夕方から降り始めた雨が、ひときわ強くなり、崩れかけた小さな教会に叩きつけた。
寂れた礼拝堂の中央で、聖母像を見上げていた男は静かに言った。
「まさかこんな場所にご招待されるなんて思っても見なかったぜ。お前はここの事など、トウの昔に忘れちまったと思っていたからな。」
黒い外套の内側から煙草を取り出し、咥える。
火は、まだつけない。
「ふふっ、君が育った思い出の教会だ。少しくらい感傷に浸る機会を与えてあげたんだよ。この世で最後の夜になる君への、僕からのささやかな贈り物だよ。」
呟いた男の背後から、少し高い男の声が響いた。
「誰に向かって言っているんだ? 俺は‘異端審問官’だぜ。」
振り返ると同時に、男は銃を抜き、礼拝堂の入り口に立つ、金髪の男に向けた。
落雷のフラッシュが、金髪の男のシルエットを浮かび上がらせた。
「これで三度目だ。ベルナルドの『聖杯』事件、第7教区の審問官狩り、全部裏にいたのはお前だったよな。こっちは、商売繁盛で忙しいんだ。あまり、手間を掛けさせないでくれ。」
黒い外套の男に向けられた銃口を前にして、金髪の男は穏やかな笑みを浮かべたまま答えた。
「そう、二回とも完璧な計画のはずだった。・・・なのに君は止めた。それだけじゃない、この教会で過ごした子供の頃から、君は、僕が越えられないと思う壁を、全て越えてきた・・。」
「・・・分かってるならいいだろ。もう終わりだ。」
「でも今日、僕は君を・・」
最後まで言い終わる前に、銃弾が、金髪の男を貫いた。
「それ以上は、聞きたくないぜ。」
銃を収め、サングラスをかけながら、倒れた男に歩み寄る。誰もいないが、目元をさらしたくはなかった。
「祈りの言葉くらいは、贈ってやるか・・」
「君自身にかい!?」
床に倒れた男の金髪がざわめく。
身体が、いびつに歪み、膨張する。
「僕は変わった! ‘彼ら’にこの身体を提供する事でね!」
「てめえ、まさか!?」
「そう、『異端』の中でも君たちが最も畏れ、嫌悪する、『悪魔』と契約をしたのさ。僕自身の意思によってね!」
既に、膨張は収まり、‘悪魔’と化した体が、雷光によって照らされた。
「全く、頭のいい奴はこれだからこまるぜ!」
今度は銃弾もはじかれる。
「効かないよ! 法王庁もまだまだ、『悪魔』の本質を見抜けていないようだ。」
「チッ! あのジジイが、こんなものまで持たせた意味がようやく分かったぜ!」
周囲の机や椅子を巻き上げる衝撃波をかわしながら、煙草を吐き捨て、懐から銀の小箱を取り出した。
「第一種封印弾、法王陛下の使用許可が出なければ使えない特殊弾。俺の『ケルベロス』もこいつを使うのは、初めてだ。」
弾層から、弾を捨て、小箱から取り出した一発を込める。
「すまねえな、ナジェル。俺は馬鹿だからよ、前に進む事しかできねえんだ。」
そして、銃声が響いた。
† このゲームを一言で言うと †
「異端審問官RPG マグノリア」は、
『戦乱の続いていた「北欧風世界の半島」を制定した「法王庁」を頂点とする統一国家で、PCは「法王庁」所属の「異端審問官」(+13アーキタイプ)となり、「法王庁」により定義された‘敵’「異端」と戦うRPG』です。
「シンプルな世界観で、‘おもしろい’ゲームを」をコンセプトとして構成したため、マスター・プレイヤーの創造力(想像ではなく)で補完する部分が多いと思われます。さらに詳しい世界観をお求めの方は、「マグノリア:ワールドガイド」もご参照ください。
寂れた礼拝堂の中央で、聖母像を見上げていた男は静かに言った。
「まさかこんな場所にご招待されるなんて思っても見なかったぜ。お前はここの事など、トウの昔に忘れちまったと思っていたからな。」
黒い外套の内側から煙草を取り出し、咥える。
火は、まだつけない。
「ふふっ、君が育った思い出の教会だ。少しくらい感傷に浸る機会を与えてあげたんだよ。この世で最後の夜になる君への、僕からのささやかな贈り物だよ。」
呟いた男の背後から、少し高い男の声が響いた。
「誰に向かって言っているんだ? 俺は‘異端審問官’だぜ。」
振り返ると同時に、男は銃を抜き、礼拝堂の入り口に立つ、金髪の男に向けた。
落雷のフラッシュが、金髪の男のシルエットを浮かび上がらせた。
「これで三度目だ。ベルナルドの『聖杯』事件、第7教区の審問官狩り、全部裏にいたのはお前だったよな。こっちは、商売繁盛で忙しいんだ。あまり、手間を掛けさせないでくれ。」
黒い外套の男に向けられた銃口を前にして、金髪の男は穏やかな笑みを浮かべたまま答えた。
「そう、二回とも完璧な計画のはずだった。・・・なのに君は止めた。それだけじゃない、この教会で過ごした子供の頃から、君は、僕が越えられないと思う壁を、全て越えてきた・・。」
「・・・分かってるならいいだろ。もう終わりだ。」
「でも今日、僕は君を・・」
最後まで言い終わる前に、銃弾が、金髪の男を貫いた。
「それ以上は、聞きたくないぜ。」
銃を収め、サングラスをかけながら、倒れた男に歩み寄る。誰もいないが、目元をさらしたくはなかった。
「祈りの言葉くらいは、贈ってやるか・・」
「君自身にかい!?」
床に倒れた男の金髪がざわめく。
身体が、いびつに歪み、膨張する。
「僕は変わった! ‘彼ら’にこの身体を提供する事でね!」
「てめえ、まさか!?」
「そう、『異端』の中でも君たちが最も畏れ、嫌悪する、『悪魔』と契約をしたのさ。僕自身の意思によってね!」
既に、膨張は収まり、‘悪魔’と化した体が、雷光によって照らされた。
「全く、頭のいい奴はこれだからこまるぜ!」
今度は銃弾もはじかれる。
「効かないよ! 法王庁もまだまだ、『悪魔』の本質を見抜けていないようだ。」
「チッ! あのジジイが、こんなものまで持たせた意味がようやく分かったぜ!」
周囲の机や椅子を巻き上げる衝撃波をかわしながら、煙草を吐き捨て、懐から銀の小箱を取り出した。
「第一種封印弾、法王陛下の使用許可が出なければ使えない特殊弾。俺の『ケルベロス』もこいつを使うのは、初めてだ。」
弾層から、弾を捨て、小箱から取り出した一発を込める。
「すまねえな、ナジェル。俺は馬鹿だからよ、前に進む事しかできねえんだ。」
そして、銃声が響いた。
† このゲームを一言で言うと †
「異端審問官RPG マグノリア」は、
『戦乱の続いていた「北欧風世界の半島」を制定した「法王庁」を頂点とする統一国家で、PCは「法王庁」所属の「異端審問官」(+13アーキタイプ)となり、「法王庁」により定義された‘敵’「異端」と戦うRPG』です。
「シンプルな世界観で、‘おもしろい’ゲームを」をコンセプトとして構成したため、マスター・プレイヤーの創造力(想像ではなく)で補完する部分が多いと思われます。さらに詳しい世界観をお求めの方は、「マグノリア:ワールドガイド」もご参照ください。