エル・ファシル星域会戦とは宇宙歴791年11月~792年3月にわたる自由惑星同盟の対帝国反攻作戦「自由の夜明け」の作戦中、同年12月8日に自由惑星同盟軍と銀河帝国軍のあいだに起こった戦闘である。

1 戦いの背景

対帝国反攻作戦「自由の夜明け」についてはこのページ参照。

 宇宙歴791年11月、対帝国反攻作戦「自由の夜明け」においてパランティア航路方面を担当するエル・ファシル方面軍は順調に進撃を続けていた。しかし同年12月6日同盟領占領地を統括する帝国辺境鎮撫軍は当初予想されていたドラゴニア航路方面ではなく、パランティア航路のエルファシル星系周辺に主力を配置していたことが判明した。そこで、同月8日、ラザール・ロボス大将率いる同盟エル・ファシル方面軍二七四〇〇隻とユリウス・フォン・クラーゼン上級大将率いる帝国辺境鎮撫軍主力四万がエル・ファシル星域で衝突した。

2 両軍の指導者・指揮官


自由惑星同盟 戦後 銀河帝国 戦後
ラザール・ロボス宇宙軍大将
ヨハネス・ヴィテルマンス宇宙軍中将
ソン宇宙軍中将
イアン・ホーウッド宇宙軍少将
ジャミール・アル=サレム宇宙軍少将
サミュエル・アップルトン宇宙軍少将
ジェニファー・キャボット宇宙軍少将
シャルル・ルフェーブル宇宙軍少将
ジェフリー・パエッタ宇宙軍少将
生還
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生還
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ユリウス・フォン・クラーゼン上級大将
バルニム大将
ハンス・ディートリッヒ・フォン・ゼークト大将
マイスナー中将
生還
生還
生還
生還

3 戦いの経過

 両軍は惑星エル・ファシルから五〇光秒(一五〇〇万キロメートル)の宙域で相対した。戦力的に劣勢な同盟エル・ファシル方面軍はロボス大将は自ら率いる第三艦隊を右翼、ヴィテルマンス中将の第一二艦隊を左翼に配置した。陣形は両艦隊とも横に薄く長く広がる態勢をとった。なお、同じくエル・ファシル方面軍を構成するソン中将の第五艦隊は到着が遅れており、この時点では戦場へ向かって移動中であった。一方、数に勝る帝国辺境鎮撫軍は中央にはクラーゼン上級大将、左翼にはバルニム大将、右翼にはゼークト大将の艦隊を展開した。いずれも密集した陣形をとり、戦力の密度を高めていた。

 クラーゼン上級大将は定石通り、第五艦隊の到着前に前方の第三、第一二艦隊を早めに近接戦闘で撃破することを目論んだ。両艦隊の隙間に密集陣形で火力を叩きつけることで正面突破を図ったのである。しかし、ロボス大将はこの展開をあらかじめ予想しており、第三艦隊副司令官ジェフリー・パエッタ少将率いる二個分艦隊に迂回機動をとらせていた。辺境鎮撫軍主力はエル・ファシル方面軍の縦深陣に誘い込まれており、完敗を喫した。かろうじて、脱出した帝国軍は戦場に到着した第五艦隊の追撃に遭い、更なる被害を被った。

4 結果及びその影響

 クラーゼン上級大将率いる辺境鎮撫軍主力はこの戦いで壊滅的な被害に遭い、事実上戦闘能力を失った。対帝国反攻作戦「自由の夜明け」の帰趨を決した戦いといえる。しかし、同盟軍は続く惑星エル・ファシル攻防戦で司令官ミヒャエル・ジギスムント・フォン・カイザーリング中将率いる惑星エル・ファシル防衛部隊の思わぬ奮戦で予想外の戦力と時間を費やすことになる。
最終更新:2018年01月17日 19:47