コララインとボタンの魔女3D(映画)

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コララインとボタンの魔女3D(映画) - (2023/11/10 (金) 08:01:42) のソース

&font(#6495ED){登録日}:2011/07/09(土) 20:50:26
&font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}:約 7 分で読めます

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#center(){&bold(){&font(#800080){扉の向こうは理想の世界。}}


&bold(){&font(#800080){でも気をつけて。}}

&bold(){&font(#800080){かなえてはいけない願いごとがある───}}
}


**概要
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&bold(){&font(#800080){『コララインとボタンの魔女3D』(原題:Coraline)}}は2009年2月6日に[[アメリカ合衆国]]で公開されたダークファンタジー映画。日本では2010年2月19日に公開。

原作は『アメリカン・ゴッズ』や『グッド・オーメンズ』などで知られるベストセラー作家、ニール・ゲイマンによる同名の児童書である。
監督は『[[ナイトメアー・ビフォア・クリスマス>ナイトメアー・ビフォア・クリスマス(映画)]]』や『ジャイアント・ピーチ』の&bold(){&font(#4d4398){ヘンリー・セリック}}。
アニメ映画だがCGではなく、ストップモーションという技術で作られている。

『ナイトメアー~』のファンであるゲイマンはセリックに興味を持ち、原作出版の1年半前に原稿を送っていた。
世界観が気に入ったセリックはすぐさま映画化を申し込み、脚本の執筆に取りかかった。
その世界観をよく表現できる手法とは何かを考え、実写やCGも考慮されたが、結局ストップモーションアニメに落ち着くことに。
この判断にゲイマンも大満足。&bold(){「ストップモーションは想像の世界に現実味を持たせるんだ。ヘンリーの作品には、心を奪われるよ」}と語る。

**あらすじ
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築150年のピンクパレスというアパートに引っ越してきたばかりのコララインは、家の中を探検している時に壁紙に隠された小さなドアを見つける。
それは、驚くべき“もう一つの世界”への入り口だった――。

扉の向こうでコララインを待っていたのは、自分がいる世界と正反対。
心躍るサーカスやミュージカル、花が咲き誇る美しい庭、そして優しくて、コララインの願いを何でも叶えてくれる別のママとパパだった。
ただ一つ奇妙なことがあった。&bold(){ママもパパも、そしてこの世界にいる全ての者の目がボタンなのだ。}

ともあれ向こうの世界の方が素敵だと、夜ごとドアを開けるコラライン。
そんなことが続いたある日、「別の」パパとママからプレゼントが。箱を開けると中にはボタンと糸が入っていた。

向こうの世界で暮らすには、目をボタンにしなくてはならない。
怖くなったコララインが元の世界に帰ると、&bold(){本物の両親が消えてしまっていた……!}
 



**登場人物(原語版声優/吹き替え版声優)
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&big(){&bold(){◇現実の世界}}

・&bold(){コラライン・ジョーンズ}(ダコタ・ファニング/榮倉奈々)
11歳のお転婆で好奇心旺盛な少女。
面白そうなものを見つければ、それが何なのか確かめなければ気が済まない性格。

新しい町には友達もおらず、忙しい両親は仕事に明け暮れ全然構ってもらえない為、常に不満を抱えている。
新しい家を探検していた時に壁紙の下にある小さなドアを見つけて開けたことで”現実の世界”によく似た“別の世界”へと迷い込んでいく。

何故かよく“キャロライン”と呼ばれる。((coralineは珊瑚(coral)が変化した宝石をイメージする女の子名、キャロラインはCarl(自由)などを意味する男性名を女性形にしたもので、由来も発音も明確に別物。))


・&bold(){メル・ジョーンズ}(テリー・ハッチャー/戸田恵子)
コララインの母親。
園芸雑誌でライターをしている。&bold(){その割には泥が嫌い。}&s(){なんでこの仕事してるの?}
いつもピリピリしていて料理も苦手。
締め切り間近で仕事が忙しい為に、コララインの世話にはあまり時間が割けないことも多い。
 
・&bold(){チャーリー・ジョーンズ}(ジョン・ホッジマン/[[山路和弘]])
コララインの父親。
ママと同じく園芸雑誌のライター。&bold(){しかし庭いじりが嫌い。}&s(){なんでこの仕事ry}
いつも締め切りに追われて青白い顔をしている。
ママが料理を作れない時は自慢の料理を作るが、何故かスライム状になる。

