年1月にかけて全車両が廃車された。

G編成

1987年から1991年にかけて登場した車両。X編成をベースにグリーン車の定員を増やすため食堂車をやめてカフェテリアにするなどの改良が行われている。一部の車両はJR東海浜松工場で製造されている。車両番号そのものはX編成からの通番。
当初はJR東海だけが所有していたが、1996年から翌年にかけてG1編成からG7編成がJR西日本に譲渡された。これはJR西日本の経営体力がJR東海に比べると弱く、花形運用とも言える東京直通のひかり号にすら0系を使用していたが、ダイヤを組む際の支障となるのを改善するためである。

2004年3月までに全廃された。

V編成

通称「グランドひかり」。1989年から1991年にかけてJR西日本が製造した車両で、部内では「100N系」と呼ばれていた。
X・G編成と異なり、2階建て車両を16両中4両に増やし、将来的な高速化も考えた性能のチューンが行われている。
100系の動力性能で付随車は16両中4両まで連結できることから、それまで両側の先頭車と2階建て車2両を付随車に充てていたが、V編成は付随車を全て2階建て車に充てたため両側の先頭車も電動車になっている。この関係上、先頭部連結器カバーの下にモーターの冷却風を取り込むためのグリルがある。

2002年11月までに編成削除が行われ消滅。V編成の車両は後述のK・P編成へと改造された。

K・P編成

老朽化著しい山陽新幹線のこだま用0系を置き換えるため、V編成と一部G編成を対象に短編成化・延命工事を行った車両。
K編成は6両、P編成は4両で何れも全車電動車。当初は改造前と同じ3+2配置だったが、後にグリーン車やウエストひかりの廃車発生品である2+2配置へと改造された。

カラーリングは座席を改造した車両から山陽こだま色に塗り替えられたが、引退を前に原色へ塗り替えられた。

P編成は2011年3月を持って運用を離脱、K編成は2012年3月に運用を終了した。一足早く運用を終了したP2編成は新下関駅に隣接する乗務員訓練センターの実習車として使われていたが、2013年3月末をもって実習車としての運用も終了した。


去就

サービス水準の向上に果たした役割は非常に大きく、バブル経済とあいまって新幹線利用者の増加にも貢献したが、後継車の登場によって最高速度が向上していくと最高速度が0系と大差ない100系は徐々に肩身が狭くなり、東海道からは2003年に撤退。山陽からも2012年に撤退した。

追記・修正は2階の食堂車で富士山を眺めながらお願いします。
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