F-5

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F-5 - (2014/12/18 (木) 18:38:38) のソース

&font(#6495ED){登録日}:2014/12/18 (木) 12:37:30
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F-5とは、アメリカ合衆国の航空機メーカー「ノースロップ・グラマン」で開発された軽戦闘機である。
軽量・低コストでありながら必要十分な攻撃力を併せ持った、米国産輸出用戦闘機の決定版(当時)。


*性能諸元(F-5E)
全長:14.68m
全高:4.06m
翼幅:8.13m
翼面積:17.28m2
空虚重量:4.40t
運用時重量:6.06t
最大離陸重量:11.20t
動力:J85-GE-21A ターボジェットエンジン2基
最大速度:1,743km/h
戦闘行動半径:1,055km(最大燃料+AIM-9×2基)
航続距離:2,483km
実用上昇限度:15,789m
上昇率:10,516m/min
武装:M39A2 20mmリボルバーカノン2門(機首固定兵装、各280発)
   AIM-9 サイドワインダー、AGM-65 マーベリックなど(主翼下or主翼先端部パイロン)
   主翼下パイロン各2基、胴体下部のハードポイント1基に最大合計3.175tの爆装や増槽等を懸架可能


*開発経緯と機体概要
初期型であるF-5A/Bは、元々は第二次大戦中に大量生産された軽空母用の艦載機として計画されていた。
が、海軍が軽空母の全艦退役を決定したため、海外への輸出市場に活路を見出す形で計画を再編する。
同時に空軍の練習機(既に陳腐化しかけていた直線翼ジェット機)のT-33の後継機枠にも目をつけ、戦闘機型と練習機型の2機種が平行して開発されることとなる。
そもそも当時米軍が保有していた戦闘機は、F-84やF-86はいい加減旧式化しすぎていてソ連のMiGシリーズに対応できるか怪しかったし、
F-104はセンチュリーシリーズの中ではシンプルな構成ではあったが、第三世界に売り捌くには整備性に難があった。
というかセンチュリーシリーズ自体どいつもこいつも大正義米軍仕様で、とてもじゃないが輸出できるようなお手軽スペック&コストではなかった。

輸出用戦闘機として開発された本機(試作コードN-156F)は、アメリカの技術力と工業力が西側諸国、並びに友好的途上国では一朝一夕に持ち得ないという
至極当然だが&bold(){彼らもなかなか本心からは理解していない}ことを念頭に置いて設計された。
そのため、本機(の初期型)には航法用レーダーはおろか見越し計算式照準器すら積まれておらず、戦闘機開発のネックとなる
電子システム系の大幅な省略によってコストの圧縮を成し遂げた。

生産性と軽量化を優先して極めて小型なボディをとっており、そこにほとんど直線翼と言っていい浅い後退角の主翼を接続している。
後退角の小さい主翼は旋回性と低速域運動性に優れ、機体の軽さと相まって運動性は良好。
また、これは怪我の功名なのだが、前縁フラップの動力収容箇所に困って主翼付け根に三角形の張り出しを設けてみたところ、
気流を緩やかにまとめることで離着陸性能や失速特性が向上するなど、思いがけない性能向上を見る。
ストレーキの一種としてまとめられたこの構造は&bold(){「LERX(Leading Edge Root Extention)」}と名付けられた。

使用しているエンジンは本来ミサイル用として開発された使い捨てのものをベースに小型機用エンジンとして発展したもので、
推力重量比が従来の大型ターボジェットをはるかに凌ぐ逸品だった。
小型化されているだけに頑丈であり、整備性も抜群。軽量なために特別な工具なしで、数人がかりで着脱することさえできた。
さらには双発なので多少出力が低かろうと補填でき、大量生産されてるのでコスパも文句なし。
双発ゆえの燃費の悪さと航続距離の制限は欠点ではあったが、「(下手に足の長い機体を与えて調子づかせたら)いかんでしょ」
という供与側なりの思惑もあってスルーされた。

航続力や搭載能力に制限が課せられている代わりに反復出動に徹底的に配慮しており、給油口は加圧式1点型で補給は短時間で済ませられる。
構造が単純かつ整備性が高いことも相まって稼働率も際立って高く、[[ベトナム戦争時]]に米空軍で運用された機体に至っては、
本土からのフェリー輸送後、&bold(){陸揚げ→整備&再点検→初出撃までをわずか5時間で済ませた}というエピソードを残している。
まあ、これは米軍の技術力や輸送能力に裏打ちされたものなので、採用国全てでこんな芸当ができるわけではない。


*戦歴
そんなこんなで輸出戦闘機として各国に供与されることになったわけだが、当の被供与国からはこんなお手紙が。

#center(){&font(19px,b){被供与国空軍の皆さん「お宅で使ってない機体を送りつけられても、その、何だ?本当に使えるのか判断に困るんですけど……」}}

ちょうどベトナム戦争中であり、ミサイル万能論も相まって空対空格闘戦を考慮してない機体群が苦戦するのを見かねていたところに[[フォイっと>ドラコ・マルフォイ]]寄せられた
残当残当アンド残当な質問に「あっ……(察し)」した空軍は、本機を大正義米軍仕様に改修し、ベトナムの空で運用実績を作ることを決める。

こうして、F-5をベトナムに派遣し満天下でデモンストレーションする&bold(){「オペレーション・スコシ・タイガー」}が立案された。
「スコシ」は“a little”をオリエンタルな表現に(半ば意図的に)誤訳したもので、文字通りの「小さな虎」という意味の他に、
「少しの機体を少しの間だけ使う」という意味を含めたマルチミーニングだった模様。
前述のエピソードで高い整備性と稼働率を実証し、小型軽量ゆえの被弾率の低さや双発エンジンの安全性の高さ、補給時間の短さに裏打ちされた反復出動能力、
&bold(){「貞淑なご婦人」}とテストパイロットに絶賛された操縦性は米軍でも高く評価され、主に対地爆撃に運用されて投入数の小ささの割にはなかなかの戦果を挙げた。
え、ミサイル?火器管制レーダー積んでないのにどうやって運用しろと?

