虐殺器官

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虐殺器官 - (2014/03/22 (土) 11:05:01) のソース

&font(#6495ED){登録日}:2011/01/25(火) 02:46:29
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&font(#6495ED){所要時間}:約 5 分で読めます

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ヴェーダ語の文献に見られる奇妙な計算によれば、神々の言葉に付加された人間が表現しているのは言葉全体の四分の一でしかないと見積られている

#right(){――パスカル・キャニール「音楽への憎しみ」}



虐殺器官(Genocidal Organ)とは伊藤計劃氏のデビュー作品となった長編SF小説である

2006年、第七回小松左京賞に最終候補にまで残った
読者が選ぶ「PLAYBOYミステリー大賞」の第一回受賞作でもある

MGSシリーズの生みの親である小島監督が伊藤氏にMGS4のノベライズを依頼するきっかけとなった作品

生々しい描写が人を選ぶかもしれないが、間違いなく名作である
 

作者が「小島原理主義者」や「MGSフリークス」を自称する程小島監督作品を愛して止まなかったという話から作中に散りばめられたMGSに出て来たような技術等に目がいきがちであるが、伊藤氏はそれ以外に小説、映画、ゲームなどの様々な作品からサンプリングをしているので、よく見てみると知っている人はついニヤリとするワードがあるかもしれない
また、伊藤と小島監督はかなり古い付き合いであり、病床の伊藤にまだ誰にも見せていないMGSの脚本を見せ、勇気付けようとする等の話がある


今作は元々MGSの同人として温めていたものを膨らませて独立させた作品でもある
 


【あらすじ】
サラエボが核爆発によりクレーターとなり、核の悲劇が日本だけのものでは無くなって、世界中で「核兵器は実戦に投入可能で効果的な兵器」となった世界

先進諸国ではIDによる徹底的な管理体制に移行してテロを一掃していたが。後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増えていた

アメリカ情報軍のクラヴィス・シェパード大尉はその混乱の陰に常に存在が囁かれている謎の男、ジョンポールを追ってチェコへと向かう

なぜジョン・ポールの行く先々で大量殺戮が起こるのか?そして彼の目的とは?
 


【主な登場人物】

〇アメリカ情報軍・特殊検索i分遣隊隊員

・クラヴィス・シェパード
本作の主人公でアメリカ情報軍・特殊検索i分遣隊大尉。一人称は「ぼく」。虐殺の王、ジョン・ポールを追っている。父が拳銃で自殺し、交通事故で脳死状態となった母の生命維持装置を止めたという過去を持つ。そのためか時々夢で死者の国を見るようになる。文学と映画に明るい。比較的冷静沈着だが……


・ウィリアムズ
クラヴィスの相棒にして友人。よくクラヴィスの家に来てはドミノピザで頼んだピザを&font(#ff0000){プライベートライアンの冒頭を見たりしながら}二人で食べている。ゴシップ話とモンティ・パイソンのコントが好きで、常に軽口を絶やさない。妻子持ち

「理不尽なのは大体カフカだ」
 
・アレックス
カトリックの修士号を持つ信仰深い青年だが、ウィリアムズ曰く&font(#f09199){セックス}、&font(#008000){ドラッグ}、&font(#ff0000){バイオレンス}な内容の面白いエンターテインメント小説が読みたいと言われて笑って&font(#ff0000){聖書}を差し出したり、カトリックの習慣や教皇、旧約聖書の神々をネタにした冒涜的なジョークをかましたりするらしい。東欧でのミッションの最中クラヴィスに&font(#ff0000){地獄は頭の中にある}と言い、その二年後にガス自殺をした


・リーランド
クラヴィスの部下。敬語で話す
 



〇その他

・ジョン・ポール
アメリカ人男性。表面はPR会社の社員(後に辞職)であるが、彼がプロデュースした国は混乱に陥り、虐殺が起こるようになる。クラヴィス曰く虐殺の王(ロード・オブ・ジェノサイド) 。幾度となく暗殺対象となるもすんでの所で逃げられる。以前はMITで言語学者として言語の研究をしていた。国防高等研究計画局(DARPA)から金が出ていたらしいが……
サラエボで妻子を亡くしている

「&font(#ff0000){好きだの嫌いだの最初にそう言い出したのは誰なんだろうね?}」


・ルツィア・シュクロウプ
プラハでチェコ語の教師をしている女性。ジョン・ポールの愛人とされており、ジョン・ポールの追跡任務に就いていたクラヴィスの接近を受けた
「言語とは器官である」とクラヴィスに説く
 


【用語】

・アメリカ情報軍・特殊検索軍i分遣隊
アメリカ全軍の特殊部隊の中で唯一要人暗殺を実行する部隊。特殊作戦任務のみならず諜報活動などにも投入される「スパイと特殊部隊のハイブリット」

・オルタナ
Alternative Realityの略。副現実、代替現実とも。コンタクトレンズのように網膜に貼り付けるウェアラブルコンピュータで視覚上に様々な情報を映し出すことが出来る。i分遣隊のオルタナはナノマシン技術を用いた点滴タイプのものを用いている
要は[[電脳コイル]]の電脳メガネ、もしくは現実世界のオーグメンテッド・リアリティの発展型みたいなやつ

・痛覚マスキング
劇中でDARPAが開発した軍事用の麻酔技術の一種で、用いると&font(#ff0000){「痛覚を認識しながらも痛いと感じない」}状態となる。故に腕や下半身が吹き飛んでも冷静な行動が出来る

・環境追従迷彩
ナノコーティングが周囲の色相をスキャンして、リアルタイムで変化するパターンを生成する。i分遣隊が装備
オクトカムに似ているが、こちらは赤外線の吸収が出来ない模様

・環境適応迷彩
周りの風景に合わせて兵士の体を見えづらくする光学迷彩装備

・フライングシーウィード
i分遣隊が所有する侵入航空機。ステルス性を意識した独特な形状から「空飛ぶ海苔」と言われている。地上から見るとモノリスに見えるらしい

以下ネタバレ











・虐殺の文法
ジョン・ポールが研究の末に編み出した文法にして虐殺を引き起こす要因
虐殺をする側、される側に言語に関して一定の傾向(文法)があることを発見し、言語が人間の本能的なものならば人間には虐殺を起こす素質が備わっている=虐殺の文法広めればその素質を呼び覚まし虐殺を引き起こす事が出来るというもの
これを用いれば誰でもOPSのジーンになれる

ジョン・ポールはこの文法を貧困にあえぐ国、特にG9に入る先進国に憎しみの矛先を向けそうな国に対して使うことでテロを未然に防ぎ、テロから"愛する人々"を守るのが目的だった












感謝を捧げます――私の困難な時にあって支えてくれた両親、叔父母に







「貴様を殺して、その死体と追記、修正するさ!」

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- 淡々と始まり、淡々と終わる小説。美味しい水を飲んだ時のような読了感だった。不意にまた読みたくなるような、それも全編ではなくどこか一部を読みたくなる小説として本棚のお気に入りスペースに今も置いてある。  -- 名無しさん  (2014-03-21 21:39:18)
- アニメーションよりはハリウッドとかの実写でやって欲しかったけど、あのオチだとアメリカさんは納得しなさそう  -- 名無しさん  (2014-03-22 11:05:01)
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