エル・ファシル・ナショナリズムとはエル・ファシル星系共和国民の権利擁護、エル・ファシル星系共和国の自由惑星同盟脱退などを唱える思想である。エル・ファシル民族主義とも言う。

概要

 自由惑星同盟における星系ナショナリズムエル・ファシル星系版である。宇宙歴796年時点で星系議会や惑星議会で一定の議席を確保するなど侮りがたい勢力を持ち、(40話)ハイネセン主義に基づく改革をエル・ファシル星系で推し進める財政委員会、またこれに反対する反改革派とその背後にいる国防委員会の双方に反発している。つまり、自由惑星同盟政府によるエル・ファシル星系共和国への干渉に左右を問わずに反対している。(41話)
 この思想は宇宙歴796年時点のエル・ファシル星系政府与党である地域政党エル・ファシル独立党にも強い影響を及ぼしていることが作中の記載からもうかがえる。独立党の幹部党員であるエル・ファシル星系教政府教育長官ロムスキーは高名な反政府活動家五名の写真を執務室に飾っていること、エル・ファシル星系政府前農業長官ゴルチノイが海賊やテロを「憲章に定められた正当な抵抗権の行使」と発言したこと(43話)はその類例である。

 また、エル・ファシル・ナショナリズムはこうした合法政党だけではなく、武装闘争を辞さない過激な分離主義過激派組織エル・ファシル解放運動(ELN)をも生み出した。特に宇宙歴791年惑星エル・ファシル攻防戦による惨禍の絶望、復興事業に消極的な中央政府への反感などがエル・ファシル・ナショナリズムをより過激化させた(13話) 。宇宙歴796年のエル・ファシル七月危機を引き起こしたエル・ファシル革命政府において最大勢力であったプラモート・グループの急速な拡大はこの被害を抜きには説明できない。(45話)

 自由惑星同盟政府はその後も財政委員会の象徴と言えるジョアン・レベロ、国防委員会の象徴と言えるヨブ・トリューニヒトに引き継がれており、エル・ファシル・ナショナリズムが沈静化する様子はなさそうである。


最終更新:2017年09月29日 09:32