音節表(おんせつひょう)
英syllabary, 仏syllabaire, 独Silbenliste
『言語学大辞典術語』
ある言語の,可能な音節(syllable)を示す字または字の組み合わせを,一定の順序に配列した表.典型的な例は,日本の仮名の「五十音図」である.五十音図は,日本語の音節を表わす仮名を,縦に ’, k, s, t, n, h, m, y, r, w の10行の子音(ただし,濁音,半濁音,拗音はこの表には入れない),横にa, i, u, e, oの5列の母音の組み合わせによって配列したものである.この音節表の原型は,インドのサンスクリットの音節表にある.ここでは,子音と母音を表わす文字の組み合わせが,一定の音声学的順序に配列されている.中国の韻図(rhyme table)も音節表の一種であり,これもインドの音節表を原型として,中国語の音節の特徴に基づき,座標の図式に編成した中国独特のものである.なお,朝鮮にもハングル各文字の組み合わせによる音節表があって,これを反切(pan-jɔl)とよんでいる.
英syllabary, 仏syllabaire, 独Silbenliste
『言語学大辞典術語』
ある言語の,可能な音節(syllable)を示す字または字の組み合わせを,一定の順序に配列した表.典型的な例は,日本の仮名の「五十音図」である.五十音図は,日本語の音節を表わす仮名を,縦に ’, k, s, t, n, h, m, y, r, w の10行の子音(ただし,濁音,半濁音,拗音はこの表には入れない),横にa, i, u, e, oの5列の母音の組み合わせによって配列したものである.この音節表の原型は,インドのサンスクリットの音節表にある.ここでは,子音と母音を表わす文字の組み合わせが,一定の音声学的順序に配列されている.中国の韻図(rhyme table)も音節表の一種であり,これもインドの音節表を原型として,中国語の音節の特徴に基づき,座標の図式に編成した中国独特のものである.なお,朝鮮にもハングル各文字の組み合わせによる音節表があって,これを反切(pan-jɔl)とよんでいる.
これらの音節表は,上述のように,インドの音節表にその源がある.それはインドの音声研究の結果,生まれたものである.他の音節文字をもつ地域たとえば,楔形文字を用いたいろいろな言語(シュメール語,アッカド語,ヒッタイト語,など)では,syllabaryと称する単語の読み方を列記した字音表があり,文字の学習に使用されたが,これらはインドの音節表のように,その言語に用いられる音節を体系的に示すものではなかった.古代エジプトでは,文字の知識を尊重したにもかかわらず,音節表のごときものは発見されていない.
なお,日本では現在,五十音図の体系が仮名の配列の順序に利用されている(五十音順).朝鮮では, k, n, t, r, m, p, s, ', c, ch, kh, th, ph, hの順をとっているが,これはハングル創製の時の造字の原則に則ったもので,それはさらに,中国音韻学の頭子音の体系に基づくものである.中国では,文字の配列は部首立てによる字形の構造からするのが普通であり,音引きの場合は,古くは韻書の体系によった.そしてその韻書のあるものには,各韻の中の文字の配列が頭子音の体系によるものもあった.