エル・ファシル防衛部隊とはゲベル・バルカルの戦いでの敗北後、再編成されたエル・ファシル方面軍麾下の一部隊

概略

1 結成

 宇宙歴796年7月7日、エル・ファシル海賊討伐任務部隊エル・ファシル方面軍はゲベル・バルカルの戦いで首脳部と艦隊主力を失い、残存戦力を引き継いだヤン・ウェンリー准将はエル・ファシル星系へ撤退した。(42話)そしてエル・ファシル七月危機を引き起こした、エル・ファシル革命政府軍のエル・ファシル星系侵入を防ぐべく、エル・ファシル方面軍の再編成を行った。エル・ファシル防衛部隊はこのとき再編視された部隊の一つである。ヤン准将らが率いる宇宙部隊への兵站と惑星エル・ファシルの治安維持を担当した。動揺する二五〇万の市民、統治能力を失った政府、地上に隠れているであろうテロリストなどに備えた。
 ヤン准将から司令に指名されたエリヤ・フィリップス代将はじめ、配属された代将九名はすべて反ヤン派であったため、「面倒な連中をまとめて地上に縛り付けようとしている」との憶測が流れた(43話)

2 陣容

「エル・ファシル防衛部隊」の陣容は以下のとおりである。
  • 司令
  • 副司令
  • 主要幕僚
主席幕僚オーブリー・コクラン宇宙軍大佐 次席幕僚アーロン・ビューフォート宇宙軍中佐
  • 部隊司令部付
  • 各管区司令
第一管区 司令不明 副司令オハラ大佐
第二管区 司令モレッティ代将
第三管区 司令レアフ代将
第四管区 司令不明 副司令ヨハンソン大佐 主席幕僚ミョン大佐
第五管区 司令オロンガ代将
第六管区 司令不明
  • 各部隊長
第八六五警備師団 師団長ウィジャヤ代将
第六三二航空団 司令フリッカー代将*1
第八強襲空挺連隊 連隊長不明
第二エル・ファシル自由師団*2 レオポルド・シューマッハ義勇軍准将

3 経緯

 司令官代行ヤン准将は麾下の全部隊に対し革命政府軍及びテロリスト以外への武力行使を固く禁じた。エル・ファシル防衛部隊から惑星エル・ファシルで暴動が拡大した場合の対応を問い合わせた際も、一切介入しないように指示した。通常、自由惑星同盟では文民政府からの介入要請は承諾することが慣例であったので、これは異例の措置であった。当然、エル・ファシル防衛部隊の指揮官たちの間では、ヤン准将に嫌悪感を持つものは反発し、穏健なものでも困惑した。もともとヤン准将とは思想的に相容れないエーベルト・クリスチアン中佐に至っては、独断で州政府の要請に応じて拘束された。その結果、惑星エル・ファシルでは海賊の侵入におびえる民衆がパニックに陥り、各地で暴動が発生した。エリヤ・フィリップス代将たちはヤン准将の命令と暴動鎮圧を求める文民政府や市民たちの板挟みとなり苦慮することになる。(43話)後にこの措置はエル・ファシル防衛部隊の戦力の集中、ライフラインの死守、そして防衛部隊に紛れ込んだスパイが暴徒鎮圧に出動した際、民間人を殺傷することを恐れたためだとヤン准将は説明した。(44話)

 宇宙歴7月17日エル・ファシル革命政府軍のエル・ファシル星系侵攻に呼応して、惑星エル・ファシル上のエル・ファシル解放運動 (ELN)及び、エル・ファシル防衛部隊に潜入していたプラモート・グループの“スリーパー”(浸透工作員)たちが一斉蜂起した。エル・ファシル防衛部隊は“スリーパー”たちのテロリズムにより管区司令の半数が行動不能に陥る。しかし、フィリップス代将率いるエル・ファシル防衛部隊の堅い防備を崩すことはできなかった。エル・ファシル星域会戦でヤン准将がエル・ファシル革命政府軍を壊滅させた頃、惑星エル・ファシルでの混乱も収束した。こうしてエル・ファシル星系独立目前まで迫ったエル・ファシル七月危機は終結した。(44話)

 作中に明確な記載はないが、エル・ファシル七月危機を鎮圧したのち解散したものと思われる。
最終更新:2017年10月06日 09:35

*1 原文では管区司令、部隊長の階級の記載はない。ただエリヤのもとに八名の代将が配属された(43話)との記載と設定資料集から推測した

*2 亡命帝国軍人の義勇部隊