こうして大正義米空軍での実績を得て異論反論を黙らせた本機は、その経済性や利便性、そして高価な大型機にも劣らぬ機動性で被供与国に愛用された。
ベトナム以外での目立った戦績はないが、地域紛争の際に少なからぬ数が運用されたという。
初期型は既に実戦から退いているが、ギリシャやトルコ、スペインの空軍では高等練習機や対地攻撃補助などに用いられている。
米軍ではベトナム以後使われてない……かと思いきや、供与が間に合わなくなったりで余った本機を引き取り、主に仮想MiGを想定したアグレッサーユニットとして運用している。
空軍の機体は退役しているが、海軍及び海兵隊では今だ現役。まあ、マリーンがカチコミかけるところの主戦力っつったら基本MiGだわな。

また、[[MiG-21]]の海外供与に伴う西側諸国の戦力強化のために各部が強化改修された後期型が開発されており、こちらは近代化改修を受けつつも多くの空軍で現役稼働中。
元々持っていた利便性や経済性をそのままにミサイル運用能力が付与された本機は、中小国からすれば購入待ったなしの優良機だった。
とは言え元設計は半世紀前の機体。さすがにNATO構成国などのある程度金を持っている国は、[[F-16]]に更新していることが多い。

ちなみに、防衛庁の某官僚(故人)が本機をやたらとプッシュしていたが、結局空自で採用されることはなかった。
レーダー積んでないし航続距離も短いんじゃ残当だけどね。

**バリエーション(有名なもののみ)
○T-38
厳密にはバリエーションではなく、F-5と同時期に設計されていた練習機(N-156T)が米空軍に採用されたもの。
とは言っても設計自体は複座であること以外はほぼ同一。
愛称は「タロン」。スペルからして、由来はたぶん[[タロンシャダー!>タロン社の傭兵(Fallout3)]]と一緒。

○F-5A/B
Aは初期型、Bはそれをベースに機首をT-38のものに置換した複座練習攻撃機。
この時点での愛称は「フリーダムファイター」。お世辞にも格好いいとは言い難いネーミングセンスである。

○RF-5A
A型の簡易偵察機型。レーダー積んでないのでがらんどうの機首に偵察用のカメラユニットを仕込んでいる。
武装は元のままなので、機首を交換することで戦闘も可能。

○F-5C(非公式コード)
オペレーション・スコシ・タイガーのために改修されたA型がこう呼ばれることがある。
とは言っても元々A型から抽出した機体を大正義仕様に改修しただけなので、コード自体は公式にはAのまま。
空中給油用着脱式プローブやコクピット周りの防弾板増設、航法レーダー実装が施されている。
作戦名を取って「スコシ・タイガー」と呼ばれることも。

○F-5E/F
A/Bをベースにエンジンのアップデートや空対空レーダー搭載によるミサイル運用能力の付与、自動空戦フラップ搭載などの改修が施された後期輸出型。
Eが通常戦闘タイプ、Fが複座訓練機。「タイガーⅡ」の愛称で知られる。
現在途上国の空軍で主力として現役稼働中なのはだいたいコヤツ。

○F-5G(F-20)
80年台に従来のF-5シリーズの更新機として開発された発展型。エンジンの単発化や電子システム更新と、出力強化に伴う機体剛性向上がメイン。
国内法の都合でF-5のバリエーションコードが与えられたが、後に新規コードが付与されている。
F-16の輸出制限が解除されたことで、あくまでF-5の最終発展型である本機よりも発展性のマージンがあるあっちが着目されたこともあり、
試作機3機が製造されただけで計画は終了した。
なお、ミスター音速突破ことチャック・イェーガーがベタ惚れしていたらしく、総合性能はF-16を凌駕していたとも。
試作機2機が事故喪失しているが、その原因も人類には早すぎた運動性が原因だったとか。

○その他ライセンス生産品
主にカナダとスペインで生産された。カナダ製のものは自国向け以外にもオランダに輸出されている。


その他、シンガポール、チリ、ブラジル、タイ空軍で大規模近代化改修を行ったE/F型が運用されている。
イランの自称“国産戦闘機”?どっからどう見てもF-5の魔改造品なんですが、それは……


*登場作品
エースコンバットシリーズに序盤向けの機体としてF-5Eが登場する。
また、『地獄の黙示録』の見せ場の一つにF-5隊のナパーム爆撃があったり、『トップガン』に架空のソ連機《MiG-28》として出演している。
日本では「エリア88」の主人公機にされたことで、導入されたわけでもないのに無駄に知名度が高かったりする。
あとはまぁ、フライトシムや冷戦期のウォーシムには概ね出てくるんじゃなかろうか。





追記・修正はベトコンどもの防御陣地にナパーム叩き込んでからお願いします。

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- 世界の傑作機でも表紙はシンのF-20だったり、記事に新谷のインタビューがあったりと日本におけるF-5/20の人気は間違いなくエリ8の影響だもんな  -- 名無しさん  (2014-12-18 12:51:04)
- X-29は別に建てるんかな?  -- 名無しさん  (2014-12-18 16:49:05)
- 残当、なる表現を当たり前のように使うのは止めてほしいのだが  -- 名無しさん  (2014-12-18 17:17:15)
- ↑『残念だが当然』の意味なんだから合ってるんじゃないか? 論文書いてる訳じゃないんだし砕けた表現を使っても別にいいと思うが  -- 名無しさん  (2014-12-18 18:38:38)
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