・&bold(){黒猫}(キース・デイヴィッド/劇団ひとり)
気まぐれな[[野良猫]]。
扉の向こうの世界では人語を喋り、コララインに助言を与える。
吹き替え版では前情報無しで見て「黒猫カッケェェェェェェ!」となった後キャストを見ると驚くはず。&bold(){それぐらいかっこいい}。

・&bold(){ワイボーン}(ロバート・ベイリー・Jr/[[浪川大輔]])
ピンクパレスの大家の孫。通称・ワイビー。
引っ越してきたばかりのコララインに何かとちょっかいを掛けてくる、意地も口も悪い少年。彼女の後を付ける[[ストーカー]]。
しかし終盤は何かかっこいい。
&bold(){&font(#ff0000){デコチャリ}}に乗っている。

ちなみに原作には登場しない映画オリキャラでもある。 


・&bold(){セルゲイ・アレクサンダー・ボビンスキー}(イアン・マクシェーン/斉藤志郎)
ピンクパレスアパートの2階に住むロシア人曲芸師。原作ではミスター・ボボ。
トビネズミをサーカスのために訓練しているが、なかなか上手くいかないらしい。
トビネズミからの「小さいドアを通るな」との伝言をコララインに伝えるが……?

・&bold(){エイプリル・スピンク}(ジェニファー・ソーンダース/小宮和枝)
・&bold(){ミリアム・フォーシブル}(ドーン・フレンチ/宮寺智子)
ピンクパレスアパートの半地下に住む、元女優の[[イギリス]]人コンビ。
現在は占い師をやっているが、お互い反対のことばかり言っている。
ミス・スピンクは&bold(){死んだ飼い犬たちを剥製にして天使の衣装を着せ、部屋に飾っている}。
ミス・フォーシブルは&bold(){何十年も前のタフィーを保管しており}、二人とも変わり者。
しかし、タフィーから出てきたお守りが魔女とのゲームで大いに役立つこととなる。


&big(){&bold(){◇扉の向こうの世界}}
&bold(){向こうの世界の住人は全員魔女に作られ操られているだけの人形である。}

・&bold(){メル・ジョーンズ/ボタンの魔女}
向こうの世界に住む母親。
料理上手でコララインの世話もちゃんとする良い母。
&bold(){しかし正体はボタンの魔女で、その目的はコララインの目をボタンに変えさせること。}
そのため、欲しがっているものを全て与えて誘惑していた。
自分の思い通りにならないと凶暴になる、作中屈指の[[トラウマ]]メーカー。
[[ゲーム]]が好き。

・&bold(){チャーリー・ジョーンズ}
向こうの世界に住むコララインの父親。
明るくてピアノが趣味というコララインにとって理想の父親。
魔女に操られ、逃げたコララインを襲う。

・&bold(){ワイボーン}
魔女に作られた人形の一人。
コララインが現実の世界のワイビーのお喋りな所を嫌っていた為、喋ることが出来なくなっている。

向こうの世界では唯一まともな人物で、コララインのことを助けようとする。

・&bold(){セルゲイ・アレクサンダー・ボビンスキー}
こちらでは、屋根裏のテントで見違えるようなトビネズミのサーカスを主催している。
魔女とのゲームでは誘惑の言葉を投げかけるが、全ての真相を知ったコララインには通じなかった。

・&bold(){エイプリル・スピンク}
・&bold(){ミリアム・フォーシブル}
こちらでは、太った老婆の着ぐるみをまとった美女の姿。
人魚とヴィーナスの寸劇の後、空中ブランコ芸を披露する。

・&bold(){幽霊の子供たち}
本性を現した魔女によって鏡の中に閉じ込められたコララインが出会った、3人の幽霊。
魔女の誘惑に負けて目をボタンに変えさせてしまった犠牲者たちで、しかもその内一人はワイビーの祖母と[[双子]]の姉妹。
もし魔女から逃げ出せたら、自分たちの目を探してほしいとコララインに頼む。
彼らの目をかけたゲームの最中も助言し続けており、とても献身的。
 

**余談
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〇ストップモーションアニメだけあって、製作の苦労話は数えきれないほどある。
撮影は、合計1万7千㎡(&bold(){サッカー場約2面半分})の広さに及ぶ合計52カ所の映画スタジオに設計された150以上のセットで行われた。
さらに通常のストップモーションアニメと違い3D上映のため、全てのコマを最低2回は撮影しなくてはならず、一週間に90~100秒ほどしか撮影できなかった。
本作の上映時間が1時間40分と、当時のストップモーションアニメでは最長だったことを考えると……!!
また、コララインだけでも表情が&bold(){207,336通り}あり((目元や口元のパーツは別々に出来ていたため、これらを組み合わせることで極めて細かい表情作りが可能になるのだ。))、人形一つ製作するのに約3~4か月かかったという。

