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魔女の歴史

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◇魔女の歴史

~新聖歴紀元前「ただ長き嵐の前」
魔女の力を持つ人々の多くは、精霊の宿る場所の周囲に集落を築き、近隣に住む人々の求めに応じて、病を癒し、豊作を祈願して生活していた。

 しかしながら、戦乱の続く二王国時代には、戦争に巻き込まれ、その力を戦いのためにふるわざるを得なかった魔女たちや、敗戦した側についたために虐殺の憂き目にあった魔女集落も存在した。
 
~新聖歴0年「戦雲の下で相見みゆ」
統一戦争の中、聖騎士団と魔女の接触が起きる。

互いに初めての接触であり、その結果は様々であった。

ある時は、それは王国軍・地方の都市自警団に参加した魔女と、聖騎士団の戦いであった。
またある時は、王国の圧政を打倒するための共闘であった。
多くは、ただ嵐が過ぎ去るのを待とうとする魔女達と、そこから可能な限りのものを引き出そうとする騎士団の緊張関係であった。

法王庁にとっての魔女の認識は、「敵に回せば厄介な、奇妙な力を持った戦士」だった。
王国と死闘を繰り広げつつあった聖騎士達にとって、魔女の思想が聖典に即しているかどうかなど、それが敵か味方か、強いか弱いかに比べれば些細な問題だったのである。
 
新聖歴0年 聖騎士団長により、「対魔術戦闘要項」がまとめられる。(魔術を用いる敵とどう戦うか、を解説した、騎士団員向けの手引き書。『散開せよ』『弓兵の配置は必須』『何が起きても驚くな』)

小話:銀嶺の友
 
~新聖歴10年「嵐の夜明け」
 法王庁による統一が成ると、なお各地で掃討戦の続く中、半島全域で、大陸の伝道師・政治家・学者・商人などの人々が活動するようになり、魔女についても「強いか弱いか」「敵か味方か」「どうすれば倒せるか」という視点だけではなく、その文化的特質にも目が向けられるようになる。
 一方で、魔女たちも、新参の法王庁の人々と接触する中で、時に衝突し、時に支え合いながら、相互の理解を深めてゆく。

 
新聖歴8年 神跡記録官により、「半島文化の驚異」が著される。(半島の実地調査から、大陸文化との相違点を明らかにした本。魔女を含む、異端的文化についても紹介する)

~新聖歴20年「生け贄の黒山羊」
 半島が平和になるにつれ、聖騎士団の凋落は著しく、「敵」を求める声は強まっていった。
 法王庁も、その権力が盤石になるに従い、土着文化に対してそれまで以上に高圧的に対するようになる。
 かくて、魔女たちは「悪魔崇拝者」として弾圧の対象となり、一方の魔女たちも自らの命と魂を守るため、法王庁に牙をむくこととなった。
 
新聖歴15年 「半島文化の驚異」が禁書目録に加えられる。
新聖歴17年 「血の葡萄酒」事件。光槍騎士団、一人の魔女により壊滅。小話『夕暮れの葡萄酒
新聖歴18年 教理問答集の改訂。魔女の関係者は幼児であっても処刑することが求められる。
  
~新聖歴30年「血、炎、呪詛」
 当初、魔女狩りの中核となった聖騎士団は、激化する魔女狩りの中でかえって権力を失っていった。
 集団戦に特化した大組織である聖騎士団は、魔女狩りのような小規模な作戦では、異端審問官より効率が悪いことを明らかにしたのである。
 そして、苛烈な魔女狩りの中、少なからぬ一般人も命を落としていった。
 
~新聖歴40年「袂を分かつ」
 法王庁との物量差は明らかであり、戦い続けることは得策ではない、と考えた人々がいた。
 一方で、過酷すぎる魔女狩りに疑問を抱く声は、庶民からも聖職者からも大きくなっていた。
 そういった中で、魔女の技術を「錬金術」という学問として体系化し、異教=悪魔崇拝という図式から切り離そうという動きが生まれた。
 
 「時越えの」アニエスらを中心とする人々の、超人的な労力をかけたフィールドワークによりそれは達成され、ついには法王庁公認の「国家錬金術師」制度が誕生することになる。
 
 だが、多くの魔女たちが錬金術学院に身を寄せる一方で、古いしきたりや部族のつながりを失い、何よりも、友である精霊の声を聞かなくなることを良しとしなかった魔女たちもまた多かった。
 
 彼らは、なおも辺境の地に魔女として身を潜め、時には法王庁と敵対しつつ、ひっそりと生き続ける道を選んだ。
 
 一方の錬金術協会は、魔女出身ではない民間人たちを学生として迎え、より一層、学問としての体系化を(そして、精霊信仰からの離脱を)進めていった。

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