エル・ファシル方面軍とは宇宙歴795年12月に編成されたエル・ファシル海賊討伐任務部隊。ドラゴニア=パランティア戦役ラザール・ロボス大将が率いた部隊とは別組織。

概略

1 結成

 宇宙歴795年12月に発生したリオ・コロラド事件により、受動的なエル・ファシル海賊対策の限界が明らかになり、積極的な対策を求める声が高まった。しかし、この時点で自由惑星同盟軍は国境警備に二個正規分艦隊、航路警備(第一三任務艦隊)に二個正規分艦隊を割いていた。このため、更に正規艦隊から海賊討伐に戦力を割いたら即応戦力を確保できなくなる恐れがあった。そこで安全地域の即応部隊や巡視隊の戦力をもって、海賊討伐任務部隊「エル・ファシル方面軍」を編成することにが決定された。(40話)

2 陣容

「エル・ファシル方面軍」の陣容は以下のとおりである。
第八一一独立任務戦隊 司令エリヤ・フィリップス代将 副司令マーカス・オルソン大佐
第八一二独立任務戦隊 司令スカーレット・ジャスパー代将
第八一三独立任務戦隊 司令エスラ・アブジュ代将
 作中に明確な記載はないが、エリヤ指揮下の第八一一独立任務部隊が司令官直轄部隊に所属していたことや、部隊番号からして彼らは司令官直轄部隊と推測される。

         役職は不明であるが、ヤン准将のもとにロビンソン大佐が配属されている。
第三〇一任務部隊 司令官不明 第三〇二任務部隊 司令官ケサダ准将 第三〇三任務部隊 司令官トレスラー准将
第三〇四任務部隊 司令官ブローベル准将 第三〇五任務部隊 司令官不明
 この五個任務部隊がエル・ファシル方面軍の艦隊主力であった。(42話)第三〇二任務部隊が「エル・ファシル軍」所属であったこと(41話)から、それぞれ「エル・ファシル軍」もしくは「パランティア軍」に所属していたものと推定される。

第三二二任務戦隊 司令 メイスフィールド代将
第三四一任務戦隊 司令 アラビ代将*2
第三五一任務戦隊 司令不明 第二任務群第四任務隊司令 ダーシャ・ブレツェリ中佐
 司令官著勝部隊所属の任務戦隊とは部隊番号に違いがあるので、「エル・ファシル軍」、「パランティア軍」もしくは各任務部隊に所属していたものと推測される。

第八強襲空挺連隊 連隊長不明
第九〇八独立陸戦師団 師団長ケタリング代将
第四五一地上作戦軍団 司令官バンコレ准将
第二エル・ファシル自由師団*3 レオポルド・シューマッハ義勇軍准将
 陸戦隊、もしくは地上軍所属と推測される。
所属不明
ドミトリー・マレニッチ大佐 タニヤ・ラスール少佐 ファム・タイン大尉 イボンヌ・シャピュイ軍曹

 トリューニヒト派の同盟軍士官が多く配属されており、トリューニヒト・ドクトリンの優位性を示すことが求められていた。


ゲベル・バルカルの戦いで大敗したのち、エル・ファシル星系防衛のため再編成がなされた。

第八一一独立任務戦隊 司令代行マーカス・オルソン大佐
第八一二独立任務戦隊 司令スカーレット・ジャスパー代将
第八強襲空挺連隊 連隊長不明
第二エル・ファシル自由師団 レオポルド・シューマッハ義勇軍准将

3 経緯

 宇宙歴796年1月28日にエル・ファシル方面軍司令官直轄部隊及びエル・ファシル軍は惑星エル・ファシルに到着し、準備に努めた。エル・ファシル方面軍は軍縮によって冷遇されてきた地方部隊から構成されていたので、装備、練度、士気が極端に低下していた状態で、そのままでは実戦に耐えなかったためである。(39話)
 同年4月、エル・ファシル海賊討伐任務を開始、連戦連勝を続ける。同年7月までにエル・ファシル海賊五大組織のうち、黒色戦隊ドラキュラワシントン・ブラザーズを壊滅に追いやった。(41話)
 しかし、同年7月7日、ゲベル・バルカルの戦いで首脳部と艦隊主力を失う大敗を喫する。その直後にエル・ファシル革命政府による声明が発表され、エル・ファシル七月危機が起こった。(42話)
 同月17日、残存戦力を率いる司令官代行ヤン・ウェンリー准将はエル・ファシル星域会戦でエル・ファシル海賊を主力とするエル・ファシル革命軍を壊滅させ、エル・ファシル七月危機は去った。(44話)

 作中に明確な記載はないが、エル・ファシル七月危機を鎮圧したのちエル・ファシル方面軍は惑星ハイネセンに帰還している(46話)ため、解散したものと思われる。
最終更新:2018年05月12日 19:30

*1 原文ではラッソ准将が副司令官に就任したとなっている。(40話)しかし、後に戦死したときにはラフォントとなっている。(42話)そして、ラッソ准将は後に再登場する。(78話)したがってラフォント准将が正しいと判断した。

*2 階級は記述されていないが、「戦隊司令」を務めているため代将と推測される。

*3 亡命帝国軍人の義勇部隊

*4 原文ではビョルクマンとなっているが、誤字と判断した