〇本作のキャラクターの衣装は全て手作り。
編み物作家アリシア・クロームは人間の髪の毛ほどの細さの編み針を使い、全てのセーターをたった一人で製作。
画面に映らない下着まで製作しており、セーター1着デザインして製作するまで、約6週間から半年かかったという。

〇人形の髪の毛も1本1本全てが手作業で作られたもの。実際、その作業は気が遠くなるもので、&bold(){手の感覚が麻痺するほど過酷だった}らしい。
コララインのウィッグを作るのに要した糸の長さは、約8㎞にも達したという。

〇冒頭の古い井戸を探すシーンでは、井戸の周りにキノコがリング状に生えている。
これは「菌輪」と呼ばれる実際にある現象だが、別名「魔女の輪」と呼ばれており、ヨーロッパではこの中に足を踏み入れると魔女に魂を奪われるという言い伝えが存在する。

〇コララインの家の屋根裏に住む謎のロシア人ボビンスキー。
よく見ると胸に水色のバッジをつけているが、これはチェルノブイリ原発事故の事故処理に従事した民間人と軍人に贈られた表彰メダルである。

〇向こうの世界は小ネタが豊富。
例えば、パパの履いているスリッパは、セリックの前作『モンキーボーン』がモチーフ。
ママがボウルに割り入れる卵の黄身は『ナイトメアー~』のジャックの姿を表している。
書斎にあるレコードには、セリックのバンド「The Sharks」と、彼の息子・ハリーのバンド「The Rockets」の名前が記されている。
また、息子のハリーとジョージは声の担当もしている。
ハリーは寝室にある写真の友達の声、ジョージは幽霊の子供の一人。

〇本作のコンセプト・アーティストとして日本人のイラストレーター、上杉忠弘氏が参加している。
そのきっかけは2004年頃、後に『[[あの夏のルカ]]』を手掛けるエンリコ・カサローザが彼のイラストのことを知り、どういう人物か確かめるためにいきなり訪ねてきたことから始まった。&footnote(余談だが、本作のボタンの魔女と『あの夏のルカ』のアルベルトは、片や悪役、片や準主役級と立場こそ真逆だが、「主人公の理想を体現しながらも、相手を思い通りにできなくなると豹変し束縛しようとした結果、主人公から見限られ破滅していく」という点が共通している)
1年後、カサローザは『カールじいさんの空飛ぶ家』のストーリー・スーパーバイザーであるロニー・デル・カルメンを連れて再び訪ねてきた。
その後、二人の話を聞いた、当時同僚だった副監督のマイク・カチュエラがセリックに紹介したことからこの映画に参加することになったという。
&bold(){&font(#4d4398){「想像もしないような、見たこともないようなものを描いてください」}}という無茶な要望もあったが、完成後、セリックから&bold(){&font(#4d4398){「『コララインとボタンの魔女』は本当に美しい作品に仕上がった。3Dにするにあたり、タッチは変わったけど、考え方や色やイメージは君のコンセプトアートからインスピレーションを受けたものなんだ」}}とお褒めのメールを頂いたとのこと。


この映画は全体的に暗い雰囲気が漂っており、中にはトラウマになりかねないシーンもあるが、それでも

・全体の[[BGM]]
・作り込まれた背景
・オープニングの人形を作るシーン
・やたらとかっこいい劇団ひとり(吹き替え版)

など、評価出来る部分がたくさんあるので一度見て頂きたい。
 



追記・修正は、ボタンの魔女の誘惑に負けずにお願いします。


参考文献
パンフレット
[[https://m.imdb.com/title/tt0327597/trivia/?ref_=tt_ql_trv]]

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- 子供も観れるが、なかなかにホラーな要素も多いので注意な。でもハッピーエンドでなかなか面白い映画だった。  -- 名無しさん  (2016-08-13 20:01:39)
- 某懐古批評家が「子供向け作品」について語る際、ちょくちょく挙がる作品。  -- 名無しさん  (2019-10-07 16:42:26)
- コララインってキャロラインのスペルのAとOを入れ替えた名前なんだよね。だから間違えられる  -- 名無しさん  (2019-10-07 20:15:50)
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